PFAS汚染対策・地域住民への血液検査を

活動報告

私は都議会第1回定例会の予算特別委員会で質問にたちました(3月13日)。テーマは、▽生活困窮者への支援▽PFAS対策▽子どもの権利―の3つです。質疑の内容を順次紹介しています。2回目は、PFAS対策です。

(注)PFAS(ピーファス)は、自然界にはほとんどなく人工的につくられる有機フッ素化合物の総称。1万種類ある中で、特に注目されているものがPFOS(ピーフォス=ペルフルオロオクタンスルホン酸)とPFOA(ピーフォア=ペルフルオロオクタン酸)で、日用品から産業用途まで幅広い分野で使われている物質。2009年にストックホルム条約でPFOA・PFOSが環境汚染物質として追加され、その後、製造・輸入・使用が禁止されている。

 

【私からのコメント】

 今回私は、血液検査の実施を中心にPFAS問題の質問をしました。やはりこの問題は命と健康にかかわるからです。しかし、この間、党議員の質問で、PFASと健康被害のリスクの関係について質問しても、都はわざとはぐらかし、聞いていることに答えません。これらを踏まえて、今回は「血中濃度とはどれだけ体内に取り込んだかの総和を表すものか」という、常識ともいえる質問をしましたが、都はこのことさえも認めず、血液検査を否定する答弁に固執しています。

 ちょうど予算特別委員会が開かれている時期に、PFAS汚染が発生している岡山県吉備中央町では全国初となる公費負担での血液検査の実施を検討していることが報道されていました(その後予算化されました)。一方で、答弁にさえ立たない小池知事の姿勢は、心配している都民には無関心であることが浮き彫りとなる質問になりました。

 

 

有機フッ素化合物PFAS

地下水や水道から検出 知事の受け止めは?

 

 福手ゆう子 有機フッ素化合物PFASが、全国各地で暫定指針値、暫定目標値を超える値で地下水や水道水から検出されています。

 地下水から高濃度が検出された地域の住民からは、長年この地域で暮らし、水道水を飲み水や料理に使ってきた、2年前までは孫も一緒に暮らしていたので、子どもへの影響も心配、多摩の水はおいしいと赤ちゃんのミルクに使って飲ませていたので、とても心配と、自分たちの体に何が起きるのかという不安がものすごく大きいです。

 知事は、PFAS問題は、全国各地に広がる大問題だと受け止めていますか。うかがいます。

 

 栗岡環境局長 PFAS等の有機フッ素化合物は、さまざまな用途で使用されてございます。

 都内では、複数の地点で検出されていることから、国に先んじて水道水における都独自の水質検査を行い、水道水の安全性を確保してございます。

 また、地下水等の調査を継続して行い、暫定指針値を超える地下水を飲用しない取り組みを実施するなど、飲用水の安心・安全を高め、都民の不安払拭に努めてございます。

 

知事は答弁しなかった

自らの言葉で語ろうとしない

 

 福手ゆう子 私は知事に認識をうかがったんですが、答弁されませんでした。そもそも知事は、PFASの問題には一度も答弁に立ちません。都民に不安が広がっている問題で、自らの言葉で一切語ろうとしないこと自体、知事としての責任を果たさないものといわざるを得ません。

 

なぜ製造・使用が原則禁止とされているのか

その理由をうかがう

 

 福手ゆう子 では、PFASとPFOAは、なぜ製造、使用が原則禁止されているのか、理由をうかがいます。

 

 栗岡環境局長 PFOS及びPFOAは、有害性が指摘され、国際条約や法律によりまして、製造や輸入が禁止されてございます。

 一方、どの程度の量が体に入ると影響が出るかにつきましては、いまだ確定的な知見はなく、現在も国際的にさまざまな知見に基づきまして、環境省が厚生労働省と連携して専門家による検討を進めているところでございます。

 都としては、国に先んじて、水道水の安全性を確保するとともに、関係局と連携して、暫定指針値を超える地下水を飲用しない取り組みを実施してございます。

 

PFAS汚染は、住民の命と健康に関わる問題

環境モニタリング調査を実施する意義は?

 

 福手ゆう子 PFASは、有害性が指摘されているからこそ禁止されたという答弁です。

 市民たちが、独自に血液検査を実施し、高濃度地域では、血中濃度が高い人が現に現れています。PFAS汚染の問題は、何より住民の命と健康に関わる問題です。まだ分かっていないことはありますが、放置するわけにはいかないからこそ、さまざまな対策が取られています。

 都は、来年度、高濃度地域の追加調査の予算を新規で計上しています。環境モニタリング調査を実施する意義をうかがいます。

 

 栗岡環境局長 都は、飲用水の安心・安全を高めるため、水道水の安全性の確保と地下水の実態調査による飲用しない取り組みの徹底を図ってございます。

 具体的には、今年度、地下水の前倒し調査や比較的高濃度のPFOS等が検出された地域で追加調査を行い、継続的なモニタリングを実施いたしました。

 来年度は、都内全域の地下水調査、従来、4年間で260カ所をやってきたところでございますけれども、これを1年間で行うほか、都の追加調査を補完する調査を実施する区市町村に対しまして、費用の一部を負担してまいります。

 

体の中にどれだけPFASを取り込んでいるか

重要なのが血中濃度だと思うが

 

 福手ゆう子 分かりにくい答弁でしたが、要は、調査の強化を進めているということです。同時に、健康への影響を考える上で重要なのは、体の中にどれだけPFASを取り込んでいるかということです。

 しかし、体の中にPFASが入るのは、飲む水から入ることも考えられますし、多くの種類の食べ物も考えられる、さまざま考えられる中で、全ての経路について把握して、摂取量をつかむというのは困難です。

 そこで重要なのが血中濃度です。人がPFASを摂取する経路はさまざま考えられる中で、血中濃度は、それらの経路からどれだけPFASを体内に取り込んだかの総和を反映するものと思いますが、いかがですか。

 

 雲田保健医療局長 国の食品安全委員会が先月発表いたしました健康影響評価書案によりますと、人におけるPFOS及びPFOAの体内動態については不確実な点が多いため、測定された血中濃度の結果から、PFASの摂取量や暴露量、時期、期間等を推測することは、現時点の知見では困難であるとされております。

 

血中濃度 指標として使うことはできると考えられている

血中濃度と健康被害の関係の知見を増やすため、疫学調査をふやすことも需要

 

 福手ゆう子 聞いたことには答えていないんですね。暴露量の把握のために血中濃度を指標として使うことは、国内や海外で広く行われています。血中濃度は、あくまでその時点の数字ですから、限界はありますが、指標として使うことはできると幅広く考えられているわけです。そのことも認めないんですか。

 そして、今の時点の血中濃度の状況というのは、今把握しておかないと、将来把握しようとしてもできなくなってしまうんです。PFASの摂取を減らす対策として、実際に効果があったかを評価するにも役立てられます。

 東京都は、都民の健康に対する責任があります。PFASの対策として、地域住民の血液検査を実施するべきです。血中濃度と健康被害の関係について知見を増やすために、疫学調査を実施するのも、とても重要です。

 海外と比べ、日本における疫学調査は少ないことが指摘されています。日本における疫学調査を増やすこと、重要ではありませんか。

 

 雲田保健医療局長 国の専門家会議によりますと、国内外の健康影響に関する科学的知見及び対策技術等は常に更新されており、継続的な収集が必要であって、既存の知見の収集のみならず、国内において疫学研究などの関連する研究を推進すべきとされているところでございます。

 

 福手ゆう子 否定されなかったということだと思います。国に強く求めるとともに、都としても実施を検討するよう求めておきます。

 

水俣病は必要な調査が行われず被害が拡大した

この教訓を生かす必要がある

 

 福手ゆう子 私は、以前病院で働いていたときに、水俣病検診に参加をしました。何十年たった今でも、被害者を苦しめる問題になっていることに、胸が詰まる思いをしました。

 水俣病とPFASの問題とは、さまざまな違いはありますが、生かすべき重要な教訓があります。水俣病は、必要な調査などが行われず、経済が優先され、対策が遅れる間に被害が拡大しました。この教訓を生かす必要があります。

 血液検査の実施を含め、対策の強化を強く求めて、次の質問に移ります。