文教委員会速記録第1号

2016年都議会文教委員会での論戦都議会質問

◆私立高校の授業料軽減補助について

○里吉委員 それでは、請願に対する質疑を行ってまいります。
請願27第47号、教育費負担の格差を無くし、子どもたちに行き届いた教育を求めることに関する請願は、50万5804人からの署名が寄せられるなど、今回も多くの方々から私学の拡充を求める請願が出されました。
日本は、子供の6人に1人が貧困だという現状、そして、世界の中でも特に教育費が高いという中で、この請願の中身は本当に切実だと思います。
本来であれば、教育費は無償であるべきだと思いますし、例えば東京では、高校生の6割が私立高校に進学することから、少なくとも一層の公私間格差是正に向けての取り組みが求められています。
まず、私立高校の授業料軽減補助について伺います。  私立高校の授業料軽減補助には、国の制度である就学支援金、都の独自制度である授業料軽減補助金があります。そのほかに、私立高校が独自に授業料減免を行ったときに、その一部を東京都が補助する特別補助があります。
この特別補助についてですが、現在どれくらいの私立高校で使われているのか、実績を伺います。

○加藤私学部長 平成26年度は、対象私立高等学校237校中、32・5%に当たる77校に対して補助を実施しております。

○里吉委員 全体の約3分の1、77校では、学校独自の授業料減免があるということでした。  その学校独自の授業料減免ですが、2014年度からだったと思いますが、制度が拡充されました。それまでは補助の対象が授業料だけだったのですが、その他納付金も含めるようになったわけです。
これは、一歩前進だと思うのですが、改めて、この補助の対象が授業料と学校納付金となっているのはどうしてなのか、その理由について伺います。
あわせて、学校納付金とは、例えば、どのようなものなのかもお答えいただきたいと思います。

○加藤私学部長 授業料減免補助につきましては、国の就学支援金や都の特別奨学金の制度改正に伴い、授業料に対する公費助成が充実されましたことから、各学校が行う保護者負担軽減の取り組みを促進するため、補助の対象範囲を授業料だけではなく、その他納付金まで拡大したものです。
また、その他納付金でございますが、これは学校によって内容は異なりますが、例えば教育内容の充実を図るための教育拡充費、実習費などが挙げられます。

○里吉委員 学校納付金は、実習費など、いろいろ学校によってはその内容は違うということですが、授業料と同様に、ご家庭で負担しなければならないものだということだと思うんですね。
ですから、今ご説明いただいたように、国の制度改正で公費助成が拡大されたことに伴って、保護者の負担軽減の促進のために補助の対象範囲を拡大したというご説明だったと思います。  今回の請願では、東京都が行っている東京都独自の授業料軽減補助についても、補助対象を、授業料だけではなく施設整備費など、学費全体に広げることを求めています。
特別補助と同じ考えに立てば、こちらも対象範囲を拡大して当然だと思いますが、現在、東京都の授業料軽減補助は、厳密に授業料だけが対象となっていて、学費全体となっていないのはどうしてなのか、対象範囲を拡大すべきと考えますが、都の見解を伺います。

○加藤私学部長 都はこれまでも、私立高校に対し全国でも高い水準となっている経常費補助を通じて授業料や施設費等学校納付金の抑制に努めてまいりました。
また、国の就学支援金や都の特別奨学金により、授業料の保護者負担軽減を図るほか、育英資金や奨学給付金により、授業料以外の教育費負担についても軽減を図っております。
都は、こうした幅広い施策を総合的に活用し保護者負担の軽減に努めており、今後もこの考えに基づき実施してまいります。

○里吉委員 この東京都の制度を説明するときに、育英資金を入れるというのは、私はやめていただきたいと思うんですね。これは借金ですから、返さなければいけないお金なわけです。高校を卒業してから、また大学に行ったときに、そこでもやはり、今、支給されるということではなくて、返さなければいけない奨学金しかないわけですから、そのことはよく考えていただきたいと思います。
それで、前回の請願の質疑のときにも議論したんですが、生活保護世帯以外で年収250万円以下の世帯は授業料が発生しているわけです。そして、入学金も施設費も負担しています。
国の制度で就学支援金が増額はされましたけれども、そのときに、東京都独自の授業料補助は13万9400円から8万8000円に5万1400円減らされました。
奨学給付金というものはありますが、これは、学校に支払う費用以外の学用品や修学旅行費として支払われる、学校生活を送る上で必要な経費の負担軽減のためのものとされていますから、これがあるからよしとはいえません。
授業料として徴収すべきものと、施設費やその他の名目で徴収すべきものの区別は、公的にはあるのかという質疑を前回も行いましたが、各学校の学則で定めるものということも確認いたしました。どちらも必ず学校に支払うべきものであり、全体として学費とすることの方がむしろ自然ではないでしょうか。
来年度は、国の就学支援金が1年生から3年生まで全学年での実施となります。この機会に、都としても、授業料負担軽減の対象拡大を行い、全体として支援拡充となるように強く求めておきます。
次に、入学金について伺います。
先ほどご説明にもありました私立高校の入学支度金貸付制度とは、どのような制度なのか伺います。

○加藤私学部長 入学支度金貸付制度は、私立高校に入学する生徒の保護者の負担軽減を図るため、東京都私学財団が、学校を通じて、入学時に必要な費用のうち20万円を無利子で貸し付ける制度でございます。
私学財団は、貸し付けの条件として、学校が借り受け人と連帯保証人の連署のある借用証書を徴していることと定めており、連帯保証人の要件やその責任範囲については、各学校が定めております。

○里吉委員 それでは、現在、この制度を使っている方はどれくらいいるのか、実績について伺います。

○加藤私学部長 平成26年度は、827人が利用し、貸付額は1億6540万円でございます。

○里吉委員 一定数これを使って入学金を払っている方がいるということだと思います。827人ということでした。
以前にも、この問題を取り上げたんですけれども、実は、この話を聞くと、連帯保証人が必要だということと、それから金額が20万円ということで、これでは入学金に足りないということで、なかなか使いにくいという声を何人もの方から私は伺っています。
貸付金額20万円というのは、前回も伺いましたが、昭和62年、1987年度の当時の入学金の平均が21万円で、それに合わせて20万円にしたというご答弁をいただきました。30年近くも前の金額がそのままなんですね。
社会福祉協議会の教育支援資金というのがあるんですが、こちらは上限50万円で、連帯保証人も原則不要ということです。こちらの方が助かるかもしれません。
一方で、こちらは貸付対象者が本人なので、高校を卒業してから本人が返済しなければならないということになっています。
学校で独自の授業料負担軽減、今、約3分の1の学校でやっているということを答弁いただきましたが、こういう学校の先生にお話を伺いました。
そうしましたら、生活保護世帯の生徒が私立高校に通う場合、国や東京都の制度で、基本的には授業料負担はないんですが、それでも入学金が高いために、入学をちゅうちょしてしまう生徒が少なくないそうなんですね。貸し付けの制度しかないというのでは困るとおっしゃっていました。
他県などの入学金への支援はどうなっているか見てみますと、近隣で見ますと、神奈川県や埼玉県では、所得制限はありますが、10万円の入学金補助を行っています。千葉県も金額は少ないですが、入学金補助の制度があります。
今回も請願に上がっていますが、東京都としても、入学金についても補助制度を創設すべきと考えますが、改めて都の見解を伺います。

○加藤私学部長 先ほどもご答弁申し上げましたとおり、都はこれまでも、私立高校に対し経常費補助を通じて授業料や施設費等学校納付金の抑制に努めております。
また、国の就学支援金や都の特別奨学金により授業料の保護者負担軽減を図るほか、育英資金や、先ほどご説明いたしました入学支度金及び奨学給付金により、授業料以外の教育費負担についても軽減を図っております。
都は、こうした幅広い施策を総合的に活用することによりまして、保護者負担の軽減に努めております。
今後も、この考え方に基づき適切に実施してまいります。

○里吉委員 東京都の私学助成が大変拡充しているということは、私も何回もこの場でお話ししているんですけれども、十分承知しているんです。
もう一方で、東京都の私学の学費も高くて、所得が低い方、生活保護を受けている方や、それと同水準の所得しかない家庭のお子さんが私学に行ったときに、他県よりも本当に多くの負担をしているという現実があるわけですね。
それで、私は、入学金について補助制度を創設すべきということで、これからも申し上げていきたいと思いますが、少なくとも今ご説明いただいた親が借りる入学支度金貸付制度、20万円では、入学金、全額借りられないんです。
この金額については、ぜひ金額を引き上げることなども検討していただきたいということを要望しておきます。

◆私立小中学校の授業料軽減について

次に、私立の小中学校の授業料軽減について伺います。
請願では、私立小学校、中学校の授業料を軽減する制度を新たにつくることを求めていますが、このご説明を読みますと、今の私学部のご説明ですと、小中学校は義務教育のため、国公立では授業料が無償で、経済的に困窮している家庭は区市町村が就学援助を実施している、こういうご説明を繰り返しいただいているんですね。
しかし、昨年の質疑で、就学援助について、全ての市区町村で私立の小中学生が対象になっているのかと質問をしても、就学援助は、区市町村の事業として行われていると答えるだけで、きちんとしたお答えがいただけませんでした。
そこで、改めて伺いますけれども、公立の小中学校は区市町村の所管、都立高校は都の教育庁の所管、私立高校は私学部の所管、私立の小中学校の所管はどこなんでしょうか、改めて伺います。

○加藤私学部長 私立の小学校及び中学校の教育振興につきましては、私ども生活文化局私学部が所管しております。

○里吉委員 私立の小中学校の教育振興は、生活文化局の私学部が所管しているんです。
それで、少なくとも私が文教委員会に来てから、毎年、この私立の小中学校の授業料を軽減する制度を新たにつくってほしいという請願が出されているわけですから、これをきちんと受けとめていただきたいと思います。
それで、今ある制度で就学援助というご説明をしているんですけれども、これは区市町村の事業ですから、この就学援助の項目や対象は、自治体ごとにばらつきがあるんですね。
私立の小中学校を就学援助の対象にするかどうかの判断も、それぞれの自治体の判断に任されていると思いますが、それでいいですね。確認だけします。

○加藤私学部長 昨年のこの委員会でもご答弁させていただいておりますが、その事業につきましては区市町村が実施してございます。

○里吉委員 つかんでいないんでしょうか。私、自治体のホームページを見ましたけれども、少なくとも、23区も三多摩も、半数以上は、ホームページ上に就学援助の項目のところに、公立もしくは国公立のみが対象というふうに書いてありました。
ですから、私学部の方で、生活が困窮している家庭は就学援助があるというご説明をいただいているんですが、この説明はちょっと成り立たないんではないかと思うんですね。
話を前に進めますが、じゃ、私立小中学校に子供を通わせている保護者の皆さんへの負担軽減の制度は何かあるのかということなんですが、あるとしたらどのような制度なのか、お答えいただきたいと思います。

○加藤私学部長 私立の小学校及び中学校に対しましては、経常費補助金を交付しており、これをもって保護者の経済的負担の軽減を図っております。
また、経常費の特別補助である授業料減免補助は、小学校及び中学校についても、高等学校と同様に実施しております。

○里吉委員 確認しますが、経常費の特別補助というのは、学校独自でやっている制度のことでよろしいでしょうか。

○加藤私学部長 先ほどご説明しましたとおり、そのとおりでございます。

○里吉委員 そうすると、私立高校と同じように、中学校も高校も、学校そのものに経常費補助を入れることで学費が高くならないように抑える、こういう制度はある。
それから、学校独自で授業料の補助をする、そういう学校には、経常費補助を通じて支援している。
唯一、高校の保護者にある、直接の保護者の負担軽減、これはやっぱりないということなんですね。具体的に私立高校に出されているような保護者の負担軽減は、東京都の制度としてはないということだと思うんですね。
低所得の家庭への補助が高校で拡充されてきました。国の制度もあります。そうなった分、私立の中学、高校と通わせていると、高校の方が負担が少なくて、小中学校は義務教育なのにおかしいではないかという声を最近私はよく聞くんですね。
お金がないなら、義務教育なんだから公立に行けばいいという方もいますが、東京都内にはさまざまな私立の小中学校があって、通える範囲に自分の子供に合った学校があれば、そこに子供を通わせてあげたいと思うのは当然のことだと思うんです。
私の知り合いにも、地元の公立の小学校ではなじめずに、いじめのようなこともあって、小学校1年生の途中から私立に転校して通った方がいます。その後は、本当に楽しく学校に通って、逆に高校、大学は公立に進学したんですね。そういう方もいました。
また、ある私立小学校にお子さんを通わせているお母さんは、うちの子は軽度の発達障害があるので、どの学校に入れようか悩んだけれども、今の私立小学校がうちの子には合うと思い入学をさせたら、経済的には本当に厳しいけれども、毎日楽しく学校に通っているので、何とか最後まで通わせたい、こういうお話も伺いました。
決して経済的余裕がある家庭ばかりが私立小中学校に通わせているわけではありません。世帯の所得に応じた授業料軽減制度が求められています。私学部が私立小中学校の教育振興の担当なんですから、ぜひ検討していただきたいと思います。

◆専修学校への授業料軽減について

最後に、私立専修学校について伺います。
私はこれまで、私立専修学校、各種学校の学生への授業料軽減についても、繰り返し求めてきました。
職業人の育成という点でも重要な役割を果たす専修学校に、授業料軽減の制度をつくるべきという議論が国でも行われてきました。就職に役立つ学校ということで、通っている生徒、学生の皆さんは、実際には大学に進学する方々よりも低所得の家庭の子供が多いということも指摘をされています。
今年度から、私立専修学校、専門学校に通う生徒の皆さんへの授業料補助を行う実証実験がスタートいたしましたが、現状はどこまで進んでいるのか伺います。

○加藤私学部長 私立専修学校修学支援実証研究事業は、今年度から国の委託を受け、私立専修学校専門課程に在籍し、経済的理由により修学困難な生徒を対象に、授業料に対する補助や生活設計等に関するアドバイスなどを行うものでございます。
都はこれまで、全学校を対象とする事業説明会を行うとともに、本事業の活用を希望する0校にファイナンシャルプランナーを派遣し、生徒に対して個別相談などを実施したところでございます。

○里吉委員 まだ、補助を希望している学校が0校ということでした。都内には、いろいろな専修学校、専門学校があると思うんですけれども、この実証実験についても、この先どうなるのか注視をしていきたいと思います。
あわせて、これまで繰り返し要望が出ているように、東京都としても、独自の助成を行うように改めて求めておきます。
今、各学校について議論してまいりましたけれども、日本は本当に学費が高い、教育費が高いということで、これは飛び抜けて世界でも高いわけです。
一方で、子供の貧困も深刻な事態になっている中で、どの子も本当に自分たちに合った学校に、公立でも私立でも通えるような、公私間格差是正、そのための私学の振興にしっかりと取り組んでいただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

◆路上パフォーマンス申請制の導入に関する陳情への意見表明

○里吉委員 陳情27第108号、東京都内の路上パフォーマンス申請制の導入に関する陳情について一言意見を申し上げます。
ヘブンアーティスト事業については、都民が身近に良質な芸術文化に触れる機会を提供することを目的とするもので、陳情者のいう路上パフォーマンスとは少し性格が違うと思われますが、陳情で例として挙げられているのは、柏市のストリートミュージシャン認定のことだと思われます。
柏市では、ストリートミュージシャンによる行き過ぎた行為が目立ち、市民から苦情が出てきたときに、一般のストリートミュージシャンを守るためにつくられたと伺いました。  今回の陳情は、東京都でも一定のルールをつくって、それを守るストリートミュージシャンを認定するような制度をつくってほしいというものです。
交通の妨げとならないように、ルールを設けた上で路上パフォーマンスの活動の場を保障することを東京都としても検討していただきたいということで、趣旨採択を求め、意見といたします。

◆東京都平和祈念館(仮称)の建設について

○里吉委員 それでは、東京都平和祈念館(仮称)の建設に関する陳情の質疑を行います。
ことしは戦後71年目です。陳情にもあるように、当時、国民学校1年生であった方々は75歳前後になっています。
戦後50周年を迎えるに当たり、建設が具体化されていた東京都平和祈念館の計画が凍結されたまま、戦後70周年を超えてしまいました。
当時、この話が具体化されていたときも、議事録を読みますと、既に次世代にいかに戦争の惨禍を語り継ぐかということがいわれていましたが、それから20年以上の時が過ぎています。
東京都平和祈念館の建設をめぐる陳情は、平成13年、21年、24年と出されて、今度で4度目の陳情になります。私は、この陳情を重く受けとめ、一刻も早く平和祈念館建設を進めるべきという立場から質疑を行いたいと思います。
東京に平和記念館をという話は、1970年代から東京都に寄せられていましたが、具体的に動き出したのは平成4年、1992年です。
当時の鈴木都知事は、東京都平和記念館基本構想懇談会への諮問文手交の際に、東京都平和の日記念行事企画検討委員会から、平成7年、1995年には、戦後50周年を迎えることもあり、犠牲者を慰霊するとともに、平和の大切さを内外に伝えるモニュメンタルな平和記念館のような施設について検討してほしいという提案を受けた、この提案は、大空襲の犠牲者を慰霊、鎮魂するとともに、平和を願う都民の気持ちを内外に示す上で極めて有意義なことと考え、早速、平和記念館の検討を始めることとした次第でありますと述べています。
東京都平和記念館基本構想懇談会は、当時の都議会全会派から都議会議員も参加し、有識者の方々など、委員会では大変活発な議論を行っています。
大阪国際平和センター、広島平和記念資料館、さらに沖縄のひめゆり平和祈念資料館等の視察も行って、東京都にふさわしい平和資料館とはどんなものか、なぜ今、東京に平和資料館が必要なのかといったところから議論がなされていました。
懇談会の議事録を、全て改めて読ませていただきましたが、小委員会などでも議論を深めながら、本当に苦労してまとめたものだということがよくわかりました。
東京都平和記念館(仮称)の建設に当たっては、当時の全ての会派がこの懇談会に参加し、検討を進めたと認識していますが、そこで一致した内容について伺いたいと思います。
一つは、この平和記念館の設置の意義について、そしてもう一つは、施設の基本的性格について、あわせてお答えください。

○鳥田文化振興部長 平成5年に作成された東京都平和記念館基本構想懇談会報告においては、平和記念館の設置の意義は、
1、戦争の惨禍を語り継ぎ、都民一人一人が平和の大切さを確認する拠点、
2、都民の平和への願いを世界に向けて発信する拠点として設置されることとされております。
また、施設の基本的な性格は、
1、戦争犠牲者を悼み、都民の戦争体験を継承すること、
2、平和を学び、考えること、
3、東京の平和のシンボル、
4、平和に関する情報センターとされております。

○里吉委員 今ご説明いただいたように、東京都平和記念館基本構想懇談会報告では、平和記念館の基本的な考え方について、設置の意義や基本的な性格等が示されています。ここまでは合意できていたということです。
その後、平成8年、1996年から東京都平和祈念館(仮称)建設委員会での議論となったわけですが、付帯決議には、展示内容のうち、いまだ議論の不十分な事実については、今後さらに検討を加え、都議会の合意を得た上で実施することということで、最後、こうなっているわけですね。
これは、建設は中止ではなくて、いずれ建設するということだと思うんですが、これまで東京都として話し合いを再開させるための取り組み、どういうことを行ってきたのか伺いたいと思います。

○鳥田文化振興部長 東京都平和祈念館(仮称)の建設については、平成11年3月の都議会における予算審議の中で、都議会の合意を得た上で実施することとの付帯決議が付されました。  その後、平成13年、平成21年、平成24年と3回の陳情が出されており、その都度、文教委員会において議論が行われております。

○里吉委員 今の答弁は、私は余りにも無責任ではないかと思います。都民の皆さんから陳情が出てきたから、議論の場ができたということだけではありませんか。
平成4年、1992年から始まった平和記念館をつくろうという取り組みは、改めて資料を読んで思いましたけれども、発案は東京都平和の日記念行事企画検討委員会でした。
都として、この提案を受けて、先ほどもいいましたけれども、基本構想懇談会で議論を深めて、報告を出しました。
さらに、建設を具体化するための東京都平和祈念館(仮称)建設委員会が設置されました。この委員会も、都議会全会派の代表、都議がそれぞれ出ました。公募委員の方も出ました。関係団体の方々、有識者の方々が集まって議論が進められてきたわけです。
私は、当時、東京都も、都議会も、そして都民の皆さんも、できるだけさまざまな意見を出して、それをお互い聞きながら議論を進めてきたんだなということを資料を見て思いました。
平和祈念館で活用するという前提で集められた330人の証言ビデオや、遺族や戦争体験者の方々から寄せられた5千点以上の遺品が、ほんの一部だけしか使われず、倉庫に眠っている状態をこの先何年続けようというのでしょうか。  凍結したままで仕方ないとは絶対にいえません。都議会は都議会として、議論を再開させて、合意のための努力をすることは当然のことです。  我が党の小竹議員も、昨年、第4回定例会の一般質問で、知事と都議会各会派の皆さんに、東京平和祈念館、都立の戦争資料館の建設に向けた議論を開始し、一日も早く実現することを呼びかけました。
東京都としても、東京都平和祈念館を所管している生活文化局として、その建設に向けてどのように取り組むのか、改めて見解を伺います。

○鳥田文化振興部長 東京都平和祈念館(仮称)に関しては、平成9年から平成11年にかけて、当時の都議会において、展示内容に係る歴史的認識や見解に相違があり、大方の合意が得られずに、付帯決議がなされたと理解しております。
したがって、その建設については、改めて都議会での一定の審議と合意がなされなければ、対応が難しいと認識しております。

○里吉委員 対応が難しいということは十分わかっています。だから、ずっととまったままなんです。しかし、だからできませんということでいいのですかということを私は伺っているのです。東京都の平和行政への取り組む姿勢が問われています。
私は、昨年、広島市の平和行政について学んでまいりました。お話を伺ってきました。
広島市の平和担当は、現在、平和推進部で3課体制、課長が3人、職員14名という体制です。
そして、平和記念資料館は、条例で、原子爆弾による被害の実相をあらゆる国の人々に伝え、広島の心である核兵器廃絶と世界平和の実現に寄与するため広島平和記念資料館を設置すると目的が定められています。
今でも、新たな事実の発掘にも力を入れていて、時にはアメリカ公文書館にも出かけていくそうです。
また、現在でも、毎年60人から70人の方々から、300点から900点程度の寄贈があり、遺品の寄贈があったときには、原爆を伝える資料として残すために、誰の遺品なのか、どこで被爆し、その後どうなったのか詳細に調べて、展示の際には、よりリアルにそのことが伝わるよう努力しているというお話でした。
新しい寄贈が一定数あるので、毎年、新着資料展も行っているそうです。
広島には、こうした受け皿があるので、資料がまだ毎年新しく寄せられているのです。被爆の事実を後世に伝えたいという被爆者の思いに応えることのできる、そういう取り組みになっていると思いました。
平和祈念館の建設も含め、首都東京にふさわしい平和行政を進めるためには、その体制も、ふさわしく拡充する必要があると思います。
そこで、改めて伺います。
生活文化局は、東京都平和の日の記念式典や東京空襲犠牲者名簿の収集などを行っていますが、東京都の平和事業などに関する仕事、どのようなことをすることになっているのか、改めて伺います。

○鳥田文化振興部長 生活文化局の平和事業に関する事務は、東京都組織規程第23条により、東京都平和の日に関することと定められております。

○里吉委員 お答えいただいたように、平和に関することを所管しているのは、文化振興部の文化事業課です。そして、そのいろいろある仕事の中の一つとして、東京都平和の日に関することとあるだけなんですね。
広島市も、最初は市長室に平和記念資料館が所管されていたそうです。20年ほど前に、市民局に平和推進課が設置されて、課長が1人に、そこからだんだん大きくなって、平和推進部、課長3名体制に拡充してきたということでした。
東京都としても、本腰を入れて平和行政に取り組む体制を要望しておきます。  繰り返し、東京都の平和祈念館の建設を求める陳情が出されてきました。東京空襲を初め、戦争を体験した方々が高齢化し、資料の収集なども、今後さらに大変になってまいります。
私も、これを全部読ませていただきましたけれども、この東京都平和記念館基本構想懇談会の報告は、結びにこう書いてあります。
世界情勢は大きく揺れ動いています、人々の平和に対する考え方もさまざまであると思われます、この報告書は、こうした多様な意見があることを前提に、その中で都民の平和を願う率直な気持ちを代弁できればと願いつつ、世界都市東京に設置するにふさわしい平和記念館のあり方について検討してきた、そして、これから具体化するに当たって、さまざまな意見が出たら、その意見に耳を傾けながら、検討を深めるように期待し、最後に、平和記念館が都民の平和を願うシンボルとなる施設として、世界の平和に寄与することを願ってやみませんと締めくくられています。
私も、本当にそのとおりだと思います。戦争の惨禍を語り継いで、平和と命のとうとさを伝える平和祈念館の建設を早期に実現するために、ぜひとも陳情を趣旨採択して、一刻も早く進めたい、このことを申し上げまして、私の質疑を終わります。