事に臨んで賎丈夫になるなかれ

新しい年になりました。今年は必ず総選挙のある年、6月には都議会議員選挙もあります。都政と国政を、国民の願いが叶う政治に転換するため決意を新たにしています。

昨年はコロナ危機のなか、衆院東京14区国政対策責任者として、荒川、墨田、台東区を奔走しました。責任者となったのは菅政権が誕生した9月でしたが、安倍政治以上の無為無策なコロナ対策のもと、10月以降、毎月、東京医師会の尾崎会長は「東京で1日の感染者数が1000人、重症者数が100人を超えたら医療崩壊になる」と、介護、福祉、保育、教育現場など無症状者を含めた面的な検査の徹底をすべきと警鐘を鳴らし、12月の初旬には9つの医師会も「医療現場は緊急事態宣言」と菅政権に感染対策の強化を求めましたが、ほとんど対策を打たぬまま、12月中旬になり、やっとGOTO事業の中止を宣言すると、実施は12月28日以降という姿勢に「なぜ?」という声が訪問先で寄せられました。

 医療崩壊は起きている

大晦日に東京の感染者数が1000人、重症者数も100人を超え、「日常的な医療提供ができなくなる」としてきた「壁」を超えました。

年始、荒川区や台東区を訪問するなかで「医療崩壊」を実感しています。

墨田区は全国的に保健所の対応に注目が集まっています。日本共産党墨田区議団は昨年2月の議会以来、毎回の議会でコロナ感染症対策を求め、山本区長にも適時要請を行ってきました。議会論戦のなか、各党の姿勢もコロナ対策強化に一致し、保健所の感染症チームも、当初10人だったところが、1月現在80人と8倍化し、コロナ入院病床も115病床から161病床に拡充することが決まりました。(詳細は区ホームページへ)高齢者施設では無症状者を含めた社会的検査も実施しています。

それでは台東区や荒川区はどうなっているか。コロナ入院病床について、台東区はゼロ、荒川区は12床用意してますが、そのうちの2床は文京区にある都立・駒込病院です。台東区も荒川区も、感染した場合、入院先の多くが都立・駒込病院という状況でした。都立・駒込病院の総ベット数は800病床ですが、うちコロナ病床は200床を用意していますが足りません。他の病院も逼迫し、なかなか受け入れることができない状況になっています。

「入院・療養等調整中」が

6737人(東京都)

東京都の「新型コロナウィルス感染症」対策サイト で確認できますが、「入院・療養等調整中」の方が6737人(1月9日時点)になっています。

この事態を受けて都立・広尾病院は「コロナ専門病院」として体制を切り替えます。しかしそうなれば、これまで広尾病院が担ってきた行政医療や東京ER、島しょ医療という基幹的役割について、他の病院に負担してもらうことになりますが、全て対応できるのか…という不安が残ります。それほどまでに医療現場が逼迫しているからです。

自宅療養の方が6000人を超えるなか、墨田区は自宅療養者の方にパルスオキシメーターを貸し出しすることを決断しました。これは昨年5月に党区議団が山本区長に要請したことです。墨田区をはじめ中野区でも貸し出しが始まっています。自宅でも血中濃度を測りチェックすることになっていますが、現場は深刻です。台東区や荒川区などでも、自宅療養している高齢夫婦の方が、血中酸素濃度が80%台になったため救急車を呼んだが受け入れ先がないと断られ、呼吸困難な状態で一夜を過ごすという状況になっている話を聞きました。

菅政権が誕生した9月以来、コロナ対策を自助=自己責任に任せていたら医療崩壊に繋がることを、医療現場をはじめ、私たち日本共産党はくりかえし議会でも、街頭でも訴えてきましたが、菅政権の無為無策により事態は深刻の一途となっています。まさに菅政権の人災です。

コロナ支援策に線を引いたことに不平等感

「もらってしまい申し訳ない」

国民のなかに分断と対立がうまれる

「緊急事態宣言」後、街を歩き「困りごとはありませんか?」と声を聞いていますが、居酒屋さんなど多くの飲食店に「2月7日まで休業します」の張り紙が。

張り紙のしてある居酒屋さんに話を聞くと「今日から来月まで休業する予定なんですよ」と言います。

「協力金の対象になっているので180万円を受けとれます。けれど気持ちは落ち着かない」「私は自宅兼お店でやっているからなんとかなっているけど、今回対象が狭められてしまったでしょう。商店街で営業されているみなさんや、お仕事されている皆さんに申し訳なくて…友人にも連絡していないんですよ」

「私たちは協力金をもらえても、休業すれば取引先の酒屋さんとは今月取引ゼロじゃないですか。酒屋さんは給付金の対象になっていないし本当に申し訳なくて」と言います。

私は「皆さんがそう思い悩んでしまう気持ちは理解できます。でもあなたが悪いわけじゃない」と伝えながら「実際問題、協力金や持続化給付金をもらえても昨年の収入は減った訳でしょう」と聞くと「それはもう、そうなんですよ。売り上げは去年の5割、6割は落ち込みました」と苦しい実情を聞かせてもらいました。協力金をもらったとしても経営状態は安心ではありません。

取引先の酒屋さんに伺うと「まるで仕事がないよ」「消費税10%はそのままだし、もうどうにかしてほしいくらい」――対象外になったお店は店を開けないと暮らせない。感染対策したくても追いつかない状況にあります。

 菅政権が給付対象に線を引いたことで、国民のなかに分断や不公平感、対立が生まれてしまう「芽」を残してしまった。そもそも、今日明日の生活がどうなるかわからない、助けを求める多くの国民に対して自助努力だけでやりくりしろ、というのはあまりにも無責任です。
 政治の仕事として、飲食店だけでなく、納入業者、生産者も含めて、直接・間接に影響を被る全ての事業者を対象にした補償を行うことが必要です。また、中小業者の「命綱」である持続化給付金、家賃支援給付金は打ち切りではなく第二弾の給付を行うこと。仕事を失った生活困窮者に対しても給付金を求めていきます。

(左から4番目、赤い靴が私です)

事に臨んで

賎丈夫になるなかれ

 江戸時代、コレラや天然痘予防に貢献した蘭学医・緒方洪庵は「ことに望んでは賎丈夫(せんじょうふ)になるなかれ」と説きました。

当時は蘭学、西洋医学に対する偏見もあり、さらにコレラ、天然痘に対する知識、リテラシーも庶民にはなかったために誹謗や中傷がされた。そんななかで「心無い罵倒などに負けて医学の本質を忘れるな」と言いたかったのではないでしょうか。

私はコロナ感染症の大規模感染を目の当たりにするなかで、この言葉を自分自身の活動の姿勢として刻みたい。

コロナ禍のもと「今日明日どう生きていこうか」と思い悩み苦しんでいる人たちが見捨てられようとしています。

医療や保健所などコロナの最前線では、医療従事者の皆さんが休みなく、家族と一緒に食事をすることも避けながら懸命にたたかっている。

本来政治が果たすべき公助の仕事をしない菅政権に対して、いまこそ日本共産党が医療現場の実態を改善すること、地域の暮らし、生活、生業を守り、子どもたちの未来をつくるために奔走するときです。

日本共産党の立党の精神は「国民の苦難軽減」です。私は国民、都民の命を守る活動をひろげていきます。そして、コロナ危機を乗り越えた社会にむけて、「今」の解決だけでなく「これから」の社会、未来を語り、みなさんと一緒に菅政権い変わる新しい政治、民主連合政権の実現のために力を尽くす決意です。