都立病院・公社病院の独法化強行は許されない!

活動報告

本会議最終日、自民・都民ファースト、公明などの賛成で、都立病院、公社病院の地方独立行政法人化が強行されました。コロナ下で断じて許されない暴挙だと思います。以下の点で問題があると考えます。

問題点①都の「独法化で行政的医療を将来にわたって提供する」という主張の根拠が総崩れ

コロナ禍で一番必要で、足りなかったものは、医療機関、病床ではないでしょうか。

そのコロナ患者を全国2287病院中で一番受け入れてきたのが都立・公社病院です。1位から11位までもが都立・公社病院で占められています。

また、小児の病床確保数1位が都立小児総合医療センター、精神科の病床確保数一位が都立松沢病院です。

なぜこのようなことができたのか、それは都が、都立病院、公社病院の小児・周産期、難病、障害者、精神、島しょ医療など都民に必要な医療に対して、税金投入をして、都民に開かれた病院を維持してきたからです。

私は昨年の決算第二分科会で公社病院が多くの患者を受け入れてきたのは、都立病院時代から引き継がれた感染症部門が先頭になり支援をして、各病院で専門外の医師であってもコロナ対応ができるようにしてきたこと、生活保護利用者など低所得者を一定受け入れてきたことを,明らかにしました。

生活保護の方が入院するには差額ベッド代を取らないベッドを確保することが必要ですが、それも都立病院時代から引き継いで確保していることがわかりました。こうしたことを継続的に実施するには、今の診療報酬では賄えませんから、そこに都の税金投入がされてきました。↓

https://www.metro.tokyo.dbsr.jp/index.php/6796955?Template=doc-one-frame&VoiceType=onehit&VoiceID=719318

これが独法化で、より採算性の高い医療に変更が求められることは地方独立行政法人法にも定められています。法律には、数年ごとに「民営化」「廃止」の検討がされると明記されています。

実際、都の独立行政法人評価委員会の都立病院分科会では「病床機能の見直しとか、急性期病床などの適正化とか、再編統合とか避けられないと思う」と述べています。

白石都議の予算代表質疑でも、健康長寿医療センターでは都立の時は差額ベット代は取っていなかったものが、独法化後は全体の25%の141床で差額ベッドをとるようになったことを指摘しています。

独法化で、患者負担を増やし、低所得者のお年寄りが入院しにくくなりました。

都立でなければ、行政的医療を維持し継続することはできない、ということが論戦でハッキリしました。

問題点②「独法化」の議論の最初から地方自治法違反

都は独法化を進める手立てとして、2018年、都立病院経営委員会に提言を出させました。これを基に都は独法化の議論を急速に進めてきました。当時都は「都立病院経営委員会からの提言は、十二人の委員で構成する合議体の結論として、平成三十年一月に報告を受けたものでございます」と答弁しました。

しかし、そもそもこの「提言」については地方自治法では「付属機関」と「そうではない機関」をしっかり区別をするよう求めています。ですから、「付属機関」では「提言」「答申」を出しますが、この経営委員会は、そうした正式な団体ではなく、都が恣意的に集めたメンバーで政策を決め「提言」を出しており、明らかな地方自治法違反です。

「恣意的」というのは、独法化を支援する事業者として活動してきた監査法人トーマツが経営委員会に入り、意見を述べるだけではなく、なんと独法化の調査も都から8千万円で受託するという関係です。

多くの署名を寄せた都民の声には耳を傾けず、独法化を進めてきた法人の意見や調査委託までする、この都知事の姿勢は地方自治法違反だけではなく、民主主義をゆがめる行為だと思います。

問題点③独法化で「統廃合」の意図が明らかに

 

大山都議の予算しめくくり総括質疑で、独法化で統廃合はないと言えるのか、と厳しく迫りました。ないとは決して言わずに、なんと「都立病院は、これまでも小児総合医療センターなど再編整備を進め、医療機能を集約化による医療の質の向上とネットワーク機能の充実強化によりまして、都民に対する総体としての医療サービスの向上を図ってまいりました」などと答弁しました!

これを聞いたとき、私ははらわたが煮えくり返る思いでした。

10年前に八王子、清瀬、梅が丘の都立3病院が統廃合されて以来、八王子をはじめ多摩地域では深刻な小児・周産期の医療不足に陥り、そのことをとりあ上げ、八王子にNICUの復活を求めたところでありました

大山都議はすかさず、私の一般質問にも触れ、八王子などで統廃合の痛みは今でも深刻ではないか、それを評価するような発言はおかしい、「将来にわたって行政的医療を提供」は破綻していることを指摘しました。

統廃合が医療を充実させたことはありません。都の多摩地域の子どもにたいする責任を勝手に軽くしただけであり、「機能強化」「質の向上」などのウソを並べるのは、子どもたちの命にたいして、失礼な対応であると、私は思います。

都には、都民、多摩地域のすべての都民の命に対して責任を負っています。独法化を強行したからと言って、軽くなるものではありません。引き続き、医療の充実を求めていきます。