スピーキングテストの文書質問(後半)
活動報告
先日のブログの続き、東京都中学校英語スピーキングテストについて文書質問をしましたので、後半を公開します。(質問は3月中旬に提出、回答は5月の初旬に確定)
緑:都教委の回答
青:私のコメント
【試験の等化について】
各民間試験会社では、試験が同じ問題の難しさになるようにIRT (項目応答理論)という技術を使っています。 これまでの議会答弁で、 ESAT-JもIRTを使い、プレテスト、今回のテスト、 来年のテストも等化して、経年で比較ができると答弁されています。
Q12、 3月17日の文教委員会で、 都教委は「これからずっとIRTに基づいて絶対的な評価を出していくということに変わりがありません」と述べ られました。 しかし、等化、IRTというのは同一の仕様の各試験で行うものであり、 試験会社が違う場合、等化は不可能になります。
今のESAT-Jはベネッセが制作し、 著作権も持っていますが、その試験に等化すれば、ずっとベネッセと契約することを意味しますが、 等化は試験実施事業者が違う場合でも行うということですか。 それとも、 契約が切れ、 実施事業者が変わるところで、 経年比較は一旦やめるということですか。
都教委A12:スピーキングテストは、国際的な基準であるCEFRを踏まえて、英語を使って何ができるかを示した到達度を、都独自のESAT-J GRADEにより総括的に評価するものであり、今後も同様に実施していきます。
解説:「国際的な基準であるCEFRを踏まえて、英語を使って何ができるかを示した到達度」というのは、「CEFR-J」(AからFの6段階評価)のことだということを、担当者から聞いておりますが、だったら「CEFR-J」と書けばよいものをわかりにくくする理由は何でしょうか。
5年前の募集要項には、「CEFRまたはCEFR-J」となっていたものが、今回の募集要項にはCEFR-JとCEFRどちらも、採点結果を出すことになっています。
今回、ベネッセがCEFR-Jでグレードを作ったので、そこに今後の試験も合わせなければならなくなったのでしょうか。
等化については、このAからFの6段階に各会社が等化するので、経年比較は続けられるのだ、という主張です。各会社の等化のためのアイテムバンク(問題のバンク)が、CEFR-Jに等化できるようになっているのか、疑問が残ります。
【中学1、2年生のスピーキングテストについて】
Q13、 タブレット端末の購入費が、積算に入っていると聞いていますが、ギガスクール構想ですでに一人一台、端末がある中、タブレットを買う理由をお示しください。
都教委A13:中学1、2年生を対象としたテストにおいて必要となる資材や機材については、 募集要項等に基づき、 事業者がテストを確実に実施できる方法を検討し、調達することになります。
解説ー3月の議会中には、中学1,2年生の28億円については、他の事業者が参入できるように、タブレット端末の費用だという都教委の説明でしたが、1人
- 一台端末のことを追及されると、どちらでも良いという風に、態度が変化しました。もし、学校の端末を使う場合、大幅に費用が減りますが、都教委は都の財政に返金してもらわなければなりません。財政処理の透明性をはかるべきです。
Q14 タブレット端末を購入することになった場合、誰が購入し、誰の所有物になるのですか。 スピーキングテスト以外での活用も可能にする予定ですか。
都教委 A14:中学1 2年生を対象としたテストにおいて必要となる資材や機材につ いては、 募集要項等に基づき、 事業者がテストを確実に実施できる方法を検討し、調達することになります。
コメント―またもや、Q13と同じ回答ではぐらかしています。タブレットは、事業者が調達するのはわかりますが、誰の所有になるのかこれではわかりません。すでにタブレットを持っている事業者は安い提案ができますが、持っていない事業者は、購入費を含めた提案になります。税金で買っているわけですから、ムダ遣いは困ります。誰の所有になるのか、きちんと示すべきです。
Q15 端末を買う理由は、 中学3年生のスピーキングテストの実施事業者のタブレット端末と合わせる目的ですか。 また、 事業者が変わるごとに、
スピーキングテストは、 タブレットを購入しなければならないのですか。
購入の目的を明確にお示しください。
都教委A15:中学1 2年生を対象としたテストにおいて必要となる資材や機材につ いては、 募集要項等に基づき、 事業者がテストを確実に実施できる方法を検討し、調達することになります。
コメントー※Q13、Q14、Q15は、全て同じ回答です。
今のやり方ですと、中学1,2年生は、新しい端末を買うか、ギガスクールのの端末を使うかですが、先日の教育委員会では、一人一台端末を使うとしても、テストのソフトを入れて、きちんと動作がするのか、確認する体制を求められていました。
中3生は、もしベネッセ以外の事業者でしたら、1日で別会場でやるので、必ず端末を用意しなければならないと思います。
わずか数十分のテストのために、ここまでお金と労力をかけなければならないでしょうか?しかも、きちんと話す能力を測ったのかわからないテストです。
Q16、 試験は、中学校以外の外部施設で実施することを考えていますか。 またその費用は予算案に盛り込まれていますか。
都教委A16:予算には会場費を計上しています。 1、2年生については、原則として中学校を会場とし、3年生については、昨年度と同様、 外部会場等を使用する予定ですが、 詳細については、 検討中です。
コメント―都教委は、中学1,2年生で、3年生の準備をする意味合いで、やろうとしているようですが、3年生は別会場で、1日に一斉にやります。また、そこでは試験監督は、次期協定の募集要項でも、事業者が集めますから、1日限りのバイトにならざるをえません。こうしたことから、1,2年生のテストは3年生の練習にはならない、ということと、初年度のミスを改善することは不可能ということは明らかです。
Q17、 中学1、2年生のスピーキングテストも、今後、等化やCEFRとの関連付けを考えていますか。
都教委A18:令和5年4月末現在、採点結果は等化処理を行うとともに、 CEFRも踏まえて評価する予定です。
コメントーみなさん、この答え、どう思われますか?
Q18、 ESAT-Jのような協定方式は、都庁内での手続きの決まりがなく、不透明さが生じやすくなります。 中学1、2年生のスピーキングテストは、事業者とどのような方式での契約を予定しているのですか。 契約の主体は都ですか、事業者との共同実施ですか。
都教委A18:令和5年4月末現在、新たに共同で実施する事業者を公募し、技術審査委員会において選定後、都が協定を締結する予定です。
コメントー
またもや、「協定」「共同実施」ということで、どちらかがミスをしたら、かばい合って、税金を投入し続けるやり方で、公教育においては、民間事業者との共同実施の協定はふさわしくありません。引き続き中止を求めていきます。