文教委員会速記録第16号

2016年都議会文教委員会での論戦都議会質問

◆私立特別支援学校に対する補助について

○里吉委員 それでは、私からはまず初めに、私立特別支援学校に対する補助について伺ってまいります。
都内には4つの私立特別支援学校があります。私は先日、その一つ、旭出学園に視察に行ってまいりました。旭出学園は、知的障害部門の特別支援学校です。創立66年、幼稚部、小学部、中学部、高校、さらに就労に向けた高等部専攻科までの一貫教育を行い、また生活自立に向けた寮を持ち、知的障害児者の自立を目指しております。
私が伺ったときは、小学校でも中学校でも2、3人の児童生徒に1人の先生がつき授業が行われておりました。寮も見させていただきましたが、ここでは生活自立の訓練をするため、最長3週間、そこで生活するそうです。お風呂に体を洗う順番が書かれてあったのが大変印象的でした。
また、麦を育てたり、豆腐づくりなど、独自の取り組みを幾つも行っておりました。  私学ですから、建学の精神、そして独自の教育理念に基づいて特色ある教育を展開していることが大変よくわかりました。
その一方で、一つ一つの学校は規模も小さいために、保護者負担もそれなりに本当にかかること、老朽化対策などもなかなか厳しいというお話も伺ってまいりました。  私立の特別支援学校に対しても、私立の高等学校、中学校、小学校、幼稚部などと同じように経常費補助が交付されておりますが、高等学校の経常費補助は、標準的運営費補助の2分の1で算定されているのに対し、特別支援学校については、まだ2分の1に達していないのではないかということも伺いました。
そこで、まず私立の特別支援学校に対する経常費補助の算定方法について伺います。

○加藤私学部長 都は、私立の高等学校等の経常費の算定に当たっては、原則として公立学校の決算値をもとに標準的な運営費を算出し、それに補助率である2分の1を乗じて算出しております。
しかし、現在、特別支援学校については、標準的運営費方式の2分の1で算出した単価が、教育環境の最低水準を維持するために必要な金額である国庫補助の単価よりも下回っております。そのため、都は、国庫補助単価で算定しております。

○里吉委員 現在は、標準的運営費方式の2分の1で算定された単価より高い国の補助制度と同額で、特別支援学校に対する補助が実施されているとの説明でした。
しかし、先ほどお話ししましたように、私学の特別支援学校は、ほかの私立の学校に比べて規模も小さいため運営状況は厳しく、校舎が老朽化しても財源もなく工事が実施できない学校もあると伺っております。もともと特別支援学校はほかの学校よりも費用負担が高いわけですから、2分の1負担でも相当大変なわけです。
国では、こうした私立の特別支援学校の現状を踏まえて、私立高等学校等施設高機能化整備費の中に、私立特別支援学校の老朽改築工事及び附帯工事の補助項目を昨年、2015年度に新設をしております。これは、老朽改築制度で、構造上危険な状態にある特別支援学校の建物について、その改築の経費を3分の1以内で国が補助するというものだと伺いました。私立特別支援学校の施設改修に補助が必要だということを認めたということだと思います。
しかし、該当校では、さらに学校の保全、長寿命化を図り、改修への補助なども必要であり、さらなる支援を求めております。
都においても、私立の特別支援学校に対する独自の支援策を実施すべきだと考えますが、都の見解を伺います。

○加藤私学部長 都は、これまでも児童生徒の自立や社会参加に向けた特色ある特別支援教育を実践し、障害のある児童生徒の教育に大きな役割を果たしている私立の特別支援学校の運営に対し、毎年度、予算額の確保に努めてまいりました。
今後も、私立特別支援学校に対する支援策につきましては、国の動向や各学校からの要望などを踏まえ、必要に応じて検討してまいります。

○里吉委員 国の動向や各学校からの要望なども踏まえて、必要に応じて検討するというご答弁でした。
国も昨年度からそういう意味では新たな補助を始めたということで、私学として独自の障害児への教育を進めているこの特別支援学校に対して、さらなる支援の拡充について検討していただくように要望したいと思います。
次に、私立専修学校支援実証研究事業補助について伺いたいと思います。
この質問は、私、この委員会で繰り返し何度か質問させていただいております。
この事業は、意欲と能力のある専門学校生が経済的理由により修学を断念することがないよう、専門学校生に対する経済的支援策について、総合的な検討を進めるためということで、実証研究事業が行われているものです。
具体的には、私立専修学校専門課程に在籍する生徒を対象に、ファイナンシャルプランナーによる生活設計などに関するアドバイス、また経済的理由により修学困難な生徒に対して、学校が授業料の一部を減免した場合に、その2分の1以内の額で補助を行っております。  そこで、東京都の現在の協力校は何校になっているのか、また、対象の生徒数など、取り組みの現状について伺います。

○加藤私学部長 お話の私立専修学校修学支援実証研究事業は、昨年度から国の委託を受けまして、私立専修学校専門課程に在籍し、経済的理由により修学困難な生徒を対象に、授業料に対する補助や生活設計等に関するアドバイスなどを行うものでございます。
昨年度の本事業への協力校は10校、生徒数は60名でございました。
今年度分は、現在のところ、17校、89名の申請がございます。

○里吉委員 初年度に比べて、ある程度協力校も生徒もふえていることがわかりました。
しかし、都内の専門学校は300校とも400校ともいわれており、まだほんの一部にしか取り組まれていないということだと思うんですね。
この事業は、もともと文部科学省で専門学校生への効果的な経済支援についての検討が行われたことから始まりました。専修学校生への経済的支援のあり方について、中間のまとめが出されておりますけれども、ここでは専修学校で学ぶ学生は、同じ年齢層の生徒、学生が学ぶ学校種と比べて低所得層の者が多いこと、学費は専門学校も大学もほとんど変わらないこと、専門学校の方が資格取得などのためにカリキュラムも多く、朝早くから夜遅くまで授業もあり、アルバイトの時間を確保することが難しいことなどが調査結果としてありました。
そして、家庭の経済状況が厳しいからこそ、資格を得て働きたいという学生が専門学校に行くのだという分析をしておりました。
こうした意欲ある学生が経済的理由で修学を断念することがないよう、専門学校生への経済的支援が求められております。
来年度は実証実験の最終年度となり、その後に専修学校生への支援につなげるためにも、都としてさらなる取り組みが必要だと思います。
都としても、この事業を引き続き推進していくべきだと思いますが、例えばどのように協力校をふやす努力をしているのか伺いたいと思います。

○加藤私学部長 この事業につきまして、昨年度は年一回の募集でありましたが、今年度は8月の第1回募集に続き、今月中に第2回募集を行う予定です。
募集に当たっては、対象となる全ての専修学校に広く周知を図るとともに、制度の利用を検討している学校には個別に丁寧に説明をしてまいります。

○里吉委員 周知のために、昨年度よりもことし、さらに頑張るということで、募集をもう一度行っていただくということでした。
この制度を、実証実験はあと1年ですから、さらに拡充するための課題について、この間の取り組みでどのようなことが課題となっているか、都の認識を伺いたいと思います。

○加藤私学部長 本事業は、国の委託を受けた実証研究事業でございまして、その仕組みにおいて、学校の協力が不可欠でございます。より多くの学校が参加できるよう、引き続き情報提供などに努めてまいりたいと思います。

○里吉委員 そうなんですね。この実証研究事業では、学校が学費を引き下げるということをしないと、ここに参加できないということで、なかなか参加校がふえないということがあると思うんですが、国は、この結果を受けて、専修学校生への経済的支援のあり方についての検討会を改めて行って、今後、どのようにしていくかということを判断していくということでしたから、何とか専修学校生への授業料補助が制度化するように、都としても取り組んでいただきたいと。
この3年間の実証研究事業が終わった後、できるだけ多くの専修学校で学費軽減の制度に取り組めるように、都としても独自の制度の検討やさまざまな研究をしていただくよう、要望しておきます。
専修学校の問題の最後に、私立学校安全推進事業について伺います。
都において、2015年度から、AEDや防犯カメラ、非常通報装置の設置等に要する経費の一部を補助する私立学校安全推進事業を実施しております。
ところが、この補助事業について、専修学校が対象となっておりませんでした。ぜひ対象にしてほしいという声もありましたし、今後は対象にすべきだと考えますが、都の見解を伺います。

○加藤私学部長 私立学校安全推進事業につきましては、幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校を対象としております。
これは、本事業が学校保健安全法に基づく国の学校安全の推進に関する計画を推進するための制度であり、当計画の対象学校種には専修学校が含まれていないためでございます。
なお、本事業は、平成27、28年度の事業であり、今年度で終了いたします。
私立学校に対する新たな助成策の実施に当たりましては、その事業目的に応じ、適切な対象学校種を検討してまいります。

○里吉委員 AEDや防犯カメラ、非常通報装置の設置、高等学校も対象になっていたわけですから、本来でしたら専修学校も対象にすべきだったのではないかなというふうに私は思います。  今後、ぜひ必要な安全対策事業から専修学校が漏れないように要望いたしまして、次の質問に移ります。

◆情報公開制度について

次に、情報公開制度について伺ってまいります。
情報公開制度は、全て公開が原則であり、都民の知る権利を保障し、住民自治への参加を促進するものとして大変重要な制度です。ところが、実際に開示請求をすると、都民の知りたい情報が黒塗りになっていて、十分に開示されていない状況が続いてきました。都政改革本部の会議で、都庁の政策立案の過程や意思決定の理由が必ずしも十分に公開されていないと指摘がありましたが、私もそのとおりだと思います。
9月29日、都政改革本部の情報公開調査チームは、検討状況報告を行い、その中でこれまでの都の情報公開への姿勢を大幅に転換、原則公開を徹底し、非開示部分を最小限にとの方向性を示しました。
この情報公開調査チームの報告後、情報公開制度においてどのような改善を行ったのかまずお尋ねをします。

○濵田都政情報担当部長 平成28年9月の都政改革本部におきまして、情報公開チームより、これまでの都の情報公開への姿勢を大幅に転換し、また、原則開示を徹底し、非開示部分を最小限にする方針が掲げられました。この方針に基づき、速やかに各局における非開示理由の公表など、具体的な取り組みを全庁に周知し、徹底を図っております。
具体的には、各局等における条例の趣旨を踏まえた非開示判断の厳格化、各局等のホームページでの非開示理由の公表、複数回請求を受けました公文書については、公文書開示制度によらない積極的な情報公開に取り組むこととし、これを徹底するため、10月には生活文化局と総務局との連名で各局宛てに通知文を発出するとともに、全庁の担当課長会を開催して、各局等に周知徹底したところでございます。

○里吉委員 これまでの姿勢を大幅に転換し、非開示部分を最小限に判断を厳格化するように通知したということです。判断を厳格化とのことですが、非開示や一部非開示、つまりこの部分は黒塗りにするという判断は誰が行うのか伺いたいと思います。

○濵田都政情報担当部長 公文書開示におけます開示、非開示の判断につきましては、実施機関である各局が行うものでございまして、具体的には請求の対象となる公文書を保有するそれぞれの局におきまして、東京都情報公開条例の趣旨及び条例の運用の指針を明らかにいたしました通達の趣旨に沿って、開示、非開示の決定をすることとしております。
なお、条例所管局でございます生活文化局は、知事部局等が公文書の全部または一部を非開示とする場合には、条例の統一的な運用を図る観点から、各局における決定前に協議を受けております。

○里吉委員 基本的には、資料を持っている局が自分で判断しているということですね。そうすると、やはり運用の指針があるといっても、これは大変抽象的なものですから、局として都合が悪かったり、都民に知られたくない情報は隠しておくというふうにバイアスがかかってしまうのではないかという懸念が生じます。
生活文化局が決定前の協議を受けているとのことですが、生活文化局がチェックをして、他局、つまり資料を保有している局が非開示と判断した部分でも、ここは開示が適当ですよ、開示しなさいということはあるのですか。その場合の基準はあるのでしょうか。伺います。

○濵田都政情報担当部長 生活文化局の協議では、各局におけます開示、非開示の判断が条例等に基づき適正に行われているかなどの観点から、必要に応じて助言等を行っております。

○里吉委員 必要に応じて助言を行っているということです。
しかし、事前にお伺いしましたら、最終的に判断するのはやっぱりそれぞれの局だということで、これは開示した方がいいという例えばアドバイスがあっても、最終的にその局がそのとおりにしたかどうかはわからないということだったんですね。
それから、大量の開示資料もありますから、生活文化局が他局の事業一つ一つについて理解し、開示、非開示を判断することは困難だと。一つ一つの非開示部分についてチェックすることはできないというお話でした。確かに、都庁全体でも昨年度だけでも1年間で1万441件の開示決定があったわけですから、逐一、生活文化局がチェックするのは難しいのかなというふうに私も思います。
しかし、せっかくこれまでの姿勢を大幅に転換し、非開示部分を最小限に判断を厳格化するという通知を出したわけですから、生活文化局としてもどこをどう転換し改善するか、積極的な提案と情報発信を行っていただきたいと思います。
ここで資料を配らせていただきます。1枚ずつとって回してください。今、資料を配らせていただきましたが、これは、私たち日本共産党が情報開示請求で入手した文書です。都市計画道路のうち、今後10年間でどの道路を優先して整備するかの計画、第4次事業化計画がことし3月末に決定、公表されました。地元住民や議会から強い反対や見直しの声が上がっている路線も数多く含まれ、なぜ自分の地元の道路が整備されることになったのか、計画決定前からその過程や理由を知り、パブコメなどで参画することは都民の当然の権利です。
第4次事業化計画では、道路の選定の基準に安全という項目が新設されました。この開示資料は、それに関する専門アドバイザー委員会の議事録です。黒塗りだらけの左が計画決定前、右が決定後に開示されたものです。一部非開示、つまり黒塗りは見直し候補路線が特定される部分、優先整備路線が特定される部分、建築制限についての部分、スケジュールの4つとなっております。要するに、どこがいつ優先整備路線になりそうかわかってしまう部分は、非開示にしましたよということだと思います。
それで、左と右を比較していただきたいのですが、例えば一番上の黒塗り、何が隠されているのかというと、ここを見ますと、事故軽減に資する道路について、どういう事故を考慮しているのかという部分が黒塗りですね。これのどこで見直し候補路線や優先整備路線が特定できるのかと。非開示理由と全然関係ないんじゃないかと思いました。他の部分もほとんどそうなんですね。
結局、これ全部よく見ていただきたいんですが、何が黒塗りになっているかというと、上から2番目の黒塗りのところなんですが、道路整備と事故件数との因果関係を明確に示すものはないが、生活道路では安全な道路が整備されれば事故は減るという前提としたということが書かれています。
つまり、新しい選定の基準に安全を加えたけれども、実は道路を整備すれば交通事故が減るというはっきりした因果関係はありません、根拠はありませんというふうに述べている部分なんですね。安全を道路選定の基準とする根拠がないことを事務局、つまり東京都自身がいっていることを隠すために黒塗りにしたんじゃないかとしか私には思えません。一たび優先整備路線に決定されれば、住民は住環境を破壊され立ち退きを迫られる、死活問題です。こんなやり方が許されるはずはありません。
これまでの姿勢を大幅に転換するというのでしたら、ぜひこうした一部非開示が起こらないように、生活文化局としてもイニシアチブを発揮していただきたいと思います。
また、これ納得できなければ不服申し立てができるというかもしれませんけれども、黒塗り文書だけ渡されたら、ここだけ黒塗りの部分だけ半分に折って見てください。何が書いてあるかわからなかったら、不服申し立て、不満だということが、私、いえないと思うんですね。何て書いてあるのかわからないわけですから、申し立てのしようがないんじゃないかというふうにも思います。
生活文化局として、全部チェックするということは難しいかもしれませんけれども、ぜひ幾つかの事例をピックアップして検討して、情報開示のあり方、姿勢を具体的に示していく、この程度までは開示すべきだという例を各局に具体的に示していくなどもしていただきたいと強く要望しておきます。
それから、もう一つ慎重に対応していただきたいものがあります。それは、企業の競争上、または事業運営上の地位が損なわれることを理由に非開示にすることです。例えば、東京都の税金支出の根拠や金額について、都民は知る権利があるわけですが、契約や委託調査など、そこに企業が絡む場合、その企業の利益が損なわれるからと非公開になる場合が多々あります。
しかし、この場合、企業の利益は守ったかもしれませんが、都民の利益は損なわれるわけです。非公開にして企業などの利益を守ることと、公開して都民の利益を守ることが相反する場合、どのように判断するのか、この点について伺います。

○濵田都政情報担当部長 東京都情報公開条例では、公文書に記載された法人等の情報については、公にすることにより、当該法人等の競争上または事業運営上の地位、その他社会的な地位が損なわれるものは開示しないこととしております。
一方で、事業活動によって、人の生命、健康、生活の保護、もしくは消費生活その他都民の生活を保護するために、公にすることが必要であると認められる情報については、開示することが同条例で定められております。具体的には、事案ごとに個別の事情を考慮して各局が判断しております。 ○里吉委員 具体例を挙げると、これまた長くなりますので、次の機会にしたいと思いますが、都民の税金を使う以上、企業にも公的な責任が生じてくるわけですから、非開示は最小限にとどめていただくように、この条例の7条の3号というところに書いてあるわけですけれども、ここに関する非開示も厳格に対応していただきたい。
また、生活文化局としても、よく事例研究をして、各局に示していただきたいと思います。  そして、一部非開示になったときの都民への説明ですが、どの開示でも情報公開7条の各号の文章がほぼそのまま記載されているだけで、抽象的ではっきりいってさっぱりわからないという声をよく聞きます。一部非開示の理由は、具体的に都民に説明する必要があると思いますが、いかがでしょうか、見解を伺います。

○濵田都政情報担当部長 一部開示決定、非開示決定を行う場合には、東京都情報公開条例に係る事務の取扱要綱等で、該当する非開示条項及び当該条項を適用する理由について、専門的な知識を有しない人にも十分理解できるよう、決定通知書にわかりやすく記載することと定められております。
このことにつきましては、先ほどご答弁申し上げました各局宛ての通知や担当課長会においても改めて周知徹底を図ったところでございます。

○里吉委員 改めて周知徹底していただいたということなので、これから注目していたいと思うんですが、大体、事務取扱要綱で、Aの部分は何々の理由により条例7条の2号に該当、こういう例文が示してあって、実際には条例に書いてあること以上の理由はほとんど示されていない。私は、大体これが今までの非開示の理由だったというふうに感じています。
なぜ開示ができないのか、都民にもわかるように理由をきちんと示すことは、むやみに非開示をふやさないことにもつながると思いますので、こちらもぜひ少し細かく改善を図っていただくよう、今ちょうど通知を出したところですから、今後の現状も見ていただきたいと思います。
最後に、開示手数料について伺います。
情報公開条例の全部改正が行われたのは1999年ですから、もう17年が過ぎました。公文書の作成方法や記録媒体も大きく変化し、時代に合わせて変えるべき部分も生じてきていると思います。
東京都の場合、公文書の写しの交付は、白黒コピーの場合は1枚20円、カラーコピーの場合は100円となっております。東京都の文書もどんどんカラーがふえ、それを白黒コピーで交付してもらうと判読できない、理解できないという場合も少なくありません。
しかし、カラーだと1枚100円、たった10枚で1000円もかかってしまいます。これは本当に高過ぎるという声が上がっていますが、ぜひもっと安くするべきだと思いますが、都の見解を伺います。

○濵田都政情報担当部長 公文書の開示手数料は、地方自治法第227条に基づきまして、特定の者のためにする事務について徴収するものであり、その金額は事務に要する実費等を基準として定めております。
多色刷りの文書に係る写しの交付手数料につきましては、開示に要する人件費、複写機の費用、あるいは用紙の費用を積算したものをもとに、1枚につき100円としているものでございます。

○里吉委員 今、カラーコピーの話をしましたけれども、そもそも東京都の白黒コピー1枚20円も、行政オンブズマンなどからは高いと指摘され続けております。他の自治体は10円のところがほとんどだと思うんですね。カラーの文書が当たり前に近くなる中で、1枚100円も手数料を徴収していては、都民がこの制度を利用できません。
生活文化局の東京都情報公開条例運用状況年次報告書によれば、請求の半分、2015年度は49・8%は工事設計書で、その大半は事業活動に利用するための請求、つまり、企業による営利目的での請求とのことです。
営利目的のものは、人件費なども含め費用の徴収があってしかるべきだと思いますが、都民の非営利目的の利用については、白黒でもカラーでも、複写機費用と用紙費用のみの請求にする、国などで実施しているように、PDFファイルにして、CD-ROMで交付するなど、都民の知る権利を阻害しない範囲での手数料とすることを強く要望いたします。
それから、CD-ROMでの交付については、東京都でも複写したものの交付が容易であるときには、紙媒体をPDFファイルにして、CD-ROMなど電磁的記録媒体で交付するということを伺いましたけれども、これはほとんど知られておりません。ぜひこうした大変受け取る側にとって便利な制度ですから、このことについては、都民に対しても、また各局に対しても、広く広報していただきたいと思います。
また、都議会議員に対する情報提供について申し上げたいと思います。
議会の審議に必要な情報であっても、都議会議員や会派が情報公開条例に基づいた請求を行うよう求められることがあります。しかも、開示決定の期限が条例の限度ぎりぎりまで延長され、決議までに必要な情報が提供されないことがあります。
これらは、情報公開条例を逆手にとった情報隠しであり、議員が議員としての都民への責任を果たすことを妨害するものです。議員が求める情報は速やかに提供するよう、この部分での改善も強く求め、質問を終わります。

◆障がい者スポーツの推進について

○里吉委員 それでは、私からは障害者スポーツの推進について質問を行ってまいります。
スポーツを行うことは人権の一つであり、障害があってもなくても誰でもスポーツを楽しめる環境を整備することは、4年後にオリンピック・パラリンピックを開催する東京都に求められていることです。
特に障害者のスポーツ参加は、健常者に比べ、まだまだ少ないのが現状であり、思い切って支援を強めることが必要です。
東京都も、既に東京都障害者スポーツ振興計画を策定し、これまでさまざまな取り組みを進めてまいりました。
私は、これまでも障害者スポーツの振興について質疑を行ってまいりましたが、今回は、特にこの9月からスタートした都立学校活用促進モデル事業について伺ってまいりたいと思います。
この事業は、都内にある特別支援学校の体育館やグラウンドなどの体育施設を学校教育活動に支障のない平日の夜や土日、祝日に開放し、障害のある方や障害者スポーツ競技団体などが身近な場所でスポーツ活動ができるように活用を促進するものです。
きょう、資料も出していただきましたが、それ以外にもさまざまなスポーツ教室なども今取り組まれているところです。
そこでまず、ことし9月から始まったこのモデル事業、資料には76団体が登録したとありますけれども、具体的にはどのような団体が登録しているのでしょうか、伺います。

○小室スポーツ推進部長 これまでに登録した団体は、公益社団法人東京都障害者スポーツ協会の加盟団体、同協会に未加盟の法人格を持つ団体、その他の任意団体に分類されます。
競技種目としましては、車椅子バスケットボールや車椅子テニス、ゴールボールやブラインドテニスなどの活動を行っております。

○里吉委員 さまざまな団体が登録していること、そして、いろんなスポーツが行われていることがわかりましたが、さらに任意団体は、例えば作業所仲間でつくっている団体だとか、地域の健常者の方も含めた団体だとか、そういったことももう少し詳しくぜひつかんでご報告いただきたいと思います。
それから、障害種別についても差異があるのかどうか、そんなこともこれから1年ぐらいたったところでまとめていただけたらと思います。
そして、資料に利用実績も載せていただきましたけれども、だんだん埋まってきているように見えますけれども、資料の3ページ目にいただきましたが、まだ貸出可能日数と貸出日数であいているところがあるようですが、この利用時間が平日の夜間と土日、祝日ということで、実際に利用されている時間はどこが多いのか伺いたいと思います。

○小室スポーツ推進部長 昼間に利用可能な土曜日、日曜日、祝日に利用が多い状況でございますが、開始から約3カ月が経過しまして、現在では、平日夜間においても利用がふえております。

○里吉委員 だんだん利用する団体もふえてきたり、夜間も定着してきたということで、引き続き進めていくことだと思うんですけれども、私、気になるのは、特別支援学校をスポーツの活動場所として開放することで、実際に新たな障害者スポーツサークルが生まれたり、今までは定期的に練習できなかった団体が、ここがあるから安心して練習できるようになるなど、実際に障害者のスポーツ団体がふえていくとか、安定的に活動できるとか、裾野が広がっているのかどうかということが重要だと思うんですね。
そこで伺いたいんですけれども、今、このモデル事業で特別支援学校を使っている団体は、今まではどこか別の場所で活動していたところから移ってきたのか、それとも新規の団体なのか、この点についてお伺いしたいと思います。

○小室スポーツ推進部長 これまでに東京都教育委員会で実施しております都立学校施設開放事業で利用していた団体が、継続して同一施設を活用している事例はございます。
それ以外の従前の活動場所につきましては、本事業のさらなる周知を図る観点から、把握に向けて準備を進めているところでございます。

○里吉委員 これから把握していただくということでしたので、ぜひ期待したいと思います。結果を見させていただきたいと思いますが、今まで学校開放事業で利用していた団体ばかりがもし利用しているとしたら、それだけでは大変もったいないと思うわけです。
学校開放事業で既に学校を利用していた団体以外に、今まで練習場所に苦労していた団体、それから、これを機会に新しくつくった団体があるのかなど、ぜひ全体把握していただきたいと思います。
また、これ今、開放しているのが体育館とグラウンド、テニスコートということになっていますが、特別支援学校の学校開放事業は、障害者を対象にプールも開放しております。教育庁の方でやっている事業ですけれども、これ、2015年実績ですけれども、27校で208回、夏季休業期間中に都内在住、在勤等の障害者団体を対象に、利用希望を踏まえてプール施設を開放しているということで伺っています。
学校開放事業で行っているわけですから、プール施設もぜひこのモデル事業に加えていただけないかと、加えていただけるんじゃないかと思うんですね。
プールというのは、障害のある方にとても人気があります。障害者総合スポーツセンターがこれから改修に入りますけれども、改修に向けても、プールのコースをふやしてもらえないかという要望が大変多く出されましたし、休館中も代替のプール施設を用意してほしいという声がたくさん出されました。
自閉症のお子さんや知的障害の方や肢体不自由の方、重度の障害の方も、水の中なら浮力で体のこわばりもほぐれて、ふだんよりずっと体が自由に動かせる。そして、ふだんなかなかスポーツする場所がなかったり、そういう方も水の中だったら体が動かせて、ストレス発散にも健康増進にも役立つと。また、チームとかグループではなくても自分のペースで楽しむことができる。こんな点が人気がある点ではないかと思うんですね。
ぜひ今後、モデル事業ですから、これからいろいろ検討していかれると思うので、使用施設にプールを加えるなど、拡大していただきたいと考えますが、都の見解を伺います。 ○小室スポーツ推進部長 都立学校活用促進モデル事業の対象施設にプールを加えることにつきましては、利用者の安全確保と、それに伴う人員の配置、指導者の育成、確保など、さまざまな課題があるとともに、あらかじめ学校側の理解を得る必要もございます。そのため、現段階では予定しておりません。

○里吉委員 課題があり、現段階では予定していないということでした。これはぜひ教育庁と協議をしていただきたいと思うんですが、私は、特別支援学校を障害者スポーツの拠点にするということで、このモデル事業、始まっていますので、そういうことであれば、そういった地域の障害者のスポーツ拠点になるような学校については、ぜひプールは温水化して、日常的に地域の障害者に開放するくらいのことができて当然だというふうに思います。
私の住む世田谷区では、現在4つの区立中学校で、地域に開放する目的で温水プールが整備されています。夏は中学生が授業として使っていますけれども、それ以外、授業で中学生が使わない時期は、一般の区民が温水プールとして活用しているわけです。
ですから、東京都でも、これから改築する学校など、新しく特別支援学校のプールを建設する際には、ぜひ温水プールにしていただいて、地域の障害者がもっとプールを楽しめるように、また、温水プールにすると、そこに通う子供たちにも大変いいと思うんですね。
特別支援学校に通う児童生徒たちは、その多くが体温調節が難しい子もいまして、少し水温が低いとプールに入れない。毎年、お父さん、お母さんたちからの要望で、ことしも年に3回しかプールに入れなかった、何とかもっとプールに入れるようにしてほしい、こういう要望も聞いているわけです。
ですから、特別支援学校のプールを温水化すれば、子供たちにもプールの機会を保障することができる、地域の障害者の方のスポーツの場としても活用できるというふうになると思いますので、教育庁と協議して、ぜひこれを進めていただくよう強く要望をいたします。
最後に、このモデル事業の参加者からは、どのような感想が出されているのか、また、モデル事業ですから、取り組んでみて明らかになってきた今後の課題があれば伺いたいと思います。

○小室スポーツ推進部長 団体利用者からは、今まで使用できるテニスコートがなかったので助かるなど、好意的な意見をいただいております。
また、体験教室の参加者からは、とても楽しかったので、学校やお友達に広めたいなどの意見をいただいております。
課題としましては、利用団体をふやすための広報活動の強化が挙げられます。
今後は、障害者スポーツに取り組む地域スポーツクラブやスポーツ推進委員等に対して積極的に周知を行うほか、福祉施設等の職員連絡会や研修会等に出向き、本事業の利用促進を働きかけるなど、きめ細かな広報活動を行ってまいります。
加えて、体験教室の参加者同士によるグループでの施設利用を促すなど、さらなる利用者の確保に努めてまいります。

○里吉委員 最後の体験教室の参加者同士によるグループでの施設利用を促すというお話がありましたが、これ、私、本当に大事なことだと思うんですね。
障害者スポーツの裾野を広げるためには、体験教室で楽しいと感じた障害者の方が、引き続きスポーツに取り組めるような場をつくっていくことが必要だと思います。
利用団体をふやすためにも、もちろん福祉作業所などに出向いていただいて、利用者のニーズをつかむことなどもしていただきたいと思うんですが、継続的にスポーツ団体をふやしていくためには、障害者スポーツ協会などの協力も得て、ぜひ体験教室の参加者の皆さんが、今度は継続的にサークルをつくっていけるような取り組みのお手伝いもしていただくとか、区市町村とも連携するなど、ぜひそうした取り組みも進めていただいて、この特別支援学校の施設が地域の障害者の方のスポーツの場として発展するように取り組んでいただくことを要望いたしまして質問を終わります。