文教委員会速記録第18号
◆都の運営する体育施設の指定管理の指定について
○里吉委員 私からも指定管理者の問題についてお伺いしていきます。
資料を用意していただきありがとうございました。東京辰巳国際水泳場は、今までのオーエンス、セントラルと都水協のグループだったものが、東京都スポーツ文化事業団を加えた理由についてお伺いしようと思いましたが、先ほどご回答がありましたので、オリンピック・パラリンピックに向けて調整を担うに適した団体として構成員に加えたということで理解いたしました。
それと、同じこの東京辰巳国際水泳場に先ほど申し上げた都水協が入っていること、それから、有明テニスの森公園テニス施設の指定管理者にはテニス協会が入っていると、それぞれ競技関係団体が入っていると思いますが、その経緯についてまずお伺いいたします。
○田中スポーツ施設担当部長 東京辰巳国際水泳場及び有明テニスの森公園テニス施設の両施設は、それぞれ水泳及びテニスの国際大会の開催が可能な国内で最大級の施設でございます。
そのため、国際大会や全国大会などの大規模大会の誘致や運営能力が求められております。
また、両施設には、施設管理業務の一つである自主事業やスポーツ振興事業として、魅力あるイベントや教室の開催なども求められております。
競技関係団体は、こうした競技大会やイベント等について専門的かつ豊富な知識や経験を有していることから、指定管理者の構成員となったものでございます。
○里吉委員 その一方で、東京体育館と東京武道館については、当初からティップネスという民間の企業が入っていますが、この理由について伺いたいと思います。
○田中スポーツ施設担当部長 東京体育館及び東京武道館の両施設については、平成18年度から指定管理者による施設運営を行っており、株式会社ティップネスは、構成団体の1団体として主にトレーニングルーム運営業務を担っております。
トレーニングルームの運営に当たっては、当初の指定管理者選定時より、株式会社ティップネスからフィットネスクラブ運営の実績とノウハウを生かし、豊富なプログラムやトレーナーの設置、健康、体力相談などの提案がございました。
指定管理者の構成団体は、指定管理者に応募しようとする者が必要に応じて任意に結成するものであり、東京体育館及び東京武道館につきましては、株式会社ティップネスの提案が、他の構成団体との間で相乗効果を生み出し高い計画内容となったことから、同社を含む指定管理者が選定されたものでございます。
指定管理者制度の導入により施設利用の活性化が図られ、例えば東京体育館では、平成18年度に利用時間の延長をするなど、個人利用者のニーズに応じた創意工夫が図られてきました。
○里吉委員 我が党はこれまで、導入したときと5年前と2度にわたって、この質疑のときに、最初、ティップネスの自主事業のために、施設の大幅な改修、修繕を都の負担で行って優遇してきた経緯について、また、施設は1番収益の上がるところを担わせるなど、自主事業という名目で民間事業者のために公の施設を提供するというものではないかと指摘してまいりました。
今回、しかも、エステサロンやリラクゼーションなど、本来の趣旨と異なることまで計画して、これらも含めて自主事業の利用料や費用、利益率は明らかにしないまま行わせようとしていることは問題ではないかと指摘したいと思います。
それでお伺いしたいんですけれども、今回の指定管理者、今までと同様、スポーツ文化事業団とグループを組んでおりますが、先ほど指摘しました利益率、どれくらいティップネスがこの施設で利益を上げているのかなどについて、東京都はつかんでいるのか、つかむ仕組みはあるのか伺いたいと思います。
○田中スポーツ施設担当部長 指定管理者制度は、住民の福祉の増進を図るため、民間事業者の活力や費用対効果の向上などを目的に創設されたものでございます。
このような制度の趣旨に基づき、各施設の指定管理業務については、指定管理者を構成する各団体別の収支等を管理するのではなく、指定管理者全体としてその収支や管理運営状況等について把握することによって、適正に管理を行うものとされております。
なお、指定管理候補者から提出された収支計画につきましては、公認会計士を含む外部有識者等で構成される選定委員会において審査しており、適切な水準となっております。
○里吉委員 結局、表には出てこないわけですね。
それから、前回の指定管理の指定のときの質疑でも、当時、いわゆる官製ワーキングプアが問題になっていて、職員の人員体制、ローテーション、非常勤の問題なども問いただしましたけれども、わかりませんでした。
今回、事業計画書を私も見せていただきましたけれども、やはり白紙で何も書かれていない状態なので、改善されたかも1切わからないわけです。指定管理制度そのものが、こうした問題点を関係者から指摘されてきただけに、その改善が行われたかどうかということで、私たちは個別に判断していきたいと考えております。
この問題では共通して、こうした課題を抱えている東京体育館と東京武道館については認められないということを申し上げて質問を終わります。
◆都立南花畑学園特別支援学校の契約について
○里吉委員 第216号議案、都立南花畑学園特別支援学校(仮称)改築工事請負契約について意見を申し上げます。
この学校は、現在隣接している城北特別支援学校と南花畑特別支援学校を1体のものとして大規模併置校として改築するものです。
我が党はこれまで、大規模併置校で管理職や栄養職員などが削減されること、2つの学校の交流であれば、別々であっても隣接する学校同士で行えることなどから、大規模併置校にする必要はないと、特別支援学校の大規模併置校の設置に反対してまいりました。
今回改築によって教室数がふえることなどは当然のことですし、評価いたしますが、1つ1つ別々の学校として改築すべきであり、この工事を進める契約案件には反対いたします。
以上、意見といたします。
◆「日の丸・君が代」裁判について
○里吉委員 それでは私からは、まず、本日報告のありました再雇用職員等の採用選考不合格等を理由とする損害賠償請求控訴事件に係る上告受理の申し立てについて質疑を行いたいと思います。
ことし6月19日の文教委員会で、この裁判の高裁への控訴について、その承認について審議を行いました。
我が党は、都が控訴する前の5月19日に都知事と教育長宛てに、日の丸・君が代にかかわる再雇用拒否裁判等の控訴、上告をしないことを求める申し入れを行い、この委員会でも、この専決処分は承認できない、都は直ちに控訴を取り下げ、原告に謝罪、賠償金を支払うべきと主張いたしました。
まずお伺いいたしますが、この裁判にかかった費用は幾らでしょうか。また、6月に控訴して以降、昨日までにかかった費用は幾らか、あわせて伺います。 ○江藤人事部長 この訴訟は総務局が対応しております。
訴訟の費用といたしましては、弁護士3名に訴訟を委任しておりますので、一審でその費用300万円、控訴審では、現時点で150万円を支出しているとのことでございます。
○里吉委員 これまでこの裁判だけで弁護士費用で450万円かかっているということです。 それでは、損害賠償額については5370万円と聞いておりますが、年5%の利息がついているなど、支払わなければならないのは損害賠償額だけではありません。
今支払った場合、総額幾らになるのか、また、その金額は1年ごとに幾らふえるのか、お答えください。
○江藤人事部長 損害賠償額につきましては、原告一人一人の損害賠償額の計算の式や金額が異なること、また、現在訴訟中でもあることから、概算となりますが、12月11日時点で約7400万円でございます。また、1年間の利息につきましては、概算で約260万円となります。
○里吉委員 お答えいただきましたように利子がついておりますので、長引かせて敗訴したら、さらに都民の税金を余計に使うことになります。
また、同じような日の丸・君が代関連の裁判で、つい先日、12月4日に判決があった裁判は、ことし1月16日に地裁判決で26人の減給、停職処分が取り消されたうち、5名のみを都教育委員会が控訴したものでした。なぜ5名のみを控訴したのか、その理由を伺います。
○江藤人事部長 卒業式等での不起立に関する懲戒処分につきましては、平成24年1月の最高裁判決におきまして、過去の処分歴等に鑑み、当該処分を選択することの相当性を基礎づける具体的な事情が認められる場合には、減給処分等も許されるとの判断が示されました。
ことし1月16日に減給処分を取り消した東京地裁判決につきまして、都教育委員会では、国旗掲揚等に反対する旨を表示したブラウスを着用して入学式に臨む、生徒に対して卒業式での不起立は個人の判断の問題であるといった趣旨の発言をするなどした5名の教員に関して、最高裁判決の示す具体的な事情が認められると判断し、控訴したものでございます。
○里吉委員 具体的な事情が認められるとして、26人のうち5人について控訴したわけですが、今のご答弁によれば、この5人の方は、卒業式などの国歌斉唱時にただ黙って座っていたというよりも、もう少し積極的に自分の考えを表明したという方々だと受け取れます。そうした方々であっても、減給や停職などの、より大きい処分はしてはいけないというのが12月4日の判決です。
ましてや今回、報告事項となっている裁判の原告の皆さんは、国歌斉唱時に座っていただけで、再雇用拒否という面で大変大きな不利益をこうむっているのです。これが最高裁でも違法と判断されたのは当然だと思いますし、控訴しても原告の皆さんをいたずらに苦しめ、時間と都民の税金を無駄に使うだけだと思います。
それでは伺いますが、6月の控訴から今回の判決まで、口頭弁論は何回行われたのでしょうか。新たな証拠調べは行われたのでしょうか。伺います。
○江藤人事部長 口頭弁論は1回でございます。証拠調べは行われておりません。
○里吉委員 それでは、今回の判決で前回と裁判所の評価や見解が変わった部分はどこか伺います。
○江藤人事部長 判決の判断理由につきましては、一部、原判決を修正、付加した上で、原判決の判断を引用しております。
○里吉委員 私も昨日急いでこれを取り寄せていただきまして読みましたけれども、新たな証拠調べも行われず、地裁と高裁とでは評価や見解が変わった部分もほとんどなかった、特になかったということです。
判決を読みましたが、都教委の主張が約10ページ分にまとめられていました。しかし、それについて、その結果が控訴棄却です。判決は、再雇用拒否の都教委の判断は、定年退職者の生活保障と、知識、経験等の活用という再雇用制度の趣旨に反し、また国旗掲揚、国歌斉唱に関する10・23通達が発出される以前の再雇用制度等の運用実態とも大きく異なっていることから、法的保護の対象となる原告らの合理的な期待を大きく侵害しており、裁量権の逸脱、濫用に当たり、違法であるとしています。
また、学習指導要領における国旗・国歌の扱いが、他の内容に比べ特段区別した位置づけが与えられているとは認められず、また君が代斉唱の職務命令が思想及び良心の自由についての間接的な制約となることは否定できず、その思想、信条等に従ってされた行為を理由に大きな不利益を課すことは、とりわけ慎重な考慮を要するべきと述べています。
都と都教育委員会は判決を謙虚に受け入れ、原告に誠意を持って謝罪し、賠償金を支払うべきです。10・23通達を撤回し、日の丸・君が代を強制する一連のやり方を抜本的に改めることを強く求め、次の質問に移ります。
◆都立高校改革新実施計画案―夜間定時制高校の廃止計画案について
次に、都立高校改革計画新実施計画案について伺います。
ここでは、夜間定時制高校の廃止が示されましたが、立川高校定時制の廃止に反対する会が早速結成され、都議会に陳情が出され、一昨日の本会議でも文書表が配られました。
そこでまず伺いますが、今回の廃止計画の対象が小山台高校、雪谷高校など4校となっている理由について伺います。
○出張教育改革推進担当部長 閉課程を行う予定の4校の夜間定時制課程は、東京都全体として夜間の定時制時間帯に必要な応募定員を確保することを前提に、交通機関の状況などを配慮して、全日制課程と定時制課程の併置を解消することを目的に選定いたしました。
○里吉委員 交通機関の状況を考慮して選定したということですが、例えば小山台高校、武蔵小山駅のすぐ駅前、立川高校も多摩地域の交通の要衝である立川駅から徒歩数分のところにあるなど、とても通学の便のよい学校なんですね。
もし仮に夜間定時制を減らすことが是とされた場合であっても、より広範囲から通うことのできるこういう学校は残した方がいいという立地の学校だと思うんですね。
交通機関の状況に配慮して4校が選ばれたということがちょっと理解できないんですけれども、交通機関の状況を配慮してとはどういうことなのか改めてご説明いただきたいと思います。
○出張教育改革推進担当部長 ただいま申し上げましたように、4校の夜間定時制課程について、東京都全体としての夜間の時間帯に必要な応募定員を確保することを前提といたしまして、交通機関の状況を配慮しまして、全日制課程、定時制課程の併置校を解消するということでしております。
○里吉委員 併置校の夜間定時制をなくすというのが前提にあるということなんですけれども、何でこの4校の場所が選ばれたのかということについては、ちょっと今のでは合理的な説明ではないと私は思いますよ。こういうよくわからない理由でこの4校が名指しされて、廃止だけ決められるということではとても都民は納得できないと思います。
次に、夜間定時制をなくすかわりに学級増を行う昼夜間定時制、チャレンジスクールがあります。本日資料も出していただきましたが、どの学校で何人ずつふやすのか示されました。
この学校についても、7つがどうして選ばれたのか。また、それぞれの、4つの夜間定時制高校と学級増を行う昼夜間定時制、チャレンジスクール、どこがどの学校に対応するのか、お答えいただきたいと思います。 ○出張教育改革推進担当部長 学級増を行う予定のチャレンジスクールと昼夜間定時制高校は、夜間部の学校数が午前部、午後部よりも少なく、設置量や学校運営の改善、工夫により学級数を拡大できる高校の中から、施設規模や学校規模等を考慮して選定いたしました。
夜間の時間帯の規模を拡大する予定のチャレンジスクールや昼夜間定時制高校と、閉課程する予定の夜間定時制課程は、同じ年度ごとに全体として必要な応募人員を確保し、適正に配置できるよう、学級数と募集停止を行う時期について検討し、決定してまいります。
○里吉委員 廃校予定の学校に来る生徒たちは、多分ここの昼夜間定時制なりチャレンジスクールなら通えるだろうから、ここに学級増しようという考え方ではないということでしょうか。もう一度お答えください。
○出張教育改革推進担当部長 ただいま申し上げましたように、東京都全体の学校の状況を見まして適正に配置していくということでございますので、チャレンジスクールと昼夜間定時制の学級数を拡大できる学校を選びまして、その施設、学校規模を考慮してつくりまして、その分につきまして夜間定時制課程を閉課程して、全体を通して必要な応募人員を確保し、適正に配置するということでしているところでございます。
○里吉委員 今繰り返しお答えいただきましたけれども、まず、夜間部の学級数が午前部、午後部よりも少ない。だから、夜間にもう一つ学級数をふやせる学校を選んだということですよね。
その上で、東京全体で夜間定時制高校の廃止と、それから学級増の時期を合わせて、人数は合わせるというふうにしか聞こえませんでした。私は、この計画が出たときに、少なくとも都教委はクラスをふやす学校名も明らかにしていたので、主にこの夜間定時制高校に通っていた子が多い地域は、こちらの昼夜間と対応する学校を考えているのではないかと思ったんですが、そうではなかったということが明らかになりました。
3部制の学校で、午前部と午後部が3クラス、夜間部は今2クラス、あとここには工夫すればもう1クラスふやせる。こういうところを選んで夜間の時間帯に必要な募集人数を確保するというだけではありませんか。夜間定時制に通おうとする子供のことなど全く、考えているとは到底思えません。
目黒区の方からは、既に目黒区には夜間定時制がない、小山台高校は品川区と目黒区の境にあるので通っている子が大変多い、これがなくなったら本当に困る、こういう声が既に出されています。
しかも、学級増をするという昼夜間定時制やチャレンジスクール、午前、午後、夜間の3部制の高校は、2011年の都立高校白書で、午後の部の生徒の欠席が多くなりがちな問題とともに、3部制であることで生活指導や学校行事、部活動など、統一して実施しにくいなどの問題も存在していますと、課題も指摘されているわけですね。こういうところにさらにクラスをふやすということだと思うんです。
それでは伺いますが、新設するチャレンジスクールは2022年、2023年と開設年度がここには示されていますけれども、廃止する学校の募集停止は示されていません。それぞれ4校、募集停止は何年度を予定しているのか伺います。
○出張教育改革推進担当部長 都立高校改革推進計画新実施計画案の骨子では、チャレンジスクールの新設及び既存のチャレンジスクールと昼夜間定時制の規模の拡大と並行して、夜間定時制課程の閉課程を行うこととしております。
規模の拡大によりふえる学級数と、募集停止により減る学級数との均衡を図る必要があるため、夜間定時制高校の募集停止の時期は、規模を拡大する時期とともに、今後検討してまいります。
また決定後は、例年の募集人員の公表に合わせまして周知いたしまして、中学生の進路決定に支障のないよう配慮してまいります。
○里吉委員 今のご答弁ですと、特にいつ募集停止かは決まっていないということですが、基本的には募集停止の2年前に予告することになっています。最も早い場合は、来年の募集人員の公表に合わせて周知ということもあり得るということだと思います。
先ほどのご答弁で、募集停止のこの学校のかわりはこの学校で学級増ということは決めていないというお話でしたが、そうはいっても、立川高校の定時制の場合は、通えそうな範囲で学級増を予定している学校は、お示ししていただいた表を見る限り、砂川と新しくつくる多摩地域のチャレンジスクールしかありません。
もともと多摩地域は交通の便も余りよくありませんし、チャレンジスクールも、昼夜間定時制も、夜間定時制も少ないのですから、立川は考慮してしかるべきだと思いますが、2023年に新しく多摩地域のチャレンジスクールの開校が示されています。
少なくとも立川定時制高校は2023年までは募集停止しないということでよろしいでしょうか。この一点だけ確認します。
○出張教育改革推進担当部長 先ほどお答えいたしましたように、規模の拡大によるふえる学級数と、募集停止による減る学級数の均衡を図るため、夜間定時制高校の募集停止の時期は、規模を拡大する時期とともに今後検討してまいりたいと考えております。
○里吉委員 多摩地域のチャレンジスクールは誰が見ても、ここと立川定時制高校がリンクしていると思うんですが、ここについても、多摩地域のチャレンジスクールが開校するまで立川の夜間定時制は廃校にしないと約束できないというのは、本当に、都民の立場に全く立っていないといわざるを得ません。
それで私、ちょっといいたいんですけれども、そもそもこの地域は、以前の高校改革のとき0校以上あった夜間定時制が今39校までに減らされて、多くの都民の方がもうこれ以上は減らされないだろうと信じていたわけです。まさに寝耳に水です。
八王子にあった富士森、南多摩、八王子工業、第2商業の4つの夜間定時制高校が廃止されて、八王子市から夜間定時制に通おうと思えば、もう立川高校しか残っていないのに、その立川高校まで廃止の対象というのは本当に信じられません。
中学生の進路決定に支障のないように配慮するというご答弁でしたが、通学できるところに夜間定時制高校がなくなってしまうということをぜひ考えていただきたいと思います。
それでは、立川高校にどういう地域の子が通っているのか、立川定時制高校の生徒の居住地別の人数を伺いたいと思います。 ○出張教育改革推進担当部長 立川高校定時制課程在籍生徒の居住地は、平成27年5月1日現在、全生徒301人のうち、立川市49人、八王子市47人、東大和市29人、武蔵村山市24人、昭島市20人などとなっております。
○里吉委員 地元の立川と同じくらい八王子からも通ってきているということですよね。私も八王子生まれ八王子育ちですので、よくわかるんですが、八王子は広いですから、八王子、駅まで出るのに30分、40分かかる地域もたくさんあるわけです。
それで、ことしの初めに、文教委員会には八王子地区の定時制を再開してほしい、こんな請願まで出されたわけですよ。それなのに、ここをなくしてしまうというんですから、本当に理解できません。
そして私は入試状況を調べてみましたけれども、立川高校定時制の場合、1次募集でこそ定員より応募者が少なくなっていますけれども、2次募集では、ことしは35人の募集に対して46人が応募で、応募倍率1・31倍です。昨年は25人募集のところ37人で1・48倍、1昨年は30人募集で62人の応募、2・07倍、2012年に至っては応募がたった1人、要するに1次で定員が埋まってしまったと。あと1人しか2次募では募集できなかったということです。応募が6人で6倍の倍率になったということでした。
3月末にある夜間定時制の2次募集といえば、中学3年生にとっては本当に最後のとりでです。
そこで応募倍率が1倍を超えて不合格者を出さざるを得ないのです。本当であれば、立川高校で学級増をして全員を受け入れるべきです。そういう学校だということなんです。どうしてこんなに人気のある立川高校が廃止の対象になるのかお答えください。
○出張教育改革推進担当部長 平成26年度実施の入学選抜では、夜間定時制高校を第1希望とする生徒は募集人員の半数にも満たない状況にあり、当初夜間定時制を希望する生徒については、募集枠は十分に確保されていることから、中学校段階で適切な進路指導を行うことにより現行の募集枠で受けられることが可能でございます。
また、他校を不合格となった生徒については、夜間定時制高校はセーフティーネットとしての役割を果たしており、総体として募集枠は第2次募集以降も含めて十分に確保されております。
都立高校改革推進計画新実施計画案の骨子では、チャレンジスクールの新設及び既存のチャレンジスクールと昼夜間定時制高校の規模の拡大と並行いたしまして夜間定時制の閉課程を行うこととしておりまして、引き続き夜間の時間帯の学習ニーズに応えることのできる募集枠を確保していく予定でございます。
○里吉委員 1次では半分ぐらいだったけれども、最後のセーフティーネットとして役割を果たせているというご答弁でしたけれども、全体としてはそういう状態かもしれないけれども、立川高校ではそうではないというお話を今させていただきました。
立川高校が廃校になった場合、例えば現実的に考えれば、やっぱり砂川高校に行く子供たちが多いんじゃないかと思うんです。ここは30人定員をふやすということになっています。
立川高校3クラス90人の1クラス分なんですが、ところが、ことしの砂川高校の入試倍率を見ますと、1次試験と同じ日の前期試験で、午前、午後、夜を合わせて定員120人に対して206人応募がある。1・72倍の応募だったんです。3月初旬の後期試験で31人の定員に90人の応募がありました。これでは定員を30人ふやしても、とても立川定時制をなくした子がこっちに移ってくるということはできないわけですよ。
ですから、なぜこの立川という立地のいい場所、三多摩でここしか残っていないといわれている場所をなくすのかという説明を聞きたかったんですが、ご答弁はありませんでしたので、次に行きたいと思います。 次は、チャレンジスクールのことについてお伺いしたいと思います。
チャレンジスクールについてお伺いしますけれども……
〔「委員長、傍聴者の私語が多いよ」と呼ぶ者あり〕
○植木委員長 ご静粛に願います。
○里吉委員 先ほど私、紹介しましたけれども、都立高校白書では3部制についての課題が示されていました。これについて、解決はどのようになっているのか伺いたいと思います。
○出張教育改革推進担当部長 都立高校白書では、3部制の定時制高校では午後の部の生徒の生活リズムが乱れやすい問題や、3部制であることで生活指導を統一して実施しにくいなどの問題を指摘しております。
このため、都立高校改革推進計画新実施計画案骨子では、ショートホームルームの設置及びその活用や、在籍する授業時間帯以外の科目のより柔軟な受講、教育相談体制の強化など、多様な生徒の個々の状況に合わせた教育環境の提供を行い、3部制の定時制高校の課題を解決することとしております。
○里吉委員 今のご説明の中に在籍する授業時間帯以外の科目の、より柔軟な受講で問題解決というお話でしたけれども、具体的にどのように問題解決できているのかお答えください。
○出張教育改革推進担当部長 午後部に在籍する生徒が、午前部の、より早い時間帯の科目を選択できるようにすることで、朝型の生活リズムになるなどの効果がございます。
○里吉委員 今お答えいただいたことも含めていろいろ努力されているということなんですけれども、3部制であることで生活指導を統一して指導することが実施しにくいという課題は、ショートホームルームの設定、活用、教育相談などで解決を図っていくということですよね。
現に今、ショートホームルームや授業の一こまを使ってロングホームルームも行っていますが、実際に単位制の高校ですので、生徒が3部に分かれている選択科目もあるので、なかなかまとまらないということがあります。
教員は、午前部、午後部に対応する時間勤務の先生と、午後部、夜間部に対応する先生がいます。3部で一体の学校ですけれども、生徒全体、教員全体が集まることが難しいわけです。職員会議も午前と夜間の間の時間しかないので、教員同士の情報共有も大変苦労していると思います。
いろいろな課題解決のために取り組んでいることは大切だと思いますが、一つの施設に3部の子供たちが通っている、詰め込んでいるわけですから、矛盾は全定の2部の学校よりも多いし、今おっしゃったような対応では、結局、行事や部活がやりにくい、先生同士の情報の共有が難しいなどの問題は解決できていないわけです。そこに生徒をさらに詰め込むということは、私は認められません。
夜間定時制高校についても課題があるというのなら、解決のために努力をしたらいいのではないでしょうか。これまで繰り返し都教委は生徒の施設利用や学習活動の時間的制約などの課題といってきましたけれども、全定併置校のこれまでの長い歴史の中で、施設の共有という制約は相互の努力で解決してきており、定時制を廃止する理由にはなりません。
立川高校の卒業生や学校関係者からは、立川高校は最も全日制と定時制の施設利用や時間制約の問題が解消されている学校であり、廃止は許せないという声が上がっているわけです。
そこで、改めて伺いますけれども、立川高校も含め、今名前が挙がっている4校、そして、今後、全定併置校の夜間定時制高校は全て廃止にしていくつもりなのかお答えください。
○出張教育改革推進担当部長 全定併置の形態を解消することについては、社会情勢や生徒の状況などを見きわめながら検討してまいります。
○里吉委員 昼夜間の3部制は問題解決のために取り組むけれども、夜間定時制の廃止は社会状況を見ながら検討するということで、そちらは改善のために努力をするというふうにはお答えにならない。廃止するということでもないということなんですけれども、答えが曖昧でした。
夜間定時制高校は、それだけで定時制高校という一つの学校なんですね。クラスもあって、少人数できめ細かい教育ができるという特徴があります。さまざまな課題を抱えた子供たち、夜間中学校の卒業生や外国人や社会人など、多様な人たちがともに学ぶのが定時制高校です。3部制の高校の夜間と夜間定時制は全く異なる学校であり、3部制やチャレンジをふやしても、夜間定時制の受け皿にはならないわけです。
先日、立川駅前で行われた立川高校定時制を潰さないでとの宣伝、署名行動は、50年前に卒業したOBの方から現役の高校生まで30人で行ったそうです。1時間で120筆の署名が集まったと伺いましたが、その後も続々と運動が広がっております。
改めて、さまざまな困難を抱えた子供たちの学びの場である夜間定時制高校の廃止の撤回を強く求めて、次の質問に移ります。
◆東京都教育施策大綱について
それでは次に、東京都教育施策大綱について伺っていきたいと思います。
これまで都教委が作成してきた東京都教育ビジョンまたは知事の長期ビジョンや今回の東京都教育施策大綱は、共通して教育の人材育成の側面が前面に押し出されています。子供たち一人一人の人間としての成長を保障するという側面が弱いように感じ、それが私は大変気になっております。
私はこの間、勉強する機会がありまして、非常に大切だと思ったことがあります。教育基本法は、1条の教育の目的に、人格の完成と平和で民主的な国家及び社会の形成者となる国民の育成を掲げています。人格の完成とは、その人一人一人のパーソナリティーをどう育てるか、個人の尊厳をどう確立するかということです。
国家及び社会の形成者となるということは、人間は社会的な存在なので、ある意味当然ですし、大切なことです。両方がとても大切で、もし個人の尊厳が十分に保たれない状態で国家や社会の一員としての役割が強調された場合、それは人間として生きていくのが大変苦しいことになってしまうというお話でした。
そういう意味で、私は人材育成などを全て否定するわけではありませんが、ある特定の方向性に合わせた人材となることが子供たちへの教育として突出して強調されるということに危惧を覚えます。
やはり常に人格の完成、その子供一人一人が人間として個人の尊厳をどう確立するか。もちろんそれは他者や社会と切り離された存在ではなく、密接に関係した中で確立されていくわけですが、それを子供一人一人がつかみ取っていくことを教育の第1に位置づけてほしいというふうに願わずにはおられません。まず、そのことを強調しておきます。
そして、国家や社会が、教育基本法にあるとおり、十分に平和で民主的で、個人の尊厳の保持と国家及び社会の形成者として頑張ることが矛盾しないときはよいが、そこにずれが生じたときに国家や社会を変えることができる、それが民主主義であるし、それをきちんと教えることが主権者教育ではないかと考えます。
6月に公職選挙法が改正され、選挙権の年齢が18歳からになりました。教育施策大綱では重点事項のⅡの方針2で、18歳選挙権、主権者教育が挙げられています。
そこでまず、教育施策大綱で教育的、政治的教養を育む主権者教育を充実するということが述べられておりますが、どのように取り組むのか伺います。
○伊東指導部長 都教育委員会は、これまで全ての都立高校を対象に主権者教育にかかわる国や都の生徒用資料や教員用資料を配布するとともに、管理職や公民科等の教員を対象とした説明会を開催しております。また、都選挙管理委員会と連携し、学校が模擬選挙等の体験学習を取り入れられるよう支援しております。
こうした取り組みを通して、都立高校における主権者教育を充実してまいります。
○里吉委員 模擬選挙なども一つの方法だと思いますが、よく考えて行わないと、議会制民主主義や公職選挙法の制度解説にとどまってしまう可能性があると心配する声を聞きました。
というのは、そもそも教える先生はもちろん、大人全体が主権者教育をほとんど受けずに大人になり有権者になっているので、何をどう教えたらよいか難しいというのです。
確かに今の日本では、社会全体として政治的教養を育む土壌がありません。むしろ自分の政治的な意見を自由にいうのをはばかられる雰囲気すらあり、大人の社会も変えていかなければなりません。
高校ではさまざまなやり方があると思いますが、例えば、政治や社会のリアルタイムな現実をきちんと知り、考えること、例えば生徒会が平和や人権について討論したり、生徒自身が興味を持っている社会的な問題について、部活や文化祭などで学習して発表したりすることも政治的教養を身につける上で重要だと思います。
また私は、高校生が国家や社会の形成者として主体的に政治にかかわっていけるようにするためには、高校生を初めとする子供たちが、子供のころから自分たちの頭で考え、議論し、自分たちの力で学校などをよりよい方向に変えていくことができたという経験を積み重ねることが大切だと思います。
その一つとして、例えば生徒会活動において、生徒の自主的な活動を保障することが生徒の政治的教養を育む上で重要なことの一つであると考えますが、見解を伺います。
○伊東指導部長 生徒会活動は、選挙の具体的な方法や民主主義の基本的なあり方を学ぶことができ、主権者教育の一環として活用することが可能でありますが、あくまで学校の教育活動でございます。
国の通知では、生徒が本来の目的を逸脱し、教育活動の場を利用して選挙運動や政治的活動を行うことについては、学校の政治的中立性を確保するため禁止することが必要であるとされております。
○里吉委員 生徒会は民主主義の基本的なあり方を学ぶことができるとのご答弁でした。ぜひ生徒の自主性に基づく生徒会活動の活性化に取り組んでいただきたいと思います。
生徒会が特定の政党への投票を呼びかける選挙活動などを行っていけないのは当然ですが、例えば生徒会で取り組むにふさわしくない問題であったとしても、ただ禁止してやめさせるだけでは、せっかくの高校生の主権者としての気持ちを抑えつけることになってしまいます。
高校生には政治活動の自由があることをきちんと伝え、どうすれば生徒の取り組みたい気持ちを形にできるか助言などすることは重要な主権者教育なのではないかと考えます。
また、学校の教育活動は政治的に中立なのは当然であり、教員が高校生に対し、みずからの政治的主張を押しつけることなく、生徒が広い視野を持ち、自分の頭で考えられるようにすることが大切です。
しかしそれは、教員が自分の政治的意見を一切述べてはならないということではありません。この点で、都教委は学校や教員を萎縮させるようなことがあってはならないと思います。
教員が自分の政治的意見はいうことができない、いったら問題になるという立場に立てば、生徒はやはり政治にはかかわらない方がよい、政治のことを話すのはやばいというメッセージを受け取ってしまうと思います。それは本来の主権者教育、政治的教養を身につけるということと相反すると考えます。
18歳選挙権と主権者教育はこれからの課題です。高校生の知的好奇心や柔軟な思考力、純粋な正義感がよりよい日本の未来を切り開いていくことを期待して、次の問題に移ります。
◆都立小中高一貫校について
次は、都立小中高一貫校について伺ってまいります。
東京都では、猪瀬前知事が2012年12月の就任直後の記者会見で都立小中高一貫校の設置について触れ、都教育委員会は2013年4月に都立小中高一貫教育校基本構想検討委員会を設置、同検討委員会は同年8月に中間のまとめを発表、2014年10月の第14回会議を最後に休止状態になっていましたが、その後、先月の13日に会議が開催され、26日に同検討委員会から都立小中高一貫教育校の設置に関する検討結果が発表されました。
私は驚いたんですが、中間のまとめでは、科学技術分野において次代を担うすぐれた人材を育成することが科学技術立国である我が国の喫緊の課題だとして、理数系の小中高一貫校を設置するとしていました。教育課程を小学校1年生から4年生、5年生から中学校2年生、中学3年生から高校3年生の4、4、4の区切りで編成することも目玉になっていました。
ところが、今回の検討結果では、経済や文化などで諸外国との間で熾烈な競争がある一方、日本経済が伸び悩み、世界における存在感が低下しているので、その状況を打開する人材を育成することが必要だとして、英語力の育成に重点を置いた学校にするとしています。中間のまとめと今回の検討結果では、重点を置く教育が理数教育から語学力と国際感覚に大きく変わったわけですが、その理由は何なのかお伺いいたします。
○出張教育改革推進担当部長 本検討委員会の中間まとめでは、理数教育を重視するとともに、世界の人々との意思疎通を図る能力を育てる観点から、特に英語教育も重視することとしております。
今回の検討結果は、こうした中間まとめやグローバル人材の育成を重視する東京都長期ビジョンを踏まえ、英語教育をより重視した基本構想として報告したものでございます。
○里吉委員 中間のまとめでも英語を重視していたということですが、科学技術立国として理数系教育が必要だと、中心は理数系教育でした。それがたった2年で、経済や文化での国際競争を勝ち抜くために語学教育だということで、世界の中で日本の立ち位置や目指すべき方向の分析、重点を置く教育も全く変わってしまっていると、一体どうなっているんだろうというふうに思うわけです。
そもそも子供たちへの教育は、小中高等学校だけで12年間、大学やその先も考えればもっと長期にわたります。子供たち一人一人を一人の人間として育て、社会の一員として主体性を持って生きていけるようにするために何が必要か、長期的で広い視野を持って考えるべきです。
それが、わずか2年で全く違うものを出してくるということ自体、非常に目先のことにとらわれた短絡的なものだったのではないかなと思わざるを得ません。教育理念という根本がこんなにあっさり変わるというのは、何でもいいから(発言する者あり)小中高一貫校をつくりたいだけなのではないかといわれても仕方ないのではないでしょうか。
○植木委員長 お静かに願います。
○里吉委員 しかも、この検討結果は手続的にも疑問があるんですね。もともとこの都立小中高一貫教育校基本構想検討委員会には、学識経験者、保護者、学校長、区市町村教育委員会15名、教育庁関係者6名で構成された委員会で、中間のまとめもそのメンバーで出されていましたけれども、教育庁職員以外の委員の任期は昨年12月で切れて、今回の検討結果は先月13日に都庁の5人の方だけで会議を開いて、そこで決めてしまっています。
中間のまとめと教育理念などが異なる最終報告を教育庁の職員5人の委員だけで決めて、委員会の討論結果とするのはちょっとおかしいのではないかと思いますが、見解を伺います。
○出張教育改革推進担当部長 都立小中高一貫教育校基本構想検討委員会では、平成25年8月の中間まとめの発表以降、引き続き外部委員を交えて9回にわたり議論を重ねてまいりました。 本検討結果は、こうした議論を十分踏まえて作成したものでございます。
○里吉委員 中間のまとめ以降の議事録は出ていなかったので、討論骨子が公開されていたので読ませていただきましたけれども、ちょっとそれを読んでもよくわからないんですね。どんな検討会や審議会の最終報告でも、中間のまとめをやった人数がちゃんといて、それが大幅に変わったのに、たった5人の、しかも行政の職員だけで成立させるというやり方はちょっと見当たらないんじゃないかなというふうに思うんです。
報告書そのものに対して一人一人の委員が責任を持って判断して、了承してから出すべきだと思うんですね。今回の場合は内容が本当に大きく異なっておりますから、なおさら慎重に各委員の意見を聞くことが求められたはずだと思います。
21人いた者が任期切れで、教育庁の職員5人だけ残っていること自体も、既に委員会の体をなしていないのではないかと思ってしまいます。議事録も、議事録というか、骨子ですね。理数教育重視はやめるという議論は見当たらなかったんですね。
また、中間まとめではパブリックコメントを行っていましたけれども、そこにどんな意見があったのか都民に知らされていませんし、議事録を見るなり、委員会でも報告された様子もうかがい知ることができませんでした。学識経験者や保護者や都民の意見を聞いたように見せながら、結局、実はそうなっていないものが報告されているのではないかといわざるを得ず、とても認められるものではありません。
また、中間のまとめで示されていた4、4、4の区切りについては、これも見直されたということですけれども、その一方で、特に小学校高学年の成長につながらないなどの指摘が--済みません、ごめんなさい、間違えました。
中間のまとめでは4、4、4をすることが強調されていましたが、今回はそうはならなかったわけですが、この報告書の中に、現行の学校制度を導入した当時と比べ、児童生徒の身体的発達の早期化が見られて、学校制度の区切りと現実の児童生徒の発達の状態に差異が生じているとあるんです。
具体的にどのような点が早期化していて、どのような点に差異が生じているのか伺います。
○出張教育改革推進担当部長 国の中央教育審議会の答申におきまして、児童生徒の身長や体重の伸びの大きい時期は、昭和23年当時と比べ、また、女子の平均初潮年齢は、昭和の初めと比べて2年程度早まっていることなどが挙げられております。
また、小学校4、5年生ころの児童に見られる体や心の大きな変化と、現行の学校制度の区切りとは、ずれが生じているとも指摘されております。
○里吉委員 2年のずれというのが昭和の初めと比べということなんですが、今の学校制度ができたのは第2次世界大戦が終わった後ですから、そのころと比べるとほとんど変わっていないんじゃないかと思います。
私もグラフを見ましたけれども、私が子供のころの40年ほど前とは0・3歳程度しか変わっておりませんでした。
それから、身体的発達を理由にしていろいろおっしゃっていますけれども、教育で大きく問われるのは身体の発達よりも、むしろ思考力や、自分と他人や社会との関係の捉え方など、頭や心の発達だと思うんですね。
そういう点では、大学の先生などの中には、小学校高学年の発達段階は、自分はできる、やればできるといった自己有用感が育つ時期で、中学生と一緒の固まり、4、4、4でいけば、小学校5年生から中学校2年生までの固まりの真ん中の低学年として扱われることが、育ちにくいと、現行の小学校の高学年としてそれが十分に獲得されることが中学校入学後の成長に大きくかかわっているということをおっしゃっておりました。
例えば飯ごう炊さん一つとっても、中学生と一緒のくくりでは、小学生の感想は中学生がつくってくれておいしかったと受け身になってしまうというようなことでした。
また、中学校のような教科担任制、ある意味小学校よりも厳しい生徒指導が5年生から導入されることが適切でなく、荒れなど子供たちに影響が出ているとも指摘されております。
そういう意味では、こうした根拠薄弱な、また専門家からも否定されているようなことを論拠に、何か問題が発生しているかのようにいうのはふさわしくないのではないかと思うんです。
そして、私、これを一番心配しているんですが、小学校から選抜を行う都立の小中高一貫校を1校だけつくるということについて、小学校段階から競争をあおるのではないか、一部のエリート養成校になるのではないかという懸念の声が上がっております。都教育委員会の会議の中でもそのような意見が出たと聞きました。どのように考えているのか伺います。
○出張教育改革推進担当部長 本検討委員会の検討結果によれば、入学者の決定は学力を問うものとはせず、幼稚園教育要領等を踏まえて行うことが望ましいとされております。
今後、都教育委員会は、こうした検討結果等を踏まえて、さらに検討してまいります。
○里吉委員 小学校の選抜ですから、国語や算数などの学力を問わないのは当然だと思うんですね。
中高一貫校についても1998年の法改正のときに、受験エリート校化や受験競争の低年齢化が心配されて、学力検査を行わず、適性検査で選抜するとされました。
しかし、現在では、都立中高一貫校も中学受験塾の偏差値表の中にしっかりランクづけされて、しかも受検生は適性検査で点数がとれるよう、専門の受験塾に通うということが当たり前になっています。やはりそういう受験競争の低年齢化を招くのは避けられないと懸念いたします。
しかもこの学校は、グローバル人材育成を重視し、日本経済が伸び悩む中で、いわば日本を背負って世界を舞台に活躍できる人間を育てるということなので、まさにエリート養成教育そのものなわけですね。
地方自治体が小学校から一部の子供たちにエリート教育を行うことは、教育を小学校段階から複線化して、全ての子供たちへの平等な公教育制度が解体されてしまうのではないかとの心配の声も上がっています。そもそも学校教育法では、小中学校及び義務教育学校は普通教育を目的とすることになっています。 中間のまとめの保護者意識調査では、将来、社会で活躍していくために必要だと思う資質や能力ということを質問しておりまして、2つまで回答できるんですけれども、自分の考えや気持ちなどうまく表現できる力と答えたのが72・2%、社会人として必要となる一般的な知識や教養と答えた方が60・7%と、他の選択肢に比べ段違いに高くなっております。
こうしたことからも、小中高等学校教育、小学校教育では目指すべきは特定のエリート教育ではなく、まず主体的に生きることのできる一人一人の人間としての全面的な成長、発達を保障することだと思います。
これらのことから私は、今回の都立小中高一貫校の設置には大いに問題があり、設置は見送るべきだと考えます。
このことを申し上げて、最後の質問に移ります。
◆東京都発達生涯教育推進計画の骨子について
最後は、東京都発達障害教育推進計画の骨子について伺います。
私はこれまで、特に小学校の発達障害児の通う通級の取り組みについて文教委員会で取り上げてまいりました。今回は、小学校から高校まで通じて発達障害教育を網羅したものです。
発達障害は、早期に発見し早期に支援していくことが大切といわれておりますが、都教育委員会としての取り組みを伺います。
○松川特別支援教育推進担当部長 発達障害の児童生徒を円滑な就学や社会適応につなげるためには、障害を早期に発見し、継続的に適切な指導、支援を行うことが重要でございます。
都教育委員会は、保護者の理解を得やすい早期発見の仕組みなどについて、先駆的な取り組みを行う区市町村の事例を各区市町村に周知いたします。
また、教育のみならず、保健、医療、福祉など、さまざまな関係機関と相互の連携を図るとともに、早期支援に向けた幼稚園、保育園等と小学校との連携についてもさらに推進してまいります。
○植木委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕
○植木委員長 速記を始めてください。
○里吉委員 早期発見のための取り組み、ぜひ広げていただきたいと思います。
そしてあわせて、発達障害の児童生徒には途切れのない支援が重要で、就学前から高等学校までの支援をつないでいくことが大切です。
都教育委員会として、どう実効性ある取り組みとしていくのか、どう推進していくのか伺います。
○松川特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、これまで、幼稚園や保育所における指導、保育の様子などを小学校に引き継ぐ就学支援シート、学校間や学年間における指導、支援の情報を引き継ぐ学校生活支援シート及び学齢期と進学、就労先をつなぐための個別移行支援計画の活用を通して、児童生徒一人一人に対して一貫性のある継続した支援の充実を図ってまいりました。
今後は、こうした学校間や関係機関との連携を一層強化するため、これまでの研究成果に基づき、個別の教育支援計画に基づく連携ガイドラインを作成し、乳幼児期から学校卒業まで一貫性のある継続した支援を充実してまいります。
○里吉委員 発達障害といっても、その特性は本当にさまざまで、一人一人特徴が違うため、どのような特性を持っているのか、苦手なこと得意なことなど、それまでかかわった関係者がきちんと記録し引き継ぐことができれば、一貫性のある継続した支援に役立つと思いますので、この連携ガイドライン、大いに期待をしたいと思います。
次に、高等学校での支援について伺います。
高等学校における発達障害の生徒の中には、友人とのコミュニケーションがうまくいかず不登校になって、ひきこもりになってしまう生徒が一定数存在すると聞いております。そうならないための支援について、都教育委員会の考えを伺います。
○松川特別支援教育推進担当部長 発達障害の生徒は、その障害特性から周囲の理解が得られず疎外感を感じやすい傾向があり、不登校などのさまざまな学校、学級不適応を起こす場合がございます。
こうした発達障害の生徒一人一人の障害の状態に応じた指導、支援や進路指導の充実を図るため、組織的な対応のあり方をまとめた教員向けの手引とDVDを作成し、学校、学級不適応の予防、改善を図るとともに、障害のない生徒の理解も促進してまいります。
○里吉委員 子供たちへも理解を促進していくということでお答えいただきましたが、これは高校だけでなく、小学校から高校まで、ともに学ぶ子供たちの理解促進をすることが本当に重要だと考えます。
そして、そのためにも、教職員全体がさまざまな発達障害を理解することが大切だと考えます。教職員の研修についてはどのように取り組んでいくのか伺います。
○松川特別支援教育推進担当部長 来年度から区市町村において小学校へ特別支援教室が順次導入されますことから、全ての教員が発達障害の基礎的な知識及び対応力を身につけることが必要でございます。
このため、都教育委員会は、各学校において発達障害教育を適切に実施できるよう、校長、副校長を対象とした悉皆研修を実施しております。
また現在、初任者研修、10年経験者研修等の経験や職層に応じた研修の中で実施している発達障害に関する知識や、通常の学級における発達障害の児童生徒とのかかわり方などに関する内容を充実し、教員の資質、能力を向上してまいります。
○里吉委員 教職員の悉皆研修を初め、取り組んでいるということでした。ぜひ充実させていただきたいと思います。実際に都教委の調査でも全てのクラスに発達障害の子供がいるという結果が出ているわけですから、研修は本当に重要なわけです。
それから、当然のことですが、研修だけでは発達障害児の指導力は向上しません。小学校の通級では、教員が集団で指導できたために、その中で教員のスキルアップができたと、今回学校を回ることになると今までのようにはいかないわけで、2人以上で教員が各学校を巡回するなど対策がとられていますが、教員が専門性を磨けるような引き続いての対応をお願いしたいと思います。
さらに今回、都教委が示した推進計画の骨子で、小中学校においてソーシャルスキルトレーニングの事例集を作成するということでしたが、どのようなものなのか、作成の目的について伺います。
○松川特別支援教育推進担当部長 発達障害の児童生徒は、その障害特性から対人関係やコミュニケーションに課題があることが多く、通常の学級の中で集団に参加できなかったり、友人とのトラブルを生じやすい傾向がございます。
このため、都教育委員会は、大学等の研究機関と連携して、ソーシャルスキルトレーニングの事例集を作成し、学校での活用を通して、発達障害の児童生徒の社会性の向上を図ってまいります。
○里吉委員 これは非常に大切なトレーニングだと思います。現在小学校の特別支援学級の通級で行っている集団指導のメニューも、このソーシャルスキルトレーニングの一つだと思います。 私が気になるのは、この事例集を研究機関と連携して作成した後、どうやって活用するのかということです。今の小学校1、2年生が35人学級、3年生以上が40人学級では対応が難しいのではないかと思います。
この推進計画を作成するに当たって、既に2年前に、専門家の方も含めた東京都発達障害教育推進会議というのが行われておりまして、議事録を読ませていただきましたが、ここでも、ある委員は、クラス単位は25人ぐらいになるとかなり手をかけられると発言しておりました。
来年以降始まる小学校の特別支援教室も、対象となる子供がどんどんふえても、教員はふやさない計画です。これでは今までのような集団指導ができるか心配する声が保護者から出ております。特別支援学校のセンター的機能のための教員加配もセンター校全校には行われておりません。
やはり、しっかり教員を配置してこそ、一人一人にきめ細かな対応ができるわけで、教員をふやすことも改めて強く要望いたしまして、私の質問を終わります。