すべての障がい者に自立した生活をする権利保障を~第2回区議会定例会・田中まさや議員の一般質問より 田中まさや区議会議員が区政リポート7月12日号を発行しました

第2回区議会定例会・田中まさや議員の一般質問より
すべての障がい者に自立した生活をする権利保障を

第2回区議会定例会2日目、6月8日の本会議での田中まさや議員の一般質問で、障がい者福祉の充実について区長の姿勢を質しました。
とくに難聴者への支援については、日本共産党区議団としては、本会議での初めての質問となりました。
区長は、23区で渋谷だけ実施していない難聴児の補聴器購入助成については、必要な支援を「今後検討」するとの前向きな答弁をしました。以下、障がい者支援の充実についての質問の一部と区長答弁の要旨です。

障がい者福祉の充実について
すべての障がい者は個人として尊重され、権利の主体として、自立した生活をする権利を保障する障がい者権利条約の立場で、障がい者福祉を充実することが求められます。

⑴難聴者への支援について
聴覚に障害のある方は、全国で約600万人、区内では約1万人以上に達すると考えられます。なかでも70歳以上の高齢者の半数は加齢による難聴と言われています。ところが現在、補聴器購入助成の対象者は、障害者手帳が交付されている約24万人といわれており、ほとんどの方が助成を受けられません。
難聴になると、家庭の中でも社会的にも孤立しやすく、人との会話や会う機会が減り、ひきこもりや認知症のリスクが高まることから、早期の補聴器の使用が求められます。
いま補聴器は高額のため、補聴器購入助成制度を創設する自治体が広がっています。23区内でも、千代田区は、年齢制限を設けず片耳の聴力レベルが近距離での会話に支障がある40デシベル以上の方に、購入費用の9割、上限25000円を助成しており、中央区や大田、豊島、江東、墨田、葛飾の各区は65歳以上に助成や現物支給を実施しています。
本区でも、難聴者への補聴器購入助成制度を創設すべきです。また23区では渋谷区だけが、軽度・中等度難聴児への補聴器購入助成制度を実施していません。直ちに実施すべきです。また、難聴児の早期発見、早期支援につながる「新生児聴覚スクリーニング」の検査費用を無料化すべきです。それぞれ区長の所見を伺います。
区長答弁 補聴器については、障害者総合支援法に基づく補装具の制度があり、聴覚障がいの身体障害者手帳をお持ちの方は、所得に応じて一定の購入費用が支給されます。身体障害者手帳の取得に至らない難聴者について、区として独自の助成制度を創設する予定はありません。
 一方、同じく手帳の取得に至らない18歳未満の難聴児については、補聴器を使用することにより、学習能力やコミュニケーション能力などの向上が見込まれることから、東京都が中等度難聴児発達支援事業を実施しています。近年、本区においても難聴児に関する相談が増えていることを踏まえ、必要な支援について今後検討してまいります。
 新生児聴覚検査の助成制度については検査可能な医療機関やフォロー体制の現状を23区で共同して調査をし、今年4月に都内全ての区市町村で開始された制度です。そのため区独自で無料化する考えはありません。

 

⑶障がい者支援施設の運営費助成と処遇改善について
精神障がい者支援事業所では、自立支援法の報酬改定によって運営費が大幅に減少し、定員を減らした施設も出ています。区は140万円の予算で、自主製品の普及活動に対する助成制度を始めましたが、障がい者の生活の場を運営するために必要な費用を、施設の努力で差別することは、障がい者の尊厳を傷つけるものです。障がい者支援施設の必要な運営費については全額助成すべきです。区長に所見を伺います。
また、障がい者施設の職員の処遇は、極めて低い水準です。職員は、「結婚して、家庭を持っても働き続けられる賃金が必要です」と訴えています。障がい者支援施設で働く職員の賃金の引き上げのために、区独自に運営費に職員の賃金上乗せ加算をすべきです。区長の所見を伺います。
区長答弁 障がい者支援施設の運営費については、支援内容や利用状況、施設の運営方法が大きく異なります。したがって、一律に運営費を全額助成するのではなく、それぞれの施設の状況を丁寧に聞き取った上で、持続可能な運営に必要な支援を検討してまいります。
 また、障がい者施設で働く職員への区独自の賃金加算についても、区内の障がい者支援施設に限らず、介護分野も含めて全国的に福祉人材が不足する現状では、根本的な解決につながらないと考えます。

区政リポート2019.7.12