やくし辰哉(日本共産党 練馬区議会議員)

ノルウェーの楽しい選挙

2019.06.15

選挙の投票率の低下が問題になっています。総選挙の投票率は「平成」になったばかりのころは、70%前後ありましたが、直近の2017年では53.68%にまで低下しています。4月の練馬区議選の投票率は42.73%。約半数の有権者が投票していない状況です。

こうした背景には、小選挙区制のもと、大量の「死に票」が生まれ、せっかく投票しても民意と議席が乖離してしまう。「べからず法」とも言われる「公職選挙法」のために自由な選挙活動が妨げられている等さまざまな問題があります。

そうしたなかで、昨日は「ノルウェーの楽しい選挙」と題した女性政策研究家の三井マリ子氏の講演会に参加しました。ノルウェーは2018年度「世界民主主義ランキング」1位、「世界男女平等ランキング」ではアイスランドに次ぐ2位の国で、どちらのランキングも上位を北欧の国が占めていて、それらの国は比例代表制で選挙を行っているとのことです。そして、ノルウェーでは、比例代表制だからこそ、年齢、性別、セクシャリティ、職業もバラバラで移民の子や重度障がい者も議員になれる環境で民意を反映した議会ができているそうです。

ノルウェーの選挙の投票日は法律で4年ごと9月第1か第2月曜と決められていて、期日前投票は2か月余りの期間がとられ、投票所も公共施設だけでなく繁華街や公園にも設置され、居住地以外でも投票できるそうです。選挙運動はほぼ自由にできるようになっていて、投票率は80.%近くを維持していると日本との違いに驚かされました。

また、学校教育での扱い方もまったく違っていて、特に印象的だったのが「スクール・エレクション」です。ノルウェーでは国政選挙のたびに生徒会が企画し、政党を招いて討論会を開催するなどし、支持政党を決めて学校で投票する取り組みが行われ、ほぼすべての中学校・高校で行われているそうです。おもしろいのは、その投票結果は全校集計され、メディアで大々的に報道され、実際の投票行動にも影響を与えている事です。政治をタブー視する日本の主権者教育と選挙を民主主義の生きた教科書と考えるノルウェーの違いが表れていると思います。

講演会の最後に主催した国民救援会東京都本部から「公職選挙法」改定の運動を行なおうとの提起がありました。民意を反映できない選挙の仕組みのもとで、投票率が下がっていくことは民主主義の危機にほかなりません。公選法を改定して、ノルウェーのような楽しい選挙を日本でも実現したいものです。

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