文教委員会速記録第5号

2015年都議会文教委員会での論戦都議会質問

◆教員の多忙化、健康管理の問題について

○里吉委員 それでは、まず、私からは、昨年の事務事業質疑でも伺いましたが、教員の健康管理の問題、多忙化の問題について伺います。
子供たちの豊かな学びを保障するために、教員の多忙化、長時間労働、そして精神疾患も含む病気休職者数の高どまりは早急に解決が求められる問題です。
教員の長時間労働は、OECDの調査でも、参加国34カ国中、日本が最長、参加国平均の1・4倍ということでした。
前回の質問では、健康診断やストレスチェック、校務改善推進プラン、また、精神疾患で休職中だった教員の職場復帰と、再び休職することのないよう、防止のための取り組みを行っているリワークプラザ東京などについて伺いました。都立高校の業務の縮減や精査、改善を図るための調査を行っているということも伺いました。
さまざまな努力をされているということを伺ってきたわけですが、都教育委員会として、都立学校で働く教員一人一人の勤務実態について調査すべきではないかという質問に対しては、勤務時間を管理、把握するのは学校長の責任で、適正に把握、管理されているというお答えでした。  しかし、実際には、学校長といえども、一人一人の教員がどれくらい働いているのかということはつかめていないと思います。校長が把握するというのであれば、例えば、タイムカードなどを使ってできるのではないかと思います。
そこで伺いますが、都立学校の教員の勤務実態をタイムカードなどで把握しない理由は何なのか伺いたいと思います。

○粉川人事企画担当部長 都教育委員会は、服務監督権者である校長に対し、所属職員の勤務時間の適正な割り振りと運用に万全を期すよう通知を発出し、校長、副校長はその通知に基づき、教員の勤務実態の適切な把握、管理に努めております。
なお、教員の職務は、自発性、創造性に期待する面が大きいため、タイムカードなどによる時間管理の手法だけでは、教員一人一人の勤務実態を全て正確に把握することは困難であり、各学校では、校長等が校内巡回や教員への声かけなどにより、所属教員の勤務実態の把握に努めております。

○里吉委員 これは前回も申し上げたことなんですけれども、労働安全衛生法、教員も対象になっているわけですが、ここでは教員についても労働時間の適正な把握を行うよう通達が出されています。
また、厚生労働省は、過重労働による健康障害防止のための総合対策を推進していますが、ここでは、時間外労働が月45時間を超えているおそれがある現場に対して指導しなければならない、このようにあります。
教員の勤務実態は、学校内勤務だけではないかもしれませんが、少なくとも一人一人の教員が1カ月どれだけ学校内で働いているのか、時間外労働がどれくらいなのか、これはつかんでみなければわからないのではないでしょうか。いかがでしょうか。

○粉川人事企画担当部長 先ほどもご答弁いたしましたが、教員の職務は、自発性、創造性に期待する面が大きいため、時間管理の手法だけでは、教員の勤務実態を全て正確に把握することは困難でございます。  なお、校長は、常に所属教員の勤務状況の把握に努め、疲労の蓄積が認められ、健康上の不安を有する教員に対しましては、産業医による面接指導の申し出を行うよう勧奨することとしております。 ○里吉委員 校長というのは、その職場で教員の健康管理の責任者という役割も担っておりますから、その点では、今お話しされた健康上の不安を有している教員に対して、産業医による面接指導をしっかりと勧める、そういうことは取り組んでいただきたいと思います。
しかし、校長とそこで働く教員との関係もさまざまございます。また、教員一人一人がどれだけ働いているのか、それが顔に出る方もいるでしょうし、出ない方もいらっしゃるんじゃないかと思います。それだけでは正確な労働時間はつかめません。
先ほどお話ししましたOECDの調査、ここで出された教員の労働時間は、たしか中学校の教員の方だったと思いますが、週53・9時間といわれていました。単純に計算しますと、4週間掛けて時間外労働を割り出しますと、55・6時間というふうになるわけです。実際、都立高校の教員の皆さんの労働実態もこれに近い結果が出る可能性もあるのではないでしょうか。
改めて、まずは都立高校の教員の勤務実態は、学校で勤務している時間を把握して、健康管理に責任を持つ、この取り組みを早急に検討していただきたいということを要望しておきます。

◆教育委員会制度の改革にかかわる条例改定について

次の質問に移ります。
次は、教育委員会制度の改革にかかわる条例改定についてです。東京都教育委員会組織条例の一部を改正する条例を初めとする国の地方教育行政法の改定による教育委員会制度改革に伴う条例改正案について伺います。
昨年の国会における教育委員会制度改革にかかわる地教行法の改定では、教育委員会の独立性が焦点になりました。国や首長による教育内容への政治介入を許すことなく、教育委員会の教育の自主性を守るべきだという大きな世論が巻き起こり、日本弁護士会を初め、さまざまな団体が意見書などを上げました。
その国会の中で文部科学省は、教育委員会制度発足の3つの根本方針は、法改正によっても変わらないと答弁しています。この3つの根本方針とは、一つ、中央集権でなく地方分権、2つ目、民意の反映、レイマンコントロールといわれています。3つ目、一般行政すなわち首長からの独立、この3つです。これに間違いがないか確認したいと思いますが、いかがでしょうか。

○白川教育政策担当部長 平成26年4月16日の衆議院文部科学委員会において、文部科学省から、教育行政の地方分権、教育委員会の地方公共団体の長からの独立性、住民の意思の反映については、基本的には変わらないとの答弁がございました。 ○里吉委員 地方分権、民意の反映、首長からの独立、この3つの根本方針は、基本的に変わらないというご答弁をいただきました。
木村教育委員長が会長を務めております全国都道府県教育委員長協議会、それから、比留間教育長が会長を務めております全国都道府県教育長協議会、この2つは、今回の教育委員会制度改革に当たり、国に対して、現行の教育委員会制度は、教育の政治的中立性と継続性、安定性の確保、多様な意見の教育行政への反映という観点から、極めて重要な役割、機能を果たしてきた。見直しに当たっては、この役割、機能が損なわれることがないようにしていただきたいと求めてきました。
都教委としても、教育委員会の役割としてこの観点が重要と考えているということでよろしいでしょうか。また、法改正後もこの教育委員会の役割、機能は変わらないと考えてよろしいでしょうか。あわせて伺います。

○白川教育政策担当部長 今般の地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正後におきましても、教育の政治的中立性、継続性、安定性を確保するため、教育委員会は引き続き執行機関として存続しており、また、教育行政における教育委員会の職務権限に変更はございません。

○里吉委員 ちょっとわかりにくいお話になっていると思うんですが、今おっしゃった教育委員会の職務権限というのは、地方教育行政の組織及び運営に関する法律、地教行法の第23条で規定されている教育委員会が管理し、執行する事務の内容のことに変更はない。つまり、教育委員の集まりである教育委員会が教育行政の最高意思決定機関であるということに変わりはないということを確認しておきたいと思います。
ちなみに、地教行法の第24条では、地方自治体の長の職務権限が定められています。4月以降も教育行政に関する両者の職務権限に変更はない、例えば教育委員会の権限の一部が首長に移るなどということはないことも確認しておきたいと思います。
そして、都道府県教育委員長協議会のいう教育の政治的中立性と継続性、安定性の確保、多様な意見の教育行政への反映というのは、地方教育行政制度の趣旨である教育の自主性、自立性を維持し、子供の教育を受ける権利の充足を図るときに必要なものであって、それを保障する教育委員会制度の役割の重要性と権限は変わらないということで、これは大変重要なことだと思います。
そして、この地教行法の改正では、新たに自治体の教育の目標、施策の根本的な方針を示す大綱の策定を、東京でいえば都知事に義務づけました。都知事は、これから教育委員会が参加する総合調整会議を設けて、そこで大綱の策定や教育の条件整備などについて協議をすることになります。
大綱は本来、教育委員会と首長が対等な関係で共同し、住民参加のもとで策定するべきものです。この点で、文部科学省が昨年7月に出した地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律についてという通知、ここでも大綱の策定に地域住民の意向のより一層の反映を図ることを位置づけております。ぜひ都教委の皆さんにも、この方向で努力していただきたいと思います。
ここで確認しておきたいのは、首長と教育委員会の教育についての意見が一致しない場合、4月以降、知事が大綱を定めることになりますが、知事が教育委員会と調整のついていない事項を大綱に記載した場合は、教育委員会はそれを尊重しなければならないのかどうか伺います。

○白川教育政策担当部長 東京都におきましては、これまでも知事と教育委員会との間で緊密に連携協力しながら教育行政を進めておりまして、ご質問のような事態が生じることは想定しにくいと考えております。
万一、教育委員会と調整のつかない事項が大綱に記載されるというようなことがあったといたしましても、先ほどお話しの平成26年7月17日に文部科学省から発出された通知によりますと、教育委員会は、当該事項を尊重する義務を負うものではないとされております。 ○里吉委員 知事が教育委員会と調整がついていない事項を大綱に記載した場合は、尊重する義務はないということを確認しました。
教育に関する事務の執行機関は変わらず教育委員会が持っているので、教育委員会が独自に判断するということです。
最近でも、大阪市の橋下市長が求めた教職員への思想信条に係るアンケート、この調査を、大阪市教育委員会が拒否を決定するということがありましたが、こうした権限は4月以降も変更がない。もし、知事が理不尽な介入をしようとしたときに、必ず従う必要はないということを確認させていただきました。
首長が任命する新教育長も、合議制の教育委員会の一員ということでは何か強い権限を持っているわけではありません。教育委員会の多数決の決定に従って仕事をするよう、みずからを戒めるように求めておきたいと思います。
総合教育会議も首長と教育委員会の対等、平等な協議体であって、緊急な場合に首長と新教育長の2人で会議を開く場合も、先ほどの文科省の通知にもあるとおり、新教育長は教育委員会の意思に拘束されることも確認しておきたいと思います。

◆教育委員会の活性化について

次に、教育委員会の活性化について伺ってまいります。
教育委員会が冒頭申し上げました3つの根本原則、地方分権、民意の尊重、首長からの独立という根本原則にのっとって教育行政に当たるためには、住民の教育への願いや要求を吸い上げて活動する住民自治の機関として組織を活性化させることが改めて重要です。
そうした点でいえば、都教委も改善すべき点があるのではないか。その一つが請願への対応です。
教育委員会に請願をしても、教育委員会の会議で審議されないというのは、都民にとって本当に納得できないという訴えを幾つも伺っております。都民の声を受けとめるためには、請願は事項を一つ一つ審査すべきではないでしょうか。
また、都民からの要望は、東京都のほかの部局などが当然行っているのと同じように、担当課の職員が直接話を聞くことを基本とするべきだと思いますが、見解を伺います。

○白川教育政策担当部長 都教育委員会に提出された請願につきましては、東京都教育委員会請願処理規則、同請願取扱要綱及び東京都教育委員会事案決定規程に基づきまして、教育委員会決定とされる特に重要な事項は教育委員会に報告し、決定しております。
また、既に教育委員会で決定された基本方針に基づく事項につきましては、同請願取扱要綱及び同事案決定規程に基づきまして、主管課におきまして当該事案について決定権限を有する者が適正に処理をするということになっております。
主管課におきまして処理した請願につきましては、都民の声とともに、件数及び主な内容を定期的に教育委員会に報告しております。
また、同請願取扱要綱に基づき、広聴を所管する総務部教育情報課を窓口といたしまして、請願者から請願の趣旨やご意見、ご要望を十分に聴取し、その内容を文書に取りまとめ、請願書とともに事業の主管課に送付しておりまして、請願者の意図は主管課に適切に伝えているところでございます。

○里吉委員 主管課にちゃんと伝わっているというんですけれども、都民の側からすれば、ほかの都庁の部局では、自分の話をしたいそこの担当の課長さんとお話ができる。しかし、教育庁に来ると、そこの担当の課長さんは多分一番話がよくわかっている方だと思うんですが、その方は出てこないで、とにかく話を承りますと、後で文書でお返事が来ますという形なんですね。
これはぜひ、教育長さんがその気になれば変更できることだと思いますので、変えていただきたいと思いますし、教育委員会で決まっている方針も改善の必要があれば、それは改善するべきではないでしょうか。
請願が、必要な改善を求める合理的な理由のあるものであっても、現在の処理方針では、教育委員とは関係ないところで、事務方で、これは現在こういう方針になっておりますと回答して、これでおしまいになっているんですね。これでは住民に開かれた民主的な制度とはいえないんじゃないでしょうか。
改めて教育委員会に今、光が当たっております。教育委員会のあり方、本当に住民に開かれた教育委員会となるよう改善を求めたいと思います。
また、文科省の通知では、教育委員会会議をより多くの住民が傍聴できるようにすることが望ましいとしています。現在、都教育委員会は、どんなに傍聴希望者が多いときでも抽せんで20名しか傍聴はさせません。希望者が多いときには会議室を変更するなどの対応も含めて、より多くの人が傍聴できるような改善を図ることを求めますが、いかがでしょうか。

○白川教育政策担当部長 都教育委員会は、東京都教育委員会会議規則におきまして、会議の傍聴人の定員を20人と規定しておりますが、会議の内容は、非公開と決定したものを除きまして、ホームページに会議録として掲載するなど、委員会活動を広く都民に公開することに積極的に取り組んでおります。
傍聴人の定員をふやすことにつきましては、教育委員会室の施設的制約から現状では困難でございます。

○里吉委員 だから、施設的なものが難しいということですから、毎回ではないです。本当に希望者が多いと予想されるときには部屋を変えることも含めて、希望者が多いときにはふやして傍聴できるようにする、こういう対応が必要じゃないでしょうか。
毎回20人以上の希望があるわけではありませんから、教育委員会の部屋が狭いという理由だけでそれを拒むというのは、開かれた教育委員会を目指そうという立場とも違うんじゃないかなというふうに思います。ぜひこれも検討していただきたい、実行していただきたいと思います。
それから、開かれた教育委員会の実現のためには、教育委員と学校関係者や保護者、地域住民との意見交換の場を設けることも効果があると考えますが、見解を伺います。

○白川教育政策担当部長 都教育委員会ではこれまでも、東京都教育の日などの機会を利用いたしまして、教育委員が授業や学校行事等を視察する際に、校長などの教職員や児童生徒、保護者のほか、地域住民と広く意見交換を行っているところでございます。
また、いじめといった重要な課題につきましては、大学の教員などの有識者から専門的な意見を聴取するとともに、課題の解決に向け、有識者との議論、討論を行っております。
今後とも、学校関係者のみならず、保護者や地域の住民等の意見を幅広く聞きながら、都の教育行政を推進してまいります。

○里吉委員 今、学校関係者のみならず地域住民等の意見もしっかり聞きながらというご答弁でしたから、今後とも、ぜひそういう立場で学校関係者、そして地域住民の意見を聞いていただきたいと思います。
あわせて、教育についていろいろ関心がある方が教育委員会に請願などをしているわけですから、その対応についても改善を求めておきたいと思います。
また、文部科学省の通知では、新教育長の留意事項に、新教育長の資質、能力を十全にチェックするために、例えば、候補者が所信表明を行った上で審議を行うなど、丁寧な手続を経ることも考えられるというふうにしています。
現在の教育委員は、知事から提案があり、質疑などもなく議決されていますが、新教育長の任命と同意に当たっては、所信表明と質疑の機会を設けることなども民意の反映の一つとして提案したいと思います。
今回の教育委員会制度改革の議論では、国や首長による教育内容への政治介入を許すことなく、教育委員会の教育の自主性を守るべきという大きな世論のもとに、教育委員会制度と、その権限は変更されることなく存続しました。
都教育委員会においては、その意味を深く受けとめて、教育の自由と自主性を守り、子供の教育を受ける権利、豊かに成長する権利を重視する立場から、東京の教育を推進していただくことを求め、この質問を終わります。

◆特別支援学校での障害者スポーツの振興について

次に、特別支援学校での障害者スポーツの振興について伺ってまいります。
東京都長期ビジョンでは、都立特別支援学校における障害者スポーツの振興として、障害のある児童生徒のスポーツ教育推進校を地域におけるスポーツ活動の拠点の一つに位置づけ、卒業生を初めとした地域の障害のある人々が障害の種類や程度に応じて、生涯にわたりスポーツに親しむことができる環境を整備していくとしています。特別支援学校を地域の障害者スポーツ活動の拠点に位置づけるということは本当に重要だと思います。
そこで、来年度から実施する予定の都立特別支援学校におけるスポーツ推進事業では、どのような取り組みを進めようとしているのか、まず伺います。

○金子指導部長 都立特別支援学校におけるスポーツ教育推進事業では、来年度、特別支援学校10校を推進校に指定し、障害のある子供のスポーツ体験の拡充や競技力の高い選手の育成、障害者スポーツを通じた近隣小中学校との交流、地域の障害者スポーツ団体への施設開放の促進などに取り組んでまいります。
こうした取り組みにより、東京パラリンピックに向けて、特別支援学校を地域の活動拠点の一つとして、障害者スポーツの振興を図ってまいります。

○里吉委員 特別支援学校10校を推進校に指定して取り組みを進めていくということで、障害のある児童生徒のスポーツ教育推進校は、来年度は10校、長期ビジョンによれば、2020年までに30校指定すると。そこを地域における障害者スポーツの一つの拠点としていくというお答えでした。
特別支援学校を地域の拠点に位置づけることについては、障害者の皆さん、それから障害者を支えて活動している皆さん、大変期待していらっしゃいます。オリンピック・パラリンピックを機に、自分たちのスポーツ要求に光が当たって位置づけてもらえたということで、大変喜んでいらっしゃいます。  というのは、現在、障害者スポーツセンターは、都立のセンターが北区と国立市に一つずつあるだけで、区市町村のスポーツ施設、少しずつ開かれてまいりましたけれども、必ずしも障害者のスポーツに対応できるわけではありません。  そこで、東京都が障害者スポーツに本腰を入れて拠点を整備してくれると長期ビジョンで発表されたということで、しかも、2020年までに30カ所だということで、結構これで身近なところでスポーツができるかもしれない、こういう期待の声を幾つも聞いております。
それで、具体的に伺ってまいります。障害者スポーツ団体への施設開放を行っているということですけれども、現在、都立特別支援学校ではプール開放事業を行っていると思いますが、これは現在どういう実績か伺います。

○前田地域教育支援部長 特別支援学校では、障害者を対象にプール開放事業を実施しております。平成26年度は、27校において208回施設開放を行っております。

○里吉委員 27校、208回ということですから、平均1校当たり7、8回だと思います。これは、プール開放事業は具体的にはどのように実施しているんでしょうか、伺います。 ○前田地域教育支援部長 夏季休業期間中において、都内在住、在勤等の障害者団体を対象に、利用希望を踏まえ、プール施設を開放しております。

○里吉委員 夏季休業期間中ということなんですね。現在行っているプール開放事業も大変大事な事業だと思いますが、地域の拠点に位置づけるというのであれば、さらなる拡充が必要だと思います。
プールというのは障害のある方に大変人気のスポーツです。重度の障害があっても、水の中なら浮力がつきますし、体の緊張がとれるので、ふだんよりずっと自由に体が動かせる。地上で車椅子に乗っていたときはとてもできないと思っていたことができたり、また、体を動かすので丈夫になって、体調を崩さなくなるなど、障害者の可能性を引き出し、健康にもいいと。
ところが、現在の特別支援学校のプールは夏しか入れないということなんですね。よく、保育園や小中学校のプールは、水温プラス気温が50度以上なら入れるということでありますけれども、肢体不自由の子供などは、水温がもう少し高くないと体が緊張してしまって入れないと。
最近は知的と肢体の併置校などもありますが、こういうところでは、プールの時間も天候に合わせて簡単には移動できないということで、その日に入れなければ次の週に入らなければいけないというケースもあって、1夏に2回とか3回しか入れない場合も少なくない。これはお母さんたちからも伺いました。そのため、特別支援学校の子供たちのためにも、プールを温水化してほしいという要望が出てきております。私たちも要望してきました。プールの深さも、一番深いところで120センチしかない学校もあるわけですね。
地域の拠点にするということで、地域の障害者の方にとっても、子供たちにとっても、このプールを例えば温水化して、年間通じて利用できるようにしたり、深さも可動式の床にするなど、小学生から大人まで対応できるようにするなど、改修も必要だと考えますが、いかがでしょうか、見解を伺います。

○前田地域教育支援部長 特別支援学校のプールは、在籍する児童生徒の夏季におけるプール指導で使用することを目的として設置しております。プールを含めた体育施設の開放事業は、地域の障害者の利便性に配慮し、既存の施設を有効に活用しながら進めてまいります。

○里吉委員 学校の施設だから、学校教育上支障のない範囲で都民に開放するということであれば、これまでのプール開放事業と変わらないんじゃないでしょうか。
私の住む世田谷区では、近くに温水プールがない地域の区立中学校4カ所が温水プールとして整備されています。夏は中学生が授業で使っているので、私たちは使えないんですが、逆に、夏の授業で使う期間以外は丸々地域に開放されています。特にそこのプールでは、高齢者の方などが水泳や水中ウオーキングなどで活用しておりまして、とても人気の施設となっています。
特別支援学校のプールも全部とはいいませんから、幾つかでも温水化して、1年通じて入れる、地域にもっと開放できるようにすることをぜひ検討していただきたいと思います。  地域の拠点とするということであれば、働いている障害者の方もおりますから、夜間とか土日に気軽に利用できることも必要です。そのためには、施設の適切な管理が求められます。
先日、葛飾盲学校を視察させていただいたときに、体育館を地域の方に開放していて、活発に利用していただいていると伺いました。もともと地域開放を想定して建てられておりまして、道路から学校の出入り口のすぐ横に体育館の出入り口があって、地域の方のための靴箱なども備えてあって、学校のほかの施設から切り離して、そこだけ開放できるようになっておりました。
反対側にやはり地域開放を想定した小さなホールもあったんですが、そこは校舎の一部であるため、気軽には、貸し出したいと思っても、セキュリティーなどの管理が難しいというお話を伺いました。
障害者の方がスポーツを楽しむために、こういった管理、セキュリティーもしっかりとして施設整備していくことが大事だと思うんですね。それから、用具を整備して管理する場所を確保したり、大人用の更衣室やロッカー、誰でもトイレ、周辺施設の整備も求められると思います。この点についてはどのように検討されているんでしょうか、見解を伺います。

○前田地域教育支援部長 体育施設の開放に当たりましては、学校の判断を踏まえ、地域の障害者が利用しやすいように施設や備品の整備等を行っております。

○里吉委員 ぜひ地域の方が利用しやすいようにお願いしたいと思います。
それから、障害者の方がスポーツを楽しむために、運営指導、ボランティアの体制などが整っていることも必要だと思います。健常者のサークルであれば、場所を貸すだけでもそれなりに楽しめると思いますが、障害者の場合はそう簡単ではありません。
障害のある方がスポーツを楽しむときに、毎回家族が付き添わなければいけないとなれば、家族の方も疲れてしまいますし、なかなか気軽に行けません。プールも本当に幅広い重度の方なども含めて、スポーツをしたい全ての障害者が利用できるようにするためには、マンツーマンの指導や介助の体制も必要になってくると思うんですね。
また、中途障害など、その特別支援学校の卒業生でない方にとっては、なかなかそこは敷居が高いという話も伺いました。こうした方々も特別支援学校のスポーツ施設を利用できるようにするには、そこに行けば対応してくれる指導者の存在、こういうのも重要だと思うんです。
特別支援学校を拠点としていくために、こうした人の体制も整備する必要があると思いますが、見解を伺います。

○前田地域教育支援部長 特別支援学校では、障害者が個人で参加してもスポーツを楽しむことができるスポーツ教室などの公開講座を実施しております。
また、障害者のスポーツ活動を支援できる人材を育成するため、ボランティア養成講座も実施しております。

○里吉委員 公開講座、昨年の実績を見せていただきました。私の地元世田谷区にある光明特別支援学校では、スポーツ活動とハンドサッカーと2つの公開講座が行われていました。2つ合わせて50人近い障害者の方が参加していました。
ほかの特別支援学校でも、ティーボール、フットベースボール、フットサル、文化とか芸術とかいろいろあるんですけれども、スポーツの分野でもさまざまな公開講座が行われていました。こうした取り組みもぜひ拡充していただきたいと思います。
ただ、長期ビジョンにこのことを書き込んだというのは、今やっていることを書いたわけではないと思うんですね。地域の障害者の皆さん大変期待しているんです。温水プール化など、特別支援学校の子供たちの教育の充実にもなるわけです。障害のある人が身近な地域でスポーツに親しめる環境の整備とうたっているわけですから、本当に喜ばれ、利用される拠点となるような検討を進めていただくよう改めて要望いたしまして、次の質問に移ります。

◆特別支援学校のスクールバスの契約について

次は、特別支援学校のスクールバスの契約について伺います。
特別支援学校のスクールバスについては、競争的な入札による単年度契約での運行がされるようになってから、毎年のように事業者が入れかわり、そのたびに一から子供たちの障害や特性を理解してもらって、信頼関係をつくっていかなければならないので大変だ。また、一部のスクールバス会社の質が余りにも低い、同じコースで年間何人もの運転手が交代する会社があり運行が安定しない、人権意識の薄い乗務員がいる、バス停を飛ばす、バスコースを間違うなどの問題が起きているなどの訴えを私たちの会派も保護者の皆さんから繰り返し伺ってまいりました。
無計画に落札した事業者が契約したものの、バスを用意できず、学校が急遽別のバス会社に臨時的にお願いせざるを得ない事態になったこともありました。
保護者の方々からは、安全運行や障害者理解など、乗務員の質を高める研修を都教委の責任で実施してほしい、落札価格がどんどん低くなっているが、安かろう悪かろうではなく、質を確保できる契約方式にしてほしいなどの要望があり、我が党としても研修の改善や総合評価制度の導入、保護者と事業者との意見交換の場の設置など、改善を求めてきたところです。
そして、ついに今年度は、昨年の夏から年末にかけて、10校、29コースのスクールバスが契約解除になり、急遽福祉タクシーなどを手配したり、先生や介護職員の方が同乗したりという事態になりました。この経過と対応についての説明をお願いします。

○松川特別支援教育推進担当部長 昨年7月末、契約したバス会社、事業者のうちの1社が経営不振に陥り、一部のコースにおいてスクールバスの運行に支障を生じかねないことから、当該コースの契約を解除した上で、新たな事業者と速やかに契約を締結し、新学期からスクールバスの運行を確保いたしました。
さらに、10月と12月にも当該事業者との契約を解除せざるを得ない事態が発生したため、新たな事業者によってスクールバスを運行するまでの間、福祉タクシーや代替バスを確保し、児童生徒への影響が最小限となるようにいたしました。

○里吉委員 経営不振によりバスのリースが引き上げられてしまい、運行できなくなったと伺っています。
子供たちやご家族の皆さんの負担はもちろん、学校の教職員の皆さんも早朝から勤務して福祉タクシーに添乗したり、また、都教委の皆さんも影響を最小限に食いとめるために大変ご苦労なさったと伺いました。やはり安定した質の高いスクールバスの運行を担保できるような契約方法の改善が必要だと私も強く感じました。
都教育委員会では、スクールバスの運行について来年度からはどのような契約方法にするのか、今年度に比べてどこを改善するのかを伺います。

○松川特別支援教育推進担当部長 来年度の肢体不自由特別支援学校のリフトつきバスの契約につきましては、入札価格に加え、安全運行や利用者サービスに対する取り組み等も審査の上、落札業者を決定する総合評価制度を導入しております。
また、リフトつきバスは、コースごとに定員や仕様が異なり、事業者が新たに車両を調達する際、車両の改造が必要となることから、事業者の投資的な経費負担を考慮して、3年間の長期継続契約もあわせて導入しております。
リフトつきバス以外のいわゆる観光型バスにつきましても、児童生徒の障害に配慮した接し方など、各社が主体的に実施する乗務員研修の年間計画や、事故、災害発生時における連絡体制と避難訓練計画の策定、提出を新たに義務づけいたしました。

○里吉委員 リフトつきバスの契約は総合評価制度を導入し、契約期間も3年間にする。普通の観光バス型のスクールバスも仕様書を細かくするなど、改善したということでした。安全、安定的な運行と乗務員の適正な対応に課題があったということで、価格だけでなく質が重視されることが大事だと思います。
新しい評価方式では、入札金額を点数化した評価点と業者の履行能力その他の条件を点数化した技術点の合計で落札業者を決定すると伺っています。質は具体的にどのように担保されるのか伺います。

○松川特別支援教育推進担当部長 総合評価では、車両の安全対策や運行管理体制及び障害のある児童生徒への適切な接し方に関する取り組みを、事業者が提出した提案書に基づきヒアリングを実施し、評価を行いました。
今後は、落札者が提出した提案書に記載した内容を確実に履行するよう、学校及び学校経営支援センターが確認を行ってまいります。

○里吉委員 事業者が提出した提案書に基づいてヒアリングを実施して評価するとのことです。
また、質の向上のための研修や都教委のマニュアルなどについてもお伺いしましたところ、毎年変更していると、実情に即した見直しを行っていると、今後もそのように実施していくということで伺いました。ぜひその方向で行っていただきたいと思います。
今後も保護者や学校現場の先生方の意見を聞いて、一層の改善に努めていただきたいと思いますが、伺います。

○松川特別支援教育推進担当部長 都教育委員会では、これまでもスクールバスの運行に関する保護者からのさまざまな意見につきまして、要望、懇談の場などで直接聞いております。
また、学校、保護者、バス事業者による意見交換の場を学期ごとに開催し、その結果につきまして、各校から報告を受けております。
これらの意見や報告を踏まえまして、スクールバスの安全、安定的な運行に役立てております。

○里吉委員 研修にしても、意見交換の場にしても、保護者の皆さんが、忙しい学校に任せるのではなく、都教委としても責任を持って研修を実施してほしい、せめて学校、保護者、バス事業者による意見交換の場を設けてほしいということで要望し、少しずつ改善できたということだと思います。
そして、何年も前から、事業者の質を担保するために、評価制度などを導入してほしいということも要望し、我が党の畔上議員も議会で求めましたが、必要性はないと冷たいご答弁だったこともあったわけです。あのときもっと保護者の皆さんの意見を重視して検討していただけたら、今回の契約解除のような混乱を招かずに済んだかもしれません。
そうした意味では、今後とも保護者や現場の意見をしっかり聞いて、例えば評価の観点なども改善の余地があるかもしれませんので、一層の改善に努めていただくよう重ねて要望しておきたいと思います。
最後に、資料もいただきましたとおり、来年度のスクールバス予算が大幅に増加していますが、この要因について伺います。

〔発言する者あり〕

○松川特別支援教育推進担当部長 平成26年3月の国土交通省関東運輸局長の公示によりまして、一般貸切旅客運送事業に係るバスの運賃、料金制度が改正され、下限額が一定の水準に引き上げられたこと及び運行……

〔発言する者あり〕

○小竹委員長 お静かに願います。

○松川特別支援教育推進担当部長 台数の増加によるものでございます。

○里吉委員 台数の増加はわずかですから、国土交通省関東運輸局の公示で、バスの運賃、料金制度が改正されたことへの対応が主な要因だと思います。
それを反映することは大事なことで、それを反映させる予算でもこんなに上がるのかと、今までいかに安かったのかとびっくりすることですけれども、実際にバス会社で働いている方に伺いますと、やはりこれまで、運転手でも、添乗員でも、正社員から非正規の雇用に置きかわってきた、大型2種免許を持って人の命を預かる仕事をしているのに、時給も安く不安定なのはきつい、もっと仕事に誇りを持てるような働き方ができることこそ必要ではないかという話を伺いました。
今回の改善で安全性や質を評価し、また、その評価にふさわしい報酬を乗務員さんが得られる制度となったと思います。そのことが、今後も子供たちが安心して学校に通えるスクールバスの運行になるというふうに思います。
このことをさらに進めていただきたいということを要望して、最後の質問に移ります。

◆都立高校の新教科「人間と社会」の試行について

最後は、新教科、人間と社会の試行について伺います。
都は、これまで行ってきた教科、奉仕を発展させて、道徳教育とキャリア教育の一体化を図り、人間としてのあり方、生き方に関する新教科、人間と社会を来年度、全都立高等学校で試行実施するとしています。
そこでまず、新教科、人間と社会を教科として設置するのはなぜか伺います。

○金子指導部長 これからの社会を担っていく高校生には、社会の一員であることを自覚し、礼儀や規範を大切にすることや、困難を乗り越えて役割と責任を果たすことなど、よりよい社会を築くことが求められております。
そのためには、都立高校生一人一人が、人としての生き方の指針となる価値観を高め、社会とのかかわりの中で、自分の生き方を主体的に選択し行動する力を身につけることが重要でございます。
このような力を身につけるためには、目標や指導内容を明確にして、体系的、計画的に指導する必要があることから、教科として設置することといたしました。

○里吉委員 道徳教育とキャリア教育の一体化の新教科とのことですが、そもそも道徳教育が教科として教える対象となるのかという点も考える必要があります。道徳教育は大切です。人間の尊厳、人間の生命、互いの人格と権利を尊重することなど、子供たちには身につけてほしいと思います。
しかし、それは教科書で善悪を教えれば身につくというものではありません。道徳性というのは、学校教育でいえば、全教科を通じて、生活指導活動なども含め、学校生活全体を通じて学んでいくものではないでしょうか。
文部科学省が小中学校の道徳を特別の教科である道徳にしようとしていますが、この動きに対しても、日本弁護士連合会を初めさまざまな団体から、教科として、子供の心や価値観が評価の対象となることは、国家が肯定する特定の価値観を子供たちに強制する危険性がある、こういう反対の声が出されております。
教科となれば教科書を使うわけですが、新教科、人間と社会においても同一のテキストを教科書として用いるということであれば、それは教科書に書いてある価値観を生徒に受け入れることを強制するおそれがあると考えます。
現在、試行版のテキストサンプルが示されていますが、このテキストの位置づけはどのようなものか伺います。

○金子指導部長 新教科、人間と社会(仮称)は、都教育委員会が独自に開発した教科でございます。
新教科、人間と社会(仮称)におきましては、文部科学省検定済み教科書が発行されていないことから、都教育委員会が新教科の主たる教材として作成、発行するテキストが教科書となります。

○里吉委員 ほかの教科の場合は、検定教科書というものがいろいろ種類があって、その中から選ぶという形になっていますが、この教科には当然、都教育委員会が作成、発行するテキストしかないわけですね。
授業では必ずこのテキストを使用しなければならないのでしょうか、伺います。

○金子指導部長 このテキストは、都教育委員会が独自に開発した新教科、人間と社会(仮称)の主たる教材であるので、学校教育法に基づき、授業では必ず使用することとなります。

○里吉委員 つまり、都教育委員会が作成、発行するテキストを使用して授業を行わなければならないということです。
都教育委員会の方からこの教科の説明も伺いました。社会に出たら答えが一つということはないので、多様な価値観があるので、自分なりに考えを持ってもらうことが大事だ、そういう自分なりの考えを持ってもらうための授業をしていきたい、こういうお話を伺いました。
しかし、一つの教科書しか使わないということになれば、道徳という側面を持つこの新教科は、生徒の内面、精神の自由、全人格に関する領域で、都教育委員会の考える正しいことやあるべき姿が示されることになって、多様な価値観、みんなで考える、こういうことにならないおそれがあるのではないでしょうか。
また、教科なので、成績をつけるわけですけれども、この成績のつけ方についても伺います。

○金子指導部長 新教科、人間と社会(仮称)の評価に当たりましては、5、4、3、2、1といった数値による評定によらず、文章記述による評価とすることを考えております。

○里吉委員 文章記述による評価だということですが、これも、つける先生方も大変だと思います。これが成績には加味されないということも伺いましたが、子供の内心について何を評価するのか、子供の心や価値観を評価していいのかと、これも国の道徳の教科化をめぐって、おかしいのではないかという声が出ているわけですね。
高校生に道徳性を身につけてもらうことは大切なことです。しかし、一人一人の高校生は、多様な価値観を持っています。特定の教科書で教えるようなやり方は、本来の道徳教育にはふさわしくないのではないでしょうか、都の見解を伺います。

○金子指導部長 新教科、人間と社会(仮称)で扱う内容は、人間としてのあり方、生き方について考えさせるものでございます。教科として位置づけることによりまして、教科書が作成されるなど、より目標や指導内容が明確となり、体系的、計画的に指導ができるようになると考えております。

○里吉委員 高校生に人間としてのあり方、生き方について考えさせること、そのことは本当に大事なことだと思います。道徳教育も、キャリア教育も必要です。これは先ほど申し上げましたように、あらゆる場を通じて行うものでありますし、考えて議論することが大切だというのであれば、特定の教科書を使うことになる、また評価することになる教科化はやめるべきです。
憲法や子どもの権利条約に沿い、基本的人権の尊重や民主主義の精神に立脚した市民道徳教育の推進、働く者の権利も含めた労働教育など、それぞれの学校現場で生徒の実態に合わせて行えるようにするべきだということを強く申し上げまして、私の質問を終わります。