中学校英語スピーキングテストの都立高校入試の導入にストップをかける請願が継続審議に!①

活動報告

今、多くの都民から疑問の声が上がっている中学校英語スピーキングテストを都立高校入試に中止を求める請願が、15日、「継続審議」が決まりました。これは、都議会が、スピーキングテストについて「賛成とも反対とも判断がつかない」状態であること意思決定をした、ということです。

2元代表制の下、都議会側がこうした意思決定をしたことは、大変重く、執行部はその意思を尊重しなければなりません。

多くの都民の皆さんの世論が、こうした結果を生み出し、都政を動かしています。

さて、数時間遅れで始まった都議会文教委員会でで、私も、請願に賛成の立場から質疑を行いました。

順次公開していきます。

↓まず、「利益相反」についての質疑とネット中継から聞き取った答弁の要旨です。

 

アオヤギ:GTECとESAT-Jが酷似している問題についても伺います。ベネッセの商品であるGTEC、なかでも中学生向けのGTEC-コアという英語テストと、ESAT-Jは、出題形式も出題数も各パートの準備時間も解答時間も、何から何までそっくりだと指摘され、テストのサンプル問題をやってみた中学生も「まんまやん!」と言ったと報道されました。

とや都議が5月にこの問題を質問した際、瀧沢部長は「都が独自の内容で出題するものなのだ」「試験の構成、あるいは採点の観点、これら大きな枠をとらえて、それで似ているというのは、内容についての把握を十分にしていない意見だ」と答弁しました。今でもそう考えているのですか。

指導推進担当部長:学習指導要領に基づいて、出題している。学習内容から制限がある。GTECはサンプルがない。酷似しているという立場にない。

アオヤギ:それでは、都教委は、GTECとESAT-Jを名前も伏せ、秒数も隠した場合、この二つのテストをどのように見分けるのですか。教えてさい。

指導推進担当部長:やり取りが違う。出題の仕方が違う。GTECはサンプルが開示されていなない点がESAT-Jと非常に異なる点の相違点である。ESAT-Jはどう改善していくのか示していく(ので違う)。

・↑コメント:1問目で都は、「酷似しているという立場にない」としながら、GTECはサンプル数が少ない点が、ESAT-Jと「非常に異なる」という驚きの答弁でした。

これは、”問題の内容が違う”という根拠にはなりません。

 

アオヤギ:内容はほとんど同じです。これが受験対策になることは間違いないと考えます。前回のとや都議の質疑の都の答弁では、他の関連商品もあると言いますが、他社が、もしこのGTECのようなテストを作ったら、著札権の問題で訴えられるのではないですか。ここまで似せて商品をつくることは、ベネッセだからできるのだと思います。 都教委の皆さんは、違うと言いますが、どう見ても同じです。わが党の星見てい子前都議が質問していますが、2019年度の英語スピーキングテストは、名前が「中学校英語スピーキングテスト・Supported by GTEC」となっていました。GTECの支援を受けて作っていますよと堂々と書いていました。GTECとそっくりなのは当たり前だということを、堂々と示していたわけです。いかがですか。

指導推進担当部長:協定を結んだときは規模が小さい時点で(GTECの)システムを使ったのは事実。プレテストで拡充する中で、(ESAT-Jの)名称を与えた。「Supported by なにがし」ということで似ているというご指摘は当たらない。

コメント:星見前議員の質問の後、「Supported by GTEC」を都教委は取ったことは、事実です。

アオヤギ:ESAT-Jの運営体制は、ベネッセコーポレーションとその下に16社あるという体系図が開示されています。会社名が一部非開示ですが、その名前の横に「採点」「試験監督」と担当する業務が書いてあり、「制作」と書かれている会社があります。これはテストを制作するということですか。

指導推進担当部長:教育委員会ともに(ベネッセも)問題を作り、機械に落とすという作業は必要そのような業務をやるということはその通り。

2018年、最初の年だけ都教委は、英語検定協会(英検)と組んでスピーキングテストをやっていますが、この時のは形式も問題もGTECとは全然違いました。実態とは、ベネッセのGTECと同じものを提案されて、意見を付けて承認したのではないですか。「制作」と書かれていることはそういうことだと思います。2019年からは、GTECを土台にベネッセが作っている。GTECとそっくりにならないわけがないと、言わざるを得ません。

そして公平・公正であるべき入試に、民間企業の商品を使うことで、問題が生じます。都は、2020年3月の予算特別委員会で、わが党の星見てい子前都議が、ベネッセが大学入学共通テストの記述式の採点業務に関わる旨を、高校関係者に配布していたことの認識を問うと、「本事業におきましては、毎年度、都教育委員会と事業者が実施協定を締結し、事業者は本スピーキングテストに関する模擬試験や関連教材の作成、販売を行わないこととしておりまして、」と答弁しました。実施協定で、模擬試験や関連教材を作成販売しないとしていると言っています。

しかし、実施協定を確認すると、「模擬試験や関連教材の作成・販売を禁止する内容の記載がなく、そのことをとや都議が質問するなかで、2020年の6月に覚書で初めて「関連教材の販売の禁止」を締結したことが判明しました。3月の予特の段階では、覚書はなく、協定書にも記載がなかったということです。虚偽の答弁は許されないということを改めて指摘しておきます。

現在覚書の中に「禁止事項」が書かれています。少し長いですが、引用させていただきます。第1条の

(2)本スピーキングテストの対策に特化した解説本、練習用教材を作成し、販売すること及び本スピーキングテストの対策に特化した模擬試験を実施すること。(以下省略します)

(3)本スピーキングテスト問題を流用した解説本、 練習用教材を作成し、販売すること。また、本スピーキングテスト問題を流用して、模擬試験を実施すること。お伺いしますが、GTECというのは、この覚書にあるスピーキングテスト対策の教材や模擬試験、またスピーキングテスト問題を流用した教材や模擬試験にはあたらないのでしょうか。

指導推進担当部長:別の試験なので関連するものにはなりません。

↑コメント:都教委が「別の試験」だと主張しても、関連教材、試験対策にならない、という証拠にはならない。

アオヤギ: 都民の認識はそうではありません。GETCをやればESAT-Jの対策になる「ずるくね?」というのが先ほどのサンプル問題をやってみた中学生の感想です。中学校の先生も、これまでは生徒たちに英検(実用英語技能検定)を案内してきたけれど、GTECは学校単位でしか受けられない。「試験において慣れはとても大事。ぱっと見て、生徒が『これ、やったことある』と感じるのであれば、GTECにした方がいいと思う」と話したと報じられています。

少なくとも都内で9自治体がGTECを中学校に導入していることがわかっています。GTECをやっている自治体とやっていない自治体が都内にはあるなかで、GTECを受けていない自治体は17区23市2町の子どもたちは不利になるのではないでしょうか。

指導推進担当部長:中学生の意見でそっくりという意見があったが、違う問題であるということは繰り返し答弁している。GTECを受験したことが、スピーキングテストに有利に働くという因果関係については、全く示されていないのであって、GTECを受けたことによって有利になる、という立場にない。

↑コメント:覚書で、試験対策、関連教材を禁止しているのだから、都が調査する立場にならなければならない。「有利に働くという因果関係はない」と断言しているが、誰かが「試験対策になる」ということで、GTECを受けたり、購入したりしていれば、覚書の取り決めを違反していることになる。

アオヤギ:似ている根拠がないといいますが、似ていないという根拠もないのではないですか。

確かに過去の問題や解答例はウエブに掲載されていますが、自分でやってみても、どう答えればどれくらいできたことになるのか、わかるようにはなっていません。採点の基準も公表されていますが、誤りが非常に多かったら1点、誤りが多かったら2点、正確だったら3点、非常に正確だったら4点という感じで、どこまでが正確でどこまでが非常に正確なのかわかりません。しかも表示されている点を足しても絶対に100点にはならないというものなのです。 そうなってくると、やはり一度自分の答えを採点してもらえるGTECを受けてみたい、自分の自治体や学校の生徒には受けさせて広げようという気持ちになってくるのではないでしょうか。

英語スピーキングテストが全くの都教委のオリジナルで、他の塾産業などがそれを研究して、模擬試験をつくったというのではありません。都教委とベネッセが協定を結んで、GTECにそっくりのESAT-Jをつくったから、GTECが試験対策になるというのは、事実上の利益相反、覚書は意味のない空文にすぎなくなるのではないですか。

 

指導推進担当部長:全く違うものとして、独自に作っている問題であります。何かあたかも特定の試験を受けることによって有利に働くというような誤解、風評が広がらないように出題も開示をし、採点基準、回答例も示し、それを慣行にしながら、指導を目指しているわけで、GTECが有利であると判断すること自体が適切ではないと考えておりますので、その点についても周知をしていく。

アオヤギ:ベネッセは、スピーキングテストも受託し、関連商品を買っていない残りの区市町村にどんどん販売を広げていくことができる、これは、私は、正常な状態ではないと指摘をしておきます。

 

↑コメント:ここでは都は、GTECが有利に働くという、多くの都民の感想を「誤解・風評」であると言っています。しかし、やはりこれは、GTECが有利だと考えて、実施する自治体が増えれば、利益相反、覚書違反になり、都が規制すべきことです。そもそも、当初から、GTECのシステムを使った、ということも認めました。GTECをやっている自治体がある以上、ESAT-Jは中止すべきです。