市民センター改修基本方針、一旦保留し、市民参加で見直しを
3月26日の市議会本会議で狛江市の2021年度一般会計予算が賛成多数で可決成立しました。
日本共産党市議団と平井里美議員は、予算組替え提案を行い、市民生活への更なる支援と市民センター改修問題での市民参加・市民協働のとりくみを訴えましたが、賛成少数で否決されました。
日本共産党は岡村しん議員が、組替え提案に賛成し原案に反対する討論を行いました。討論のうち市民センター改修問題についての要旨を紹介します。
◇ ◇
市民センター改修等基本方針については、多くの市民から、これまでの市民参加・協働の積み重ねを壊すような、あまりに突然の方針決定であり、しかも中央図書館の移転先があまりに狭く市民の期待に応えられないものになっており、基本方針は一旦保留し、市民参加・協働で見直してほしいという要望が出されています。しかし予算には、こうした多くの市民の声に応えないまま、中央図書館を商工会館の所に移転する業務委託等の予算が組まれています。これについては市民の理解が得られていないことから、予算組替え提案では、これを削除し、基本方針そのものを市民参加・協働で検討する検討委員会の設置を提案しています。
長年の市民の願い、中央図書館・中央公民館の充実
中央図書館・中央公民館の充実は長年の市民の願いです。
新図書館建設については、矢野市政時代には、三中を旧四小跡地に移転し跡地に新図書館を建設する計画が策定されていました。しかし2012年7月就任した高橋市長は、三中移転の中止を表明し市民センターは耐震改修等の改修工事のみを行うとしました。
この経過のなかで中央図書館・中央公民館を充実させようと市民運動が広がり、2013年12月、約4千筆の署名を添えた「市民センター(中央図書館・中央公民館)の充実と増床を視野に入れた改築の検討を求める陳情」が全会一致で採択されました。しかしその直後に発表された新年度予算で市側は、約4億7千万円の改修工事のみの実施設計予算を計上し3月議会で可決されました。
市側がこれまでの対応を謝罪、市民参加でとりくむことを表明、市民の会が提案書まとめる
しかしこの改修工事のみの予算には、多くの市民から強い反対の声が出て、市は2014年8月の市民説明会で、これまでの対応を謝罪し、市民参加で検討していくことを表明し、耐震補強だけを行い改修工事設計を見送りました。
翌2015年2月には、「市民センターを考える市民の会」と市が協定書を結び、2016年3月にかけて市と市民の協働で、中央図書館・中央公民館のあり方について検討が行われました。多くの市民が参加して学習会や分科会の開催、先進地の視察、市民センター利用者アンケートの実施など、ざまなとりくみを行い、5年前の2016年3月に「市民センター(中央図書館・中央公民館)の増改築に関する市民提案書」がまとめられ4月、市に提出されました。この市民提案書では、ゆったりとしたスペースの中で読書を楽しむことができる「滞在型図書館」、また多くの市民団体が活動しやすく子ども達やお年寄り、障がい者、青少年も集える充実した中央公民館をめざすなど市民の多彩な願いがもりこまれました。
市が市民アンケート実施、約7割の方が市民センターの増改築求める
その後、市において、この市民提案書を具体化するための「市民センター増改築等委託調査」が行われました。そして、この調査結果等をもとに「市民センター(中央図書館・中央公民館)に関する市民アンケート」(全市民対象のアンケート)が行われ、昨年5月にその結果がまとめられました。
アンケートでは、多くの市民が中央図書館・中央公民館の充実を願い、約7割の方々が何らかの形での市民センターの増改築を求めています。自由記述欄では、「長い目で見て最良の案にしてほしい」「図書館をもっと広く明るく、中で読める場所を多く、蔵書数を大幅に増やしてほしい」「学生や社会人が勉強できるスペースもつくってほしい」などの声が非常に多く出されています。
この7年余り、多くの市民が参加して中央図書館・中央公民館の充実への取り組みが行われてきました。特に2014年8月の市民説明会で、市側がこれまでの対応を謝罪してこの問題を市民参加で進めていくことを表明して以来、「市民センターを考える市民の会」との協定書を結んでのとりくみなど、昨年、市民アンケートが実施されるまでの間、市民参加と市民協働で進められたきたことは評価できるものです。
市が突然「市民センター改修方針を決定した」と発表、市民びっくり
ところが、昨年9月の市民説明会で発表された「市民センター改修等基本方針」では、中央図書館を商工会館の所に移転するという方針が示され、しかもこれがもう「案」ではなく決定という形で示されました。
これには、多くの市民が驚き、「商工会館のところでは図書館の床面積がほとんど広がらない」「市民の会の提案や市民アンケートの結果が反映されていない」「この間、市と市民の協働で取り組んで来たのに、いきなり決定というのはおかしい」など、基本方針は決定ではなく、「案」に戻してほしい、再度、市民と一緒に考えてほしいという声が強く出されました。私たちも参加していて、ほんとうにそう思いました。
「市民センターを考える市民の会」からは、「この『方針』は、これまでの市民協働の積み重ね、『市民提案書』、今回のアンケート結果を反映したものとはいえない、再考してほしい」という要望が出されました。多くの個人や団体からも、市長宛に市民参加で見直すよう求める要望書が出されました。
「床面積を少なくとも2倍近くに」市図書館協議会から意見書
その後、昨年12月には、狛江市図書館協議会からも意見書が出されました。
意見書では、市民アンケートの中で、「中央図書館をさらに充実させてほしい」という声が69%になっており、特に30代は80%を超えていることを強調しています。そして充実の中身として、「ゆったりと読書や調べ物ができるスペースを広く設置してほしい」「明るく心地のよい図書館にしてほしい」「学習室の設置」など10代から高齢者まで広範な市民の願いがぎっしり記されていることを指摘しています。
そして図書館協議会として、車いす利用者はじめ障がい者、高齢者などへの合理的配慮について視野に入れた計画となるよう求めています。
また市の改修基本方針については、市民センターの図書館機能を縮小しとあるけれど、利便性が低下することなく、より市民に密着したサービスを実現するために、現在の中央図書館専有の床面積を狭めず、できる限り残し、図書館機能を果たす専有床面積が少なくとも現在の2倍近くになるようにすることなど要望しています。
「拙速かつ権威的な動きを感じる」公民館運営審議会から意見書
公民館運営審議会からも昨年12月意見書が出されました。
この意見書では「市民協働を謳う狛江市がここにきて拙速かつ権威的な動きをしていると感じられます」「現状では市民提案書をはじめとした、これまでの市民からの意見をどのように反映しているのか分からないまま、施設の形が決められてしまったという思いを市民が抱くことが想像されます」と述べるなど、この間の市側のやり方に懸念を示し、「今後とも市民協働を進めて、予算の制約下でも衆知を集めてより良い施設ができるように計らいください」と要望しています。
しかし市側は、こうした多くの市民や法に位置づけられた団体の声に耳を傾けようとせず、12月議会に基本方針を具体化する予算を提出、賛成多数で可決されました。
「ちょっと待って!図書館移転」署名数が2800筆余に
今、多くの市民が、市民センター改修基本方針を一旦保留して使いやすい市民センターの増改築を市民参加・協働で再検討して下さいという市長宛の署名活動を行っています。3月22日市に2500筆の署名を提出、その後も署名は増えつづけ4月12日現在署名数は2800筆を超えました。
「市民が主役となるまち」めざす狛江市第4次基本構想の立場にたって
市側はこれまで、市民の会の提案書について「最大限尊重していく」(前高橋市長、2016年5月第2回定例会)、「しっかりと受け止めていく」「双方が納得できるように整理していく」(松原市長、2018年9月6日、第3回定例会)と述べてきました。また松原市長は就任後初の所信表明で「行政運営の基本は市民参加と協働です」と述べています。そして市議会が全会一致で可決した狛江市第4次基本構想では、まちづくりの主体は市民であり、市民参加と市民協働によるまちづくりを一層すすめ、「市民が主役となるまち」を目指すと述べています。
市は、いまこそこの立場に立って、市民センター改修等基本方針を、一旦保留し、市民参加・市民協働で見直すべきです。