墨田保健所長 西塚さんと懇談

活動報告

先週の13日(金)、日本共産党の山添拓参院議員、谷川智行、坂井和歌子、同衆院比例候補、大山とも子都議会議員と一緒に、西塚・墨田保健所長から墨田区のコロナ感染症対策についてお話をきかせていただきました。

西塚保健所長から、①墨田区におけるCOVID−19発生動向 ②インフルエンザ流行に備えた体制整備について ③墨田区自前の検査施設 ④民間の検査機関を誘致 以上4点についてお話を聞きました。

保健所内の体制強化と組織改変、医師会や医療機関との連携、PCR検査対象の拡大など、現場で奮闘されていることをリアルに伺うことができました。

わたしたち日本共産党墨田地区委員会、そして日本共産党墨田区議会議員団は、コロナ感染症が拡大していく2月の定例議会から一貫して、山本区長にPCR検査の強化、保健所機能の拡充、住民に対して徹底した情報公開を求めて、区議会のなかでもくりかえしコロナ感染症の対策について質問してきました。(以下一部掲載・詳細は区議会議事録を検索のほど)

●令和2年2月17日 定例会議 高柳東彦議員の質問

第1に、情報提供と相談体制の充実です。
 感染症対策で重要なことは、不確かな情報に踊らされず、過剰に反応しない、そして対策や注意は怠らない、パニックにならず冷静な行動をとることだと言われています。その点で、まず基礎的自治体である区としては、区民が知りたい情報を正確かつ迅速に、そして確実に伝えるようにすること、区民が気楽に相談できる体制を確立することが重要です。
 第2に、保健センターなど感染症対策部署の体制強化を緊急に行うこと。その際に、感染症対策を直接担う職員、特に感染者等との接触があり得る職員の感染防止について万全の対策を講じるとともに、心身のケアに努めること。
 第3に、新型コロナウイルスの感染者及び疑いのある人が、区内の一般の医療機関を受診した際に適切な対応をとることができるよう、状況の変化に応じて迅速な情報提供等を行うこと。
 第4に、国や都と協力して、新型コロナウイルス感染症を拡散させず、根絶に向けた対策、水際作戦や医療と検査の体制を強化すること。
 第5に、調査や予防的な措置については、感染者が差別されず、人権が守られるように対応すること。
 第6に、区内中小企業者への影響を調査し、対策を講じることです。
 区としては、新型インフルエンザ等対策行動計画を策定していますが、この計画も参考にして、できることは何でもやるという構えで対策に当たることを強く求めます。区長の見解をお伺いします。

議会での論戦、そして住民運動と呼応する形で、保健所の体制、地域医療体制の強化がすすみました。

3月時点、PCR検査やコロナ陽性者を受け入れる病院は3病院。1日の検査は25件〜50件。保健所の体制も、医師1人、保健師3人、事務局6人の10人体制でしたが、今後の感染拡大にそなえ組織改変をすすめ、10月現在、医師3人、保健師37人、事務局19人、統括保健師1人の60人体制へと、3月の時点から6倍化しました。電話相談の体制も、区は8回線、民間に委託した2回線の計10回線の体制をとり、受応率はほぼ100%にまでなっています。医療体制も、8病院、医師会立のPCRセンター、発熱外来(地域の医療機関)47施設の合計56施設がコロナ対策にあたっています。

東京医師会の尾崎会長は、人口1万に1ヶ所、PCR検査ができる体制を構築することを提案してきましたが、墨田区では人口比で4800人に1ヶ所の割合まで拡充することができ、現在1日350件までPCR検査をできるようになりました。また、民間の検査機関を誘致したことで、クラスターなど突発的な発症が起きた際には、最大で1000件まで対応できるそうです。(検体採取、翌日には診断確定)

入院の強化という点では、入院重点医療機機関、入院協力医療機関、「新型コロナ疑い地域医療救急医療センター」を設置し、コロナ感染症の陽性者の治療をすすめています。

西塚保健所長は懇談で、厚生労働省の指針にそって重症者だと判断した人を検査する自治体もあると前置きしたうえで、墨田区は「医師が検査が必要だと判断するものは100%検査し、治療する」方針を徹底したこと。「『ニーズにあわせて供給をつくる』方針のもと、一日最大1000件をめざし、体制をととのえてきた」「ないものはつくればいい」区が住民の命を守るために医療をつくっていくという姿勢は大変大切だと感じました。

しかし、ここまで体制を整えていますが、コロナ危機は社会的に弱い立場、困窮世帯に影響がおよんでいます。この間区内で起きた発症、クラスターのなかには「発熱の症状、咳がでても我慢して家族感染をひろげたケースもある」といいます。なぜそのようなことになったのか、「無保険だったために医療費が100%自己負担になる」「診察を受けるにもお金がかかってしまうのでは」という不安から、診察を躊躇したところで感染拡大につながる事例を聞きました。国の責任で、無料でPCR検査を実施することが必要であることを改めて実感しました。

西塚保健所長の話を聞き、現場での懸命なとりくみによって住民の命が守られていることを知りました。一方で、面的に検査をすすめる体制はまだ十分とはいえません。感染症が拡大していくいまこそ、国が責任をもち無料でPCR検査をうけられる体制をつくることが急務です。また、感染震源地(エピセンター)を特定し、集中して検査を徹底すること、感染追跡を専門にするトレーサーの人員を増やすなど、感染対策を強めていくことを求めていきます。

感染拡大の「第3波」到来を直視し、「検査・保護・追跡」の抜本的強化を(志位委員長の提言)

また、感染症から区民の命を守る拠点である保健センターについて、墨田区は現在2ヶ所(本所、向島)にある保健センターを墨田区保健所=庁内3つの課と、本所・向島保健センターと、教育、子育てを横川の機動隊跡地に集約した「新保健総合センター」として統合しようとしています。本所にある保健センターは老朽化が深刻なため横川に集約されることは理解できます。しかし、「向島保健センター」は、いまもコロナ感染症から住民の命を守るだけでなく、保健指導などすすめています。地域になくてはならない保健施設です。「新保健総合センター」が新設されても、日本共産党としては「向島保健センター」の機能を残すことを求めていきます。