予算特別委員会の「発言取消動議」について

本日の都議会予算特別委員会で、私と立憲民主党の関口議員に対し「発言取消」を求める動議が、都ファ・公明・自民の委員より出され、採択されました。これを受け、日本共産党都議団、都議会立憲民主党、そして動議に反対したミライ会議の3会派で記者会見を行いました。

 

東京都議会会議規則第58条は、議員は「自由に質疑し、意見を述べることができる」と規定されています。

しかし、この動議は、質問の内容に立ち入って、一方的に内容を「虚偽」と決めつけ、発言を削除することを求めているもので、議員の発言権・質問権の侵害そのものだと言えます。

議会の多数派が、自分たちと意見が違う発言を削除することを許してしまったら、議会制民主主義は成り立たなくなります。この立場で記者会見を行いました。

委員会では、動議が出された後に行った、原のり子都議が反対の意見を述べましたので、そちらもぜひ、お読みください。https://www.jcptogidan.gr.jp/report/7875/

 

これまで都議会において、議員の発言の削除を求める内容の動議が出されたことはありません。

また、私の発言の削除を求める理由として、朝鮮学校に対する補助金停止問題とこども基本条例についての質問で「虚偽の発言をした」ことを挙げていまして、以下3つの点を述べています。

1つは、質疑において、子ども基本条例第8条(子どもの学び)の対象となる子どもは「全ての子ども」と答えた子供政策連携室長に対し、「国籍を問うのか」と確認する質問をしました。室長は「国籍を問わない」と答えなかったことに対し、以前の総務委員会での質疑で「国籍を問わない」と答えていることを取り上げ、「なぜ答えられないのか」と聞いたことについて、総務委員会での質問者は私だと言っているのは虚偽だという事でした。

2つめは、その総務委員会で「国籍を問わない」と答弁したのは子供政策連携室長でなく人権部長だったので、子供政策連携室長が答えたというのは虚偽だという事でした。

3つめは、その時の議論の対象となった条例は、こども基本条例でなく、東京都人権尊重条例だったので、こども基本条例で「国籍は問わない」と言ったことは虚偽だという事です。

 

私は、今回の質問を作成するにあたって、当時の総務委員会で一緒だった原のり子議員と、朝鮮学校の子どもたちの人権や差別の問題について取り組んできて、今回の質疑でも相談して作成してきました。

この間の経過として、総務委員会で原議員の質問に対し、人権部長が朝鮮学校の子どもたちに対する差別をなくす取り組みについて「こども基本条例の主旨を踏まえて取り組む」と答え、そして、その子どもについては「国籍を問わない」とも答えました。こうした過去のやり取りを踏まえて、今回の質疑は、こども基本条例を担当する子供政策連携室長に国籍のことを確認したのです。

しかし、こうした質問者の質問の意図、内容に立ち入って、言葉尻をとらえ「虚偽発言」だと決めつけ、削除をもとめる動議が出し、しかもそれが都議会で通ってしまうのは本当にありえない異常な事態です。

 

予特の質疑で私に与えられた時間は42分で、その中で私は、困窮者支援、PFAS問題、子どもの学ぶ権利の3テーマを質問しました。与えられた時間で、住民の皆さんの代弁者として、言わなければならないことや質すべきこと、確認すべきことをやりきることは、非常に重要なことです。ところが、終了時間ギリギリまで使って「これで質問を終わります」と言い終えたところを、質問をしていないにもかかわらず、発言を求め、手を挙げる子供政策連携室長を委員長が指し、発言を許しました。そして、室長は、所管外である朝鮮学校の補助金停止の理由について述べ、反論しました。議会では、所管外のことは答弁しないという事が常識となっていますが、それを逸脱してまで発言を強行したことは輪をかけて異常であり、二元代表制を否定するものだと考えます。

 

 今回の動議では、東京都こども基本条例第8条に係る質疑に関する全ての発言の取り消しを求めています。この背景にあるのは、こども基本条例では「全ての子どもを誰一人取り残さない」としていながら、朝鮮学校には補助金を停止し、朝鮮学校の子どもたちを排除している実態をみとめないことの現れだとも言えます。

日本共産党都議団は引き続き、こども基本条例に基づいた都政運営にしていくために取り組んでいきます。

 

今回の問題は、議員の発言権を多数の力で封殺する大問題であるのと同時に、都民の願いとも反するものだと考えます。

都民の皆さんと力合わせて、声を議会に届け、実現させるためにも、議会制民主主義を堅持した議会運営の実施を求めて頑張ります。