コロナ感染拡大の下での 生活保護制度の課題
昨年4月の緊急事態宣言発令後、コロナ感染拡大の影響で収入減少や失業で生活に困窮する人が増えました。特にネットカフェで寝泊りしていた人たち(都の調査で約4000人)が行き場を失くし、路上に押し出されました。
昨年3月に「新型コロナ災害緊急アクション」を立ち上げ、困窮した方の支援を行う田川英信さんは、相談の特徴として「役所に相談せず、ギリギリまで自己責任で頑張り、所持金がほとんど無くなるまでSOSをださない」「生活保護だけは受けたくない」というケースが多いと話していました。
生活保護制度を嫌がる原因
生活が苦しくても保護制度を利用しない理由に「家族に知られたくない」という方が3人に1人いることが、支援団体「東京つくろいファンド」の調査結果からわかりました。保護を申請すると、役所が親や兄妹に「扶養できますか」と連絡(扶養照会)をするからです。一方で、足立区では保護申請したうち、実際に扶養することになったのは、わずか1%以下で実態とも合っていません。
コロナ禍で厚労省は「扶養照会が生活保護の要件であるかのような説明は不適切」「申請権が侵害されないことはもとより、侵害している行為は慎むべき」と自治体に事務連絡を出しています。しかし、実際に自治体の対応が変わらなければ、困窮している人たちは救済されません。実際の運用を変えていく必要があります。保護申請の障害になっている扶養照会は止めるよう、1月28日の参院予算委員会で、日本共産党の小池晃議員が求めたのに対し、田村厚労大臣は「扶養照会は義務ではない」と答えました。
私は一昨年、生活保護の引き下げや水際作戦などの人権侵害をなくす運動をすすめる「文京・生活と健康を守る会」の立ち上げに参加し、相談や制度の学習を進めてきました。生活の困り事をぜひご相談ください。ご一緒に乗り越えていきましょう。
困っている人にやさしい政治へ転換
自民党は2012年総選挙で「生活保護の引き下げ」を公約に掲げ、この10年で保護費を何度も切り下げています。また、自民党国会議員による生保バッシングも酷かったです。自己責任をおしつける政治から、困っている人にやさしい政治へ、今度こそ変えていきましょう。
(写真:動坂下にて。「困っていることはありませんか?」と相談活動もしています)