厚生労働省が今月、待機児童問題が深刻な地域として保育所の面積基準の緩和を認める35自治体を告示しました。
保育所面積基準の緩和は、▽待機児童が100人以上▽住宅地の公示地価の平均額が三大都市圏を上回る市区町村が対象で、2012年度から3年間の「特例」です。35自治体中、江東区を含む15区9市が都内です。
面積基準をどこまで引き下げるかは自治体に丸投げされており、東京都は、0~1歳児の保育室の面積基準を1人あたり3.3平方メートルから年度途中に限り2.5平方メートルに引き下げる案を検討しています。
都児童福祉審議会の専門部会では、委員から「面積基準の緩和は子どもにしわ寄せがいく」と反対の声が出されましたが、都は条例に盛り込む姿勢を変えていません。第四回定例会に提案される見込みです。
日本の保育所面積基準は今でも、ヨーロッパ諸国と比べて低く、劣悪です。待機児童解消を理由に、これ以上保育所の面積を引き下げることは、子どもの安全や健やかな成長を保障できなくなる危険があります。
今年4月時点での江東区の認可保育園の待機児は、1050名と深刻です。現在江東区は、「保育所面積の緩和は待機児解消に一定の効果はあるものの、子どもへの影響もあるので、慎重に検討する」との答弁をしています。
待機児童解消は、子どもたちを詰め込むのではなく、保育所の抜本的な増設が必要です。そのために国は、保育所の用地取得への補助創設、建設費や運営費補助の増額こそ行うべきです。