都の非常勤(会計年度任用職員)の社会保険の加入状況や残業代の支給状況を文書質問しました
二 会計年度任用職員の社会保険加入と時間講師などの社会保険未加入について
会計年度任用職員制度が始まって5年、その働かせ方、採用方法、社会保険(健康保険、年金保険、雇用保険)の加入要件などの運用が、各局各部署によりバラバラになっています。特に、教育庁関係の時間講師やスクールカウンセラーは、他の職種と異なる運用が目立ちます。官製ワーキングプアをなくし、同一労働同一賃金、均等待遇の大原則を守る立場から、処遇改善を求め、以下質問いたします。 まず、社会保険への加入についてです。週20時間以上働く会計年度任用職員は、社会保険(健康保険、厚生年金保険、雇用保険)の加入対象です。病気や失業のときには傷病手当や失業手当が受けられるなど、重要な制度です。
ところが、時間講師やスクールカウンセラーは、週20時間以上働いていても、勤務地が複数の都立学校だったり複数の区市町村にある小中学校だったりする場合には健康保険と厚生年金に加入させてもらえず、雇用主は同じ東京都なのに納得がいかないとの声が上がっています。 一方、知事部局の会計年度任用職員は、勤務地が複数の場合でも、社会保険すべてに加入していると聞いています。
1 知事部局の会計年度任用職員で、本庁と本庁以外など複数の職場(複数の事業所)で働いている人はいますか。
回答
知事部局の会計年度任用職員において、複数の職場で働いている職員は
おります。
2 Q1の場合、週の労働時間の数え方と社会保険の適用は、どのようになりますか。またその根拠もお示しください。
回答
知事部局の複数の職場で働いている会計年度任用職員に関しては、厚生
年金保険法等の関係法令に基づき、適用事業所内の職場において一週間の
所定労働時間が20時間以上であるなどの要件に合致している場合、社会保
険の加入の手続を行っています。
ポイント:教育庁以外の知事部局は全ての局を「1事業所(適用事業所)」とみなして、どこで働いても、合算して月20時間以上働けば、社会保険(医療保険・雇用保険・年金保険)3つとも加入させているということです。
3 教育庁や学校で週20時間以上働く会計年度任用職員で、勤務地が複数でも社会保険に加入させている職種はありますか。あればその職種をお答えください。
回答
都教育委員会は、社会保険について、関係法令に基づき、一週間の所定
労働時間が20時間以上であるなど、加入要件に該当する者について届出等
必要な手続を行っています。
社会保険の加入要件が職種によって異なることはありません。
ポイント:知事部局の答弁と違い、「必要な手続き」と言っているのは、20時間以上働いている時間講師やスクールカウンセラーを加入させていないからです。
一方で法改正があったため、雇用保険だけは加入しているという実態も↓。
4 時間講師やスクールカウンセラーでも、雇用保険については、どの学校種の何校で働いているかにかかわらず、合算で週20時間以上を加入要件としているのはなぜですか。根拠法も含め、お示しください。
回答
都教育委員会は、雇用保険法第5条、第6条及び第7条に基づき、一週
間の所定労働時間が20時間以上であるなど、加入要件に該当する者につい
て届出等必要な手続を行っています。
なお、都教育委員会では、都立学校、区立学校、島しょ地域の町村立学
校については教育庁福利厚生部を、多摩地域の市町村立学校については多
摩教育事務所を適用事業所とし、公共職業安定所から適用を受けています。
ポイント:都教委は、都教委全体で一つの事業所、と数えるのではなく、都立学校、区立学校、島しょ地域の町村立学校を一つの事業所、多摩地域の市町村立学校を1とつの事業所とカウントするので、例えば、杉並区で10時間三鷹市で11時間働いた時間講師の場合、雇用保険にすら入れないということです!
その上この適用事業所の届け出は、雇用保険のみのもので、医療・年金保険は、1校で20時間以上働かなければ、加入できないように都教委がしています。
5 厚生年金保険については事業所単位で適用され、健康保険についても同様に取り扱われるとのことですが、厚生年金保険法第8条の2は、事業主が同じであれば2つ以上の事業所を1つの適用事業所とすることができるとしています。こうした考え方を踏まえ学校全部を1つの適用事業所とし、勤務時間を合算して社会保険に加入させるべきではありませんか。 時間講師やスクールカウンセラーは仕事の特性上、1校での勤務時間が短く、多くの方が複数の学校を掛け持ちして働き、学校と子どもたちの教育を支えています。これらの方々が安心して働けるよう、社会保険を最大限適用し、保障を充実していくことを重ねて求めます。
回答
厚生年金保険は、事業所単位で適用されます。いわゆる健康保険につい
ても、同様に取り扱われています。
都教育委員会では、厚生年金保険法に基づき、都立学校については各学
校を、島しょ地域を除いた区市町村立学校については各区市町村教育委員
会を、島しょ地域の町村立学校については各教育庁出張所を適用事業所と
して適正に設置し、年金事務所から適用を受けています。
結論:ハイ、このように事業所の登録を各学校バラバラにしているので、ほとんどの時間講師やスクールカウンセラーが国民健康保険、国民年金となっているのが実態です。「社会保険加入逃れ」と言われても都教委は仕方がない状況です。時間講師も、スクールカウンセラーも知事名で雇用されているのですから、知事務局と一緒に一つの事業所としてカウントして、どの学校で数時間ずつ働いても、全て合算して20時間を超えた場合、社会保険を加入させるようにすべきです。
時間講師やスクールカウンセラーは、今や学校現場に欠かせない人たちです。東京都にはお金があるのですから、これらの専門職のみなさんの処遇を改善していくべきです。
次に、残業代の支給について伺います。残業をしているにもかかわらず、残業代が支払われていない職種があります。
6 時間講師やスクールカウンセラー、職業能力開発センターの非常勤講師に残業代を支給しない理由はなんですか。
回答
時間講師については、「都立学校等に勤務する講師の報酬等に関する条
例」及び関係規則等において、1時間を単位として報酬を支払うこととし
ています。
東京都公立学校スクールカウンセラーについては、その勤務時間及び報
酬を、「東京都公立学校スクールカウンセラー取扱要項」及び「非常勤職
員の報酬等に関する条例施行規則」により、一日7時間45分、日額44,500-20-
円と定め、報酬を支給しています。
都立職業能力開発センターに勤務する東京都講師については、あらかじ
め指定された勤務時間を超えて勤務することを命ぜられた場合、超えて勤
務した全時間に対して、報酬を支給します。
ポイント:①時間講師は、教員の給特法と同じ考え方をするので残業代がでません。
②スクールカウンセラーは、残業代をだせる状況なのに実績がありません。
③都立所業能力開発センターの講師は、残業の申請があれば支給しているとの答弁です。
どの職も、都の会計年度任用職員なのに3者3様の答えです。一番違法性が高いのは、②スクールカウンセラーです。
7 これらの職の皆さんは、タイムカードによる出退勤管理がありますか。
回答
時間講師について、都立学校においては、都立学校庶務事務システムに
より、区市町村立学校においては、服務監督権者である各区市町村教育委
員会が定める方法により出退勤管理を行っています。
東京都公立学校スクールカウンセラーについては、勤務時間は、一日7
時間45分と定めており、その管理について、都立学校においては配置校の
校長が、区市町村立学校においては区市町村教育委員会が定める方法で校
長が行っています。
都立職業能力開発センターに勤務する東京都講師については、勤務の都
度、講師が勤務時間や内容を記入し提出する書類等により、勤務時間を確認しています。
ポイント:①時間講師は、残業代がもらえないけども、出勤や退勤の管理システムを使っています。ひどいのは、同じ学校にいるであろう②スクールカウンセラーにはこのシステムを使っていない、ということです!部活が終わった先生から状況を聞く場合もあり、学校長からの指示をうけ長時間労働をしているにも関わらず、残業代を出さないということは、通常の民間企業ではありえません。スクールカウンセラーのみなさん、自分の超過勤務の時間をメモして残業代を申請してみていただきたいです。
8 これらの職の皆さんにも残業代を支払うべきではありませんか。
回答
時間講師については、「都立学校等に勤務する講師の報酬等に関する条
例」及び関係規則等において、1時間を単位として報酬を支払うこととし
ています。
東京都公立学校スクールカウンセラーについては、その勤務時間及び報
酬を、「東京都公立学校スクールカウンセラー取扱要項」及び「非常勤職
員の報酬等に関する条例施行規則」により、一日7時間45分、日額44,500
円と定め、報酬を支給しています。
都立職業能力開発センターに勤務する東京都講師については、あらかじ
め指定された勤務時間を超えて勤務することを命ぜられた場合、超えて勤
務した全時間に対して、報酬を支給します。
会計年度任用職員の契約更新を4回までとしていることは、理不尽な差別です。継続的な雇用と抜本的な待遇改善が必要です。
9 今年度も更新回数の上限(4回)となる会計年度任用職員が多くいます。各部署で公募による選考が行われると思いますが、前の任期の評価を選考基準に入れて良いことや、社会保険の適用の拡大、マタニティ・ハラスメントの根絶などを、各局に徹底することを求めますが、見解を伺います。
回答
会計年度任用職員の選考については、地方公務員法の平等取扱いの原則
に基づき、各局等において適切に行っています。
社会保険については、関係法令に基づき、各局等において適切に対応し-22-
ています。
また、妊娠・出産・育業等に関するハラスメントの防止のため意識啓発
を目的とした研修や相談窓口の整備等を行っています。
コメント:知事部局では、4回延長されたのち、公募となった場合、前の任期の評価を選考基準に入れて採用していると聞いています。ですから、経験がある人が有利になりますが、専門性が高い経験が大事にされなければならないスクールガウンセラーの公募で、学校の評価を考慮せずに採用をして、大量の経験のあるスクールカウンセラーを雇い止めにしたことは、許されません。更新回数の上限をなくし、安定的に働けるようにすべきです。