文教委員会速記録第4号

2016年都議会文教委員会での論戦都議会質問

◆東京都体育施設条例の一部改正(都立駒沢オリンピック公園テニスコート利用料金)について

○里吉委員 それでは、まず私からは、第46号議案、東京都体育施設条例の一部を改正する条例について伺っていきたいと思います。資料を用意していただき、ありがとうございました。
東京都は長期ビジョンの目標でも、都民のスポーツ拡大を目標に掲げるなど、都民が身近なところでスポーツに楽しめる、そういう場を広げていくということを大きく掲げております。
オリンピック・パラリンピックの開催に向けて、各種スポーツへの都民の関心も高まっていくときですから、改めて、いつでも、誰でも、いつまでも、気軽にスポーツに取り組める環境整備が大切になってまいります。
都内には、民間のスポーツ施設も含めればたくさんの施設がありますが、だからこそ公共のスポーツ施設は、私は安価で利用しやすいものでなければならないと考えます。ところが、都の体育施設の利用料金の決め方にはそういった観点が大変不0分だと思います。
そこで、体育施設の利用料金の決め方について伺いますが、受益者負担の考え方から、条例に定める利用料金は、施設を維持管理する上で直接必要となる経費について原価計算を行い決定すると聞いております。施設を維持管理する上で直接必要となる経費とは、具体的にはどのようなものなのか伺います。

○田中スポーツ施設担当部長 原価計算では、施設を管理運営する上で直接必要となる経費をもとに算出しており、対象となる経費は人件費、維持管理費及び減価償却費の3つであります。

○里吉委員 維持管理費というのは、多分、水道光熱費なんかだと思うんですね。それから、人件費、これはわかるんですけれども、減価償却費というのがちょっとよくわからないんですが、これは建物を改築したとしたら、その改築費を例えば耐用年数40年とか45年で割って、それを減価償却費という理解でよろしいんでしょうか。減価償却費ということだけもう一度お答えいただきたいんですが。

○田中スポーツ施設担当部長 減価償却費の内訳でございますが、地盤測量、基本設計、実施設計等々の設計業務、あるいは電気設備工事、建築工事の内容でございます。建物の解体に係る費用は含まれておりません。

○里吉委員 解体の費用までは含めないけれども、新しく設計して、全部工事するお金も入れるということで、つまり、原価計算においては、利用者が全ての原価を負担するという考えでよろしいんでしょうか。
あわせて、利用料金の上限を決めるのにほかの要素はないのか、改めて伺います。

○田中スポーツ施設担当部長 利用料金は、必要な経費を利用者に負担していただくものであることから、料金の設定は先ほど答弁した原価が基本となっております。
ただし、利用料金の上限額の決定に当たっては、原価を基本としつつ、国や他団体、類似施設の利用料金などを勘案しながら設定いたします。
また、現行利用料金と原価との間に著しい乖離が見られる場合には、倍率1・5倍を限度として改定を行います。

○里吉委員 原価が基本だけれども、周りの利用料金も勘案すると。一気に値上げはできないので、上限額を決める際にも1・5倍を限度というご説明でした。
しかし、前回、私、この委員会で同じ駒沢公園のテニスコートの利用料金の値上げ、質疑したんですが、そのときは2000円から3600円への値上げだったんですよね。限度を超えている、こういう例もありました。それから、実際の適用料金は、指定管理者がさらに周辺の類似施設の状況など総合的に判断して、配慮して設定しております。
この間値上げされました駒沢のテニスコート、料金を聞いてみましたら、2000円から3600円に上限額は値上げをされましたけれども、問い合わせたところ、現在、2時間2600円ということになっておりました。ですから、現場ではそうやって判断して、利用料金が高くなり過ぎないように、さらにきちんと対応されているということだと思うんですね。
私がいいたいのは、そういうことを指定管理者にやらせるのではなくて、1・5倍ということではなくて、本当に都民に利用しやすい料金、東京都として、公共の体育施設として、どういう金額がいいのかということを考えて上限設定もしていただきたいということなんです。  今回、資料を提出していただきましたけれども、前回、東京都が条例で利用料金の上限を上げましたけれども、実際の利用料金は平成18年から据え置かれたままだということですよね、この資料を見せていただきましたけれども。つまり、今、本当に利用料金の上限、値上げする必要がないんじゃないかということも思うわけですね。
都民の中にもっとスポーツ人口をふやしていこうというときに、公共の施設の利用料金はどうあるべきかと。本当に広く多くの皆さんに使っていただけるためにはどういう料金設定がいいのかということをぜひ考えていただきたいということを申し上げて、次の質問に移りたいと思います。

◆障がい者スポーツについて  次は障害者スポーツの問題です。

今回東京都と、それから東京都障害者スポーツ協会が作成しました障害者のスポーツ施設利用促進マニュアル、きょう持ってまいりましたけれども、これについて伺いたいと思います。
さまざまな障害のある方が区市町村等のスポーツ施設を利用しようとしたときに、施設の側がどのようなことを気をつけたらいいのか、どのような工夫をしたらいいのか、具体例もさまざまここには書かれております。
私も、例えば視覚障害の方などがプールを利用するときに、案内してくれる人がいれば、別に地元のプールでも利用できるんだという話も聞きました。実際に視覚障害の方ですとか聴覚障害の方、内部障害の方など、建物がまだバリアフリー化が完全にされていなくても、スポーツ施設で働いている方の援助があれば、使える施設がまだまだ実はあるんだということなんです。そういった話は、障害者スポーツ協会の方からも伺ってきました。
このマニュアルの中でも、視覚障害の方がプールで泳ぐときにどういうことを注意したらいいのか、周囲への注意喚起の事例などが示されておりました。こういった一つ一つの気づきというんですかね、一つ一つ気をつけていくことが、障害のある方が各スポーツ施設を利用するときにすごく役立つなというふうに思いました。
そういうことを含めて、各スポーツ施設の現場で、障害者の立場に立って改善しようと、そういう人がいかに育つかが大事だと思うんですね。このマニュアルは大変役立つと思うんですが、都としてこの促進マニュアルは具体的にどのように活用していくのか伺いたいと思います。

○萱場パラリンピック担当部長障害者スポーツ担当部長兼務 都は今年度、障害のある人のスポーツ施設利用を促進するためのマニュアルを作成し、施設管理者が配慮すべきポイントとして、コミュニケーションのとり方など人的対応による配慮のほか、きめ細かい施設面の工夫など、障害者の視点に立った使いやすい施設のあり方を示してございます。
このマニュアルは、区市町村がスポーツ施設を全ての人にとって使いやすい施設として整備を行う際にも参考になるものであり、スポーツ施設整備費補助制度の申請の際にマニュアルを紹介し、障害の特性に応じた配慮のポイントを踏まえて整備を行うよう呼びかけ、アドバイスを行い、区市町村の取り組みを支援してまいります。
マニュアルは、区市町村スポーツ施設への配布に加え、ホームページ上でも公開し、誰もがダウンロードできるようにしております。
今後、民間のスポーツ施設に対しても、会議の場などを活用し、広く情報提供を行ってまいります。
また、先週には、区市町村及び公立スポーツ施設の管理者を対象として、このマニュアルの研修会を実施したところであり、今後、多くの施設管理者の方に活用していただきたいと考えてございます。

○里吉委員 私も地元の世田谷区の担当者の方に聞いたんですけれども、2月にこれが送られてきて、早速担当の所管のところでみんなで回して読んでいて、大変参考になるというふうにいっておりましたので、ぜひこれを普及していただきたいというふうに思います。
そして、スポーツ施設で働く方が具体的に支援しようと思ったときに、これまでも東京都が進めてきました初級障害者スポーツ指導員の資格取得を一層支援していくこと、また、この促進マニュアルも使って講習会を行うなど、積極的にスポーツ施設が障害者を受け入れられるような支援が大切だと思いますが、この点での取り組みについて伺います。

○萱場パラリンピック担当部長障害者スポーツ担当部長兼務 都は、平成26年度から日本障がい者スポーツ協会公認の障害者スポーツ指導員養成講習会を実施しており、資格取得促進に向けた取り組みを進めております。
初級講習会については、公立スポーツ施設職員や指定管理者職員、スポーツ推進委員を含む区市町村職員を対象としており、積極的に受講を呼びかけております。
先週開催した研修会では、障害別コミュニケーションのポイントがわかりやすかった、設備を整えるには費用がかかるので障害者の受け入れ促進は難しいという思い込みがあったことに気づいたなど、受講者からマニュアルに対して高い評価をいただいたため、障害者スポーツ指導員養成講習会での活用についても検討しているところでございます。
こうした取り組みを通じて、身近な地域における障害のある人のスポーツ施設利用を促進してまいります。

○里吉委員 実際にスポーツ施設の人が、施設がバリアフリー化されていないと障害者の人が使えないんじゃないかと、もちろんそういう点もあるんですが、ちょっとした工夫で、さまざまな障害のある方が地域のスポーツ施設を活用できるといういろいろなアドバイスをしているという点で、本当にいろいろな気づきを与えてくれるマニュアルだなというふうに私も思います。
それから、初級講習会は、指定管理者の職員なども含めて広く呼びかけていくということでしたけれども、今、区市町村のスポーツ施設の多くが指定管理者になっているもとで、スポーツ施設の現場で働く方に障害者スポーツ指導員の資格を取ってもらえるようにしていくことが本当に大切だと思います。障害者が身近な場所でスポーツに取り組めるようにぜひ進めていただきたいというふうに思います。
また、この促進マニュアルでは課題も幾つか書かれているんですが、その一つが車椅子を使用するスポーツ環境の整備、それから地区内在住、在学、在勤要件を満たせない障害者スポーツクラブが登録団体になれない問題です。
車椅子を使用すると傷がつくということで、車椅子バスケができる体育館が少ないという問題、それから、区内在住の人が半分以上いないと団体登録できないなんていうルールがありますと、障害者の方、いろいろな自治体を超えて集まって団体をつくっているので、なかなか団体登録できないという問題なんですが、この2つの課題をそれぞれの自治体でも解決するために考えてくださいということが書かれているんですが、あわせて今回、同時に、この解決策の一つとして、東京都が5つの特別支援学校の体育館を改修して、障害者スポーツ団体に貸し出すということが示されまして、これは大きな前進だと思います。
今後、具体的にはどのように活用することを検討しているのか伺いたいと思います。

○早崎スポーツ推進部長 都は、来年度、都立特別支援学校を障害者スポーツの拠点の一つとして位置づけ、区部や多摩の地域バランス等を考慮して、5校をモデル校として選定いたします。  当該校については、施設管理を委託し、学校の負担を軽減するほか、競技用備品の設置やスポーツ指導者などの人材活用により、誰もが気楽に障害者スポーツを楽しめる場とするとともに、競技団体の活動拠点にしてまいります。

○里吉委員 先ほども質疑がありましたけれども、私の地元世田谷区は、23区でありながら、なかなか23区の北区の方のスポーツセンターに行くのも大変だし、多摩の方に行くのも大変だしということで、本当にそういう意味では、特別支援学校の体育館が使えるようになると大変ありがたいなという声も地元から出ておりました。
あわせて、障害者の方が気軽にスポーツできる場所を拡充するということでは、プールが本当に今、希望がたくさんあります。障害者の方がたくさん利用したいと思って、人気があるスポーツ、水泳がありますが、ぜひ特別支援学校のプールを温水化して、そして障害者の方がもっと身近な場所でプールに通えるようにしていただきたい、このこともあわせて要望しておきたいと思います。

◆JR浜松駅を歩行する視覚障害者への配慮について

そして最後に、オリンピック・パラリンピックに向けたアクセシビリティー確保について1点だけ伺いたいと思います。
先日、Tokyo2020アクセシビリティ・ガイドライン暫定基準が発表されましたが、大会に向けて各会場や会場までのルート、主要駅などのアクセシビリティーの確保、また五輪を通じて、障害の有無にかかわらず、誰もが暮らしやすい東京をつくり上げていくことは重要な課題です。
先日、パラリンピック関係者の方から、まず都内の危険なところを改善してほしい、以前から機会を見て要望しているが、なかなか改善されないとの声をいただきました。それがJR浜松町駅なんですね。JR浜松町駅の点状ブロックの上に柱が立っていて、視覚障害者がぶつかってしまうというのです。写真も撮ってまいりましたが(資料を示す)点字ブロックの上に柱が立っていて、点字ブロックのところを通って歩いていくとぶつかってしまうおそれがあるということなんです。
もちろん障害者の方が利用する駅は、どの駅でもバリアフリーが重要ですが、特にこの浜松町という駅は羽田空港からのモノレールの終点でもあります。オリンピック・パラリンピックの観客などのアクセシビリティー確保が重要だと思いますが、都の見解を伺います。

○花井施設輸送担当部長 大会時の観客等のアクセシビリティーの確保につきましては、現在、最寄りの公共交通機関から会場までのアクセシビリティーに配慮が必要な観客等の動線となりますアクセシブルルートの選定に向けまして検討を行っているところでございます。
アクセシブルルートにつきましては、現在策定中のTokyo2020アクセシビリティ・ガイドラインを踏まえまして、適切に対応してまいります。
このほか、空港の結節点となります駅など主要駅のバリアフリー化につきましては、引き続き国や地元区市、鉄道事業者及び関係各局と連携し、アクセシビリティーの確保に向け検討してまいります。

○里吉委員 この浜松町駅を初め、オリンピック・パラリンピックにおけるアクセシビリティーの確保に当たっては、空港、駅、港湾、道路などのバリアフリーが必要です。各施設の所有者や鉄道事業者の協力も必要です。
東京都からも、事業者任せでなく積極的に働きかけていただきたいと思いますが、見解を伺います。

○花井施設輸送担当部長 アクセシビリティーの確保につきましては、組織委員会と連携いたしまして、必要に応じて駅や道路のバリアフリー化等の改修を各施設管理者に働きかけてまいります。

○里吉委員 私もお話を伺ったものですから、知り合いの視覚障害の方にお願いして、実際に浜松町に行ってもらいましたが、本当にこれはぶつかってしまうと大変危険だとおっしゃっていました。
駅のホームというのは、誰かにぶつかってしまうと、それで方向性を見失ったりすることが多いものですから、一歩間違うと線路に落ちてしまうなど、視覚障害者の方にとって大変危険ですし、点状ブロックは大変重要なわけです。この問題は、アクセシビリティー以前の課題だと思うんですね。危険箇所の点検、改善、ホームドアの設置など強く要望したいと思います。
パラリンピックの成功とあわせて、まだまだ日常生活の中で残っているこうした課題についても、その解決のために積極的に働きかけを行っていただくことを改めて求めまして、私の質問を終わります。

◆文化ホールの不足問題ついて

○里吉委員 それでは、私からは、まず文化ホールの不足問題について伺ってまいりたいと思います。
私は、昨年3月の文教委員会で、劇場、ホールの閉館が相次いでいる問題を取り上げました。
東京都が、劇場、ホール不足という問題で初めて、都内にある国公立や民間などの全施設の状況を把握する調査を実施するとともに、関係団体からヒアリングを行うなど、動き出したことは大きな前進だと思います。
そこでまず、このホールの問題について、都は、今年度、どのような調査を行っているのか、また、来年度は、さらに詳細な調査を行うと伺っていますが、これはどのようなものを考えているのか、あわせて伺います。

○鳥田文化振興部長 都内におけるホール、劇場などの現状を把握するため、本年度は、都内全施設の所在場所や施設設置年、客席数などを調査しております。また、来年度は、施設の稼働率や改修動向などを調査する予定です。

○里吉委員 都内の全てのホール、劇場の全容をつかむ調査というのは初めてのことだそうで、結果は本当に注目されていると思います。
今後の詳細調査では、ぜひ舞台装置や照明、音響機材などについて、また、貸し出すときの料金設定などについても、あわせて調査をしていただきたいと思います。要望しておきます。
また、あわせて、クラシックやバレエを初め、13分野の文化団体やホール設置者等から直接実情をヒアリングしているということでしたが、これはどのような内容をヒアリングしているのか伺います。

○鳥田文化振興部長 本ヒアリングでは、クラシックやバレエなど、13の文化団体やホール設置者などから、使いやすいホールの特徴や、ホール、劇場問題について、団体が現在抱えている課題などをお聞きしているところでございます。

○里吉委員 団体が抱えている問題を具体的に聞いているということでした。
あわせて、昨年も既に11月に、日本芸能実演家団体協議会を初めとする10の文化関係団体が共同してアピールも発表しております。東京都の方、皆さんよくご存じだと思いますけれども。そこで私も読ませていただいたんですけれども、そこでは、改めて、潜在する文化芸術施設をもっと公演活動に生かすために貸し館のルール等の規制緩和を求めるものですとか、これは文化芸術施設に利用、広げてほしいということですよね。それから、まちの品格、イメージを高める文化芸術施設の建設を促進する諸制度、固定資産税などの優遇措置を。また、老朽化が進む文化施設の機能高度化への改築への支援措置など、多岐にわたる要望が既に出ております。
私も昨年の質問で、ぜひ主税局と協議して、固定資産税の減免など、検討を求めましたが、こうした多岐な要望を受けとめて対応していただくことを求めておきます。
まだこれは調査中ということで、きょうはいろいろお伺いしてもご答弁いただけないということでしたから、ご要望にとどめておきたいと思いますけれども、あわせて、前回も、これ、申し上げたんですけれども、都立の芸術文化施設というのは23区に集中しています。都立の劇場、ホールなどを多摩地域にという要望、これも昨年、要望させていただきました。
青梅市には、都立文化施設建設予定地というのがありますが、17年前の財政再建推進プランのときに凍結されたままになっています。こういったものも、地元市や西多摩地域の住民の皆さんの意向などももちろん踏まえてですけれども、凍結を解除して、建設に向けた検討を開始することも求めておきたいと思います。

◆私立高校における常勤講師問題について

それでは、次の質問に移ります。次の質問は、これも私、2013年の11月の事務事業で行ったものなんですけれども、私立高等学校の常勤講師の問題について伺います。
私立高等学校で、非常勤で働く教員がふえていることが社会問題になっているということで、その当時も取り上げました。
今回は、それに引き続いて、特に専任の先生と同じように、週5日、フルタイムで働く、常勤で働く有期雇用の教員、常勤講師がふえ続けているということについて伺っていきたいと思います。
まず、都内の私立高等学校で働く常勤の教員数と、そのうち、有期雇用の教員数について、私学部ではつかんでいるでしょうか。もしつかんでいれば、それぞれの人数についてお答えください。

○加藤私学部長 学校教育法上、教員につきまして、常勤や有期雇用といった概念はございません。教員数など、学校教育行政に必要な基本事項は調査、把握しておりますが、雇用形態までは調査しておりません。

○里吉委員 昨年と同じご答弁なんですね。学校教育法では概念がないし、調査も行っていないというお答えでした。法律で概念がなくても、実際の学校現場では、有期雇用の常勤講師がふえることでさまざまな問題が起こっています。例えば、1年契約だと、来年も続けて雇用してもらえるかがわからないので、短期間で結果を出そうとして、無理な指導を行う可能性があったり、保護者の評価を気にして、逆に指導を手控えるなど、生徒に不利益になる可能性も高いと、この問題、専門家も指摘をしております。
前回もこうした問題点を指摘しましたが、実態をつかむつもりがないということなんでしょうか。実際には、その気になれば、この数、すぐにわかる数字だと思うんですね。
全国私学教職員連絡会の調査によれば、これは2014年の数ですが、都内私立高等学校の常勤の教員数は9372人で、うち常勤講師は581人、全体の6・2%ということでした。これは、全国の平均からすると大分少ないということで、東京の私学は、全国の私学に比べて、まだ常勤講師の数、割合は少ないということが報告されていました。
ただ、これ、だからといって、私は絶対放置しておけない問題だと思っていて、この改善を求めているわけですが、どうやって解決していくかということで、まずこの私学助成で対応できないかということを考えているわけですが、私立高等学校への私学助成、教育職員割という部分があります。これは、本務職員当たり、公立高等学校の平均給与額の2分の1が算定されるというふうに伺っていますが、現在、1人当たりの金額を伺いたいと思います。

○加藤私学部長 平成27年度の全日制高等学校の教職員割単価は418万3700円でございます。

○里吉委員 東京都は、先ほどのご答弁からつなげて考えますと、正規であろうと、有期雇用であろうと、特に区別なく、本務職員当たりの金額、1人当たり単価として418万3700円支払っているということだと思います。
一方で、この私学助成の経常費補助金の支払いを通じて、1年契約などの常勤講師を専任化、つまり、期限を切らずに働く教諭に切りかえていく誘導策を既に幾つかの自治体が行っています。
例えば、先ほどの教職員割単価ですが、現在、東京都では専任、すなわち正規雇用でも、常勤の有期雇用でも同じように、配分基準は一だと思うんですが、福岡県では専任1に対して、常勤講師は0・8としています。同様に、埼玉県では、専任1に対し、常勤講師0・9としています。また、愛知県では、常勤講師など、非正規の教員の割合が学校の中で一定数超えると減額査定するという対応をしているそうです。
ある都内の私立高等学校では、2014年度、専任教諭が15名なのに対し、1年契約の常勤講師が何と27名、再任用が5名、非常勤講師が22名、非正規率78・3%ということでした。現在は、ようやく常勤講師8名が専任化されたそうですが、それでも専任教諭は23名、1年契約の常勤講師が19名、非正規率はまだ67%です。
この結果、どういうことが起きているか。常勤講師の先生たち、特に若い先生は、先が見えないので、3年以内にほぼ100%離職されるそうです。入ったばかりの先生が、担任もやり、クラブ顧問もやり、専任教諭と同じ仕事をこなしている。しかし、この先生たちが、3年以内にほぼ入れかわっているわけですから、いつも学級担任の少なくない部分を新任の方が受け持つということになっています。
この学校では、常勤講師の方は、年契約なので、定期的な昇給もないし、退職金もない、一時金もない、年収は200万円強だそうです。こういうことでやめていく先生も多いのかなというふうに思うんですが、これでは、常勤講師を雇えば雇うほど学校法人がもうかるということになってしまい、本来の私学助成のあり方を正しく行使しているとはいいがたいのではないでしょうか。
先ほど紹介しましたが、他県でも対策が始まっています。都としても、何らかの対策を行うべきです。生徒の教育環境を守る立場からも、常勤講師など、非正規が例えば過半数を超えるような場合、私学助成の経常費補助、教職員割単価の配分基準を変更するなど、検討するべきではないでしょうか。見解を伺います。

○加藤私学部長 私立学校は、それぞれの建学の精神に基づきまして、よりよい教育活動を、各学校の責任において目指しております。
各学校が、その教育活動を実現するための教職員の雇用のあり方につきましては、各学校が判断すべきものでございます。

○里吉委員 いわれることは当然大前提なんです。しかし、それでは、その学校で学ぶ生徒たちの教育環境が守れないのではないかと。私学助成の本来の目的に照らしても、正しく活用されていないのではないかと。この現状を私は大変危惧しています。
非正規の教諭が半数を超えて、常勤で働く先生が毎年のように入れかわる状況で、どうして建学の精神に基づく教育ができるのか。このことは、学校法人の方にもぜひ考えていただきたいと思いますが、あわせて、既に他県では動き出しているわけですから、東京都としても、他県の経験もしっかりと見ていただいて、私学で学ぶ生徒の教育環境を守る立場から、常勤講師がふえ続ける問題に対して、ぜひ東京都らしい取り組みを行っていただきたいということを求めまして、私の質問を終わります。

◆都立公衆浴場条例(日本共産党都議団提案)についての提出理由の説明

○里吉委員 それでは、今回の条例案の提出理由について説明いたします。
公衆浴場、銭湯は、都民の公衆衛生とともに、健康増進や住民相互の交流など、福祉の向上に重要な役割を果たしています。さらに、日本の庶民文化を継承、発信する存在として、その文化的価値を楽しむ人がふえ、また、スポーツ愛好家や観光客などからの注目も高まっています。
一方で、2007年に改定された公衆浴場の確保のための特別措置に関する法律のもとでも、都内の銭湯は今では最盛期の4分の1、630件まで減少しており、振興は喫緊の課題となっていると考えます。
東京都生活文化局は、これまでも公衆浴場の振興のためにさまざまな努力を重ねてきましたが、オリンピックを好機として、新たな注目が高まっているもとで、英知を集めて、この危機を乗り越える必要があると考えています。
そこで、都と都議会の英知を集めた総合的、計画的な施策を推進するための公衆浴場振興条例を提案するものです。  条例案の主な内容は、まず、公衆浴場振興は、浴場経営者や関係団体の主体的な努力を促進するものであること、経営の規模や形態、地域の特性、立地条件等に十分配慮して行うことなどを定めています。また、都の責務として、政策を総合的かつ計画的に実施することや、浴場経営者や関係団体、区市町村の取り組みに必要な支援を行うことを明記しました。
2つ目に、施策の総合的、計画的な推進を図るため、公衆浴場の振興に関する計画を策定することを定めました。計画策定に当たっては、浴場関係者や都民の意見を反映するよう努めなければならないとしています。
また、浴場振興施策として、
1、都民等の公衆浴場の利用の機会の確保、
2、情報の提供、
3、次世代への継承、
4、東京都の他の施策との連携、
5、経営安定への支援、
6、資金の円滑な供給、
7、必要な助成や上下水道料金の軽減等の措置、
8、事業継承への支援、
9、文化的、歴史的価値の保存、継承及び活用の9つを挙げ、東京都が必要な財政措置を講じて推進することとしました。
これら一つ一つは、これまで実施してきたことと重なる部分もありますが、今日的な深刻さに対応するため、改めて条例で位置づけ、推進することとしました。
また、東京都銭湯の日については、既に東京都公衆浴場商業協同組合、東京都公衆浴場業生活環境衛生同業組合が、日本記念日協会の登録認定を受けている10月10日を東京都銭湯の日と定めることとしています。例えば京都市では、春分の日を伝統産業の日と定め、さまざまなイベントを実施しています。銭湯は江戸文化の一つとして発展してきたという歴史があるもとで、都としても銭湯という庶民文化の伝承、発展という立場から記念日を定めて、イベント等に取り組むことも意義のあることだと考えます。
公衆浴場の確保のための特別措置に関する法律も含め、さまざまな対策が行われてきたもとでも銭湯の減少傾向が続いている現状に対して、これ以上銭湯を減らさないために抜本的な対策をとる必要があると考え、皆様のお力添えを願うものです。
各会派の皆さんのご賛同を心からお願い申し上げて、提案説明といたします。