予算特別委員会の報告認知症になっても安心して暮らせる社会を
今回、予算特別委員会で質疑しました。
今回は、認知症施策について報告します。
都内で、見守り又は支援の必要な認知症高齢者は、2019年の約34万人から、2025年には、約41万人に増加すると推計されています。今後75歳以上の後期高齢者人口の増加に伴い、認知症高齢者も急速に増加することが見込まれています。
私自身、離れて暮らす両親がともに認知症で、ほぼ妹に頼りながら、週末は介護生活は5年目となりました。その体験も踏まえて質問しました。
〇認知症になることは怖くないー正しい理解を広げる
かつて、認知症になったら「何も分からなくなる」「おかしな言動で周りが困る」「本人が決めるのは難しい」など、認知症に対する誤ったイメージがあふれていたために、今でも、認知症と診断されることを極端に恐れる方も少なくありません。しかし認知症になっても感情はしっかり残っているし、理解できること、できることもあります。自分で決めることもできます。
だから、周りも本人も認知症を正しく理解することで、認知症になっても安心して地域でくらせることができるのです。
今回「認知症についての正しい理解を広げることが大切ではないか」との質問に小池知事が「認知症の方は、周囲の理解や気遣いがあれば、穏やかに生活することができるといわれています」と答弁したことは、大事な答弁だと思います。
〇「認知症予防」より「認知症に備える」が大事
世田谷区で策定した「認知症とともに生きる希望条例」では、「認知症予防」という言葉の代わりに「認知症に備える」という言葉が使われています。現在、認知症の予防策はなく、「認知症予防」とは、認知症になる時期を遅らせることや、進みを緩やかにすることです。誰でもなりうることを考えれば、正しく「備える」ことで、認知症になっても自分らしく生きることができます。
〇認知症施策には認知症本人参加が大切
認知症になっても、何もわからなくなる、何もできなくなるわけではない、ということは多くの著名人が発信しています。世田谷区では、認知症の条例を作るとき、3人の認知症本人の方に加わってもらい議論したそうです。「従来の認知症観をガラリと変えるものにしたい」と意見がだされ、名称も「認知症とともに生きる希望条例」となったそうです。
都の認知症施策の議論には、「認知症希望大使」に任命された認知症本人が参加していますが、オブザーバー参加です。今後、認知症に関する施策作成の場に認知症本人が参加することを提案しました。
〇都が認知症家族会の役割を認める答弁
都は、家族会は、認知症の人の家族としての思いや悩みを共有し、様々な情報を交換することで、本人や家族を支える役割があると、その重要性を認めました。しかし家族会の中には、支援が受けられていないところもあり、さらに支援を広げることを求めました。
〇認知症になっても地域で安心して暮らすには、居場所と専門家がカギ
認知症は、早期の適切な治療により、改善する場合や進行を遅らせられる場合があり、また、症状が軽いうちに本人や家族が認知症への理解を深めることで、今後の生活の準備ができることができます。そのために、地域での居場所と専門家の配置への支援を求めました。
介護保険会計でも、同様の支援策は実施できますが、それとは別に都として支援策があるのは重要ですが、補助率が2分の1で活用されていません。補助率の引き上げなど、制度の拡充をもとめました。
〇都として認知症希望条例の制定を
現在世田谷区をはじめ1県19区市町村で認知症条例が制定されています。超高齢社会を迎える東京で、認知症になっても安心して暮らせる長寿社会実現のために、東京都として、認知症希望条例を制定することを求めました。
今回の質問を通じて、都の認知症施策が進んでいることがわかりました。しかし、認知症家族の私でさえ、当初「認知症予防」を正しく理解していなかったことからも、「認知症とは何か」「認知症は怖くない」ことなど、広く都民に周知することに力を注ぐ必要があります。地域で暮らすための支援策の拡充とともに、引き続き取り組んでいきたいと思います。