くらしそっちのけで60億円も貯め込む補正予算に反対~田中まさや区議会議員が、区政リポート10月4日号を発行しました

活動報告渋谷区

区議会第3回定例会・中間本会議の結果について
くらしそっちのけで60億円も貯め込む補正予算に反対

9月25日、区議会第3回定例会の中間本会議で、区長提案の2019年度補正予算第2号、第3号、会計年度任用職員の給与、及び費用弁償に関する条例制定など10件を表決しました。(表決結果は、下表参照)
補正予算第2号は、区民には負担増と福祉切り捨て、区民の願いに背を向けて60億円も基金を増やし1009億円も貯め込むことは、自治体の責務であるくらし、福祉の増進の役割を投げ出すものとして、また、会計年度任用職員制度の導入についての条例については、非正規雇用を固定化し完成ワーキングプアを拡大しかねないとして、党区議団はそれぞれ反対しました。
以下、五十嵐幹事長が本会議で行った会計年度任用職員の給与、及び費用弁償に関する条例に対する反対討論(要旨)です。

本条例案は、来年四月から地方自治体で働く臨時・非常勤職員の多くを一年単位の会計年度任用職員として任用するため、給与・労働条件などを定める条例を制定するものです。
渋谷区はこうした臨時職員約320人、非常勤職員約820人の1140人のうち約620人を会計年度職員に移行することを提案しています。620人の主な配置先は、保育園、子ども家庭支援センターなどの保育補助等が280人、小・中学校、子ども発達相談センターなどの栄養士等20人、幼稚園、小・中学校、教育センターなどの教員70人などです。
反対理由① 本来正規職員が担うべき公務労働の業務を非正規職員に担わせることを固定化するとともに、正規職員の削減につながる危険がある
 この間国は正規公務員を削減し、非正規雇用への置き換えや民間委託を推進してきました。
渋谷区でも正規職員は、2000年の2803人から2018年度末には2078人に大幅減少しています。一方、非正規職員は、臨時職員約320人、非常勤職員約820人のあわせて約1140人に増大しています。こうした非正規職員は、公立保育園の保育士や、学校の補助員・指導員として配置された教員、学校・子ども発達相談センターに配置された栄養士などで、子どもたちの命と安全、成長と発達を日々保障する重要な業務を担っている人たちや、住民の命と暮らしを支える恒常的な業務を担っている人たちです。
実際区立保育園には多くの臨時職員が雇用されていますが、中には10年以上働いている人もいると聞いています。会計年度任用職員制度が導入されても産休代替職員はフルタイムの臨時職員のままと説明されましたが、かつては産休・育休代替職員も正規職員が配置され保育の質が保たれていました。しかし、現在では臨時職員が見つからなければ欠員のままとなっていると聞いています。また台風15号被災地での罹災証明発行の遅れなど、この間の自然災害の被災地復興が進まない理由としても地方公務員の削減が原因の一つと指摘されています。
地方自治体の第一の役割である区民の福祉の増進と滞在者の安全を守る公務労働を担う職員は、原則正規職員にすべきです。
反対理由② 会計年度任用職員の報酬等の処遇の格差を拡大し、労働者の権利を制限するから
法改正に基づき条例案では、会計年度任用職員にはフルタイム勤務とパートタイム勤務が認められ、フルタイムの場合は、退職手当等の諸手当の支給や共済制度、災害補償制度などが適用となり現状より改善となります。しかし、当区では会計年度職員の任用は、週38時間45分未満のパートタイム職員のみと説明されました。1年単位で雇用し、再度の任用は4回までの5年間限度となっていますが、公募による客観的な能力が実証されれば6年目以降も5年単位で何度でも採用できるが、正規職員としては採用しないと明言しています。これは「5年以上雇用されたものは本人が希望すれば無期限の正規雇用とする」労働契約法が適用されないためです。これでは、会計年度任用職員は、「いつまでたっても非正規雇用」「いつでも雇い止め可能」という不安定な状態を続けることになり認められません。(中略)
本来正規職員として採用すべき公務労働の職員を、会計年度任用職員として1年間の会計年度の範囲で任用することは低賃金、低処遇で解雇自由な職員を増大させるとともに、公的ワーキングプアをさらに拡大するもので認めることはできません。以上反対討論とします。

区政リポート2019.10.4