文教委員会速記録第15号

2016年都議会文教委員会での論戦都議会質問

◆日本語を母語としない生徒の都立高校入試制度について

○里吉委員 それでは、私からも質問を始めていきます。
まず初めに、資料をご用意いただき、ありがとうございました。
きょうは、まず初めに、日本語を母語としない生徒の都立高校入試制度について伺います。  現在、東京都立高等学校入学者選抜検討委員会において、日本語を母語としない生徒を対象にした入試制度について検討する特別部会を設置して検討が進められております。
入学者選抜検討委員会に特別部会を設置するに至った経緯、目的、どのようなメンバーで構成されているのか、まず伺います。

○初宿都立学校教育部長 平成28年度入学者選抜から、外国籍生徒に対する特別措置として、一般の学力検査において共通問題に平仮名のルビを振る措置に加え、辞書の持ち込みと辞書の持ち込みに伴う検査時間の延長を行いました。
この特別措置のあり方等について検討するため、外部有識者や日本語学級の教員などで構成いたします特別部会を設置しました。

○里吉委員 都立高校の入試が3教科から5教科になるということで、外国籍生徒に対する対応がどのようになるのか、関係者から大変心配する声が寄せられていましたから、今回の辞書の持ち込みと時間延長という特別措置のあり方について、特別部会で検討することは重要だと思います。
また、この特別部会では、例えば在京外国人入試の試験科目や応募資格、資格確認の方法、都立高校1次、2次検査での特別措置などは検討対象になっているのでしょうか。伺いたいと思います。

○初宿都立学校教育部長 現在、特別部会では、一般の学力検査において昨年度導入しました辞書の持ち込みなど、外国籍生徒に対する特別措置のあり方等について検討を行っております。  あわせて、在京外国人生徒対象の入学者選抜の応募資格など、外国籍生徒の受検に関するさまざまな課題についても検討内容としております。

○里吉委員 さまざまな課題が検討内容に入っていることがわかりました。日本語の習得が十分でないのに、日本国籍を持っているために特別措置を受けることができないのは問題ではないかとか、在京外国人入試とか、1次、2次試験の特別措置対象者を来日、帰国、今3年以内ですけれども、7年以内にしてほしいなどなど、多岐にわたって改善を求める意見が繰り返し関係者から出されております。特別部会で丁寧に議論していただくよう要望いたします。
また、全日制課程第1次募集で初めて5教科入試が行われて、日本語を母語としない特別措置対象の生徒の中には、辞書の持ち込みと時間延長で受検した方がいました。
特別部会でこの影響についてアンケートを行うことになっているというふうに伺いましたが、このアンケートを行う理由とその内容、対象についても伺います。

○初宿都立学校教育部長 外国籍の受検者に対する特別措置の成果と課題を検討するに当たりましては、この措置を利用した受検者の入学後の学習や生活の状況等を確認する必要があり、外国籍生徒に対するアンケート調査を実施いたします。
現在、アンケートの内容や対象者等についての検討を行っている状況でございます。

○里吉委員 民間団体の皆さんなどがこれまで実態調査を行ってきましたけれども、特別部会として外国籍の生徒に対するアンケートを行うということで、これは本当に大きな一歩だというふうに思います。より多くの生徒や教職員などから実態を聞く調査となるようにしていただきたいと思います。
また、2016年度の生徒募集では、竹台高校と南葛飾高校の2校で在京外国人生徒対象枠が設定されましたが、来年度も府中西高校に対象枠を設定することが先日発表されました。なぜ府中西高校に新設することとしたのかその経緯を伺います。

○初宿都立学校教育部長 都教育委員会では、都立高校における在京外国人生徒対象枠の応募倍率が、普通科の一般枠と比べ応募倍率が高い状況にあったことや、都内外国人人口の増加傾向が続くと想定されることから、これまで計画的に設置してまいりました。
平成28年度入学者選抜におきましても、普通科一般枠以上の倍率となったことや、これまでの設置校が全て23区内であることなどから、平成29年度の生徒募集において、多摩地区の高校に新設することといたしました。
学校の選定に当たりましては、市町村の外国人中学生の在籍状況、各都立高校における生徒の学力状況などを考慮した上で、交通の利便性を有する府中西高校に設置することとし、学校と事前に協議を行い、新設の理解を得た上で決定いたしました。

○里吉委員 今回やっと多摩地区に新設されたことについては、本当に待たれていたことですし、我が党も求めてきました。ほかの会派の議員の方も繰り返し求めてきたことですので、これは評価できることだと思います。
そして、さらに在京外国人の方、人数は今後も増加が想定されますから、これまで設置してきた普通科にこだわらず、都立高校全体で設置校をふやしていくべきだと考えますが、都教育委員会の見解を伺います。

○初宿都立学校教育部長 今後の都立高校におけます在京外国人対象枠の設置につきましては、受検を希望する在京外国人生徒の学力や、進路希望の多様性について配慮していく必要がございます。
そのため、中学校に在籍いたします在京外国人生徒の状況やニーズを適切に把握した上で、今後の適正な規模と配置について引き続き検討してまいります。

○里吉委員 多様性に配慮して、ニーズなども適切に把握した上で検討するということですから、普通科以外、例えば工業科、商業科なども含めて検討していただきたいと思います。
次に、教員配置について伺います。
この在京外国人入試は、英語か日本語の作文と面接での入試になっているために、英語入試で合格した生徒の中には、ほとんど日本語のわからない生徒さんもいるそうです。極端なことをいえば、あいうえおがわからなくても入学できるということだそうです。また、中国から来たお子さんの中には、漢字はわかるけれどもしゃべれないなど、日本語の習得状況が本当にさまざまだそうです。
小中学校の日本語教育を見ますと、日本語学級の教員配置は10人から20人の子供に対して1人の配置になっております。21人から40人だと、教員の数3人というふうになっております。
しかし、在京外国人枠を設けている学校では、15人とか20人の定員にかかわらず、1人しか配置していないというのは少ないのではないかと思うんです。在京外国人枠を持つ高校も日本語教育の必要な生徒の数や実情に応じて教員数をふやすなど、教職員体制の拡充が必要だと考えますが、都教育委員会の見解を伺います。

○江藤人事部長 在京外国人生徒枠のある都立学校につきましては、多様な外国人生徒に対する指導を行うために教員を1人加配しております。
また、学校の実情に応じて、いわゆる取り出し授業を行うために時間講師を配置しているところもあり、適切に対応しております。

○里吉委員 時間講師も配置しているというご答弁でしたけれども、先ほど特別部会でアンケートを行うという話がございました。英語受検で受かったお子さんが、生徒がどういうふうに日本語指導を受けているのか、十分なのかどうかもぜひ聞いていただきたいと思うんです。
これまでですと、英語で受検して入学した生徒の中には、日本語習得がなかなかできないまま残念ながら退学してしまった生徒さんもいるということも伺っております。ですから、そういう意味では十分な体制ではないのではないかというふうに私は感じております。
それから、3部制の学校なんですが、ここも3教科受検で、日本語が余りできなくても、英語と数学が高得点をとれる生徒さんが入学してくるそうです。ことしは特に、5教科受検を避けてこの3部制の学校に、日本語ができないけれども英語と数学はとてもできるという生徒さんが集まってきているというふうに伺っております。
ここは特に教員の加配もなく、今現場の工夫で何とか授業を行っているということですが、こうした現状もぜひつかんでいただいて、日本語を母語としない、日本語の勉強が必要な子供たちのための必要な教員の加配を求めまして、次の質問に移ります。

◆医療的ケアが必要な子どもに対する教育を受ける権利を保障することについて

次は、医療的ケアが必要な子供に対する教育を受ける権利を保障することを求めて質問を行ってまいります。
私は、これまでの委員会でも、何回か医療的ケアが必要な子供たちが教育を受ける権利が保障されていない、これをしっかり保障してほしいということを求めて質問を行ってまいりました。
東京都は、全国に先駆けて障害児の全員就学を実現してきたという歴史があります。医療の進歩により、重度障害、重度重複障害の子供の数もふえていますが、そうした子供たちにも就学を保障するのは都教育委員会の責任です。
医療の進歩で、経管栄養や気管切開、人工呼吸器等が必要なお子さんでも、自宅で生活し、学校に通える子供たちがふえてきました。現在、医療的ケアを必要とする子供は、都立肢体不自由特別支援学校全体の約3分の1にも上っております。一言で医療的ケアといってもその内容はさまざまで、子供によってその対応も違います。
そこで、まず特別支援学校に通う医療的ケアが必要な児童生徒への対応について、都には要綱があると聞いておりますがどのようなものか伺います。

○浅野特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、学校において日常的に医療的ケアが必要な児童生徒に対し、安全かつ適切に医療的ケアを行うための実施体制の整備を目的として、都立肢体不自由特別支援学校における医療的ケア実施要綱を制定しております。
この要綱では、学校における医療的ケアの実施者及び実施することができる範囲などを規定してございます。

○里吉委員 私も読ませていただきましたが、医療的ケアを必要とする子供が、健康で安全な学校生活を送るために、誰がどのような医療的ケアを行うことができるのかということが書かれております。看護師さんができること、教員や学校、介護職員ができること、またできないことなどが示されておりました。
今回はその中の一つ、経管栄養について伺いたいと思います。  学校での給食、食事ですが、この経管栄養できることになっているんですが、半固形物にしてほしいという要望が出ていますが、この要綱を見ますと、実施できる要綱の中には、胃瘻または腸瘻による経管栄養とあるだけで、これができるのかどうかというのがわからないんですね。実際には、半固形物による胃瘻などは行われていないと伺っております。
例えば、市販されている半固形物などは利用できないのでしょうか、現状、見解を伺います。

○浅野特別支援教育推進担当部長 学校で実施することができる医療的ケアの範囲は実施要綱で規定してございます。この実施要綱には経管栄養の項目がございますが、具体的な内容までは定めておりません。
市販されている半固形物の利用につきましては、医療機関ではない学校において安全かつ適切な実施が可能かどうか、医学的知見に基づいた慎重な検討が必要でございます。

○里吉委員 医学的見地に基づき検討が必要ということでした。
医療的ケアを必要とする児童生徒に対する学校での医療的ケアを実施するために、医療的ケア運営協議会というものが設置されております。年数回開催されていると伺いました。ここには、要綱もいただきましたけれども、医療関係者の方や保護者の方、学校職員の方、それから都教育委員会の方などが参加をされております。こういうところでぜひ実現に向けて、専門家のご意見も聞きながら検討していただきたいということを要望しておきます。
次に、通学保障について伺います。
医療的ケアの必要な子供の中にはスクールバスに乗ることができず、自家用車、その他の方法で通学しているお子さんが多くいらっしゃいます。
現在、どれくらいの児童生徒がスクールバス以外の方法で通学しているのかまず伺います。

○浅野特別支援教育推進担当部長 平成28年5月1日現在、肢体不自由特別支援学校に在籍する児童生徒のうち、スクールバス乗車中に医療的ケアが必要なため、スクールバスに乗車していない児童生徒は193人でございます。

○里吉委員 5月1日現在ですが、193人の子供たちがスクールバスの利用ができないことがわかりました。
このスクールバス利用できない方はどうやって学校に行っているかというと、自家用車で行っている場合、おうちに車がなかったり運転して送迎できる方がいなかった場合は、福祉タクシーを利用するなどしないと学校に通うことはできないわけです。
自分のうちに自動車がないとか、送迎するお母さんが免許を持っていない、こういうときに保護者の中からは、せめて保護者同伴でスクールバスに乗せてほしいという要望が毎年出されているのも当然だと思うんですね。
スクールバスを小型化にした福祉タクシー、学校としてこれを、福祉タクシーをスクールバスとして活用するだとか、さまざまな方法を検討して、親御さんが連れていく手段がないから本当は学校に行けるのに学校に行けないということがなくなるように、これ繰り返し要望しているのできょうは要望にとどめておきますが、ぜひ検討していただくように要望しておきたいと思います。
それから、肢体不自由特別支援学校で、医療的ケア実施のために、付き添いが送り迎えだけではなくて学校にずっと付き添っていなければいけない、こういうお子さんもいらっしゃいます。
現在、学校に保護者の方が付き添っている、こういう人数と、特に教室で待機している保護者の方、どれぐらいなのか伺います。

○浅野特別支援教育推進担当部長 平成28年9月15日現在、肢体不自由特別支援学校の医療的ケア実施のために付き添いが必要な保護者は33人でございます。そのうち、教室内で待機している保護者は16人でございます。

○里吉委員 4月はもうちょっと付き添いをしているお母さんたち多いと思うんですが、いろいろ看護師さんに対応してもらって、2学期からは付き添わなくてもいいという方もいらっしゃるということで、9月15日現在だと付き添いが必要なお子さん、33人ということだというふうに思います。
しかし、9月になっても付き添っているこの33人の保護者、多くはお母様だと思うんですけれども、ここはずっと付き添いが必要な方が多いと思うんですね。子供たちが授業を受けている間中ずっと待機しているということです。
医療的ケアが必要なお子さんですから、家に帰っても、お母さんはほぼ子供につきっきりだと思います。本当に休む間もなく対応しなければいけないということで、これでは親の方が参ってしまうわけです。
それで、どうしようかと学校に相談すると、学校から示される解決策が、訪問学級もありますよというふうに勧められるそうです。でも、子供たちは学校で、今、楽しくお友達と一緒に毎日過ごしているわけです。家の中で先生と一対一の訪問学級とはまるで違います。
先生やお友達もたくさんいて、さまざまな刺激を受けることのできる学校は、訪問学級に比べたら子供の発達も全然違います。訪問学級になったら、お友達との関係も切れてしまいます。
訪問学級は、子供本人の体力などの理由で、学校に通うことのできない子供に就学の機会を保障するために必要な制度であり重要だと思いますが、子供本人に気力も体力もあって本来学校に通えるはずが、通学手段がなかったり親の都合で付き添いができずに訪問学級になっているとしたら、これは問題だと私は考えます。
保護者の付き添いが必要な医療的ケア、これがなかなか減らないということが、これまで私もずっと質問してきたわけですが、具体的にはどのような場合なのか改めて伺いたいと思います。

○浅野特別支援教育推進担当部長 保護者の付き添いが必要な医療的ケアとは、学校が実施することが困難な高度な医療的ケアであり、主として人工呼吸器の管理が必要な場合でございます。

○里吉委員 主には人工呼吸器をつけているお子さんについて、保護者の付き添いが必要ということでした。しかし、今述べましたように、全ての保護者の方が送迎や付き添いができるわけではありません。
私が以前お話を伺ったお母さんは、子供が小学生なんですけれども、呼吸器をつけています。今、小学校1年生です。毎日お母さんが付き添って学校まで行って、トイレ以外は全て隣にいる状態で授業を受けている、こういう状態なんですね。この子も、もしお母さんが倒れてしまったら、訪問学級がいいですよというふうに勧められているんです。
そこでちょっとお伺いしたいんですけれども、スクールバスに乗れないとか、それ以外の対応もとれなくて訪問学級になっているというお子さん、保護者が付き添えないために訪問学級になっているお子さん、現在どれくらいいるのか伺いたいと思います。

○浅野特別支援教育推進担当部長 平成28年5月1日現在、在宅で訪問教育を受けている児童生徒は157人でございます。
なお、健康面や体力面での負担や感染症への危険性などの医療面や医療機器の運搬や通学方法の準備などの通学に係る負担などの要因が複合的に組み合わさっているので、通学できない理由を特定することは困難でございます。

○里吉委員 今、分けるの困難というふうに答弁ありましたけれども、具体的には、先生に相談して、訪問がありますよといわれた方とか、それから看護師さんを自分で雇ったらいかがですかといわれたお母さんもいらっしゃるんですね。ということは、お金があれば看護師さんを雇ってお子さんは通学できるわけですから、本人の原因ではないということだと思うんですね。
今お話しした方なんですけれども、小学校入学して、毎日週5日、お母さんが付き添って通っていました。ところが、お母さんが過労で体調を崩してしまって、今は週3回の登校に控えているそうです。
お子さんは、学校が楽しくて友達もいるので、あしたは〇〇君はお休みだよというと泣いてしまうそうなんですね。お母さんは毎回、ごめんねお母さんが疲れてしまって、謝っている。本人は元気なので本当は連れていってあげたいけれども、自分が倒れてしまっては元も子もないということで、仕方なく今、週3回、それでも頑張って通学しているということでした。
この方も都教育委員会の方に相談したら、ご自分で看護師さんにお願いして付き添いをしてもらっている方もいらっしゃいますよというふうにいわれたそうですが、経済的にはそれが難しいので諦めているといっておりました。
また、来年入学する予定のお子さんも、下に兄弟がいて学校への付き添いは難しいので、今から訪問にせざるを得ないと諦めているというお話も聞きました。
子供の体調ではなく、通学の手段がなかったり付き添いができないために、訪問学級になっている子供の数、カウントできないというご答弁でしたが、これはちゃんと調べればわかると思いますので、今後明らかにしていただきたいと思います。
また、学校現場も、都教育委員会も、本当に努力をしていただいていることは私も理解をしております。それでも、やはり今の医療の進歩に学校の対応が追いついていないのではないかということも感じます。
東京都は、医療的ケアの必要な子供について、さらに学校で教育が受けられるよう、要綱の見直しや看護師の配置をふやすなど、さまざまな角度から検討していただきたいと思いますが都教育委員会の見解を伺います。

○浅野特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、これまでも社会福祉士及び介護福祉士法の一部を改正する法律の施行に合わせて、特定の研修を受講した教職員が学校で医療的ケアを実施できるようにするなど要綱を改正してまいりました。
また、学校で実施可能な医療的ケアを適切に実施するために必要な看護師については、常勤看護師の配置に加えて、学校からの申請に基づいて非常勤看護師の配置に必要な予算を確保しております。
さらに、学校で実施できる医療的ケアの範囲につきましては、児童生徒の生命の安全と健康の維持を第一に考え、医学的知見に基づいた慎重な検討が必要であると認識しております。

○里吉委員 現在、厚生労働省では、医療的ケア時の支援について新たな検討、具体化が進められていると伺っております。
また、私の地元世田谷区には国立成育医療センターがありまして、医療的ケアの必要なお子さんが比較的多い地域ではないかと思います。
世田谷区では、医療的ケアを要する障害児者に関する実態調査を昨年度行いました。そこでも、就学前から17歳までの課題として、福祉と医療と教育の課題ということで、医療的ケアがあると、通学できなかったり、保護者が付き添わないと通学できない場合が多い、学校で一緒にいることが負担になっている、こういうことが挙げられておりました。
児童生徒の生命の安全と健康の維持を第一に考えるのは、当然のことですし大切なことです。
一方、医療も進歩しており、要綱をつくったときには想定されていなかったものもあるのではないかと思います。医療的ケアを必要とする子供たちの教育を受ける権利を保障するために、要綱の改定や看護師配置の拡充など、さまざまな工夫を行っていただいて、積極的に取り組んでいただくように要望し次の質問に移ります。

◆特別支援教室(公立小学校での特別支援教育)について

続きまして、ことしから本格的に始まりました特別支援教室について伺ってまいります。
資料もいただきましたけれども、改めてこれまで通級といわれていたところ、情緒障害の通級学級が特別支援教室に変わって、今改めて全体どれくらいの公立小学校で特別支援教室が実施されているのか。昨年と比べて通っている児童数、そして教員数の人数はどうなっているのかまず伺います。

○浅野特別支援教育推進担当部長 平成28年度に区市町村教育委員会が特別支援教室を設置した学校数は1286校中602校でございます。
また、小学校において在籍学級を離れて、一部特別な指導、支援を受けている発達障害の児童数は、平成27年度は7190人であり、平成28年度は9469人でございます。
特別な指導、支援を行う教員数は、平成27年度は1061人であり、平成28年度は1132人でございます。

○里吉委員 今、数を示していただきましたけれども、いただきました資料にも、15、16ページにございますが、児童数は16ページの一番下のところにあります。これ引き算すると、2279人児童数はふえております。教員は71人増です。教員一人当たりの児童数がふえているのがわかると思います。
私の住む世田谷区で見ますと、教員数は59人で変わりませんが、児童数は401人から504人と100人以上もふえております。
これは、これまで10人で1学級プラス1人という教員配置だったものが、自治体ごとに10人に1人となったので、世田谷区では子供の数が590人になるまで、教員数は5年間の経過措置の間ではこのままだということだと思います。
拠点校への登校の負担がなくなったこともあって、特別支援教室に通う児童がふえたこと、本来行くべき子供が通えるようになったことは評価できますが、一方で教員の配置基準が引き下げられたことの影響が私は既に出ているのではないかと思うんです。
いろいろお話聞きますと、今までと同じだけの時間数が確保できていない、今まで通級を4時間受けていたけれども現在は2時間になっている、こういう実態も寄せられております。
都教委が保護者向けにつくったリーフレットには、これまでどおり必要な時間数の指導を受けることができますというふうに書かれておりましたが、実際にはできていないのではないかと思います。
それから、教室の整備はどうか。実際に始まった特別支援教室は、専用の教室の場合や既存施設の転用の場合、巡回があるときだけどこかの部屋を借りて、特別支援教室として使っている場合などがあると思いますが、この教室整備について都教育委員会の基本的な考え方を伺います。

○浅野特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、特別支援教室の導入ガイドラインにおいて、教室整備の基本的考え方につきまして、専用のスペースを設ける場合や既存施設を有効活用する場合、巡回指導の日にのみ使用する兼用とする場合など、さまざまな工夫があることを示しております。
小学校における特別支援教室の施設や設備は、各校の実情に応じて区市町村教育委員会が適切に判断し整備するものでございます。

○里吉委員 そうなんです。通級指導学級の設置校は、通級専用の教室そしてプレールームなど、専用施設が必ずありましたが、今ご答弁にもありましたように、特別支援教室については、都教育委員会のガイドラインで既存施設の有効活用や兼用などでも可能というふうにしているわけですね。
結局、専用の部屋を用意できない場合は、さまざまな教材を置く場所もないし、私がお話聞いた先生は、教員が全部の必要な教材を持って移動している、こういう先生もいらっしゃいました。集団指導を行うためのプレールームがなければ、その場所の確保もしなければならないわけです。
都教育委員会は、この部屋を用意するために、既存施設を転用する、いろいろ準備をするためのお金も出して工事をされたと思いますが、この補助金を使って工事を行った学校、どれくらいあるのか、どのような工事が行われたのか伺いたいと思います。

○浅野特別支援教育推進担当部長 特別支援教室の環境整備に当たり、東京都公立小学校特別支援教室設置条件整備費補助事業による補助を行った学校数は、教室設置校602校のうち263校でございます。
また、環境整備の主な内容は、部屋の分割や個別スペースを設けるための間仕切りの設置、照明の増設や位置の変更などでございます。

○里吉委員 602校のうち263校が補助金なども使って整備をしたというご答弁だったんですが、それでは、専用の部屋をつくった学校はどれくらいあるのかとか、既存施設を転用した特別支援教室はどれくらいあるのか、また巡回指導があるときにだけ、どこかの教室を借りている特別支援教室はどれくらいあるのかというふうに伺いましたら、それはわからないというお答えでした。
これはぜひ、そういうことも今、途中だと思いますが、例えば導入1年目の年度末などにきちんとどういう体制になっているのか、都教育委員会の責任でつかんでいただきたいというふうに思います。
4割を超える学校で間仕切りの設置など、何らかの改修工事を行ったことがわかりましたが、学校現場の話を聞きますと、個別の部屋がなくてパネルで仕切っただけで、声が丸聞こえで集中できない、兼用の部屋で余分なものが多くあって刺激になってしまうなど、せっかくの個別指導の場、集中して勉強できる環境になっていない、ぜひ改善が必要だという要望が多く寄せられておりました。
それから、集団指導については、広い部屋がなくて体を動かすスペースがない、窓ガラス、蛍光灯に安全対策がないのでボールが使えないなど、そういった課題も寄せられておりました。  こういったことについても、まだ導入1年目ですから、これから改善することができないのか、それぞれの区市町村の教育委員会とも一緒になって、改善のために取り組んでいただきたいと思います。
小集団指導について伺います。
情緒障害等通級指導学級では、特別指導と小集団指導を適切に組み合わせて、大きな成果を上げていました。
ところが、現在行っている特別支援教室への移行の中で、小集団の指導を行わないとか、行えないというところが出ているようなんですね。これまでの情緒障害等特別支援学級で行ってきた小集団指導が学校によっては行われていない、その理由について伺います。

○浅野特別支援教育推進担当部長 小集団の指導は、例えば特別支援教室の中で行うほか、学校の実情に応じてさまざまに既存施設を有効に活用して行っております。
また、小集団の指導は、児童の障害の状態等に応じて実施するものであり、小集団という指導方法によらない場合もございます。

○里吉委員 小集団という指導方法によらない場合もあるということなんですが、必要な場合は小集団指導をやれるというふうにこれまでお答えになっていたと思うんですね。
実際には、小集団指導が例えば場所がなくてできないとか、メンバーがうまくそろえられなくてできないとか、私いろいろ聞いているんです。都教育委員会としては、本人の実情ではなくてそれ以外の理由で、小集団は必要だと思っているが実際にはできていないという現状はつかんでいないんでしょうか、お伺いします。

○浅野特別支援教育推進担当部長 特別支援教室における指導では、児童の障害の状態等に応じて指導計画を個別に作成することが基本であり、指導の目標を達成する上で効果的である場合に、小集団による指導を実施するものでございます。
また、自立活動の指導を小集団で行う場合でも、必ずしも専用の施設や広いスペースが必要なものではなく、学校の実情に応じた工夫は可能と考えております。

○里吉委員 いろいろな工夫で小集団指導が必要な場合はできているというお答えだったんですけれども、小集団は必要だと思っているが、実際にはできていない現状は、特につかんでいないということでよろしいんでしょうか、お伺いします。

○浅野特別支援教育推進担当部長 自立活動の指導を小集団で行う場合でも、必ずしも専用の施設や広いスペースが必要なものではなく、学校の実情に応じた工夫は可能と考えております。その判断は、区市町村教育委員会が適切に判断するものでございます。

○里吉委員 同じ答弁なので、ちょっと違う話をしたいと思うんですが、多分、教育委員会の人もご存じだと思うんですが、東京都市長会からの重点要望、来年度に向けての要望、5項目にわたって、主には教員をふやしてほしいということ、それから、小集団指導するための場所を用意するための財政措置が欲しい、このような要望が出ているわけですね。
ということは、区市町村として、これは市長会ですから、多摩の方の方々、教育委員会では、小集団したいけれども、なかなか場所ができなくて、それを何とかしたいと。東京都に対して、国に対しても財政的支援を求める要望になっておりますけれども、そういうことをいっている。これはごらんになっていますか、それだけ確認します。

○浅野特別支援教育推進担当部長 はい、見ております。

○里吉委員 見ているというお答えでしたので、これからぜひ検討していただけると思いますが、5項目にわたって書いてありますので、全部は読みませんけれども、例えば発達障害等の児童生徒の指導と支援には、集中して学習できる環境と小集団指導にも対応できる施設設備の整備が必要である、整備に係る予算の拡充を国に強く働きかけるとともに、都においても十分な財政措置を講じられたい、こういうことも書いてあるわけです。
いろいろな項目、多岐にわたっていますけれども、おしなべてもっと先生をふやしてほしい、基準をもとに戻してほしい、そして、きちんと施設を用意するための財政的支援してほしいということが出されているっていうことからしても、やっぱりこれ、まだ不十分だということではないかということで、ぜひこれは検討していただきたいということを申し上げておきます。
それで、これは2014年の事務事業質疑で当時の金子指導部長も、発達障害の児童生徒は、怒りやいらいらなどの感情や行動の自己制御が難しいから、対人関係のトラブルを生じやすい傾向があると。だから、通級では人とのかかわりの中で感情や行動を自己抑制する力を養うことを目的に、勝敗のわかりやすいゲーム活動やロールプレーを取り入れた学習などいろいろ行っているんだと。今後、導入を予定している特別支援教室でも、児童生徒一人一人の障害の状態を踏まえて、小集団による指導を必要に応じて行っていくといっているわけですね。
今のご答弁だと、必要がある生徒児童にはやっているけれども、それが必要なくなったかのようなご答弁に聞こえたんですけれども、決して現場ではそうは思っていないということだと思いますので、ぜひ対応していただきたいと思うんです。
現状をつかんで、小集団指導を行うために、教員配置や拠点校への通級を認めることや、何らかの対策をとっていただきたいと思うんですが、最後にいかがでしょうか。

○浅野特別支援教育推進担当部長 特別支援教室については、今年度から始まったものでありまして、区市町村教育委員会や学校の実情をよく聞きながら、適切に検討していきたいと思っております。

○里吉委員 ぜひ現状つかんでいただいて、対応していただきたいと思います。  そして、教員の指導力向上についても、先ほども質疑がありましたので、これは質問いたしませんけれども、拠点校に5人、10人、先生がまとまっていたときには、経験のない先生もベテランの先生も一緒に授業をつくっていく中で専門性を磨くことができました。
今、特別支援教室は、先生がばらばらに通うので、新人の先生にはきついのではないかという不安が出されていて、先ほどOJTという話がありましたけれども、経験豊かな先生と新人の方が一緒になって学校を巡回する、そういうこともやっている区市町村もあるということだったと思うんですね。
そういう区市町村がある一方で、それができていないところもあります。ですから、これから子供もどんどんふえていきますし、特別支援教室で専門性を発揮していただく先生を育てるために、この現状についてもぜひつかんで、対応を今から考えていただきたいということを申し上げて、最後の質問に移りたいと思います。

◆少人数学級、35人学級の拡充について

最後は、少人数学級、35人学級について伺います。
東京都では現在、小学校1、2年生と中学校1年生が35人学級となっていますが、小学校3年生以上に拡大してほしい、全学年で実施してほしいというのが保護者や校長会、副校長会から都民の強い願いとして出されてまいりました。
文部科学省の中央教育審議会初等中等教育分科会は、2010年、暴力行為やいじめの増加、不登校の深刻化、特別支援学級の割合、日本語教育が必要な外国人児童生徒の増加などなどの事例を示しながら、生徒指導等の課題が複雑化、多様化し、学級の秩序が確保できなくなるなどの事態も生じるなど、40人という学級規模では学級経営が困難になっているという見解を示しております。
そこで伺いますが、都教育委員会は、このような現状認識をどのように受けとめているのでしょうか、伺います。

○粉川地域教育支援部長 都教育委員会は、小1問題、中1ギャップの予防、解決のため、小学校第1学年、第2学年及び中学校第1学年において、35人学級編制を可能としております。
また、学校が直面する複雑化、多様化している教育課題に対し、児童生徒一人一人の確かな学力の定着と伸長を図るため、習熟度別指導、少人数指導が可能となる教員加配や課題のある児童生徒等にきめ細かく対応できるよう、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなど教職員以外の専門的人材の配置など、適切な学校経営を行えるよう対応しております。
なお、義務教育における今後の学級編制のあり方は、教育の機会均等や全国的な教育水準維持の観点から、国の責任が大きいと考えております。

○里吉委員 私は、現状認識をお伺いしたんですけれども、対応についてお答えいただいたと思います。
学校が直面する複雑化、多様化する教育課題に対して、少人数指導のための教育配置やスクールカウンセラーの配置などの対応を行っているということですが、私が伺いたかったのは、その複雑化、多様化している教育課題とは具体的にどんなことだと捉えているのかという認識や、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを都教育委員会として配置した理由についてです。ぜひお答えいただきたいと思います。

○粉川地域教育支援部長 学校が直面する複雑化、多様化する教育課題とは、経済社会のグローバル化や高度情報化社会の進展、少子高齢化などの時代の変化の中で、みずから考え行動する力や社会の発展に貢献する力を培うことであり、具体的には個々の子供に応じたきめ細かい教育の充実、これは基礎、基本の定着と学ぶ意欲の向上などでございまして、ほかには社会的自立を促す教育の推進、これは社会的、職業的自立を図る教育の推進や、不登校、中途退学対策など、さらには子供たちの健全な心を育む取り組み、これはいじめ、暴力行為、自殺等防止対策の強化などでございます。

○里吉委員 大きな観点から細かい具体的な話までしていただいたんですけれども、今、私が最初に紹介したような学校の中での暴力行為やいじめの問題、それから不登校がふえている問題、日本語教育が必要な外国人の児童生徒がふえている問題、それから子供の貧困の問題など、こういった問題も都教委が考える複雑化する、対応しなければいけない現状ということでよろしいでしょうか。

○粉川地域教育支援部長 大変失礼しました。まず、先ほどのご質問で、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーについてのご質問、漏れましたので、改めてご答弁させていただきます。
スクールカウンセラーの配置は、いじめや不登校など、児童生徒の抱えるさまざまな課題に対応する教育相談体制の充実を図るためであり、スクールソーシャルワーカーの配置は、関係機関との連携を構築し、福祉分野から児童生徒の問題解決を図るためでございます。
また、先ほどの学校が直面する複雑化、多様化する教育課題への対応についての認識でございますけれども、都教育委員会は、小1問題、中1ギャップの予防解決のため、画一的な学級規模の縮小ではなく、学級規模の縮小や少人数指導、チームティーチングの活用など、各学校の実情に応じて最適な方策を検討できる弾力的な制度として実施をしております。
また、先ほどお話のありました文部科学省の中央教育審議会の提言についてでございますが、ご指摘の箇所のほか、提言では国に対し学級編制の改善を行うに際しては、国が全国的な教育水準の維持向上を図るため、その財源を国の責任で担保することが極めて重要であるとしております。
また、国が学級編制の標準を引き下げて、少人数学級を実施する場合には、新たに必要となる教室等の施設整備について、全国で教育条件に格差が出ないよう、国として所要の財源を確保する必要があるとも提言しております。
このように、お話の提言においても、義務教育についての国の責任が大きいとしているため、引き続き国の動向を注視してまいります。

○里吉委員 国の責任が大きいのは当然であります。しかし、資料で1ページ、2ページ目、3ページ目、出していただいたように、全国47都道府県のうち、40はもうそれを超えて、東京も超えているわけですから、それを入れると全てが国の基準を既に超えて独自にやっているわけですよね、東京都も含めてね。
ですから、国に対してきちんと学級編制の基準をもっと小さくするように求めることは当然ですが、だからといって、東京都が何もしなくてもいいということにはならないと思うんですね。
それで、中教審で何をいっていたかということで少し具体的にお話ししますと、私も調べてみたんですけれども、現在の学級編制の基準である40人学級が実施されたのは1991年です。25年経過しました。
この25年間のうちに、子供たちを取り巻く環境は大きく変化しました。貧困世帯の子供、発達障害、外国人の子供など丁寧に対応する必要のある子供の数が大きく増加をしています。
そして、例えば東京の小中学校で就学援助を受けている子供はこの17年間で約1・5倍ふえています。通級指導に通う児童生徒も25年間で20倍にもなりました。不登校の割合も25年前の約2倍になって、小学校でも0・46%、中学校で3・17%と全国平均より高く、しかも学年が上がることに増加する傾向にあるということが報告されております。
日本語指導が必要な外国人の子供も、これも先ほどの資料にありましたけれども、毎年のようにふえているわけです。そういう中でどうするのかということが求められていると思うんですね。
私は、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなど、教職員以外の専門的人材を配置して対応することも非常に大事だと思います。いじめへの対応や子供の貧困への対応など、そういった専門家の力をかりることは大事ですけれども、それとあわせて、やはり学校の先生そのものがふえなければ、クラスの人数が減らなければ、本当に今の現状、大変なんじゃないかというふうに思うんです。
ある小学校の先生にお話を聞きましたら、その学校の学区の関係で、1学年の人数、75人程度になることが多いそうなんですが、学年75人ですから、1、2年生は35人学級で、1クラス25人、それが3学年になると38人ですから1・5倍になるわけです。一気にクラスの人数が13人ふえます。すると、パニックを起こしやすい子や教室を飛び出してしまう子供への対応や、保護者に細かく連絡が必要な子供への対応など、そういうきめ細かに対応しなくちゃいけない子供がクラスに1人とか2人だったのが3人、4人になってしまう。
勉強が苦手な子供のフォローも、1人、2人だったら授業中にカバーすることもできたけれども、3人、4人とふえてくると授業中だけでは難しい、放課後に居残りさせて、今勉強させているということもありました。  また、単に子供が1・5倍になるというだけではなくて、25人のとき、クラスは落ちついていたそうですが、やっぱり38人になると落ちつかなくなったりするそうです。
貧困家庭の子供の話を聞いて、必要な手当をしてあげたり、不登校の子供も1人から2人にふえれば、対策会議や家庭との相談や電話、訪問など、子供への働きかけなど、全てが2倍になるということで、本当に大変だというふうにお話ししておりました。
そして、私も経験ありますけれども、先生が余りにも忙しそうだと、親も相談したくても先生に話せない。そして、子供たちも先生に話したいことがあっても遠慮してしまうということもあるんじゃないかと思うんですね。
単純に伺いますけれども、1クラス25人と38人、より丁寧な対応を必要とする子供だけでなく、ほかの子供たちにとってもどちらがよいか明白だと思いますがいかがでしょうか。

○粉川地域教育支援部長 先ほどご答弁した複雑化、多様化している課題に対応していくためには、画一的な学級規模の縮小だけではなく、校長のリーダーシップのもと、学校のマネジメントを強化し、組織として教育活動に取り組む体制をつくり上げることが必要であり、その上で学校や教員が専門スタッフや専門機関と連携、分担する体制を整備し、学校の機能を強化していくことが重要でございます。
例えば、いじめ問題は学校の規模によらず起こり得るものであり、大切なのは特定の教員が一人で抱え込むことがないよう、管理職やスクールカウンセラーを初め、全教職員が複層的な視点から子供たちの変化をいち早く把握し、組織的に対応することなどにより、学校全体で取り組んでいくことでございます。

○里吉委員 今、資料の1ページ、2ページ、全国の国の基準を下回る学級編制の実施状況について、これ、毎年出していただいているんですけれども、見ていただくとわかるように、47都道府県のうち、40は東京都以上の取り組みを進めているんじゃないかというふうに思うんですね。
中には岩手県とか宮城県とか上の方から見るとそういうところなんですが、個別の実情に応じた弾力的な学級編制、市町村教育委員会からの要望とか、全部を一遍にやらなくても、市教育委員会の考え方によってやりたいというところには、県が多分対応して少人数学級をやっているんじゃないかと思うんです。
都内でも、23区の中には自治体の単費で少人数学級を実施しているところがございます。それから、区議会などで少人数学級の推進を求める、これは国に対しても含めてですけれども、そういう意見書が採択されているところもありました。
35人以下学級を求める要望は、東京でも現場では強いものがあるわけです。全国の多くの県で少人数学級が実施されているところでは、いじめが早期発見できたとか、不登校が減ったなどの効果も報告されております。
ですから、1学級の子供たちの人数を減らしていくことで、先生たちと生徒が日常的に触れ合う時間がふえる、子供たちの小さな変化に気づいたり個に応じた対応をしていくことができる、教職員以外の専門家の力をかりるときも、その力を発揮してもらう体制をつくることができるのではないかと思います。
それで一つ、中学校1年生の少人数学級について伺いたいんですが、都教委は中学校1年生の少人数学級を行っていますが、実際にこれ、少人数学級となっている中学校、どれぐらいなのか伺います。

○粉川地域教育支援部長 平成28年度、中1ギャップの予防、解決のための教員加配の対象となった学校260校のうち、学級規模の縮小を選択している学校は145校でございます。

○里吉委員 6割弱の学校が35人学級を選択して、4割弱がチームティーチングの少人数ということでした。  中1ギャップに効果がある少人数学級が広がっていないのはどうしてか理由を伺いましたけれども、特に調査していないということでした。
私は、これはぜひ調査してほしいと思うんですが、校長先生初めとする現場の先生にお話を聞きましたら、少人数指導を選んでいる学校でも、必ずしも積極的に少人数指導がよいと思っているわけではないようなんですね。
少人数学級は歓迎しているけれども、1年生だけ35人学級で、2年生に進級したとき40人学級に戻ってクラスが減るというのは、思春期の生徒が在籍し、また教科担任制という条件の中学校では、学校運営が大変難しくやりづらいなどの理由で、少人数指導を選んでいる場合も少なくないと聞きました。
ですから、3年間を見通した学校運営のためには、2年生以上への拡大が必要、生徒が著しく変化する2年生への対応をしてほしい、受験がある3年生への対応をしてほしい、こういう声が多く寄せられておりました。
都教委は、こういった学校現場の意見は聞いたことはないのか最後に伺います。

○粉川地域教育支援部長 学級規模の縮小を選択した学校とチームティーチング等を選択した学校のいずれにおきましても、小1問題、中1ギャップの予防、解決のための教員加配は、学習指導や生活指導を初めとするさまざまな側面に対し、よい影響をもたらしたことがわかっております。
そのため、学級規模の縮小とチームティーチング等の活用を各学校の実情に応じて選択できる柔軟な制度として実施しております。小学校第2学年、中学校第1学年における加配の活用は、各学校、各区市町村により判断された結果であり、あえて都として調査するつもりはございません。

○里吉委員 少人数学級をやりたくてもできないという声、私、複数聞いております。ぜひ学校現場や保護者の声を聞いて、この問題解決のために、少人数学級実現のために取り組んでいただきたいことを申し上げまして、私の質問を終わります。