こどもの権利について

活動報告

私は都議会第1回定例会の予算特別委員会で質問にたちました(3月13日)。テーマは、▽生活困窮者への支援▽PFAS対策▽子どもの権利―の3つです。質疑の内容を順次紹介しています。3回目、最終回は、子どもの権利についてです。こども基本条例の趣旨に基づいて朝鮮学校への補助金を復活するよう求めました。

 

【私からのコメント】

東京都こども基本条例には、こどもの最善の利益を最優先とすること、こどものあらゆる差別の禁止、学ぶ権利の尊重などが掲げられ、それらに例外はありません。当然、国籍で差別するということは許されません。しかし、都は一旦支給していた朝鮮学校への補助金を停止した後、朝鮮学校だけ補助金支給を除外し続けている状態は、あきらかに条例に反しています。

こども基本条例は全議員提案・採択で成立した条例であり、この問題については、共産党だけでなく他の会派も批判し補助金復活を求める質問をしています。

国籍も含めて全ての子どもが条例の対象である事は条例上明らかでありながら、ひとたび朝鮮学校の補助金問題になると、都は「国籍は問わない」とは頑なに答えません。ここが今回の質疑の一番主要となる部分です。条例と照らし合わせれば、都のやっていることは説明がつかないのです。

質問が終了した後のやり取りについては、私の質疑時間が残されていない中で子供政策連携室長が発言を強行したことはあり得ないことです。しかもその発言の中身は、聞いてもいないことを、しかも所管外のことを答弁する、さらにその発言自体が子どもたちを傷つけ苦しめる差別的な発言であるため、都の態度は許されません。

条例にもとづき、人権をまもる都政に変えていくことが必要です。

 

学校授業料の負担軽減 子どもにどんな利益をもたらすか

所得制限を撤廃する目的はなにか

 

 福手ゆう子 子どもの権利についてうかがいます。

 新年度予算案では、都立と私立の高校授業料の実質無償化の所得制限をなくし、私立中学に通う世帯への10万円補助実施の予算もついています。教育を受ける権利の保障や平等を求める都民の世論と運動が都政を動かしています。

 そこでうかがいますが、知事は、学校授業料の負担軽減が子どもたちにどのような利益をもたらすと考えますか。また、所得制限を撤廃することの目的をうかがいます。

 

 浜教育長 教育は、子どもの健全な育ちを支える重要な基盤であり、学校授業料の負担軽減は、保護者の所得にかかわらず子どもたちが将来にわたって安心して学ぶことができる環境を早期に実現するために、国に先行して行うものでございます。

 

東京都こども基本条例

子どもの最善の利益を最優先にする根拠をどう認識しているか

 

 福手ゆう子 東京都こども基本条例は、子どもの学ぶ権利の尊重を明記しています。その実践として、授業料負担軽減や所得制限撤廃で全員を対象にすることは非常に重要です。

 東京都こども基本条例について質問します。

 東京都こども基本条例は、子どもの最善の利益を最優先にすることが子どもにとって最も大切だとしていますが、その根拠をどう認識していますか。

 

 田中子供政策連携室長 東京都こども基本条例の前文におきましては、子どもの権利条約では、子どもに対するあらゆる差別の禁止、子どもの最善の利益の確保、生命、生存、発達への権利及び子供の意見の尊重を一般原則としていると規定されているものと認識しております。

 

子どもの最善の利益を保証するために

子どもの意見表明権が大事だと思うが

 

 福手ゆう子 子どもの最善の利益を保障するためには、子どもの意見表明権が大事だと思いますが、見解をうかがいます。

 

 田中子供政策連携室長 東京都こども基本条例第10条におきましては、都は、子どもを権利の主体として尊重し、子どもが社会の一員として意見を表明することができ、かつ、その意見が施策に適切に反映されるよう環境の整備を図るものとすると規定されているものと認識しております。

 

こども基本条例第8条

学ぶ権利の尊重の対象となる子どもとは?

 

 福手ゆう子 こども基本条例第8条にある、学ぶ権利の尊重の対象となる子どもは、どういう子どもだと認識していますか。

 

 田中子供政策連携室長 東京都こども基本条例に規定されている子どもとは、全ての子供であると認識しております。

 

国籍は問わないということでいいですね

「条例の理念と施策の性質を踏まえ判断されるべきもの」

 

 福手ゆう子 確認しますが、子どもに国籍は問わないということでいいですね。

 

 田中子供政策連携室長 施策の実施に当たりましては、東京都こども基本条例の理念と施策の性質を踏まえ判断されるべきものと考えてございます。

 

以前、都は「国籍は問わない」と答弁している

もう一度うかがう

 

 福手ゆう子 以前ですね、私、委員会で、国籍を問わないかという質問をして、今回も念のためと思って質問しました。そのときは、子どもに国籍は問わないと答弁されたんです。なぜ、今そのことを答弁されないのでしょうか。

 当然、国籍は問わないんです。全ての子どもを誰一人取り残さずと条例には書いてあります。国籍を問わないと、前、ちゃんと答弁しましたが、もう一度うかがいます。

 

 田中子供政策連携室長 東京都こども基本条例に規定されている子どもとは、全ての子供であると認識してございます。

 なお、施策の実施に当たりましては、東京都こども基本条例の理念と政策の、施策の性質を踏まえ判断されるべきものと考えてございます。

 

朝鮮学校だけ私立外国人学校教育運営費補助を停止している

条例に照らせば、許されない

 

 福手ゆう子 では、以前、国籍は問わないといったのは何だったんですか。なぜここでそれをちゃんと、国籍は問わないといえないんでしょうか。こども基本条例は、子どもの最善の利益の確保、子供の意見の尊重を一般原則としていること、学ぶ権利の尊重を含め、子どもの基本条例は全ての子供が対象になっている、当然です。

 しかし、実際にはそうではないと。全ての子どもが対象といいますが、東京都は都内に10校ある朝鮮学校だけに、私立外国人学校教育運営費補助、これを停止して14年経っています。条例に照らし合わせば、朝鮮学校の子どもたちだけ排除するなどとは許されない。

 

朝鮮学校への補助金停止

いちばん悲しんでいるのは子どもたち

 

 福手ゆう子 補助金停止により学校経営が非常に厳しくなり、保護者負担も重くなる。それによって、家庭の経済状況により、朝鮮学校に行きたくても行けない子どもがいる、こうした状況にいちばん悲しんでいるのは、朝鮮学校に通う子どもたちです。猛暑の中、エアコンが故障し買い替える費用が用意できず寄附を募る、こういう状況で不利益を被っているのは子どもたちなんです。

 

石原都政のときに、排除を行った

政治的な大人の判断が子どもの利益と権利を侵害している

 

 福手ゆう子 このきっかけは、石原都政のときに、拉致問題を理由にして排除を行ったからです。子どもには関係のない政治的な大人の判断が、子どもの利益、そして権利を侵害しているんです。

 

「ぼくたちをなかまはずれにしないで」と署名1万8127筆を都に提出

多くの都民が都の対応に注目している

 

 福手ゆう子 こども基本条例が成立し、この状態をこのままにできないと、都民の方々が都に働きかけを続けてきました。「ぼくたちをなかまはずれにしないで」と集まった署名は、1万8127筆、2月に生活文化スポーツ局に提出した後も、どんどんと集まっています。4カ月余りで、本当にこういう短い期間でこれだけの署名が集まったことは、多くの都民が朝鮮学校の子どもたちを差別してはいけないと思い、東京都の対応、注目している証拠です。

 

全ての子ども誰一人取り残さず実施する

条例に基づく東京都の責任です

 

 福手ゆう子 教育長は、先ほど、学校授業料の負担軽減は、子どもが将来にわたり安心して学べる環境をつくることにつながる、健全な育ちを支えるといいました。朝鮮学校も同じではありませんか。その権利を全ての子ども誰一人取り残さず実施することが、東京都が条例に基づく責任です。

 

昨年3月、子どもたち自身が都に声を届けた

知事にもちゃんと読んでいただきたい

 

 また、昨年3月には、朝鮮学校に通う子どもたちが、自分たちの声を直接届けたいと、子供政策連携室と総務局人権部、そして生活文化スポーツ局に手渡しました。こども基本条例ができた下で、初めて子供の声を直接手渡すこととなり、都としても直接受け取った大事な機会になりました。私は、その後、手渡した後に、質問で、その声は子供政策連携室でちゃんと読んでいただいているかということを聞いて、ちゃんと読んでいるということも確認しています。これ、知事もぜひ読んでいただきたいと思うんですね。

 

どもたちが日常的に差別や偏見の中で生活をしている

こども基本条例 とてもうれしい心持ちに

 

 福手ゆう子 手渡した子どもの声の中には、子どもたちが、自分たちは条例の対象外だ、私たちが接する日本人の中には、私たちに対して嫌な感情を持っている人が多い、ネット上では私たちを差別する人が多い、そういう声が載っています。子どもたちは、日常的に差別や偏見の中で生活をしているんです。

 一方で、こども基本条例ができたことについて、朝鮮学校の子どもたちは、自分が住む東京ですばらしい条例ができたと、私たちが未来への希望を持って健やかに学び育っていくための条例ができて、とてもうれしく心強い気持ちになったという声もありました。これを読んでいるのに、先ほどのような答弁をするとはとんでもないと改めていいたいと思います。

 

子どもたちの声を都政に反映させるべきです

朝鮮学校への補助金支給再開を強く求める

 

 福手ゆう子 東京都は、この子どもたちの声を都政に反映させるべきです。同時に、全議員提案により全会一致で条例を制定した私たち都議会も責任があります。朝鮮学校に通う子どもたちに補助金支給再開、強く求めて、質問を終わります。

 

子供政策連携室長が不規則発言

「質問していませんから止めて」と私

 

 〔田中子供政策連携室長発言を求む〕

 〔発言する者多し〕

 〔福手委員「質問していません」と呼ぶ〕

 内山委員長 端的に、端的に。静粛にお願いします。端的にお願いします。

 

 田中子供政策連携室長 施策の実施に当たっては、東京都こども基本条例の理念としての性質を踏まえ判断されるべきものと考えております。

 

 〔福手委員「質問していませんから止めて……」と呼び、その他発言する者多し〕

 

 内山委員長 ご静粛にお願いします。

 

 田中子供政策連携室長 なお、朝鮮学校の運営等の実態を確認するため、過去に実施した調査結果やその後の状況などを総合的に勘案して、朝鮮学校に外国人学校教育運営費補助金を交付することは都民の理解が得られないと判断しております。

 

 内山委員長 福手ゆう子委員の発言は終わりました。

 以上で本日予定しておりました質疑は全て終了いたしました。

 

 

 

2023年3月22日、朝鮮学校に通うこどもから東京都に直接手渡しした声の中のひとつ

初級部1年生が書いた「ぼくたちをなかまはずれにしないで」