大企業奉仕・ムダ遣いを変え、くらし・福祉優先へ  田中まさや区議会議員が、区政リポート2019年4月12日号を発行しました。

安全・安心活動報告渋谷区

区議会第1回定例会閉会 田中まさや議員の討論③
大企業奉仕・ムダ遣いを変え、くらし・福祉優先へ

区長の予算に反対する4つの理由
1.憲法と基本的人権を踏みにじって、区民の若者の名簿を自衛隊に提供していること。
2.政府の社会保障大改悪を丸ごと区民に押し付け、区民のくらし、福祉を後退させていること。
3.財界戦略の旗振り役として、グローバル化と民間活力の導入で、大企業の儲けを最優先にし、区民の安全を無視し、区民参加や区民サービスを後退させていること。
4.不要不急の無駄遣いの予算だから。

区議会第1回定例会で、長谷部区政の4年間と今後の区政の方向が問われた区議会第一回定例会で、私が区議団を代表して2019年度予算に対する反対討論を行いました。前回に引き続いて、私の討論をご紹介します。

※グラフはすべて、日本共産党渋谷区議団の「くらしと区政アンケート2018」から作成したものです。

反対理由の第3は、財界戦略の旗振り役として、グローバル化と民間活力の導入で、大企業の儲けを最優先にし、区民の安全を無視し、区民参加や区民サービスを後退させているからです。
日本経団連は2010年の提言で、大都市を「グローバルシティへと進化」させ、「魅力ある都市へと競争力を高める」ために、「民間にある知恵やノウハウを最大限発揮させる」として、「PFI、PPPの積極的な活用」を訴えました。安倍政権は、財界戦略に沿って「国際競争力の強化」「世界で一番企業が活躍しやすい国」にするために、規制緩和と大型開発への税金投入、公共事業を新たに大企業のもうけの場に変える民間活力の導入や指定管理の拡大、公共施設の統廃合を推し進めています。
長谷部区長が「基本構想」で「成熟した国際都市づくり」を掲げ、大企業が進める渋谷駅周辺再開発への巨額の税金投入や宮下公園整備事業、区庁舎建て替え計画を民間資金の活用手法で進め、さらにこの手法を拡大しようとしていることは、まさにグローバル大企業の儲けを最大にするための財界戦略そのものです。
渋谷駅周辺再開発事業は、グローバル企業を呼び込むためのインフラ整備であり、すべての開発事業に東急グループが加わる大企業のための事業であるにもかかわらず、区は総額83億円の区民の税金を投入する事業です。今年度の補正予算で渋谷駅南口北側自由通路整備に26億5千万円が計上されたのに続き、来年度予算では、東急プラザの建替えに7億7500万円のほか、渋谷駅街区北側自由通路など周辺の整備事業に、総額で4億7807万円が投入されます。住民や中小業者を追い出して、大企業の儲けのための大規模開発に税金を投入することは止めるべきです。

 

●長谷部区長の「基本構想」のもとになった財界戦略
日本経団連 提言「わが国の持続的成長につながる大胆な都市戦略を望む」(2010年8月16日)より抜粋
「今後、わが国の大都市は魅力と活力にあふれたグローバルシティへと進化し、世界中の先端企業、人材、投資や観光客を集め、国全体の経済成長を牽引する役割を担わなければならない。そのためには、世界中の人が働きたい、住みたい、訪問したいと思う魅力ある都市へと競争力を高めることが急務」
⑴都市機能の高度化に資する都市インフラの整備では、国家戦略上、成長の基盤として不可欠なものに選択と集中を進め、官民の適切な役割分担・連携の下、重点的、効率的に整備する。首都圏三環状道路を急速に完成させる。
⑵財政負担を極力抑えつつ、都市機能の高度化を効率的に進める上で、こうした民間にある知恵やノウハウを最大限発揮させることが不可欠。…PFI、PPPの積極的な活用が必要である。

宮下公園整備事業は、都心のかけがえのない都市公園であり、防災空間であった宮下公園を、住民の反対を無視して、34年10ヵ月間三井不動産に貸し出し、三井不動産は巨大な商業施設とホテルを建設して大もうけをあげる事業です。しかも、この定期借地契約は、三井不動産の提示価格に合わせて、市場価格より190億円以上値引きしていることに区民の批判が広がっています。また、この契約は、公共財産の適正価格での処分を求め、大幅安値で処分するときは議会の同意を求める地方自治法にも違反しています。区民の財産で三井不動産がいくら設けるのかも明らかにせず、区民が求める再鑑定も拒否するなど、自治体の責任を投げ捨てています。区民からは、「24時間自由に利用できる都市公園の機能が失われる」、「大災害などのときに、高齢者や障がい者は避難できなくなる」などの批判の声が上がっているように、都市公園の役割を後退させて、大企業の儲けに奉仕する計画は、白紙に戻し区民参加で見直すべきです。

同じく庁舎建て替え事業も、庁舎の土地の3分の1を77年以上三井不動産に貸し出し、三井不動産はそこに39階建て505戸の分譲マンションを建設して大もうけをあげる見返りに、庁舎と公会堂を建ててもらうという民間資金の活用手法を採用しました。
すでに三井不動産の分譲マンションの販売が始まっていますが、販売価格は最上階の6戸だけで70億円、22階以上の100戸で150億円以上と言われており、完売すれば権利金である211億円、マンション建設費を引いても数百億円の儲けが三井に転がり込むことになります。まさに三井不動産が、研究会で「庁舎の土地をもらったようなもの」と説明している通りになっています。生活に苦しむ区民の財産を活用して、どれだけ三井が設けるのか総事業費など事業の全体像を区民にも議会にも明らかにしないまま進めていることに区民の厳しい批判が広がっています。
結局、民間資金の活用手法は、大企業の儲けが最大にされる一方、区民の声を排除し、区民サービスを後退させる手法で、住民福祉の機関である自治体のとるべき手法ではありません。
昨年区が、区民の税金7000万円を投入し4人の区職員を派遣して設立した一般社団法人渋谷未来デザインも関わって、「ササハタハツまちづくり」やその延長として「西参道プロジェクト」でファッション関係などの企業が参入する基盤整備をすすめようとしています。来年度予算では、「公共空間利活用の知見を深める」として、区の職員3名から5名を一週間程度、欧米の複数の都市を視察する予算まで計上し、区が一体となって大企業の儲けのためのプロジェクトづくりを推し進めようとしています。渋谷未来デザインは、昨年、代々木公園にサッカースタジアムを建設する構想を打ち出しましたが、こうした渋谷未来デザインの運営にね、区民や区議会が関与し、チェックすることもできません。
財界戦略の旗振りをして、大企業の儲け最優先に区民の税金や財産を使いながら、区民や議会は排除する手法は、住民福祉の増進と住民参加を基本とする地方自治体の在り方に反しており認められません。
羽田新飛行ルートについては、区内6カ所で国土交通省主催の説明会が開かれました。参加者から「落下物のリスクはゼロにならない。人の命をなんと考えているのか」など、新飛行ルートの撤回を求める発言が次々と出されました。「計画は誰がつくったのか」の質問に国は、「日本再興戦略で打ちだされた」と財界戦略であることを明らかにしました。
大企業の儲けのために、区民の安全や環境が犠牲にされてはなりません。きっぱり撤回を求めるべきです。

反対理由の第4は、不要不急の無駄遣いの予算だからです。
来年度予算案には、区長と副区長の退職金がそれぞれ1644万円、1198万円の合計2842万円計上しています。4年の任期ごとに支給される多額の退職金は、区民の生活実態から見てもかけ離れて高額であり認められません。
河津保養所は、取得の経過が不明朗で区民の反対を無視して取得したものです。区が様々なキャンペーンや便宜をはかっているにもかかわらず年間の利用者数は1月までで7500人にも達していません。この施設には毎年1億数千万円の税金が投入されており、予算案にも、指定管理料などで1億3336万円が計上されています。不要不急の施設に、多額の税金を使うことは認められません。廃止すべきです。
区長と副区長の退職金を削るだけで、生活保護世帯の夏冬の見舞金が復活できます。河津保養所を廃止すれば、国保料の子どもの均等割りを半額に軽減できます。さらに貯め込んだ948億円を活用し、税金の使い方をくらし・福祉最優先にすれば、切実な区民の願いを実現することができます。福祉・くらし切り捨て、負担増を押し付け、区民の願いに背を向ける予算は認められません。わが党区議団は、貯め込みを活用し、予算の使い方をくらし・福祉最優先に変え、区民が主人公の自治体本来の役割を発揮する区政に転換するために全力でがんばります。
以上、2019年度渋谷区一般会計予算に反対する討論とします。

区政リポート2019.4.12

区政リポート2019.4.12裏面