文教委員会速記録第4号

2015年都議会文教委員会での論戦都議会質問

◆駒沢オリンピック公園総合運動場の屋外プールについて

○里吉委員 私からも、まず地域スポーツの振興について伺ってまいります。
まず、駒沢オリンピック公園総合運動場の屋外プールについて伺います。
現在、駒沢オリンピック公園総合運動場では、改修、改築計画に基づき工事が行われています。一方、屋外プールについては廃止することが決まって以降、その後も、計画も明らかにされずにいます。
駒沢オリンピック公園の屋外プールの廃止前の利用実績についてまず伺います。

○3浦スポーツ施設担当部長 駒沢オリンピック公園総合運動場の屋外プールは、昭和41年度に開設し、平成22年度末で廃止しております。
開始当初の利用者は年間で約19万人でありましたが、その後は減少し、廃止前には開始当初の約4分の1となる4万7000人程度にまで減少しておりました。

○里吉委員 4万71人の方の利用実績があったということでした。
廃止になったのは22年度末ですから4年ほど前になるわけですが、その後、地域から、世田谷区内だけでなく、近隣の、お隣の目黒区の方からもプールを再開してほしいという声が出されております。
屋外プールの改修が難しければ改築になるのかもしれませんが、再開することは検討できないか伺います。

○3浦スポーツ施設担当部長 屋外プールにつきましては、平成22年第3回定例会の文教委員会で報告をしておりますが、駒沢オリンピック公園総合運動場改修・改築基本計画におきまして、老朽化が著しく、また、周辺に年間を通して利用できる屋内プール施設の整備が進んでいることなどから、当該施設を廃止することとしたものであります。

○里吉委員 私も廃止に至った経緯は十分理解しております。しかし、その後改めてプールを要望する声が出されているわけですね。
駒沢オリンピック公園総合運動場内の改修が進む中で、地域住民の皆さんから見ますと、あのプールだけがそのまま放置されているように見えるわけです。全体が改修されている中で、あそこだけ計画が決まっていないわけですね。
年間を通じて利用できる屋内プール施設整備が進んでいるといいますが、確かに昭和41年に比べればふえているとは思います。しかし、世田谷の方からも、目黒の方からも、区内幾つかプールはあるけれども、駒沢公園のあの付近にはないので、ぜひ欲しいという要望が出されておりますので、ぜひ検討を要望しておきたいと思います。

◆区市町村のスポーツ施設整備補助について

次に、区市町村のスポーツ施設整備補助について伺います。
区市町村の体育施設の面積拡大やバリアフリーに補助を行う区市町村スポーツ施設整備補助は、今年度予算2億円に対して来年度は12億円と6倍となります。
予算をふやすと同時に、補助の対象も拡大するとのことですが、どのようにするのか伺います。

○三浦スポーツ施設担当部長 区市町村スポーツ施設整備費補助につきましては、競技スペースを拡大する工事やバリアフリー工事に加え、来年度から照明設備の設置など、利用時間の延長等に資する工事も対象としております。

○里吉委員 利用時間の延長等に資する工事も対象ということなんですが、プールの温水化、例えばそういった整備もスポーツの場を拡大するものとして補助の対象に加えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか、見解を伺います。

○三浦スポーツ施設担当部長 先ほどご答弁申し上げましたとおり、区市町村スポーツ施設整備費補助につきましては、来年度から利用時間の延長等に資する工事も対象に加えております。
屋外プールを屋内プールに改修し、温水化を行う工事がある場合は、そのことにより夏季だけの利用から年間を通した利用が可能となることから、当然に利用時間の延長等に資する工事の対象になるものです。

○里吉委員 さまざまな工事にこの施設整備補助が使えることがわかりました。区市町村の担当者の方にもしっかり情報提供していただくよう要望しておきます。

◆障害者スポーツの振興について

次に、障害者スポーツの振興について伺います。
障害者のスポーツ参加は、健常者に比べてまだまだ少ないのが現状です。知事も健常者と同じようにスポーツが楽しめることが重要とおっしゃっていましたが、そういう構えで取り組むことが大切だと私も思います。
障害者のスポーツの実施率がどうなっているのか、現状把握する必要があると思います。障害者のスポーツ実施調査では、東京都が行った障害のある人の実態調査によると、週に1日以上スポーツを行っている方42・2%とありましたが、文部科学省の委託調査では、過去1年間に週1回以上スポーツ・レクリエーションを行っている方が18・2%となっておりました。どうしてこのような差が生まれるのかお伺いしたいと思います。

○早崎スポーツ推進部長 文部科学省の調査は、インターネット会社が保有する全国のリサーチモニターを対象として、本人や家族の状況について回答しています。
東京都が行った調査は、都内の障害者福祉施設に入所、通所する方や障害者団体に加盟している方を対象としたもので、障害者スポーツの推進に係る課題を把握し、都の施策に反映するために実施したものでございます。
2つの調査は、調査対象、方法等が異なり、一概に比較することはできないと考えております。

○里吉委員 それぞれの調査の目的があって調査を行っているわけですから、調査の方法が異なるので、一概に比較できないというお答えもそのとおりだと思いますが、文部科学省の調査は、施設などに入所していない方、通所していない方も含めて調査をしているということで、そこでは、週1回スポーツなどを行った方の割合が、東京の調査の半分以下ということですから、そういう意味では、障害者のスポーツ実施状況は本当に少ないということを改めて認識して取り組むことが大切だと思います。
その上で、障害者スポーツの推進のためには区市町村での取り組みが欠かせないと思います。そこで私は、東京都のホームページ、障スポ・ナビを使って、障害者スポーツの実施状況をさまざま調べてみました。
そこで、障害者のスポーツ教室を行っている自治体を調べてみたんですが、11区でした。それ以外は年1回程度の大会とか、イベントのみという結果でした。
障害のある方がスポーツにかかわる導入として、イベントなども大変大事だと思いますが、恒常的にスポーツできるような場や機会の提供への支援が今求められているのではないかと思いますが、都の見解を伺います。

○早崎スポーツ推進部長 都はこれまでも、障害のある方が身近な地域で継続的にスポーツを楽しむための環境を整備するため、区市町村が障害者スポーツ事業を実施する際の企画立案の支援など、さまざまな取り組みを既に行ってきました。
来年度は、新たに主体的に障害者スポーツに取り組む区市町村への補助制度を創設することとしています。具体的には、区市町村における障害者スポーツの振興については、都としてより一層促進するため、経費の5分の4を補助する制度を創設し、障害のある人が継続的に参加できるスポーツ教室などへの支援を行っていくこととしています。
なお、障害者スポーツの振興には、競技の普及啓発も大きな課題であり、チャレスポTOKYOやスポーツ博覧会等のイベントを通じた障害者スポーツを体験する機会の提供にも今後も力を入れていきます。
都は、イベントによる普及啓発、地域における障害者スポーツの環境づくりなど、総合的な視点から障害者スポーツの振興を進めてまいります。

○里吉委員 継続的に参加できるスポーツ教室などを行う区市町村に補助を出すという制度が創設されるということでした。スポーツイベント等に参加する障害者の方が続けてスポーツに取り組みたいと思ったときに、やはり身近な区市町村で参加できるスポーツ教室などがあれば参加しやすいと思います。大事な取り組みだと思います。

◆障害者スポーツ指導員などの拡充について

それから、障害者の方がスポーツに参加するときに、サポートする側の人の問題もあると思います。事務事業質疑で、指導員の資格を取っても、実際にスポーツ教室を実施しようとする際に不安の声が多いという答弁がありましたが、指導員をサポートして、スポーツ教室などを企画する地域開拓推進員の役割が重要だと考えます。
こうした方々の増員なども必要ではないかと思いますが、見解を伺います。

○早崎スポーツ推進部長 都はこれまで、区市町村等が行う障害者スポーツへの取り組みに対し、地域開拓推進員を通じ、企画立案や障害者スポーツ指導員の派遣、用具の貸し出しなどの支援をしてまいりました。
さきの事務事業質疑の中で課題として挙げた障害者スポーツ指導員の資格取得後の不安につきましては、来年度から指導員を対象とするフォローアップ研修を行うことで、不安の解消を図ることとしています。
なお、来年度はこれまで実施してきた障害者スポーツ地域開拓推進事業に加え、障害者スポーツ事業を実施する区市町村への補助事業を創設することとしており、こうしたさまざまな取り組みにより、地域における障害者スポーツの推進を図ってまいります。

○里吉委員 その指導員の話なんですが、東京の人口当たりの障害者スポーツ指導推進員は、全国平均より少ないというふうに書かれておりました。
長期ビジョンでは、2020年までに都内全59地区に指導員の資格を持つスポーツ推進員を配置するというふうにしていますが、全体として指導員を何人程度配置するのか、目標と計画を持って取り組むことが必要だと思いますが、都の計画について伺います。

○早崎スポーツ推進部長 都の長期ビジョンでは、障害者スポーツ指導員の資格取得を促進するとともに、情報提供や指導員のネットワーク構築を進め、障害者スポーツを支える人材の育成と資質向上を推進するとしています。
副委員長ご指摘の長期ビジョンの目標は、各地区に最低限1名の障害者スポーツ指導員の資格を有するスポーツ推進委員を配置することで、そのスポーツ推進委員が地区内のほかのスポーツ推進委員と協力して、地域における障害者スポーツへの取り組みを推進していくことを目指して設定したものでございます。
今後、この長期ビジョンに基づき、中長期的な視点から障害者スポーツ指導員の拡充を図ってまいります。

○里吉委員 各地区最低1名の指導員資格のあるスポーツ推進委員を配置するということで、今ご答弁にあったように地域の中心で取り組んでいる方を配置するという点で大変重要だと思います。
あわせて、障害者スポーツ指導員をどのように配置するかという点では、障害のある方が地域のスポーツ施設に行って、どこでもスポーツを楽しめるようにするためには、個々の施設に指導員がいるかどうかも大切な要素となってまいります。そうした点も含めて、今後指導員の拡充を進めていっていただきたいと思います。
指導員の資格者が必ずしも障害者スポーツにかかわる仕事をしているわけでもない、このこともいわれてきたことです。  区市町村のスポーツ施策担当者やスポーツ施設職員の資格取得状況をふやすことや、またふだんは別の仕事をしている資格取得者に、さまざまな形で障害者スポーツにかかわってもらえるような工夫も必要だと思いますが、都の取り組みを伺います。

○早崎スポーツ推進部長 都は、今年度から区市町村のスポーツ主管課職員やスポーツ施設職員を対象に、初級障害者スポーツ指導員の資格取得に向けた養成講習会を開催しているところです。
また、障害者スポーツ指導員に対して、障害者スポーツ事業の情報を提供し、活動を促す取り組みも行っております。

○里吉委員 さらに裾野を広げるために、障害者スポーツには指導員はもちろん、支えてくれる介助者やボランティアの育成も欠かせません。
区市町村ごとに指導者や介助者、ボランティアの育成ができる講習会開催の体制や登録制度など整備することが有効だと考えますが、都の取り組みについて伺います。

○早崎スポーツ推進部長 都は来年度、区市町村が主体的に取り組む障害者スポーツ事業に対し補助する制度を創設することとしています。
この補助制度では、障害者スポーツを支える人材の育成に係る事業も対象としており、副委員長お話しの区市町村による指導者の養成や介助者などのボランティア育成に係る講習会開催等について、補助制度を通じて支援していくこととしています。

○里吉委員 人材育成の面でも、区市町村補助の制度、新しく創設する制度が使えるというお答えでした。
各区市町村でそれぞれ指導者講習など人材育成に取り組むようになれば、その方たちと一緒に地域に根差した活動も進みやすいのではないかと思います。区市町村で積極的に取り組まれるよう、情報提供をお願いしたいと思います。
私は、障害者スポーツの関係者の方から、葛飾区の取り組みが参考になると聞きまして、実際に担当者の方にお会いしてお話を伺ってきました。そこで、地域で取り組む上で大事だと思う点について伺ってまいります。
葛飾区では、長期計画に障害者スポーツを位置づけるとともに、作業所や特別支援学級などを回って、ニーズの把握、施設のスケジュールに合わせた企画の設定、チラシの配布など、区の職員のきめ細かい対応が振興の鍵となっていました。
こうしたノウハウの情報交換の場を設けて、全区市町村に普及していくことも重要だと思いますが、都の見解を伺います。

○早崎スポーツ推進部長 都では、区市町村等が地域における障害者スポーツの振興を行う際に、ほかの団体の取り組みを参考にできるよう、平成23年度に取り組み事例集を作成し、その改定版を近日中に発行する予定でございます。
また、区市町村職員を対象とした障害者スポーツセミナーの中で、区市町村の取り組み事例発表の機会を設けるなど、情報交換の機会を提供しております。
都は今後とも、区市町村の先進的事例を広く情報提供するなど、障害者スポーツ推進の取り組みが各地域に広がっていくよう努めてまいります。

○里吉委員 葛飾区で障害者スポーツに取り組むようになったきっかけは、1人の職員の方がスポーツセンターの外を散歩していた障害者の親子とたまたま会話をしたことがきっかけだったそうです。
当時は、障害者の方が参加できる施設などほとんどなく、せっかくスポーツ施設に来ても、外を散歩するくらいしかなかった、でも、本当は何かできることがあれば、運動させてあげたい、こういうお母さんの話を聞いて、この葛飾区の職員の方が何かできないか、こういうことで始めたのがきっかけだったと伺いました。
常に障害者の方がどうしたら参加しやすいか、区にできることはないか、一つ一つ切り開いてきたお話は、聞いていて私も胸が熱くなりました。こうした方の経験を聞くことや、先ほどお話があったような経験交流など、現場の職員の皆さんの実践に役立つようなセミナーにぜひ取り組んでいただきたいと思います。
それから、多くの区市町村立体育館が指定管理者により運営されているもとでは、指定管理者への委託の条件に、障害者スポーツを位置づけることが必要です。こうしたノウハウも区市町村に啓発することが大事だと思いますが、都の見解を伺います。

○早崎スポーツ推進部長 都は、来年度、施設管理者が障害者の利用に際して配慮すべき点をまとめたマニュアルを作成し、区市町村等に配布することで、ほかの施設に関するノウハウ等の情報提供を行っていくこととしています。
また、既に区市町村職員や公立スポーツ施設管理者を対象とした障害者スポーツの理解を深めるセミナーを行っており、今年度はセミナーの中で区市町村の取り組み事例の発表の場を設けるなど、障害者スポーツ情報の共有を進めております。

○里吉委員 区市町村が障害者スポーツに位置づけて取り組めば、相当なことができるということを私も葛飾で目の当たりにしてまいりました。ぜひどの施設でも積極的に取り組めるようお願いしたいと思います。

◆スポーツ施設のバリアフリー化について

次に、施設関係、施設のバリアフリーについて伺います。
スロープや誰でもトイレ、これは当然のことだと思いますが、今、施設では家族更衣室などが求められています。こうした整備も促進するべきと考えますが、都の見解を伺います。

○三浦スポーツ施設担当部長 区市町村立スポーツ施設のバリアフリー工事につきましては、スポーツ施設整備費補助制度を活用することにより整備の促進を図ってまいります。
なお、バリアフリー工事の具体的な補助対象につきましては、スロープや誰でもトイレなど、東京都福祉のまちづくり条例等の整備水準に準じた工事のほか、障害者が利用しやすい施設整備を促進させる観点から、家族更衣室などの整備についても対象としております。

○里吉委員 それから、施設の中の器具の話なんですが、葛飾区の体育館を視察させていただきましたら、車椅子でも利用できるトレーニングマシンが導入されて、実際に車椅子の方が利用しておりました。
都立施設でもこうしたものを積極的に整備して、障害者の方でも来てもらえるようにPRしてはどうかと考えますが、見解を伺います。

○三浦スポーツ施設担当部長 都立体育施設のトレーニングルームにおきましても、これまで多くの障害者の方々に利用していただいております。
例えば東京体育館では、トレーニングルームとプールをあわせて利用できますが、昨年度実績で約37万人の利用者のうち、障害者及びその介助者による利用は約4万人となっております。  障害者の方がトレーニングマシンを利用する場合には、安全かつ快適に利用できるよう、適宜スタッフがサポートしております。
今後も引き続き障害のある方にとっても使いやすい施設運営を行うとともに、より多くの方々に使っていただけるようPRに努めてまいります。

○里吉委員 東京体育館で既にきめ細かい援助もして、多くの障害者の方に利用していただいているということでした。
それとプラスして、障害者といってもさまざまな方がおりますので、車椅子の方にとっては車椅子のまま扱えるトレーニングマシンは大変便利だと、使いやすいものだと思いますので、今後の導入もぜひ検討していただきたいと思います。

◆総合型地域スポーツクラブについて

次に、総合型地域スポーツクラブについて伺います。
総合型地域スポーツクラブは、障害者にも門戸を開いておりますが、ある方にお話を聞きましたら、会費などがネックになって、なかなか入会が進まないと聞きました。
地域スポーツクラブで障害者割引を行うクラブには、都としてその額を補填するなど、こうした支援のありようを検討してはいかがかと思いますが、見解を伺います。

○早崎スポーツ推進部長 地域スポーツクラブは、子供から高齢者、障害者も含め、誰もが身近にスポーツに親しみ、交流を図れる場として、地域住民が主体的、自主的に運営しているものでございます。
会費の取り扱いを初めとしたクラブ運営に関しては、本来地域スポーツクラブが自主的に判断し、その財政状況等を踏まえて決めていくものでございます。

○里吉委員 総合型地域スポーツクラブが障害者の方と一緒に取り組むイベント、こういうことを開催したときに経費の一部を補助するなど、導入の支援としてこういった取り組みも有効だと考えますが、いかがでしょうか、見解を伺います。

○早崎スポーツ推進部長 都は、スポーツの裾野の拡大を図るため、地域スポーツクラブがその会員以外を対象に実施する地域におけるスポーツの参加促進を目的とした事業に対し、50万円を上限として補助しております。
既に一部のクラブでは、この制度を活用し、ボッチャなどの障害者スポーツをプログラムに組み入れるなど、会員以外に障害者も参加できるスポーツイベントを開催しています。
また、都は、障害者スポーツ地域開拓推進事業として、身近な地域において地域スポーツクラブ等が実施する健常者と障害者がともにスポーツに親しむ事業に対し、企画立案のアドバイスを行っているところです。
こうした事業を通じて、地域スポーツクラブが障害のあるなしにかかわらず、誰もがスポーツを楽しめる場として、その活動の充実が図れるよう、今後とも引き続き支援を行ってまいります。

○里吉委員 先ほど資料要求で出していただいた地域のスポーツクラブの設置数、まだまだ地域によってばらつきがあるんですが、あわせて障害者の方と一緒にやっているクラブも偏っているというふうに聞いております。
導入部分として、今提案しました取り組みについては、地域のスポーツクラブが会員以外を対象に実施する、そのものを障害者でも参加できるイベントにして既に行っている、そういうスポーツクラブもあるということでしたから、こういうことをぜひ広く周知していただきたいと思います。
そして、ほかにも指導者確保や情報の提供、人材育成とプログラムをどうやってつくるのかなど、総合型地域スポーツクラブで障害のある方にも参加してもらうための課題、これ、今も東京都が一つ一つ取り組んでいらっしゃることですけれども、さらに現場の声も聞いて、支援していただくよう要望しておきます。
次に、団体への支援についてですが、都段階の障害者団体が大会を開催する場合、都の後援や会場の優先的な提供、財政支援などを行うことも、障害者スポーツの振興に有効ではないかと考えますが、都の取り組みについて伺います。

○早崎スポーツ推進部長 都は、障害者団体が主催するスポーツ大会など、東京都の障害者スポーツの振興に寄与するものについては、後援名義の使用承認を行っています。
都立体育施設の使用に関しては、全都的な大会等について優先申し込みを受け付けるとともに、全都的に組織された障害者スポーツ団体等の大会利用に際しては、施設利用料金を減額しているところでございます。

○里吉委員 全都的に組織された障害者スポーツ団体には減免があるというお答えでした。
東京都にいろいろとやっていただいているんですが、実は障害者の大会というのは、人数が少ない。例えば聴覚障害とか視覚障害の大会など開く場合に、関東から集まってくる、そういう大会を開くときに、会場の減免とあわせて、審判員の方、補助者の方に出さなければならない謝礼ですとか、いろいろなお金がかかるということで、さまざまな支援、全部出してくれということではなくて、そういったものに対しての支援をしてほしいという要望も出ております。
これから障害者スポーツをさらにどんどん広げていく中でこうした声も出てくると思いますので、ぜひそういう声も酌み上げて、具体化していただきたいと思います。  最後に、障害者スポーツの用具について伺います。
障害者のスポーツは、本当に特別な用具を必要とするものが多くて、これをどう用意するのか、ここへの補助も重要ではないかと思いますが、都の取り組みについて伺います。

○早崎スポーツ推進部長 都では、地域開拓推進事業を通じて、スポーツ用車椅子やフロアホッケーの用具などの貸し出しを行っているところです。

○里吉委員 地域開拓推進事業を通じて行っているというお話でしたが、この取り組みは、文字どおり地域開拓ということで、その地域で障害者の方にスポーツを始めていただくための導入の取り組みですよね。
ですから、そこに、もちろん用具を持っていないわけですから、貸し出すことは大変大事なんですが、スポーツ教室など継続的なスポーツを進めるときに用具をどうするのかということも、これから検討しなければならない課題だと思いますので、ぜひ今後検討していただきたいと思います。
さまざま障害者スポーツについて伺ってまいりましたが、障害のある方、今、東京都が障害者スポーツに光を当てて、本当に取り組んでいただいているということで、さまざまなご要望が出てまいりました。
それを取り上げてきょうは質問させていただきましたが、障害のある方も、誰もが気軽にスポーツできる、そういう東京を皆さん目指していらっしゃると思いますので、ぜひその方向で頑張っていただくよう求めて、私の質問を終わります。

◆東京都消費生活条例の一部を改正する条例について

○里吉委員 それでは、私からはまず、東京都消費生活条例の一部を改正する条例について伺ってまいります。
この条例案は、悪質事業者などによる不適正な取引行為に対する取り締まり強化に加えて、消費者教育についても改正されますので、その消費者教育の部分について伺ってまいります。
まず、消費生活条例において、今回、消費者教育はどのような考え方に基づいて規定されたのか伺います。

○山本消費生活部長 近年、消費者を取り巻く環境は大きく変化してきており、この変化に対応して、消費者教育の充実を図っていくことが重要であります。
こうした考え方に基づき、今般制定されました消費者教育推進法等を踏まえ、消費者教育の基本的な事項や消費者、消費者団体、事業者団体等の役割などを追加して、消費者教育に関する規定の充実を図るものでございます。

○里吉委員 私も消費生活審議会に出席して、議論に参加いたしましたが、消費者の役割の規定に関しては、さまざまな立場からの意見がありました。それらを踏まえた答申では、消費者教育を受ける立場である消費者については、教育の機会を積極的に活用されることが期待される一方、消費者団体や事業者、事業団体における責務とは異なると。消費者に努力義務を課すことで、消費者トラブルは消費者の自己責任であるといった誤解を生む危惧を踏まえ、消費者に期待される役割として規定することが適切であるとされました。
消費者を守るべき条例が、責任を消費者に押しつけることがあってはなりません。改正条例では、このことについてはどのような配慮がなされたのか伺います。

○山本消費生活部長 昨年12月に出されました消費生活対策審議会の答申を踏まえ、消費者につきましては、主体的に消費者教育に参画するものであることを規定しております。
一方で、消費者団体、事業者、事業者団体に対しましては、消費者教育の協力や情報提供に努めること等を求めており、両者の規定上の位置づけは異なっております。

○里吉委員 今回資料でもいただきましたが、平成25年度の相談の中に判断不十分者契約の相談が1276件とありました。また、認知症高齢者の方もふえております。
消費者といってもさまざまですから、消費者に努力義務を課すということではなくて、主体的に参加することを期待する、こういう規定が重要だと考えます。
そこで、消費者教育の推進に対しては、区市町村の役割が大変重要だと考えます。条例の第4条にも区市町村との連携をうたっておりますが、この一層の支援が求められると思いますが、都の見解を伺います。

○山本消費生活部長 消費者教育の推進には、区市町村の役割が大変重要でございます。  このため都は、区市町村の先駆的な取り組みを消費者教育モデル事業として認定し、その成果について他の区市町村へ普及を図っております。
また、東京都消費生活総合センターでは、区市町村に対し、ウエブ版の消費者教育読本やDVD等の教材を作成、提供してございます。
こうした取り組みによりまして、区市町村の取り組みを支援してまいります。

○里吉委員 資料の2ページに、東京都消費生活総合センターにおける消費者教育事業の実績について示していただきました。ここにいただいたようにさまざまな支援を行っているわけですね。市区町村との共催の講座というのも、平成25年度、17回、519人の方が参加されているということでした。それ以外にも、DVDの作成ですとか、ウエブ版の消費者教育読本があるということで、ここにも紹介されています。
私、若者向け悪徳商法の被害防止のためのDVD、これはインターネットで見られるものがありまして、見せていただきましたが、大変よくできているなというふうに思いました。問題は、これをどうやって被害に遭うかもしれない若い方々に見てもらうかが課題だということを伺いました。
まだまだ消費者教育という点では、区市町村でばらつきがある中で、東京都がなお一層消費者教育について支援していくことが重要だと考えます。答申では、消費者教育については、東京都がさらに一歩踏み込んだ支援を行うべきだという文言もございますので、この取り組みをさらに進めていただくことを求めて、次の質問に移ります。

◆東京都文化ビジョン素案について

次は東京都文化ビジョン素案について伺ってまいります。
今回、東京都が文化ビジョンを作成し、芸術文化の振興を総合的に都政に位置づけようとしていることは重要です。2020年オリンピック・パラリンピックに向けた文化活動の推進はもちろん、2020年以降の都民の芸術文化活動の発展につながるものにしていただきたいと思います。
そのために、まず、土台となる東京都文化振興条例に立ち返ってみたいと思います。東京都文化振興条例の目的について伺います。

○鳥田文化振興部長 東京都文化振興条例第1条は、民主的で文化的な国家を建設して世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする日本国憲法の精神にのっとり、文化の振興に関する東京都の施策の基本を明らかにすることによって、都民が東京の自然及び歴史的風土に培われた、国際都市にふさわしい個性豊かな文化を創造することに寄与し、もって都民の生活の向上に資することを目的とすると規定しております。

○里吉委員 世界の平和と人類の幸福に貢献するという憲法の精神に基づいているという大変重要なことも書かれております。文化ビジョン素案にも、芸術文化の力を世界平和の実現につなげていくという言葉がありますが、共通する考え方だと思います。
そして、条例では都民が文化を創造することに寄与する東京都の施策を明らかにして、それにより都民生活の向上に資することを目的とすると、都民が中心になっていることがわかります。今回の文化ビジョンもこの方向に沿って、都民の文化創造と生活の向上という視点を中心に据えていくことが重要だと思います。
私は、都民の方や創作活動に携わる方、専門家の方などにこの素案を読んだ感想やご意見を伺ってまいりました。すると、東京都が文化政策に本腰を入れたということで期待しつつも、同時に全体から受ける印象は、芸術文化を都市戦略に役立つものとして利用する方向性で違和感を持つ、個人が創作活動、文化芸術活動をしようとしたときに、直面する問題の分析や解決の方向が十分見出せるものにはなっていないなどの意見も寄せられました。
もちろん、この素案にはその内容だけではなくてさまざま書かれています。確かに発信力を強化とか、グローバルな競争力を高めるとか、都市としての価値を高めるとか、いわゆる都市間競争なわけですよね。そういう言葉が並んでいるのを見ると、芸術文化は競争なんだろうかと。むしろ人間同士の友好や交流、相互理解を深めるものではないのかという感じがいたします。
発信力の高いフェスティバルなど、都市の価値を高めるといわれると、必ずしもそういうことをしたくて創作活動をしている方ばかりではないだろうというふうに思うわけです。
また、イベント重視ではないか、外国からお客さんを呼び込める魅力づくりがしたいのではないかと感じたという方もいらっしゃいました。
芸術文化は、さまざまな形で私たちの生活の中に存在して、ビジネスと密接な関係のあるもの、全く関係のないもの、さまざまな複雑な要素が絡み合う中で、成り立ち、提供され、享受され、発展しています。
自治体が芸術文化を振興する場合、都市政策や観光などの産業振興に資する方向での文化振興も否定するものではありませんが、それだけにとどまらない多様な芸術文化活動を保障し、振興していく視点が求められると思いますが、都の見解を伺います。

○鳥田文化振興部長 これまでも都は、幅広い分野において若手芸術家や子供、外国人、障害者を初めとしたさまざまな芸術文化の担い手と鑑賞者に対して多様な文化活動の展開をしております。
東京文化ビジョンの素案でも、文化戦略としてあらゆる人が芸術文化を享受できる社会基盤の構築を掲げており、今後も東京で行われる多様な芸術文化活動を推進してまいります。

○里吉委員 素案でもあらゆる人が芸術文化を享受できる社会基盤の構築を掲げていて、今後も推進していくというお答えでした。文化振興条例の目的にも沿ったこの方向での拡充をぜひお願いしたいと思います。
そこで、あらゆる人といった場合、今回、特に障害者の文化芸術活動に光が当たったことは、これまでにないこととして評価する声を聞きました。言葉を発することのできない障害者の方が、絵画など作品を通して自己を表現する、また周囲の人たちと心を通い合わせる、また、音楽でも演劇でも気軽に楽しむことができる、そのような東京を目指していただくことを要望します。
また、子供の文化振興も重要です。あらゆる人がという視点に立つと、貧困、特に子供たちの6人に1人が貧困という現状の中で、全ての子供が芸術文化に触れる機会として、学校での活動は重要です。どのように拡充するのか伺います。 ○鳥田文化振興部長 都では、学校や地域、実演家団体との連携や文化施設の活用により、幅広い教育プログラムや体験プログラムの実施をしてまいりました。
文化ビジョン素案でも、学校における教育活動等において、子供たちが日本の伝統文化はもとより、さまざまな芸術文化に触れる機会を拡充することとしております。
来年度からは、都内全域の小中学校等を対象とした伝統芸能体験プログラムを展開いたします。

○里吉委員 学校における教育活動等において、芸術文化に触れる機会を拡充するということで、ぜひお願いしたいと思います。
東京都はかつて、小中学校を対象とした音楽やバレエの鑑賞教室の事業を行っていましたが、現在は廃止となっております。今でもそうした事業を求める声は多方面から聞かれます。
また、学校行事の時間には限りがありますから、伝統芸能などに限定されてしまうと、他の分野が締め出されてしまうのではないかという声も聞きます。
伝統芸能も大切です。オーケストラや演劇、バレエなど、さまざまな本物の文化に子供たちを触れさせたい、こういう要望も聞いております。ぜひ伝統芸能も含めてですけれども、多様な芸術文化に触れる機会を拡充していただきたいと思います。
あわせて、高校生向けの芸術教育、鑑賞機会が小中学生に比べて貧しいということが芸術文化の関係者からも指摘されています。現在、定時制、通信制課程の生徒の演劇鑑賞教室がございますけれども、それだけなんですね。
高等学校の鑑賞教室や高校生向けの体験事業などへの支援も充実していただきたいと思いますが、都の見解を伺います。

○鳥田文化振興部長 これまでも都は、高校生を対象とした体験事業を実施してまいりました。文化ビジョン素案でも、全ての子供や青少年が芸術文化に主体的にかかわることができる教育プログラムを充実していくこととしております。

○里吉委員 芸術文化関係者からも要望が出ておりますし、高校を卒業して社会に出るという子供たちの場合は、なかなか機会がないだろうということで、定時制、通信制課程の生徒への演劇鑑賞会が残っているのかなという気もいたしますが、本当に感性のみずみずしい若いときに本物の文化に触れておくこと、芸術に触れておくことということが大変大事だと思いますので、ぜひ多様な機会の拡充をお願いしたいと思います。
また、子供たちに豊かな芸術文化をと活動している団体が都内にはたくさんあります。学校演劇に取り組む劇団やオーケストラ、楽団、人形劇団、子供向け鑑賞サークルなど、子供の芸術活動を支える団体への支援、応援も重要だと思いますが、都の見解を伺います。

○鳥田文化振興部長 都はこれまでも、アーツカウンシル東京による助成や都民芸術フェスティバルなどの実施により、芸術文化団体の支援をしてまいりました。
文化ビジョン素案でも、全ての子供や青少年が芸術文化にかかわることができるよう、多様なジャンルのアーティストとの交流や多彩な芸術文化体験を支援していくこととしております。

○里吉委員 子供たちを対象にした活動というのは、料金を高くすることができないということで、なかなか経営が厳しい。だけれども、子供たちのために頑張って活動している、こういう団体がたくさんあります。ぜひこういった、子供たちのために頑張っている団体にも積極的な支援を考えていただきたいと思います。
そして、あらゆる人がということでは、手ごろな料金で音楽や演劇、落語など楽しむことができ、長年好評を博している都民芸術フェスティバル、これも位置づけて拡充していくことが求められていると思います。
また、エデュケーションプログラム事業について、体験型芸術プログラム事業もその一つといえると思うんですね。ぜひこれも拡充すべきと思いますが、都の見解を伺います。

○鳥田文化振興部長 子供から大人まで身近に芸術文化に触れる機会を提供するため、都民芸術フェスティバルや体験型芸術プログラムについては、引き続き継続してまいります。
さらに、文化ビジョン素案に記載の教育プログラムの充実や都立文化施設の魅力向上等の取り組みにより、都民が芸術文化を享受するための取り組みを拡充してまいります。

○里吉委員 都民芸術フェスティバルを大変楽しみにしている方とか関係者の方からは、このビジョンの中にその文言が入っていないということで心配されている方がいらっしゃいました。当然続けるということだと思ったんですけれども、ぜひこれまで都とさまざまな団体と力を合わせて長年培ってきた、つくってきた都民芸術フェスティバル、また体験型芸術プログラムですから、しっかりと拡充をしていただきたいということを要望しておきます。
次に、アーティストの活動について伺ってまいります。
芸術文化の振興には、芸術家、アーティスト抜きにその振興はあり得ません。アーティストの方々が活動する上で最も重要なものが表現の自由です。自由に作品をつくって発表できるかどうかについて、芸術家の皆さんは大変敏感です。  芸術文化の発展のためには、表現の自由が守られることが絶対に必要だと思いますが、都の見解を伺います。

○鳥田文化振興部長 東京都文化振興条例においては、都は、都民の自主性と創造性を最大限に尊重すること、条例の運用に当たり、文化の内容に介入し、または干渉することのないよう十分配慮することが規定されております。

○里吉委員 都民の自主性と創造性を最大限に尊重すること、文化の内容に介入し、または干渉することのないよう十分配慮することとのことでした。アーツカウンシルもそれを保障するためにヨーロッパで生み出された制度だと思います。
もし都市の魅力というのなら、東京は創造と鑑賞の自由が保障された都市であること、多様な文化や価値観を尊重し、受け入れる都市であることが芸術文化振興の大前提であるとともに、大きな魅力となるのではないでしょうか。
東京に住む人を初め、まち中に自由な雰囲気がみなぎっていることは、芸術家を引きつけますし、逆に見た目は美しいものに彩られていても、どこか息苦しいまちは文化都市とはいえないというご意見を、私も都民の方からいただきました。文化ビジョンにもそのことを書き込むなど、ぜひ重視していただきたいと思います。  そうした点で、都美術館の展示作品への介入などは、私も昨年質問させていただきましたが、あってはならないし、また、舛添知事も言及されていましたけれども、ヘイトスピーチなどを容認するまちであってはいけない。  お互いの権利を尊重する、少数者も含めた異文化、多文化を理解し、尊重する都民の世論と気風をつくり上げることが重要だということを指摘しておきます。
また、芸術家がイベントに限らず、持続的に活躍していける東京にすることも求められています。アーティストの中には、質の高い活動をしながら生活が厳しいという方もいます。
素案の中にビジネスチャンスを提供という言葉がありますけれども、芸術をビジネスと結びつけるのも一つの方法ですが、公的支援が必要な文化もあります。表現の自由とも関係していきますが、ビジネスを意識すると、大衆に受け入れられやすいものばかりになる可能性もありますし、鑑賞する側もビジネスに役立つものばかり押しつけられるという結果になることは不幸です。
制作場所や練習場所の支援としては、現在、日本橋高校の跡地に一つつくられていますけれども、ふやしてほしいという要望も伺っています。
芸術家のための住宅の提供なども一つの形かもしれません。芸術家が継続して活動に打ち込める環境への支援もお願いしたいと思います。
また、発表の場の確保という点では、芸術文化の発表の場をどうやって確保するのか、このことも大変重要です。

◆劇場、ホールの閉館問題について

その一つとして、今、都内で大変心配されているのが劇場、ホールの閉館問題です。
演劇や音楽、バレエなどの舞台芸術に欠かせない劇場、ホールの閉館が相次いでいます。
東京ではこの10年間、新宿西口にありました朝日生命ホール、文京区にありました三百人劇場、新宿コマ劇場とシアターアプル、シアタートップス、これも新宿です。東京厚生年金会館、カザルスホール、前進座劇場、ルテアトル銀座などが閉館しています。今月末には1駄ヶ谷にある室内楽の聖地といわれております津田ホール、これが、閉館が決まっております。また9月には、ゆうぽうとホールの予約が停止になります。
決して必要とされなくなって閉館したわけではなく、建物の老朽化や耐震改修の費用の捻出が難しいとか、劇場を所有している企業の経営全体の中での判断とか、それぞれの事情はありますが、本当に惜しまれながらの閉館なのです。
昨年秋には、新宿南口の紀伊國屋サザンシアターで日本劇団協議会が存続を願う嘆願運動を行っています。
多様な舞台芸術、表現の発表にはそれぞれの条件を満たす劇場が必要です。文化芸術の発展のためには、民間施設も含めた文化芸術団体の発表の場、また都民の鑑賞の場として大切にしていくことが重要だと考えますが、都の見解を伺います。

○鳥田文化振興部長 都は、東京文化会館や東京芸術劇場といった東京を代表するホールで質の高い公演を都民に提供するとともに、アーツカウンシル東京による助成や都民芸術フェスティバル、東京文化発信プロジェクトなどの実施により、芸術文化団体に発表の場、都民に鑑賞の場を提供してまいりました。
今後も引き続き都民が創造、発表できる舞台や鑑賞の場を提供してまいります。

○里吉委員 発表の場、鑑賞の場を提供しているとのお答えでした。それも重要ですが、実際に民間のホールの閉館により、発表の場が失われる、(発言する者あり)どこに確保できるのかが大問題になっている劇団なども……

〔発言する者多し〕

○小竹委員長 お静かに願います。

○里吉委員 たくさんあるのです。
劇場は、舞台と観客があればよいというものではありません。照明や音響、舞台機構などの維持管理だけで年間数1万円は必要で、施設を年間フル稼働させても、収支はとんとんとのことです。

(発言する者あり)

ある演劇関係者は、公演する劇団の経営も大変なので、できるだけ安く貸し出したいが、そうすると劇場の経営が成り立たない、せめて税制面での優遇措置があれば助かると述べています。  民間の劇場……

〔発言する者あり〕

○小竹委員長 お静かに願います。

○里吉委員 ホールは商業施設扱いで、固定資産税などの減免もありません。一定の条件を満たす劇場やホールを文化施設と認め、主税局などともぜひ協議をして、固定資産税の減免をしていただけるよう提案したいと思います。
また、施設の改修や舞台装置などの発達も日進月歩ですから、その高度化に対応するための支援なども重要だと思いますので、ぜひ検討をお願いします。
この文化ビジョンには、都民はたくさん、さまざまなバレエですとか音楽、そういうものを子供のころから習っている子供たちがたくさんいる、こういうことが書かれておりましたが、その子供たちのバレエの発表の場がなくなってしまっている、こういうことで、ゆうぽうと、ここが大変人気があったということで、9月にこれが閉館してしまうということで、これは新聞で報道されておりました。そういう意味では、ぜひ東京都としてできる対策がないのか検討をしていただきたいと思います。
また、施設という点では、都立の芸術文化施設は23区に集中しています。多摩地域には、江戸東京博物館のたてもの園があるだけです。多摩地域にも、都立の芸術文化施設が必要だという要望もございますので、ぜひ検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○濱田文化施設改革担当部長 東京には国公立、民間によって設置された博物館や美術館、劇場などの文化施設が数多く存在しております。都立文化施設は、首都東京全体の広域的な観点に立って、都民の教養、学術、文化の発展や文化の振興に寄与することなどを目的に、それぞれ設置条例を制定し、都内各地に各施設を配置、整備してきたものでございまして、東京の歴史や芸術文化の未来への継承、芸術文化の創造発信拠点、教育普及などの役割を果たすとともに、地域の特性とも連携した事業を展開してまいりました。
都立文化施設の設置につきましては、このような観点から行うべきものと考えております。

○里吉委員 都立文化施設の設置の考え方のご説明をいただきました。文化施設の必要性については、時代の発展とともに変化、発展するものだと思いますので、ぜひご検討をお願いしたいと思います。

◆都として文化の蓄積について

次に、文化の蓄積について伺います。
東京が文化的に発展していくためには、文化の蓄積も大切です。素案には、東京都美術館のリニューアルオープン記念として開催されたマウリッツハイス美術館展、世界でも最も来場者が多かったイタリアのウフィツィ美術館の78万9241人に次ぐ75万8266人を記録との記述がありました。
都美術館の展覧会に76万人近い方が訪れたということは、大変すばらしいことだと思いますが、これは企画展なんですね。オランダのマウリッツハイス美術館、ここでは収蔵品を見ることができるということで、皆さん訪れているわけです。
こうした企画展、オランダに行かなくても東京で世界のすばらしい美術を鑑賞できる企画展ももちろん大変重要ですが、その美術館自身が所有している収蔵品が大きな魅力となって高く評価され、世界中からたくさんの人々が訪れる美術館、こうした美術館を目指して、東京の美術館自身も魅力を高めていくことが重要ではないかと考えます。
東京でも、現代美術館や写真美術館など、今ある美術館の収蔵計画を拡充するとともに、すぐれた作品を後世に残すために、東京都がどのような役割を果たすのか、この機会に検討することも必要ではないかと考えますが、都の見解を伺います。

○濱田文化施設改革担当部長 都は、写真美術館、現代美術館、江戸東京博物館におきまして、各施設の設置目的にのっとり、すぐれた芸術作品や歴史的資料の未来への継承、東京の芸術文化や歴史の内外への発信、若手作家への支援、施設の魅力向上等の観点から収集方針を定め、これに基づき計画的に収蔵品を購入しております。
今後ともこの収集方針に基づきまして、各施設において資料や作品の購入を計画的に続け、収蔵品の充実に努めてまいります。

○里吉委員 ぜひ収蔵品の充実に努めていただきたいと思います。
また私は、有名な絵画を買いあさるというようなコレクションの収集を求めているわけでは決してありませんが、東京ならではの役割などについて、この機会に検討していただきたいと思います。
次に、芸術文化を支える学芸員などの育成の支援も重要だと思います。
美術館や博物館などで作品や資料の収集や保管、展示、さらに調査研究などを行い、芸術文化の創作活動、また鑑賞活動を支えているのが学芸員の皆さんです。
どんな作品を購入し収集するか、また作品をどのような形で展示し、来館者に見せていくか、どんなテーマで企画していくかなど、専門家の立場から検討し、実際の収集活動や展示活動などを行っています。
都立文化施設を運営している東京都歴史文化財団の学芸員の正規職員、契約職員、非常勤職員はそれぞれ何人なのかお伺いをいたします。

○鳥田文化振興部長 歴史文化財団における学芸員の内訳についてでございますが、平成27年3月1日現在で固有職員60名、常勤契約職員30名、短時間契約職員9名となっております。

○里吉委員 調査研究の蓄積やコレクションの形成、その文化施設ならではのカラーをつくっていくこと、他の文化施設との関係づくりなどのためには、同じ施設に長期間継続して同じ学芸員が勤務していることが必要です。
学芸員は、正規職員として雇用することが重要だと考えますが、都の見解を伺います。

○鳥田文化振興部長 歴史文化財団は、指定管理者として、江戸東京博物館、現代美術館、写真美術館など、それぞれ独自の専門性を持つ美術館、博物館を運営しております。
美術館、博物館、ホールの学芸員の専門性の高さやキャリアプラン、海外との人材交流の観点などから、正規職員だけではなく、多様な雇用体系の確保が必要であります。

○里吉委員 指定管理者制度などで契約期間が区切られて、同一の事業者が長期に運営することが難しい、学芸員も安定的に雇用することができない、文化施設の質にも影響するということで、例えば指定管理者などは文化施設や図書館にはなじまないと指摘されているわけですね。
東京都はこの点を配慮していると認識しておりますけれども、江戸東京博物館などもかつてはもっとたくさんの正規職員の学芸員さんがいらっしゃいました。改めて、学芸員の育成と雇用の安定も重視していただきたいとお願いをしておきます。
このテーマの最後に、東京文化ビジョンの実現に向けて伺ってまいります。
知事は記者会見の中で、今後はこの東京文化ビジョンの実現に向けて、全員参加による取り組みが必要でありますので、芸術文化を多くの都民とともにつくり上げるための仕組みを検討したいと述べております。
また素案では、さまざまな主体と大胆なパートナーシップによる全員参加体制の構築について、相互の意見交換が可能な環境を日常の身近な場所やインターネット上につくっていくとありますが、都と関係を持っているさまざまな芸術文化団体との懇談や、それ以外の広くさまざまな活動をしている都民との意見交換の場をどのように具体化するのか、東京都からも広く積極的に呼びかけて、多様な声を酌み上げる仕組みをつくることが必要だと考えますが、都の見解を伺います。

○鳥田文化振興部長 文化ビジョンの実現に向け、国、自治体、企業、教育機関、アーティスト、芸術文化団体等、さまざまな主体に幅広く呼びかけ、官民一体となった文化戦略を推進するための仕組みづくりを今後進めてまいります。

○里吉委員 まだ素案の中には具体的なものが見えてこないんですが、意見交換はインターネット上だけに限らず、例えば知事と語る会のような場も一つの案でしょうし、公募委員さんのような形で参加者を募ることも考えられると思います。
文化の担い手はさまざまで、著名な方や超一流といわれるプロの意見ももちろん重要ですが、専ら鑑賞を楽しんでいる都民、アマチュアで創作活動を行っている方の意見も重要です。
全ての都民の豊かで文化的な生活と多様な芸術文化の取り組みを保障し合えることのできるよう、ビジョンの実現を図っていただくことをお願いし、次の質問に移ります。

◆私立専修学校の授業料補助事業について

最後ですが、私立専修学校修学支援実証研究事業補助について伺います。
この事業は、経済的に修学困難な専門課程の生徒に対し、授業料の一部を補助するものです。私立専門学校生への授業料を補助するという国の支援は初めてのことで、画期的なことだと思います。
まず、この国の制度の目的と概要について伺います。

○武市私学部長 国は、専門学校生への効果的な経済的支援のあり方に関する実証研究事業といたしまして、意欲と能力のある専門学校生が経済的理由により修学を断念することがないよう、専門学校生に対する経済的支援策について総合的な検討を進めるため、実証的な研究として経済的支援及びその効果検証等を行うとしています。
このうち経済的支援については、都道府県への委託が予定されていることから、都は、私立専修学校修学支援実証研究事業費補助を27年度予算に計上しております。

○里吉委員 この事業の対象となる専門学校というのはどのような条件なのか、また都内にはおよそ何校ぐらいあるのかお伺いします。あわせて、経済的な支援だということなんですが、どれぐらいの減免が受けられるものなのか、概要がわかればあわせてお伺いしたいと思います。

○武市私学部長 対象となる学校の要件には、生徒への学校独自の授業料減免を実施していること、授業料等負担軽減に関する情報を公開していること、学校評価など質保証、向上に関する取り組み等を行っていることが挙げられておりますが、国からはこれらの詳細が示されておらず、都内の学校数については把握しておりません。
また、補助率についてでございますが、そちらもまだ示されておりません。

○里吉委員 まだ正式なものはおりていないということだと思うんですけれども、私がインターネットで見ましたところ、国は該当生徒に対し、学校が実施した授業料等減免額を基礎として算定した金額の2分の1以内を支援するということでした。
全国の専門学校は2811校、学生数は58万7000人、約2割の高等学校卒業生が専門学校に進学をしているといわれております。
都内30校、40校といわれる専門学校が対象になると思うんですけれども、これから把握するというご答弁でした。
では、この事業を行うに当たって、都内の私立高校生の現状、特に経済的困難で修学が難しい学生への支援を行うということですから、経済的な実態がどのようになっているのか、都としては調査を行っているのでしょうか、伺います。

○武市私学部長 先ほど答弁申し上げましたとおり、実証研究事業は経済的支援及びその効果検証等から成り立っておりまして、この事業の中で現状の調査も行うことになっております。

○里吉委員 国では、昨年8月に専修学校生への経済的支援の在り方について(中間まとめ)というのが出されました。それを読みますと、さまざまな調査が行われています。
家庭の年間収入が30万円未満の学生数の割合は、大学生が8・7%に対し専門学校生が17・4%、専修学校で学ぶ学生は、同じ年齢層の生徒、学生が学ぶ学校種と比べて低所得層の者が多いこと。
一方、学費は、平均納入金が私立大学が約132万円、私立短期大学が112万円に対して、私立専門学校は平均110万円、平成25年度の平均だそうですけれども、ほとんど変わらないということなんですね。
また、専門学校はカリキュラムが大変多いので、朝早くから夕方まで授業がある、こういうことで、専門学校生にとって、夜間や休日のアルバイトで生活費を賄うという現状は、学習時間の確保という点で大きな課題を残していると、この中間まとめでは指摘をしておりました。
専修学校の中退者はわずかであるが増加している、経済的理由は約1割、平成24年の実績で日本学生支援機構の奨学金を受けている割合が大変大きいと。貸与対象家庭、日本学生支援機構からお金を借りることができる専門学校に通っている子供たちが全国で53万人いるそうですが、そのうち20万人の学生が奨学金を借りている、3人に1人借りている、こういうことが載っておりました。
なぜこういう結果が出るのかということについても、家計が苦しいからこそ、資格などを得て働きたいという学生が多いのではないかという分析をしていて、私もなるほどと思いました。
子供の貧困が社会問題となっている中で、貧困の連鎖を断ち切るためにも、経済的理由で意欲と能力のある専門学校生が修学を断念することのないよう支援することが今緊急に求められています。
この中間のまとめでは、専門学校生への経済的支援に係る国、地方公共団体、学校の役割という項目の中で、都道府県は、専門学校の設置認可権を有する所轄庁であり、専門学校は地域にとっても有用な人材の育成を行い、産業等の政策とも関係していることも踏まえ、都道府県が一定の役割を果たすことが期待される。したがって、国においては新たに講ずる専門学校生への経済的支援については、専門学校が授業料減免を行うことを前提としつつ、実施に当たっては、国、都道府県及び学校が適切に役割を果たしていくことが求められる。これは国の、さっきいいました中間のまとめに書いてある言葉です。
国の動きもまだ不透明で、実証研究事業費補助となっていますが、この国の動きに対して、私立専門学校生への授業料補助など、しっかりと制度化することを求めるべきだと思います。  また、国の支援額に上乗せをして、都としても補助することも検討すべきだと考えますが、あわせて都の見解を伺います。 ○武市私学部長 専修学校専門課程は、大学、短期大学と並ぶ高等教育機関としての役割を果たしており、大学等と同様、国の責任において補助を行うべきであります。
都は、補助制度の創設、実施について、既に国に対して要望しております。 ○里吉委員 国に対しては制度をつくるよう要望しているということでしたが、この基本は、まず専門学校が経済的理由による授業料減免制度を設けていることが大前提になるわけですね。
国の調査ですと、経済的理由による授業料減免制度を設けている学校は、全体の4分の1ということでした。これをぜひ広げてもらうように学校側に働きかけることや、高校生にもこういう制度を持っている専門学校があるということを広く周知することも重要だと考えますが、いかがでしょうか、都の見解を伺います。

○武市私学部長 実証研究事業の実施に当たり、その目的や内容について専修学校へ周知を行いますが、そもそも授業料減免制度を創設するかどうかは、各学校の設置者が判断すべきことであり、その周知についても同様です。

○里吉委員 国がこれから実証実験ということで行うわけですが、その裾野を広げるために、東京都としてでき得る情報提供をぜひしていただきたいと思います。
学校の判断というお答えでしたけれども、東京の子供たちの修学支援につながるわけですから、ぜひ経済的減免制度を進める立場で情報提供を行っていただきたいと思います。
意欲と能力のある専門学校生が経済的理由で修学を断念することがないように、専門学校生向けに国が初めて授業料補助を行うという制度ができるかどうかということで、実証実験は3年間行われるそうです。
私が先ほど読み上げました専修学校生への経済的支援のあり方について、この検討委員会はことし3月31日に終了する予定でしたが、3年間延期をして、この実証実験の結果を見て、そして国としても判断していくということでしたから、私も文部科学省の担当者の方と電話でお話をさせていただきましたけれども、東京都としても手を挙げてこの事業を行うということでありますから、ぜひ都として、国にも再度この制度が実現するように要望していただきたいということを求めまして、質問を終わります。