文教委員会速記録第7号

2016年都議会文教委員会での論戦都議会質問

◆軽度外傷性脳損傷・脳しんとうの周知と予防、危険性等の相談窓口等の設置に関する陳情について(陳情)への意見表明

○里吉委員 陳情28第5号の1、軽度外傷性脳損傷・脳しんとうの周知と予防、危険性等の相談窓口等の設置に関する陳情について意見を申し上げます。
スポーツ中の脳震盪に関連して、2014年、フィギュアスケートの羽生結弦選手が、練習中に他の選手と衝突して、頭にけがをした直後に試合に出場したことは記憶に新しいところです。脳震盪が疑われたのではないかということ、その状況で選手を出場させてよかったのかということが議論になりました。
文部科学省は、2013年12月20日に、スポーツによる脳損傷を予防するための提言に関する情報提供についてという事務連絡を都道府県に送付しています。
日本脳神経外科学会の発表したスポーツによる脳損傷を予防するための提言を情報提供し、頭や首のけが、頭頸部外傷に関する知識と対応について周知し、事故防止と安全管理の徹底を呼びかけるものです。
提言では、スポーツによる脳震盪は、意識障害や健忘がなく、頭痛や気分不良などだけのこともある。つまり、意識があるから大丈夫、脳震盪ではないとはいえないということです。
それから、スポーツによる脳震盪は、そのまま競技、練習を続けると、これを何度も繰り返し、急激な脳腫瘍や急性硬膜下血腫など、致命的な脳損傷を起こすことがある。そのため、スポーツによる脳震盪を起こしたら、原則として直ちに競技、練習への参加を停止するとされています。
こうした提言の周知を初め、先ほどのご説明でも、スポーツの現場で事故防止のためにさまざまな努力が払われていることがわかりました。脳損傷の恐ろしいところは、将来にわたって重い後遺症が残ってしまったり、そのときは大したことはないと思っても、後から症状が出て、しかも検査をしてもなかなか正確な診断が得られず、原因のわからないまま、記憶障害やだるさ、目まいなどに苦しめられ続けるということもあると聞いています。
今回の陳情者の願いは、そのような事態を招かないよう、頭を打ったそのときにどんな対応をとることが必要なのかを、一層周知徹底してほしいということだと思います。その趣旨に賛同し、この陳情は趣旨採択を主張して意見といたします。

◆大学等への都独自の給付型奨学金制度を求める陳情について

○里吉委員 それでは、陳情についての質疑を行いたいと思います。
これは、高等教育、大学等に進学する人に都独自の給付型奨学金制度をつくってほしいという陳情です。
そこで、まず都内にどれぐらいの対象者がいるのかについて伺いたいと思います。都内の高校の卒業者数と、そのうち大学等、大学、短大、専修学校など、高等教育に進学する人数を伺います。

○加藤私学部長 平成27年3月の高校の卒業者数は10万635人であり、そのうち大学等への進学者数は7万9204人でございます。

○里吉委員 今のご説明で、都内高校生の約8割が大学等に進学していることがわかりました。今や、大学や専修学校などに進学することは、ごく普通のことになっています。
厚生労働省によれば、高卒の求人は1991年の167万人に対し、2014年はその5分の1、32万人にまで減っています。また、平均初任給も大卒では20万2000円ですが、高卒は16万900円、就職のためにも高等教育が必要になっているのが現実です。
しかし、いざ学ぼうとすると、世界一高い学費という問題にぶつかります。OECD加盟34カ国の中で見ると、17の国は大学の授業料が無償です。そうでない国も返済の必要のない給付型奨学金制度を持っています。
一方、日本では、新入生が払う学費は、国立大で約82万円、私立大では平均131万円。私立大学で4年間にかかる費用は、自宅通学でも平均738万円といわれています。
このため、今や学生の約半数が奨学金を借りています。さらに、その中の半数は有利子の奨学金を借りています。卒業と同時に数百万円の借金を背負いますが、奨学金が返せず自己破産になるケースなど、マスコミでも大きく取り上げられ、社会問題になっています。
さらに、大学院まで進学するとなると、借金は1千万円にも膨らむことも珍しくありません。せっかく大学院にまで進んだのに、アルバイトに追われて十分な研究ができないとか、さらに研究を続けたいと思っていたが、お金が続かず、断念せざるを得ないなど、深刻な状態です。
正規で就職できなかった場合、奨学金の返済が厳しくなるということで、あえて奨学金を借りない、または金額を少なく借りて、アルバイトで必死に生活費を稼ぐという学生もふえています。
東京都が行っている奨学金について、ここで少しお伺いしたいと思うんですが、返済する奨学金、高校生対象のものがあります。これは都が所管しています。
都が高校生を対象とした育英資金、これを実施していますが、現在、この都の育英資金を使っている高校生は何人いらっしゃるでしょうか。また、大学進学などを理由に、その返金を延期している学生はどれくらいいるでしょうか。それぞれ伺います。

加藤私学部長 平成26年度の高校生に対する育英資金貸付実績でございますけれども、4662人でございます。
また、高校生のときに貸し付けを受けていた者で、平成26年度に大学等への進学などを理由に育英資金の返還猶予を受けている者は1779人でございます。

○里吉委員 育英資金を借りている人の中では、進学等の理由による返金猶予は半分以下と。これだけでは正確なことはわかりませんが、全体の進学率が8割というところから比べますと、大分違います。高校卒業までに既に借金を背負って、さらに大学等への進学となると、ハードルが高いということではないでしょうか。
そこで伺いますが、都はこれまで大学などの高等教育の奨学金制度は、高等教育の所轄である国との役割分担に基づき、都は高校生向けの奨学金の貸付事業で実施していて、大学生等については国の責任だという立場をとってきました。しかし、大学生向けの貸与制の奨学金制度は、既に少なくない自治体で実施しています。
また、給付制についても、既に長野県では実施され、沖縄県でも実施が決まっています。都内の足立区でも独自の制度を今年度新しく開始しました。これは返済免除にするというやり方ですけれども、開始いたしました。
都は、役割分担といいますが、大学生などを対象とした奨学金は、自治体の判断でできるのではないかと思います。このことについて確認します。

○加藤私学部長 都は、国との役割分担に基づきまして、高等学校等に通う生徒を対象に、東京都育英資金事業を運用しております。
大学生等の教育費負担の軽減を目的とする奨学金につきましては、自治体において実施することを否定されているものではありませんが、高等教育機関の所轄である国の責任において制度設計されるべきものであります。

○里吉委員 自治体において実施することが否定されているわけではないということですね。だとしたら、都の財政力があれば、国に率先して実施することも可能ですし、実施すべきではないでしょうか。
本来、国の責任で実施すべきことでも、国に先駆けて東京都として実施していることは幾つもあります。必要な対策は、都として踏み出すことが求められています。ぜひ学生の教育を受ける権利に対して、それを保障するための給付制奨学金制度創設を求めたいと思います。
また、大学生の給付型奨学金制度の創設は、もう一つの視点から見ますと、子供の貧困対策としても重要だと思います。実際に、足立区では子供の貧困対策の一環として、区の貸付型の奨学金の一部返済免除という形でスタートさせております。
知事は、貧困の連鎖を断ち切るために、学習、生活、経済面など、切れ目なく支援を実施していかなければならないと予算発表の記者会見で発言していました。子供の貧困対策、貧困の連鎖を断ち切るためには、大学などへの進学は重要と考えます。
東京都は、今年度、子供の貧困対策推進連携部会を設置いたしましたが、そうした中で、大学生や大学院生などの奨学金制度についても検討するべきではないかと思いますが、都の見解を伺います。

○加藤私学部長 現在、庁内各局で構成します子供・子育て施策推進本部の中に、新たに設置いたしました子供の貧困対策推進連携部会において、さまざまな分野で子供の貧困対策を検討してございます。

○里吉委員 親の経済状態にかかわらず、学ぶ意欲のある子供が大学や大学院へと進学できるようにすることは待ったなしの課題です。さまざまな分野で子供の貧困対策を検討するというお答えでしたが、その一つとして給付型奨学金の創設をぜひ検討していただきたいと思います。
また、陳情では、学生寮の拡充と在京学生への家賃補助を求めています。私たちは、学生に限らず、若い世代にとって東京の家賃が重い負担となっていることに問題意識を持っております。
東京私大教連の調査によれば、首都圏周辺の私立大学に昨年春に入学した学生のうち、自宅外通学生への仕送りは月額8万6700円で、15年連続で減っていると。家賃を除いた一日当たりの生活費は850円で、どちらも比較できる1986年度以降で過去最低を更新しました。実質賃金が下がり続けている中で、学費はどんどん高くなっているわけですから、当然といえます。
大学院生の方からもお話を伺いましたが、少子化の影響もあって、今、地方の大学や大学院では、学部や学科などを減らしているところが多くあるそうです。そうすると、特に大学院に進むときに、自分の学びたい学科などが東京にしかなくて上京するという院生もふえているんだというお話でした。
学ぶ意欲のある学生だからこそ、実家を出て、家賃が高くても都内の大学院に進むのだと思います。ここへの支援も重要であると考えます。
スウェーデンの国家予算並みの財政力を持ち、大学と学生が集中している首都東京でこそ、家庭の経済状況に左右されず、意欲のある学生が大学、大学院へと学べるよう給付型奨学金の創設を、そして低廉な家賃での住宅確保とあわせて行うべきです。
以上、陳情の趣旨採択を主張して質問を終わります。

◆特別支援学校の教室不足の解消を求める請願について

○里吉委員 それでは、質疑を行います。
特別支援学校の教室不足を解消し、必要な教室を確保することは長年の課題です。障害者権利条約が発効し、ことし4月には障害者差別禁止法が施行されました。
障害者権利条約の第7条、ここには障害のある児童ということで、条文が規定されております。
1、締約国は、障害のある児童が他の児童との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を完全に享有することを確保するための全ての必要な措置をとること。
2、障害のある児童に関する全ての措置をとるに当たっては、児童の最善の利益が主として考慮されるものとするなど、こういうことが書かれているわけです。
今回の請願は、特別支援学校の現状について、小中学校では教室がないことはあり得ない、なぜ障害のある子供たちがこうした状況に置かれなければならないのだろうかと訴えております。当然の訴えだと思います。教室不足の問題は、他の児童との平等ということから考えても、児童の最善の利益が主として考慮されるという観点から見ても、一刻も早く解決しなければなりません。
そこで、まず都教育委員会の特別支援学校教育条件整備への重要性の認識と、教室不足解消に向けた思い、決意をお伺いしたいと思います。

○浅野特別支援教育推進担当部長 特別支援学校において、できる限り多くの子供たちの自立と社会を実現していくことは重要でございます。
都教育委員会では、平成16年11月に特別支援教育推進計画を策定し、特別支援教育の充実に努めてまいりました。在籍者数の増加の著しい知的障害特別支援学校については、規模と配置の適正化を図り、教育環境の整備に努めてまいりました。今後とも教育環境の一層の充実を図ることが重要であると考えております。

○里吉委員 ご答弁いただきましたが、その言葉のとおり、ぜひ一層の充実を図っていただきたいと思います。
そのときに、教育環境の充実を図ることが大事なんですが、はっきりいって教室不足というのは教育環境の充実以前の問題なんですね。できるだけ努力していますということでは済まされる問題ではないと考えます。
2014年3月の予算特別委員会で、我が党の小竹委員が、当時、今後整備する普通教室は479教室、2013年度、不足数は700教室、479教室を整備しても221教室足りない、こういうことを明らかにいたしました。
現在、一つの教室をカーテンなどで間仕切りしている教室がまだたくさんあります。特別教室を転用している教室もたくさんあります。それぞれ幾つなのか、また、当時に比べて、現在どこまで改善したのか、第3次計画終了までに整備する普通教室数は幾つなのか、簡潔にお答えいただきたいと思います。

○浅野特別支援教育推進担当部長 都立特別支援学校において、平成27年5月1日現在、必要な普通教室を管理関係諸室や特別教室などの転用により確保している教室の数は429教室であり、普通教室等の間仕切りにより確保している教室数は254教室、合計で683教室でございます。
今後も全障害種別の特別支援学校について、新設3校、増改築14校の整備を引き続き進めてまいります。
この中で、校舎の新築、増改築に際して、可能な限り多くの教室を確保するよう努めており、533教室が増加する見込みでございます。
在籍者数の増加が著しい知的障害特別支援学校については、特別支援教育推進計画対象校の整備が全て完了すれば、第3次実施計画策定時に推計した学級数に必要な教室数を確保できる見込みでございます。
なお、知的障害以外の特別支援学校については、それぞれの障害ごとに障害特性や教育課程、指導の内容、方法が異なっていることから、必要な施設設備や教室の利用状況も一様ではございません。
こうした障害種別ごとの違いや、今後の幼児、児童生徒数の動向等を考慮しながら、今後の対応を検討してまいります。

○里吉委員 特別教室等の転用教室が429教室、間仕切りなど、カーテン教室といわれている教室、それによって確保している教室が254教室、合わせて683教室の不足ということでした。
2014年3月のときには700教室といわれておりましたから、若干減っております。そして、全ての障害種別で新たに今後ふえる教室数は533教室ということでした。差し引きで150教室不足しております。
先ほどこの150不足している部分については、さまざまな手法で解消するとの答弁がありましたので、私は質問はいたしませんが、一刻も早くこの解決をお願いしたいと思います。
そこで、教室不足の解消、教室確保といった場合、それはこの間、私も何カ所もの特別支援学校を視察させていただいて痛感していることですが、やはり普通教室の数だけ確保されていればいいということではないと思います。
特別教室やその他の学校施設整備、体育館やプール、運動場、空間の余裕、そういうもの一切含めた教育環境が、水準以上のものがしっかり確保されていなければ、子供たちにふさわしい教育を保障することはできません。
町田の丘学園を改めて視察いたしました。2年前に伺ったときには普通教室46の校舎に77学級の子供たちが詰め込まれていました。本来、普通教室46分の子供の学校なんですね。77学級あるということは、1・6倍の子供たちが詰め込まれているということなんです。
もちろん、カーテン教室で隣の声で聞こえない、授業に集中できないだとか、特別教室を多く転用しているので、音楽なども普通教室でやらざるを得ないとか、教室をあけるために、廊下に備品を置くコーナーを無理やりつくったりだとか、体育の授業を玄関前の通路で行ったりと本当に大変な状況でした。
今回伺ったときは、少し離れた場所にプレハブの仮設校舎、山崎校舎をつくったことで、カーテン教室がなくなったことはもちろん、特別教室も確保されていました。廊下も広々としていました。
校長先生からお話を伺いましたが、特に知的障害の高校生が、思春期でもあり、人が多い中で落ちつかなかったそうです。クールダウンする場もなかったため、トラブルも多かったそうですが、今は子供たちも大分落ちついているということでした。不0分さはありますが、緊急策としては本当に有効だったと思います。
そもそも、なぜ小中学校ではあり得ない教室不足が、いいかえれば一つの教室をカーテンで仕切って2学級で使うとか、音楽室や美術室などの特別教室やPTA控室、さらには倉庫や更衣室まで普通教室に転用してしまって、それらの教室がなくなってしまう。また、先ほどもいいましたけれども、児童生徒数が100人から150人を想定して建設した学校に300人以上もの子供たちを詰め込むなどということが、どうして特別支援学校では許されるのでしょうか。
その原因は、学校を設置するための基本となる設置基準が特別支援学校にだけないからだと、さまざまな団体の皆さんが国に対して設置基準をつくるように求めております。
私も学校教育法施行規則を読みましたが、小学校、中学校、高校、大学、各種学校、全ての学校には設置基準があります。学級の編制から校舎や運動場の面積、校舎に備えるべき施設も明記されています。しかし、特別支援学校については別に定めるとありますが、つくられていないのが現状なんです。
国の設置基準は示されていませんけれども、東京都として、都教育委員会として、特別支援学校にはどのような環境が必要だと考えているのか伺います。

○浅野特別支援教育推進担当部長 文部科学省は、特別支援学校の施設について、障害種別によって必要な施設設備が異なり、一律の設置基準を設けることが困難と考えており、幼児、児童生徒の教育的ニーズに対応した指導、支援を考慮した施設環境づくりのために、特別支援学校施設整備指針を策定しております。
都教育委員会は、この指針に基づきまして、障害の状態、発達段階、障害特性に応じて、安全かつ快適な教育環境づくりに配慮した施設整備を行うことを基本としております。

○里吉委員 国の設置基準はないけれども、施設整備指針があるので、それに基づいて整備しているということでした。
施設整備指針も私も読みました。安心して体を自由に動かせるゆとりのある面積とか、何々を配置することのできる面積を確保するというようなことが示されているので、これは重要だと思いますが、やはり設置基準とは異なって、児童生徒数に応じた最低限必要な校舎や校庭の面積などは、具体的な数字では明記されていないんですね。
それでは、都教育委員会としては、特別支援学校の普通教室の広さの基準、具体的な数字での基準はあるのでしょうか。どのような考えで決められているのか伺いたいと思います。

○浅野特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、文部科学省が定めた特別支援学校施設整備指針に基づき、障害種別ごとに普通教室の標準の規格を定めております。
これは、障害種別ごとに定められた教育課程の円滑な実施に必要な環境を整備することを目的とし、障害の状態、発達段階、障害特性を考慮したもので、基本設計はこれを踏まえて実施しております。

○里吉委員 普通教室の広さの基準を都として持っているというご答弁でした。資料もいただきましたが、これによりますと、障害種別に若干大きさの違いはありますが、面積は大体60平米前後になっておりました。
また、知的障害の標準には、面積約11平米の個別指導スペースも設けて、個別的な指導と教室での集団指導ができるようにしているということでした。
ちなみに、前のご答弁で、文科省は、障害種別によって必要な施設設備が違うので、一律の設置基準を設けることが困難だと考えているということでしたけれども、こういって障害種別に普通教室の基準をつくっているのですから、国も障害種別にきちんとこういうものをつくっていただきたいと思うんです。これは、ぜひ国に対して求めていただきたいと思います。  そして、私は教室の確保といったときに、まず子供たちのホームベースともいうべき普通教室が、全てこの面積でしっかり確保できていることが重要だと思います。
そして、普通教室以外の教室の施設についてはどうなのかと。例えば、東京都、知的の小中学校の校舎を新設する場合、どんな特別教室をそれぞれ何室ほど設けるのか、体育施設はどんなものを設けているのか、トイレはどんな基準で設置しているのか、具体的に伺います。

○浅野特別支援教育推進担当部長 特別支援学校の施設整備については、学校の用地の状況や建築条件などを踏まえ、適用される法令等に基づいて必要な教室数を整備しております。
したがいまして、特別教室や体育施設の数や種別については、一概には決まっておりません。

○里吉委員 一概には決まっていないというお答えでした。しかし、例えば今回、新築工事の契約が議案となっています臨海地区の特別支援学校、これが知的の小中学部の特別支援学校なんですけれども、きょうも資料がありますけれども、これについて伺いましたところ、普通教室は48つくりますと。それから、図書室、音楽室、視聴覚室、コンピューター室、生活訓練室など、特別教室は19室つくる。校長室や職員室、会議研修室や保健室などの管理関係諸室は23室、ほかにもちろん体育館やプール、食堂、厨房、倉庫などもつくる予定になっているとのことでした。
先ほどおっしゃった国の特別支援学校施設整備指針を真面目に積み上げていけば、それくらいの施設整備が必要になってくるということだというふうに私は理解いたしました。
ところが、既存校に児童生徒がふえてくると、特別教室や体育施設などの数や種別については一概には決まっていないから、長期的に転用しても仕方がない、なくても何とかなるとなってしまうのは問題だと思います。
それから、大規模校化の問題についても申し上げたいと思います。
先ほど来、大規模校の問題をいってきましたけれども、児童生徒増に伴って300人、400人の特別支援学校が大変ふえているわけですが、教室は校舎の増築で確保したとしても、普通、体育館やプールは大体1校に1つしかありません。隣り合う2つの学校を1つに合わせてつくった併置校はプールも2つ、体育館も2つというケースもありますけれども、もともとの学校が大きくなっていった、そういう学校では、どんなに生徒数がふえてもプールは1つ、体育館は1つ、そういう状況で、増改築によって校庭は狭くなっていくという状況になるわけです。
そういった学校では、体育館やプールの利用を調整するのが本当に大変だと。ことしの夏はプールに2回しか入れなかった、こういう話も私は毎年伺うんです。子供の教育環境が保障できていないわけです。
都教育委員会は、こうした状況でよいと考えているのか、この点について伺います。

○浅野特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、これまでも特別支援学校の障害種別や立地条件に応じて学校体育施設の整備を行っております。
特に、複数の障害種別教育部門を設置する大規模校におきましては、学校の規模を考慮しながら、必要に応じて体育館を複数設置する等の対応を行っております。プールについては、障害種別や立地条件に応じて屋内に設置し、必要な場合には加温設備を整備しております。
あわせて、指導計画の工夫や学習集団の弾力的な編制を行うなど、体育館やプールの有効活用を図り、円滑かつ適正な体育指導を実施しております。

○里吉委員 さまざまな工夫、それは現場で先生方は大変苦労してやっていらっしゃると思います。それでも年2回しかプールに入れない、こういう現状があるわけです。本当は体育館で学年全体の大きな集団での活動もやりたいけれども、使えないので、プレールームでの小さな活動だけになってしまう、そんなお話も伺いました。
ことし2月25日の衆議院の予算委員会の分科会の質疑で、ある資料が示されました。これは全国の大規模校上位57校の一覧表です。1位は広島県の学校で、一つの学校で児童生徒数484人、大規模校の中で一番下の57位は大阪府の学校で302人でした。
この委員会では、愛知県の特別支援学校の大規模化が取り上げられておりまして、馳文科大臣は、数えたらこの中の9校が愛知県の学校だ、正直、愛知県の教育委員会は今まで何をやってきたんだろうかと思わざるを得ませんといっております。
ところが、数えてみますと、この57校のうち東京の特別支援学校は0校入っているんです。しかも、ベストテンの中に5つ東京なんです。  馳大臣は、4月の参議院の委員会でも、障害児が狭い学校に押し込められている状況は、このままではいいと思わない、こういうふうに答えております。300人、400人という大規模校、これは文科大臣が見てもおかしいという規模だということなんですね。
都教委は、300人、400人以上となるような大規模校を解消していくべきだと考えますが、見解を伺います。

○浅野特別支援教育推進担当部長 児童生徒数が多い学校であるからといって、直ちに教育環境が過密であるとはいえません。
都においては、大規模な都立特別支援学校は、いわゆる併置校がその中心となっておりますが、併置化する学校の規模は、障害種別のほか、建築条件や地域事情、施設設備の収容能力等によって、それぞれに異なるものになると考えております。
また、併置校は複数の障害教育部門の専門性を相互に活用して、障害が重複する児童生徒に対する教育内容、方法の充実を図ることができるほか、併置化を進める中で、学部の改編や通学区域の調整をあわせて行い、児童生徒の増加が著しい知的障害特別支援学校の規模と配置の適正化を進めることができると考えております。
いわゆる大規模校とされる学校の中には、例えば永福学園のように高い企業就労率を実現している学校もあり、大規模であることだけをもって教育上の問題があるとは考えておりません。 ○里吉委員 必ずしも悪くないというお答えでしたけれども、大規模校化の中に特別教室を転用して大きくなった学校ももちろんありますし、そもそもの面積が100人から150人の生徒を入れるという目的でつくった学校に300人、400人という形で東京の学校も大規模化しているわけです。それは、過密化を生むということは間違いないことだと思うんですね。
それから、大規模併置校のお母さん方からも私は何回もお話を伺っていますが、大規模校になったとしても、併置になってよかったというお話は、私は1件も伺ったことはありません。教室を確保するに当たっては、学校を大きくしていく、そういうことではなくて、大規模校をなくす方向で進めていただくことを強く求めておきます。
次に、重度重複学級についても伺います。
重度重複学級は3人で1学級と、より教室がたくさん必要になりますから、教室不足が重度重複学級が制限されている要因の一つになっているのではないかという訴えが保護者の方や学校関係者の方々からあります。
そこで、特別支援教育推進計画第1次計画が策定された2004年度と、昨年度ですかね、最近の直近の数で、特別支援学校の児童生徒数と重度重複学級の数について、それぞれ伺います。

○浅野特別支援教育推進担当部長 平成16年度の特別支援学校の児童生徒数は8011人、重度重複学級は573学級で、同様の平成27年度の数値は、児童生徒数1万1893人、学級数は574学級となっております。

○里吉委員 約10年間で3882人も、67%--子供たちの数がふえているのに、重度重複学級の数は一つふえているだけということで、これはいかにも不自然だと思いますが、どうしてなのか伺いたいと思います。

○浅野特別支援教育推進担当部長 重度重複学級については、これまでも学校からの事前相談を踏まえ、校長から申請のあった児童生徒について、社会性の発達や日常生活の自立の程度等を総合的に判断して、重度重複学級での教育が適切であるかどうか認定しております。
重度重複学級の学級編制については、この認定した児童生徒数に基づき、必要な重度重複学級を編制しております。
今後も引き続き、校長から申請のあった児童生徒の障害の状態等を総合的に判断して、必要な学級を編制してまいります。

○里吉委員 重度重複学級に入るかどうかは個々の判断だといいますけれども、重重学級のある学校の関係者の方、保護者の方などにお話を聞くと、ことしは重度重複学級の生徒が卒業したから、新しく入学する1年生は重度重複学級が認められるよね、こういう話が普通にされているそうなんです。皆さん、重度重複学級は枠があって、それ以上ふやせないという認識なんですよ。教室が足りないから、総合的に判断して重度重複学級の数がふえないようにしているなどということは、もちろんあってはならないことです。重度重複学級もきちんと認定できるような教室確保を求めます。
我が党は、これまで第3次実施計画では不十分であり、教室不足を改善できないと計画の改善と前倒し、さらに次の計画を早く策定することを求めてまいりましたが、都教委は、新たな計画は何ら示してきませんでした。
東京都特別支援教育推進計画第3次実施計画の計画期間は今年度末で終わります。都教委は第1回定例会で、障害のある人もない人も社会の一員として区別なく生活する社会を目指し、世界一の都市東京にふさわしい特別支援教育を推進するため、現在の計画に引き続く新たな計画の策定を検討するとしています。この計画策定のスケジュールはどのように考えているのか伺います。
また、不足が明らかな150教室に、さらなる生徒増や重度重複学級の教室の確保などを見込んで検討する必要があると考えます。普通教室の確保はもちろんのこと、狭い敷地に増築するなどして、子供たちを詰め込む大規模化をなくし、特別教室や体育施設なども十分確保できるよう、学校の新設も含めた計画を策定する必要があると考えますが、見解を伺います。

○浅野特別支援教育推進担当部長 特別支援教育の新たな計画の策定については、現在検討しております。
特別支援学校の施設整備の対応方針については、今後検討してまいります。

○里吉委員 今後検討するということなんですが、世界一の東京にふさわしい特別支援教育を推進するというのですから、少なくとも特別教室の転用などが解消されないような計画にすべきではないと思います。
それから、そのために障害児がふえている現状を踏まえた計画とすることと、いつまでにこの問題を解決するのか、こういう目標が必要だと考えますが、いかがでしょうか。

○浅野特別支援教育推進担当部長 繰り返しの答弁になりますが、特別支援教育の新たな計画の策定については、現在検討しております。

○里吉委員 一刻も早く計画を策定して、着手していただきたいと思います。  また、他会派の方からもご要望が出ておりますけれども、当面、早急に、少しでも教育環境を改善するために、町田の丘学園で行ったような緊急策など含めて、学校現場や保護者の要望も踏まえて実施することも有効だと思いますが、見解を伺います。

○浅野特別支援教育推進担当部長 繰り返しになって恐縮ですが、特別支援学校の施設整備の対応方針については、今後検討してまいります。

○里吉委員 ぜひ早急な検討を改めてお願いいたします。  障害者差別禁止法が施行されたことし、障害のある子供たちの教育を受ける権利を保障して、伸び伸び成長できる環境のもとで学べるようにするためには、関係者の要望も聞きながら、教育活動に必要な特別支援学校の教室確保に全力で取り組むことを求めます。
以上、発言として、請願の採択を主張し質問を終わります。

◆平和教育に係る課題図書に関する陳情についての意見表明

○里吉委員 陳情28第31号、義務教育課程における平和教育に係る課題図書に関する陳情について申し上げます。
この陳情は、平和教育を進める立場から、特定の書籍を課題図書にすることを求めています。また、学校図書館、都立図書館にその書籍を平和教育を思わせるフレーズを含んだ特別なスペースに置くことを求めております。
陳情者の方が平和教育を推進してほしいという率直な思いからこのような陳情になったと推察しますが、学校の課題図書は学校の権限で責任を持って選定すべきものであり、議会が介入すべきものではありません。
都立図書館は、東京都立図書館資料収集方針に基づき図書資料の収集を行っており、どのような図書資料を収集するかは図書館の判断ですべきもので、ここでも議会が介入すべきものではありません。
以上の理由から、陳情28第31号は不採択を主張し、意見といたします。