文教委員会速記録第2号

2016年都議会文教委員会での論戦都議会質問

◆35人学級について

○里吉委員 それでは、請願に対する質疑を行ってまいります。
まず、35人学級について伺います。
この請願も毎年、たくさんの署名とともに提出され、都民の強い要望となっています。ちょうど1年前の昨年2月には、安倍首相が予算委員会での答弁の中で、義務標準法に関する国会の附帯決議の話を受けて、そうした全会一致ということの重さもかみしめながら、先ほど申し上げましたように、小学校1年生、2年生では実現をしているわけでございますが、さらに35人学級の実現に向けて鋭意努力をしていきたい、このように思っておりますと述べました。
いよいよ35人学級を3年生以上に前進させてくれるのかと、首相が国会で答弁したからには、やってほしいと期待も高まっているわけですが、今のところ、まだ国は足踏み状態が続いております。
国の中でも、特に財務省が国民の強い願いに背を向け、教育にはお金を出したくない、教員をふやしたくないと信じがたい態度をとっている中で、全国的には少人数学級の前進のための独自の努力が続けられています。
実は、東京都では小学校1、2年生に加え、中学校1年生でも35人学級を独自に実施していますが、さらに前進させたいというのが保護者、都民の皆さんの願いです。
そして、実は都内でも幾つかの区市町村では、独自に教員を加配して、35人学級など実施しているところがあります。
具体的にはどこがどのような取り組みを行っているのか伺います。

○粉川地域教育支援部長 杉並区と品川区が都教育委員会の学級編制基準に基づく学級数に応じて置かれる教員に加え、独自に採用した教員を配置しております。
平成27年度、杉並区では原則として小学校全学年を対象に、1学級34人の学級編制とし、また、品川区では一部の小学校において学級規模の縮小を行っております。

○里吉委員 小学校全学年を34人学級にするなど貴重な努力が行われていることがわかりました。
同時に、区市町村が独自に教員を採用することは、さまざまな難しさがあり、また自治体の財政力により左右されてしまうことを考えれば、やはりここは東京都の出番だと思います。
先ほど申し上げましたように、東京都は中学校1年生では独自の教員加配を行っています。そして、小学校2年生、これは国の財源措置がありますが、も含めて35人学級とチームティーチングの活用のどちらかを選択できる柔軟な制度を実施しています。
実際、小学校2年生、中学校1年生ではどのくらいの学校が35人学級を実施しているのか伺います。

○粉川地域教育支援部長 小学校第2学年の35人学級対応と中1ギャップの予防、解決のための教員加配を受けた学校のうち、学級規模の縮小を選択している割合は、平成27年度、小学校では94・6%、中学校では53・5%でございます。

○里吉委員 小学校2年生はほとんどが35人学級、中学校では約半数が35人学級を選んでいるということです。小学校と中学校で違う傾向が出ているということですが、小学校2年生、中学校1年生でのそれぞれの効果、どのようにつかんでいるのか伺います。

○伊東指導部長 教員の加配について、小学校においては、児童とコミュニケーションをとる機会がふえ、児童理解を深めることができたという意見や、中学校においては問題行動の未然防止や早期解決に効果があったなどの報告を受けております。
特に一人一人の習熟の程度に応じた指導を行う少人数指導は、学習到達度に着目し、個々の状況に応じて前の学年の内容に立ち戻る指導を行うなど、指導方法や教材を変えることにより、都が行う調査において正答率が上昇するなど、確かな学力の向上に効果がございます。
なお、学力向上や問題行動の未然防止などの教育効果につきましては、教員の指導力を初めさまざまな要因が関係しておりまして、私どもが把握している範囲では、小中学校ともに学級規模の大小と学力、問題行動などの相関について明確な結論は出ておりません。

○里吉委員 私は、教員が加配されたほとんどの学校で35人学級を実施している小学校2年生と、35人学級とTTなどが半分半分で使われている中学校1年生で、それぞれの効果ということで伺いましたが、教員がふえているということでいえば、小学校では児童とコミュニケーションをとる機会が増加したと。中学校では、問題行動の未然防止や早期解決に効果があったと。よい効果があったということがわかりました。
都教委の報告も読ませていただきましたが、コミュニケーションや問題行動の解決だけでなく、学習に当たっても、学級規模を小さくしたことで、丁寧に細かく個別指導を行うことが可能になった、それから、学習につまずきがある生徒の早期発見、早期対応ができるようになったということも効果があったということが述べられていたと思います。
それから、今、部長おっしゃいましたけれども、少人数学級について、学力向上には教員の指導力などさまざまな要因が関係すると。学級規模の大小と学力の相関関係には明確な結論は出ていないというご答弁がありましたけれども、少人数指導の場合も、ただ習熟度別にクラスを編制しただけで効果が上がっているわけではなくて、指導方法や教材を変えることによって、正答率が上昇したということですから、それはやはり少人数指導の場合も、少人数学級の場合も、そうしたからそれだけで何か効果が上がるということではないという意味では同じことだと思うんですね。
学級規模の縮小、すなわち少人数学級も、指導方法を工夫することが必要だということは当然のことなんです。それで、全国に先駆けて少人数学級を実施していた「さんさん」プランで有名な山形県ですが、まさにそのことに着目して、少人数に合った指導方法の改善に力を入れて、効果を上げているということも広く知られていることです。
学級規模を縮小しても効果が上がるかどうかわからないと、少人数指導だと効果が上がるという印象を与えるようなご答弁はちょっといかがなものかなと私は思いました。
最近、国の財務省が少人数学級の効果があるかどうかわからないということを盛んにおっしゃっていますけれども、私は、それは世界中の教育の研究の中で積み上げられてきた蓄積を見ようとしない、大変乱暴ないい分だと思います。
国立政策研究所の報告などもありますけれども、さまざまな研究者の論文などを読みますと、外国も含め、多くの研究で学級規模が小さいほど、児童生徒の学力が高い傾向があるという結果が示されていることがわかります。
その先行研究の上に立ち、さらにさまざまな角度からの研究が行われていて、例えば指導方法も含めた研究では、指導方法と規模が小さいことの両方が重要であるという結果も得られています。
また、例えば前の学年では、学年40人で1学級だったのが、次の学年では41人になって、20人と21人の2学級になったと。ある学年だけたまたま少人数学級になったこういうケースよりも、少人数学級が何年も継続した方が効果が上がりやすいという報告もあります。
学力は、例えば親の経済力との相関が強いことも指摘されるなどさまざまな要求が影響しますから、効果がはっきり見えないときもあるかもしれませんが、やはり積み上げられてきた事実は、都教育委員会の皆さんもしっかりと受けとめていただきたいと思います。
そして、私が何よりも感じますのは、繰り返し述べていますが、小学校1、2年生で35人学級を経験し、そのよさを実感している保護者、学校現場の先生方の意見に耳を傾けるべきだということなんですね。
特に小学校3年生で引き続き35人学級を望む声、大変多く伺っています。例えばある学校では、学年78人、2年生のときは26人ずつの3クラスだったのが、3年生になったら39人ずつの2クラスになってしまう。その差は13人です。子供たちへの目の届き方、一人一人の授業の理解度の把握のしやすさが全然違ってくるそうです。一人にかけてあげられる時間も全然違ってきます。
保護者の方は、今は若い先生も多く、また産休に入るなど、学年の途中で先生が交代することも多い、そうした中で、35人学級というけれども、35人でも多い、20人から25人ぐらいにしてもらわないと行き届きません、実はこういう声も本当に多いんです。
都教育委員会の皆さんもご存じだと思いますが、小中学校の校長会、副校長会からも毎年35人学級の学年の拡大の要望が上がっています。せめて小学校3年生だけでもすぐに35人学級にしてほしいというのが現場の声です。
都としてぜひ応えるべきだと考えますが、見解を伺います。

○粉川地域教育支援部長 義務教育における今後の学級編制のあり方は、教育の機会均等や全国的な教育水準の維持の観点から、国の責任が大きいと考えております。

○里吉委員 国の責任といいますが、よいことは東京都が先駆けてやっていただきたいんです。しかも、先駆けといいましても、他の道府県を見れば、毎年、文科省の資料も出していただいていますけれども、既に多くの道府県では、東京都以上に学年を進めて少人数学級を実施しています。秋田県もいよいよ来年度で全学年の35人学級ができるということで、新聞報道もされていました。
財務省がストップをかけたもとでも、独自に他県は前進させています。東京都もせめて小学校3年生ぐらいは直ちに35人学級にしていただきたい。そして、さらに進めて小中学校全学年に広げていただくことを私からも強く要望し、次の質問に移ります。

◆都立高校の増設について

次は、都立高校の増設について伺います。
請願では、都内公立中学校卒業生の増加に見合う、都立高校の増設が求められています。都内公立中学校卒業生は今後増加が見込まれていますが、具体的な増加見込みと、それに伴う都立高校建設計画について伺います。

○早川都立学校教育部長 平成27年11月に公表いたしました教育人口等推計では、都内公立中学校の平成28年度の卒業予定者数は7万9677人となっておりますが、平成32年度の卒業予定者数、すなわち33年度入学予定者数でございますが、7万6296人まで減少する見込みでございます。
その後、増加傾向に転じ、平成40年度の卒業予定者数、すなわち41年度入学予定者数は8万5036人となる見込みでございます。
こうした動向を踏まえまして、先ほど策定についてご報告いたしました都立高校改革推進計画新実施計画には2校の新設を盛り込んだところでございます。 ○里吉委員 我が党は、この間繰り返し都立高校の増設を求めてまいりました。私も昨年取り上げました。今回やっと2校新設を示したことは一歩前進だと思います。
都立高校改革推進計画新実施計画についての質疑は次回に回しますので、今回はこの高校増設の問題に限って質問をいたしますが、これまで都立高校の規模について、1学年6学級、18学級が標準規模といってきたと思うんですが、新設の高校の学校規模はどのように考えているのか伺います。

○早川都立学校教育部長 これまで都立高校の規模につきましては、毎年度の就学計画に基づき、1校当たり3学年合計で18学級を基本として、それぞれの学校の状況に応じ最大24学級程度で調整し、各学校において適切に受け入れております。
今後も、都内公立中学校卒業予定者数の中長期的な動向等を踏まえ、適切に受け入れを行ってまいります。

○里吉委員 今のお答えですと、新設校についても、基本は1学年6クラス、18学級だけれども、1学年8学級、24学級程度もあり得るということだと思うんですね。
こうなってきますと、都教委が標準規模といってきた学校の規模は一体どういう意味があるのかというふうに思ってしまうんですね。昨年質疑したときにも明らかになったんですが、既に都立高校の半分以上がこの標準規模を超えている、そういうことです。
最大も24学級程度ということですが、現在、3学年合計で、それを超えて、25学級以上の学校は何校あるのか伺います。

○早川都立学校教育部長 平成27年度の全日制課程の高校173校のうち、25学級以上の学校は11校でございます。

○里吉委員 昨年伺ったときには25学級以上が9校でしたから、さらにふえましたね。この標準規模を大きく上回る学校がどんどんふえているわけです。現在24学級など、大規模化した学校も18学級、標準化するという方向で、これから高校を新しく新設するのであれば、そういう策定をしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○早川都立学校教育部長 都教育委員会は、これまでも学ぶ意欲と熱意のある生徒を確実に受け入れていくため、毎年度、都内の公立中学校卒業予定者のうち、都立高校及び都内私立高校で受け入れる人数を定めた就学計画を私学側と協議の上策定しております。この就学計画に基づき、都内公立中学校の卒業予定者の増減に応じて募集人員を定めております。
現在、18学級を基本としつつ、それぞれの学校の状況に応じ、最大24学級、最小12学級程度で調整し、各学校において受け入れており、今後も適切に対応してまいります。

○里吉委員 また、これはどこかで標準規模というのをどう考えるのかという議論はしたいと思うんですが、私は、新しく計画をつくるのであれば、学校規模は標準規模を上回らないような計画をつくるべきだというふうに思います。
先ほどご答弁いただきましたように、今後、公立中学校卒業予定者数、今年度に比べて5千人以上ふえるという推計を出しているわけですから、もっと大幅に都立高校は増設するべきだということを申し上げておきます。

◆特別支援学校の寄宿舎について

次に、特別支援学校の寄宿舎について伺っていきたいと思います。
まず、通学困難の入舎基準に該当する全特別支援学校児童生徒に寄宿舎の存在を周知するということについて伺います。
この寄宿舎ですが、島しょ地区在住や90分以上の通学時間を除く、家族に複数の障害者、障害児がいたり、家族に介護が必要な人がいるなど、付き添いが困難な場合など、寄宿舎の入舎基準に該当する、こういう家族理由という方が今、寄宿舎に入っている人ではなくて、全特別支援学校に通っている人の中でどれぐらいいるのか、つかんでいるのかどうか伺いたいと思います。

○松川特別支援教育推進担当部長 寄宿舎の入舎基準では、通学困難に該当するものとして、家族理由による基準も定めております。この基準に該当するか否かにつきましては、そうした状況の発生する時期やその対応が一様ではないことから、個別具体的な状況に応じて判断する必要がございます。
都教育委員会では、都立特別支援学校への就学や転学について、全ての事例において東京都特別支援教育推進室の相談を経る仕組みを整えており、家族理由による基準への該当については、就学や転学に関する相談を通じて状況を把握しております。

○里吉委員 家族理由に該当する人が何人いるかということについては、特につかんでいないということなんですね。
家族理由があったとしても、その方が入舎するかどうかはまた別として、対象となる人が何人いるかということはぜひつかんでいただきたいと思うんです。
伺いたいんですが、実際には、個別に説明を行っているということでしたけれども、新たな入学、転学などの相談はどのように行われ、どの部分で寄宿舎の話が保護者に説明されるのか具体的に伺いたいと思います。

○松川特別支援教育推進担当部長 都立特別支援学校への就学、転学につきましては、全ての事例において、東京都特別支援教育推進室の相談を経て就学先の学校を指定しております。
相談の際には、児童生徒の障害の状態、生育歴、家庭環境、教育内容に関する意向等の確認を行っており、この中で通学困難と認められる場合や保護者が寄宿舎の入舎を希望する場合は、入舎基準や利用方法など、寄宿舎に関する説明を行っております。

○里吉委員 今説明しているということだったんですけれども、その中身がどうなっているのかなということなんですね。家族理由で入舎が認められるかどうかというのは、いろいろな条件がありましたけれども、全員が寄宿舎を希望するわけではないかもしれません。でも、あなたのお子さんは希望すれば寄宿舎に入舎できますが、希望しますかというくらい丁寧に周知をしていただきたいと思います。万が一もほとんど入れない、家族理由で入舎できるのは本当に本当にまれなケースというような印象にならないようにしていただきたいということを申し上げておきます。
また、この間、東京都は寄宿舎を幾つも廃止してきました。その結果、本来行く予定の特別支援学校に寄宿舎がないというケースもあると思います。その場合は、転校して、寄宿舎に入舎して通学するということが可能だという説明も全てのケースでしていただいているのでしょうか。確認します。

○松川特別支援教育推進担当部長 東京都特別支援教育推進室におきまして、通学困難と認められる場合や、保護者が寄宿舎の入舎を希望する場合の相談を受けた際には、同一の障害教育部門の寄宿舎を設置する他の特別支援学校への転学につきましても、一つの選択肢として説明を行っております。

○里吉委員 ちゃんと周知しているというお答えで、本当に周知していただいているのだったらいいと思うんですけれども、実際は、例えば八王子特別支援学校の児童で、八王子盲学校の寄宿舎に入舎しているのが島しょ生だけだというふうに聞いています。ですから、周りのお母さん方は、島しょ生以外は寄宿舎について本当に知らされているのかというふうに思ってしまうということなんですね。
そこで、周知をより効果的に進めるために、例えば全ての方がここで相談をするという、東京都の教育推進室で就学相談をしたときに、基本的な寄宿舎の案内のビラを渡すなどしてはどうかと思うんですが、見解を伺います。

○松川特別支援教育推進担当部長 寄宿舎は、通学困難な児童生徒の就学を保障することを目的として設置しているものでございます。
寄宿舎の利用につきましては、児童生徒の適切な就学先を指定する際に、障害の状態や教育内容に関する意向などと一体的に検討されるべきものであると考えておりまして、都教育委員会では、就学相談等の中で寄宿舎に関する情報を適切に提供しております。
また、入舎を決定する寄宿舎設置校におきましても、入退舎案内等の配布やホームページへの掲載により、保護者に対して詳細な情報を提供しております。

○里吉委員 今、ご説明があったので、私も、入退舎案内、学校でつくっているパンフレット、参考に一つ見せてもらいました。それから、学校のホームページも見せてもらいました。確かに、どういう目的でこの寄宿舎は運営されているだとか、一週間のスケジュールだとか、年間スケジュールだとか、そういうのは書いてあるんですね。
ただ、肝心のどういうお子さんが入舎の対象なのかということについては、通学困難な方としか書いてありませんでした。少なくとも私が見たホームページにはそれしか書いてありませんでした。そうすると、そこで、もう既に寄宿舎に自分が入れる、自分のお子さんを入れることができるということがわからない、こういうことにもなりかねないと思うんですね。
ですから、この請願も本当にきちんと周知してくださいということが、毎年のように寄宿舎連絡会の皆さんから出されているということは伝わっていないんじゃないかと。皆さんが周りにいるお母さん、お父さんを見てそう感じていらっしゃるということだと思いますので、ぜひ丁寧に周知をしていただきたいというふうに思います。
ホームページなど改善していただけたら、すぐに改善して、家族理由、こういうことで入れますよというのもぜひ書いていただけたらというふうに思います。
次に、寄宿舎指導員について伺いたいと思います。
寄宿舎指導員の配置基準、ご説明いただきましたが、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律などによるものとのご説明でしたが、具体的に児童生徒の数に照らしてどのような配置基準になっているのか、また、都の独自基準についてもあわせて伺います。

○江藤人事部長 都におきましては、寄宿舎指導員の配置基準は、いわゆる標準法に基づき、肢体不自由特別支援学校では、寄宿舎の定員に応じて、児童生徒3人に1人の割合、肢体不自由以外の特別支援学校では、児童生徒5人に1人の割合となっております。
ただし、児童生徒数が少ない寄宿舎につきましては、最低12人の指導員を配置することとなっております。
また、都独自の基準として、肢体不自由者のうち、重度重複障害のある児童生徒2人に1人の割合としているところでございます。

○里吉委員 いろいろ基準はあるけれども、最低12人の指導員を配置しているということでした。私も調べてみましたら、どこの寄宿舎にも12人以上の指導員が配置をされていました。
しかし、この12人の指導員という数ですと、複数以上の宿直勤務の体制を考えると、余裕があるとはいえないと思うんですね。私がお話を伺ったある指導員の方は、国の基準、12人以上とあるだけで、子供の実態に合った基準がないのが問題だといっていました。
寄宿舎というのは、子供たちが基本的生活習慣を確立させたり、自立心の育成を図って、みんなと協力して生きていく力を育てるところ、障害が重複していたり、家庭にさまざまな困難を抱えている子供がふえている中で、その役割にふさわしい職員配置が必要だとおっしゃっていました。
そもそもこの法律自体が古くて、実態に合っていないという声も聞きます。都としても、先ほどのご説明にもありましたように、教職員定数の一層の充実を求めて、従来から国に対してこれは変えるべきだと、解決するべきだと要望を出していただいているということでしたが、定数改善のために、都として実態に合わせた基準、これをつくるということも今、本当に求められていると思うんですが、どうでしょうか。これについての都の見解を伺います。

○江藤人事部長 寄宿舎指導員につきましては、標準法及び都独自の基準により、寄宿舎の収容定員を基礎として必要数を算定し、適切に配置をしております。

○里吉委員 寄宿舎の収容定員を基礎としてということなんですが、入舎している舎生の皆さんが、いろいろな障害がある方だったり、それから何泊もする方だったり、いろいろと状況は違うと思うんですね。
基準はないということで、この請願にも基準をつくってほしいということが書かれています。5つの寄宿舎があって、指導員それぞれいますけれども、明確に表に出ている基準は、一つの寄宿舎に12人以上ということ以外基準はないと。
ですから、島しょ生や障害の重度重複化に伴う加算の措置の基準とか、現在の舎生の実態に合った東京都独自の基準の作成をぜひ改めて求めておきたいと思います。  次に、就学奨励費について最後に伺いたいと思います。
就学奨励費は、国の法令に基づいて、就学に必要な経費の一部を支払っているというご説明でしたけれども、帰省費と通学費については、残念ながら今、実費支給となっていないと。通常は全額保障だと思うんですけれども、そうなっていないというのが問題だというふうに請願でも書かれていますが、どうしてこういうことが起きているのか、まず伺いたいと思います。

○松川特別支援教育推進担当部長 就学奨励費は、国の法令に基づく支給基準により、特別支援学校への就学に必要な経費の全額、または経費の一部を保護者等の経済的負担能力の程度に応じて補助しております。
通学費、帰省費に対する就学奨励費は、小中学部では、保護者の経済的負担能力にかかわらず対象者全員に実費の全額を支給しております。高等部につきましては、平成26年度から学年進行で全額支給の対象を全員とするよう支給基準が改定されており、平成28年度には全学年が対象となります。
なお、国は、帰省費について、寄宿舎の常時利用を前提に、年間52週のうち、通学の必要がない夏季休業中等を除く39週を対象とし、児童生徒は39往復分、付添人は78往復分の支給を上限としているため、それ以上に帰省した場合は、支給の対象外となっております。

○里吉委員 地方の寄宿舎であれば、金曜の夜帰省して、月曜日の朝通学してくるので、1週間で1回の帰省費で間に合うということで、これは全国的には余り問題になっていないと伺いました。
しかし、東京では、2泊して、1泊家でして、また寄宿舎に来て2泊してとか、1週間に何回か宿泊したりして、39往復では足りないということに実際なっているそうなんですよね。
さまざまな費用がかかる障害児の就学を応援する、支援するということで出しているのが就学奨励費ですから、実費負担となるように国にも改善を求めていただきたいと思いますし、都としてもぜひ対応していただきたいと思いますが、都の見解を伺います。

○松川特別支援教育推進担当部長 都教育委員会では、特別支援教育の推進のため、国に対しまして特別支援教育就学奨励費に係る国の財政支援制度の維持と補助率に見合う国庫補助額の確保について、毎年要望しております。
就学奨励費は、国の法令に基づく支給基準により支給しており、都独自で実施することは考えておりません。

○里吉委員 今、都が単独実施することは考えていないということなんですが、先ほどお話がありましたように、国の方で帰省費の負担、改善されているということを先ほどご説明いただきました。
小中学生は全額支給で、高校生は来年度から全額支給ということなんですが、特に負担の大きい島しょ生の帰省費についても、これは高校生も全額実費が出るということでよろしいのか確認したいと思います。

○松川特別支援教育推進担当部長 島しょ地域の生徒を含めまして、高等部の生徒及び付添人の帰省に対する就学奨励費は、国の基準の改定によりまして、平成26年度から学年進行で全員を全額支給の対象とすることとされておりまして、平成28年度には全学年の生徒及び付添人が支給の対象となります。

○里吉委員 島しょ生も、全員が支給の対象になるということで、これは本当に助かると思います。
あわせてご要望が出ているのは、島しょの舎生の人が始業式から出席できるようにするためには、その前日に宿泊を認めてほしいということも要望として出されております。こうした要望にもぜひ対応していただきたいということも求めておきます。
最後に、今回ここに出されております請願は、全て子供たちの教育をさらに充実させることを求めるものであり、都教育委員会としてぜひ積極的な取り組みをしていただきたいということを求めまして、私の質問を終わります。