文教委員会速記録第16号
◆2020東京大会の競技場整備について
○里吉委員 それでは、私から、まず2020年東京オリンピック・パラリンピックの競技会場整備について伺いたいと思います。
当初のこれらの計画では、BumB東京スポーツ文化館や体育館、フットサルコート、大井の野球場など、都民のスポーツ施設が取り壊されてオリンピックの競技場になる、こういう計画が幾つかございました。6月以降、会場計画の見直しが検討されて、都民のスポーツ施設が現存し、もしくは期間中一部使えないだけで、その後も使えるようになったことは大変重要なことだと思います。
これまで、都民生活への影響に配慮して会場計画の見直しを行ったと思いますが、その具体的な変更内容についてまず伺います。
○根本競技担当部長 大井ホッケー競技場につきましては、地元からの要望もあり、野球場利用者への影響を極力抑制するよう公園内での施設配置を変更し、野球場につきましては、大会後は現状どおり利用できる見込みでございます。
夢の島公園アーチェリー会場につきましては、公園の緑や利用者への影響に配慮して配置を変更し、立候補ファイル時点に比べ、樹木の伐採は大幅に抑制できる見込みでございます。
また、公園内に予定していた夢の島ユース・プラザ・アリーナA、Bにつきましては、有明アリーナを含めた3つの施設の競合により負の遺産となることを回避するため、新設を中止し、既存の東京スポーツ文化館の利用者への影響にも配慮いたしました。
有明テニスの森につきましては、競技団体や地元の要望もあり、大会後は、現状と同じ49面に復旧するとともに、イベント広場につきましても、従来どおり利用できる見込みでございます。
葛西臨海公園スラローム会場につきましては、公園の緑等、自然環境に配慮し、隣接する都有地を活用して整備することといたしました。
引き続き競技団体、地元自治体等の意見を聞きながら、後利用を含め、設計を進める中で、都民生活への影響に配慮した計画とするよう検討してまいります。
○里吉委員 私もかつて文教委員会で、夢の島ユース・プラザなどについて取り上げました。東京都の青年の家が幾つも廃止されて、今、区部で唯一残っている施設であり、存続を求めてきたわけですが、こういった都民の声なども聞いて見直しが進められてきたと思います。引き続き、都民のスポーツ利用について配慮していただきたいと思います。
また、大井ホッケー競技場予定地については、その後の利用について、第1球技場など、ホッケーとサッカーと両方できるようにしてほしいという要望も強く、検討が既にされたと伺っておりますが、後利用の方向性について改めて確認いたします。
○小室施設調整担当部長 大井ホッケー競技場の大会後の利用の方向性につきましては、ホッケーの振興拠点としていくことはもとより、サッカーなど、各種競技の普及強化の拠点とすることを既にお示ししております。
大井ふ頭中央海浜公園の現在の2つの球技場の利用状況にも配慮し、メーンピッチ、サブピッチを含め、ホッケーはもとより、サッカー、ラクロスなど、さまざまなスポーツの利用が可能となるよう今後検討してまいります。
○里吉委員 次に、工事中など、一定の期間使えなくなる都民のスポーツ施設について伺います。
有明テニスの森テニスコートなどは、工事中は使えないと伺っておりますが、およそ何年ぐらい使えないのか。また、都として代替施設を用意するですとか、他の施設を紹介するなど、都としても極力利用者の立場に立って対応していただきたいと思いますが、都の見解を伺います。 ○根本競技担当部長 有明テニスの森につきましては、平成29年度から工事に着手する予定でございますが、現在行っている基本設計の中で工事期間の詳細は検討してまいります。
今後、都が施設を整備するに当たりまして、影響を受ける既存スポーツ施設等の利用者に対しましては、工事の施工計画に応じて、使用できない範囲や期間、他施設の情報など、できるだけ早く情報提供を行うよう努めてまいります。
○里吉委員 これから実施設計ということですが、広いテニスコートですから、半分コートを利用しながら、もう半分工事を行うなど、いろいろ多分検討されていると思いますが、極力影響が少なくなるようにしていただきたいと思います。
また、カヌースラローム会場を新設する下水道用地なんですが、ここは現在、区民の方が利用する少年野球場が2面あって、この野球場は、会場整備によって2面とも廃止となってしまうのか、今、この野球場を使っている方々、関係者の中から不安の声が出ておりますが、この会場整備について2面とも廃止されるのかどうか、決まっていれば伺いたいと思います。
○根本競技担当部長 野球場2面は、現在、都が所有する未利用地の一時利用といたしまして区が土地を借り受け、設置しているものでございます。
都が整備を行うカヌースラローム会場につきましては、基本設計に着手したところでございまして、施設の配置等を含め、国内、国際競技団体等と検討を行っているところでございます。 オリンピック競技会場に求められる要件を踏まえますと、敷地に余剰を見出すことは難しい状況でございますが、引き続き施設の設置者である地元区と十分協議を行ってまいります。
○里吉委員 地元区と協議をするということですので、ぜひ丁寧な対応をお願いしたいと思います。
◆都民スポーツへの支援について
続きまして、都民スポーツへの支援について伺いたいと思います。
昨年度のスポーツ大会等への都の補助金等の実績を資料で出していただきました。ありがとうございます。
これを拝見いたしますと、JA全農2014世界卓球団体選手権東京大会への補助金が31万円、セイコーゴールデングランプリ陸上2014東京への補助金は11万円などとなっております。
東京都は、国際スポーツ大会の開催にも力を入れているわけですが、都内で行われるこうした国際スポーツ大会でも、後援や共催に名前を連ねて補助を行わない場合もありますし、一方、数千万円から億単位で補助金を出している場合もあります。
そこで、まず伺いますが、このような世界大会などに補助金を出すのはどういった場合なのか、補助額はどのように決めるのか伺います。
○土屋国際大会準備担当部長 都は、スポーツ推進計画におきまして、国際的なスポーツ大会の積極的誘致という方針に基づきまして、特に都のスポーツ振興施策に大きく寄与すると考えられる大会につきましては、都が共催者として大会を支援してございます。
具体的には、スポーツ大会の主催者などからの共催の申し出に応じまして、当該大会が国際的に認知された大会であること。また、都のスポーツ振興施策に大きく寄与し、かつスポーツ都市東京を国際的にアピールできる大会であること。そして、さらに観戦の招待やアスリートによる子供たちへの競技指導教室など、都民への還元事業がどこまで実施できるかなどを勘案の上、共催できるかどうかを判断してございます。
大会運営経費に対する共催分担金につきましては、総経費の2分の1を上限といたしまして、ただいま申し上げましたような観点も含め、対象となる経費を精査の上、協議により額を決定してございます。
○里吉委員 東京都のスポーツ振興施策に大きく寄与すると考えられる国際大会は、共催して総経費の2分の1を上限に共催分担金を支出しているということでした。また、このいただいた資料の表にある国際大会以外を見ますと、東京都が主催する大会に費用を出しているということで伺っております。
一方、アマチュアの団体なんですが、現在、国内の一般のアマチュア団体などのスポーツ大会に対する補助や、何らかの支援はあるのか伺います。
○早崎スポーツ推進部長 多くのアスリートが集い、競い合うスポーツ大会は、都民の日ごろのスポーツ活動の成果を発揮する機会となるとともに、試合や記録への挑戦を通じて、向上心の発揚や選手間の交流の場となるなど、スポーツ振興にとって重要な役割を果たすものであります。
このため都は、都内で開催されるスポーツ大会の中で、公益性があり、都のスポーツ振興の推進に寄与するものに対し、後援名義の使用承認を行っています。また、都立体育施設の使用に際しては、全国的、全都的な大会等の優先申し込みを受け付けるとともに、全国的、全都的に組織されたスポーツ団体等が開催する大会で利用する際の施設利用料金を減額しております。
○里吉委員 後援、それから都立体育館の利用料の減免をしているということで、これも大事なことだと思います。
私は、身体能力にすぐれた人ばかりでなく、いろんな人が参加しているアマチュアスポーツ団体の、参加する誰もがスポーツを楽しむための工夫や努力というのが、学ぶことも多いと思いますし、スポーツの裾野を広げるためにも重要だと考えています。例えば、フットアセットという7人制のサッカーを行っているある団体は、接触プレーを禁止し、審判を置かずにセルフジャッジで試合を行うそうです。自分がファウルしたと思ったら、ごめんと手を挙げて知らせます。反則覚悟のラフプレーがなくなるので、けがをする危険を減らすことにもなるということで、このルールを取り入れたのは、サッカーは接触プレーによるけがが多いというある愛好家の方の声がきっかけだったそうです。
また、ある卓球団体は、大会をトーナメント制で行うのではなく、リーグ戦で行うことで、その人に合ったレベルで大会を楽しめる方法を生み出して、参加者がとてもふえているそうです。まずリーグ戦で順位を確定し、その後、他のリーグの同じ順位同士で対戦をする。このことで、トーナメントを勝ち抜いた人だけでなく、どのレベルの人も試合を何回も、しかも、自分に合ったレベルの対戦相手と楽しめるそうです。現在では、全国1万6000人が登録し、大会を行っているとのことでした。
私は、都民スポーツを向上させるためには、こうした都民の自主的なスポーツ大会などを支援し、発展させていくことが重要だと思います。例えば、こうした大会や団体への補助、会場確保の支援、会場費の補助、指導者への謝礼、審判への謝礼などがあるだけでもとても助かると伺っております。
都民スポーツ、また、後から述べますが、障害者スポーツを発展させるために、活動状況や補助金の使途など、一定の条件を設けて、条件を満たした大会、団体には助成を行うことを求めたいと思いますが、いかがでしょうか。見解を伺います。
○早崎スポーツ推進部長 都では、スポーツ団体の活動を効果的に支援するため、財政的な支援の対象を、東京都体育協会や東京都障害者スポーツ協会など、東京都全域を対象とする統括的なスポーツ団体として当該団体の活動を支援するほか、当該団体を通じて、地域のスポーツ団体等への活動を支援しております。
また、地域住民が主体的に運営し、子供から高齢者、障害者を含め、誰もが身近にスポーツに親しみ交流を図れる場として、地域スポーツの推進に欠くことのできない存在である地域スポーツクラブに対しては、スポーツ教室への指導者派遣や、都民のスポーツ参加を促すスポーツイベントの開催等への財政的な支援などを行っております。
今後もこのような取り組みを通じまして、スポーツ団体の自主的な活動に対する支援を行ってまいります。
○里吉委員 都体協や地域スポーツクラブへの補助も大変重要だと考えます。その枠組みにとらわれない多くの大会やサークルがもう一つあるわけですね。都民スポーツ振興のために、これらの団体にも、改めて一定の条件を設けて支援していただくことを要望しておきます。
◆障害者スポーツ大会への支援について
障害者スポーツ大会について伺います。
私は、聴覚障害者の団体の方からお話を伺いました。その団体は、東京都はもちろん、全国に組織があって、何年かごとに関東、もしくは全国レベルの大会を東京で開催しています。
障害者スポーツが福祉保健局の所管だったときには、これらの大会に対して東京都の補助があったとのことですが、所管がオリンピック・パラリンピック準備局、当時はスポーツ振興局でしたけれども、こちらの局に移管されてから開催した関東大会には、福祉保健局のときと同様な補助を申請したけれども、もらえなかったとのことでした。スポーツ振興局から記念品の提供や、東京都障害者スポーツ協会より、一部の競技に対して補助金をいただくなどの支援はあったそうですが、それでも会場の規模縮小や節減による参加者へのサービス低下などを余儀なくされたと伺いました。その後、世界ろう者卓球選手権を開催したときには、国際大会だからということで30万円の補助金をいただいたということでした。
ここで伺いますが、障害者スポーツが福祉保健局の所管だった時代には行われていたスポーツ大会への補助が、オリンピック・パラリンピック準備局の所管になってからは行われなくなった、この理由について伺います。
○萱場パラリンピック担当部長障害者スポーツ担当部長兼務 平成22年7月から障害者スポーツを担当する現在のオリンピック・パラリンピック準備局では、スポーツの振興に資することを目的として事業を展開してございます。そのため、健常者のスポーツの場合と同じく、都のスポーツ振興施策に大きく寄与すると考えられる大会について、都が共催者として大会を支援し共催分担金を支出するとともに、国際大会ではない都内で開催される障害者スポーツ大会に対しては、後援名義の使用承認、都立施設利用の優先受け付け、一部利用料の減額を行っているところでございます。
さらに、当局に障害者スポーツが移管された後は、障害者福祉、あるいはリハビリテーション医療の域を超え、障害者スポーツ振興という観点から、競技団体を通じた支援など、さまざまな施策を充実させてまいりました。
具体的には、全国障害者スポーツ大会に向けた競技団体が行う強化練習会への支援、障害のある人が、身近な地域でスポーツに親しむための地域開拓推進事業、障害者、スポーツ関係者へのセミナー開催など、幅広く重層的な観点から、多くの新規事業を展開してございます。
今後も、障害者スポーツをより一層振興していくため、競技団体への支援など、取り組みを充実させてまいります。
○里吉委員 現在障害者スポーツの振興のために、さまざまな取り組みが拡充していることは私もよく理解しております。ただ、大会への補助という点ですと、国際大会については、条件が合えば共催分担金を支出しているんだけれども、一般のスポーツと同じで、それ以外は出していないわけです。ですから、障害者スポーツ大会も、世界大会のときには30万円補助したということです。
福祉保健局のときには、関東大会にも30万円から40万円程度の支援があったそうですから、規模から見たら大変少ないものかもしれませんが、あったということなんですね。そして、関東大会は国際大会ではないので、制度がないから、局がかわってからは補助がないということなんです。
2012年に行われた聴覚障害者の関東大会ですが、野球、卓球、バレーボール、サッカー、バスケット、実にさまざまな種目で行われ、会場も、大井ふ頭海浜公園の野球場や球技場、舎人公園のテニス場など、都内施設から区立の体育館など、たくさんの会場を借りて行われました。参加者も、審判、要員を含む役員が400名、選手が900名、応援団200名と大変大きな大会でした。
福祉保健局時代には、会場費初め、大会に係る経費の1部を補助してもらっていたとのことでしたが、2012年大会は、障害者スポーツ協会の補助金をもらうために、部員一人一人の障害者手帳の内容を書き写し、練習のスケジュール帳を提出したり、とても手間をかけて、サッカー部5万円、野球部5万円を獲得し、また、企業やお店などの広告なども一生懸命集めたけれども、結局、大会記念の報告書の厚さは半分でした。また、写真を1円で買ってもらうなどして開催費を賄ったということでした。
聴覚障害者の場合、まず、障害者の絶対数が多くありませんから、例えば聴覚障害者の野球チーム、サッカーチームなど、人数をそろえるのも大変です。対戦するチームを探すのもとても大変とのことです。区レベルではとても難しく、都レベルの広域的な支援が必要です。先ほど答弁されました優先受け付けや一部利用料減免も、オリ・パラ局所管以外のいろいろな施設でもやっていますから、必ずしも受けられるわけでもありません。もちろん健常者と一緒にプレーするのも楽しいかもしれませんが、同じハンデを持った者同士のスポーツでの交流もとても意義があり、皆さん楽しみにしているというお話でした。
特に、この聴覚障害者団体スポーツ大会への助成は、これまで行われていたものが、スポーツ振興局に来たらだめになった、後退してしまったと。毎年、この団体からは補助を再開してほしいという要望が出されております。ぜひこういった制度を整えていただくことを改めて要望し、私の質問を終わります。
◆学校現場でのLGBTへの理解促進について
○里吉委員 では、私からは、まず、学校現場でのLGBTへの理解促進を求めて質問いたします。
近年、LGBT、いわゆる性的マイノリティーへの権利を保障し、理解を促進する運動が広がっています。日本では、各種調査から人口の5%程度、電通総研の2015年の調査では人口の7・6%がLGBTであるとされています。
私自身も、世田谷区議会議員時代に、同期で当選した議員が性同一性障害をカミングアウトして立候補したという経歴の持ち主だったため、いろいろ身近に見聞きをしてまいりました。また、この数年、世田谷区内では、NPO法人がLGBTのための成人式を行っておりまして、私も来賓として参加させていただき、当事者の方のスピーチを毎回聞かせていただいています。
そこで感じるのは、LGBT、レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーなどのいわゆる性的マイノリティーの方々が、いかに自分らしさ、自分が自分でいいという気持ちが持てずに苦しんできたのかということです。特に小学校、中学校、高校という学校生活の中で、本当の自分を出すことができない、誰にもいえないとしたら、想像しただけで胸が苦しくなります。
私の息子は女の子という手記を読みました。体は男の子、心は女の子の小学校1年生のお子さんを持つお母さんの手記です。小さいときから周りの男の子と違って車や電車には全く興味を持たず、女の子のキャラクターで遊んでいたそうです。保育園でも年長さんになると、大好きなスカートをはいていると、おかまなのとか、男の子がピンクを着たらだめだよなどというお友達も出てきたそうです。子供も、自分の心の性に対する違和感を少しずつ言葉にするようになり、女の子に生まれ変わりたいというようになってきたそうです。
小学校は、保育園以上に男女に分かれた活動を避けられない場面もたくさんあります。この彼女は、ランドセルはパステルラベンダー色、スカートははいて行きませんが、髪の毛はセミロングにカチューシャ、かわいいリボン柄の靴下をはいて登校しているそうですが、お友達の反応もいろいろあるし、ご両親もインターネットで信頼できる先生を探したりと、いろいろ努力されているそうです。
実際は、ここまで自分らしい格好をできる子供ばかりではないと思いますが、こうした子供たちが一定数、どの学校にも、どのクラスにもいることを、学校の教職員の方々には認識していただきたいと思うのです。今紹介した彼女も、学校に一人でもLGBTについてしっかり理解している先生がいてくれれば、それだけで心強いと思います。
そこで、学校現場での取り組みについて伺いたいと思います。
文部科学省はことし、性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等についてとの通知を出しておりますが、この通知が出された目的とその内容について伺います。
また、都教育委員会として、この通知に基づいて具体的に行っていることがあればお答えください。
○伊東指導部長 平成27年4月30日に文部科学省が発出いたしました性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等についてという通知は、学校の教職員が性同一性障害に係る児童生徒に適切に対応ができるようにすることを目的といたしまして、支援体制や医療機関との連携など、具体的な配慮事項等をまとめたものでございます。
都教育委員会は、この通知文を区市町村教育委員会及び都立学校に送付いたしますとともに、区市町村教育委員会の指導室課長会、都立学校の校長連絡会、副校長連絡会で周知いたしました。また、都内全公立学校の生活指導担当者連絡会、スクールカウンセラー連絡会、養護教諭の研究会でも同様に周知いたしました。
○里吉委員 いろいろな場面でこれを今、周知徹底していただいているというお答えでした。この通知には、悩みや不安を受けとめる必要性は、性同一性障害に係る児童生徒だけでなく、いわゆる性的マイノリティーとされる児童生徒全般に共通するものと書かれております。
相談体制の充実についても、学級、ホームルームにおいては、いかなる理由でも、いじめや差別を許さない適切な生徒指導、人権教育等を推進することが、悩みや不安を抱える児童生徒に対する支援の土台となることとしています。
こうしたことからも、何よりも学校の現場の教職員がLGBTについて正しく認識しているかどうかが決定的に重要です。
都教育委員会では、学校の教員に対して、LGBTへの理解促進のため具体的にはどのような取り組みを行っているのか伺います。
○伊東指導部長 性同一性障害等の理解を促進するため、5月に校長、6月に副校長、10月に主幹教諭等を対象として実施した人権教育の研修会におきまして、文部科学省が発出した通知文の内容を周知いたしました。また、校長や主幹教諭を対象に実施いたしました研修会では、医療や心理等の専門家を講師として招聘し、性同一性障害等に関する理解を深めるための講演などを行っております。
○里吉委員 研修は参加者も大変多かったし、とても勉強になった、よくわかったと、評判もよかったということを伺いました。裏を返せば、まだまだLGBTについて学べる場が少ないのではないかと思います。
ある教員対象の調査では、同性愛は治療の対象か、などの質問に、自信を持って回答できる先生が大変少ない。最低限の必要な知識すら持っていないのが現状だと書かれていました。
世界保健機構、WHOでは、1992年に疾病分類の見直しを行い、同性愛は治療の対象とはならないと宣言し、厚生労働省も1994年に公式基準として採用しました。同性愛者は異常ではない、治療の対象ではないと、国際社会と日本が公式に認識したのはわずか20年前ですから、今でも同性愛者は特殊な少数派という偏見は根強いと思います。
だからこそ、LGBTの児童生徒に対応する際に、最低限備えておくべき基本的な知識を全ての教員に持ってもらうためのさらなる研修の拡充が必要です。どのように進めていくのか、都の見解を伺います。
○伊東指導部長 性的少数者の児童生徒にきめ細かに対応していくためには、直接指導する教員が正しい理解と認識を持つことが必要でございます。
都教育委員会は、これまでも、人権教育プログラムに性同一性障害に関する資料を掲載いたしますとともに、性同一性障害等に関する理解を深めるための研修などを行ってまいりました。今後とも、文部科学省の通知を周知徹底いたしますとともに、教職員への研修を引き続き充実してまいります。
○里吉委員 ぜひ進めていただきたいと思います。「いのちリスペクト。ホワイトリボン・キャンペーン」というところが2014年5月にLGBTの学校生活に関する実態調査結果報告書を発表いたしました。実はこれは、平成25年度東京都地域自殺対策緊急強化補助事業の一環として実施されたものなんですが、この報告書によりますと、自分がLGBTであるかもしれないと気がついた年齢が、性別に違和感のある男子の場合が、小学校入学前で25%、約半数が小学校卒業までに性的違和感を自覚したと回答しております。68%がいじめや暴力を受けた経験がある。その結果、自殺も考えたことがある、32%、リストカットなどわざと自分を傷つけた、22%との結果も出されています。
LGBTへの誤解や偏見が根強い中で、自分の自然な性的指向や性自認を否定的に捉え、強い疎外感や社会不信、自己否定の気持ちに駆られる人も少なくないことがうかがえます。
世の中には異性愛者がいるように、同性愛者もいることなど、LGBTのことを学校でも教えるべきだと考えますが、現在の取り組み状況について伺います。
○伊東指導部長 全ての公立学校では、人権教育を通して、一人一人がかけがえのない存在であり、互いに尊重し合って生活する必要があることを児童生徒に指導しております。こうした考え方に基づき、個別の人権課題につきましては、学習指導要領を踏まえ、児童生徒の発達段階や学校の実態等に応じて適切に取り組んでおります。
○里吉委員 現在の学校教育の中では特に位置づけられているわけではないということですが、実際に、どの学校にも、どのクラスにも、当事者がいておかしくないわけですから、そのことについて、先生だけでなく児童生徒にも啓発が必要です。例えば、図書館にチラシを置くなどして児童生徒への啓発を行うことはできないでしょうか、伺います。
○伊東指導部長 学校でどのようなチラシ等を配布するかにつきましては、その内容や必要性などを踏まえて校長が個別に判断するものでございます。
○里吉委員 個別に判断するということですので、そういう対応もぜひ学校ごとでやっていただきたいと私は思いますけれども、世田谷区内でLGBTの成人式を行っている団体は、LGBTの子供もありのままで大人になれる社会を目指そう、こういうことをいって活動しております。最初に紹介した手記でも、保育園で園児が、男の子はピンクを着たらだめだよといっていましたが、例えば、ランドセルは男の子が黒で女の子は赤といって、体の性に合わせた色を選ばされることも、実は、性同一性障害の子供にとってはとても苦痛なことです。男だから、女だからに縛られることなく、自分らしく生きることができる社会がLGBTの人にとっても、また誰にとっても生きやすい社会のはずです。
これからも、性の多様性について、またLGBTについて、さまざまな機会を捉えて理解が進むよう取り組んでいただくことを求めて、次の質問に移ります。
◆教員採用における、期限付き任用教員について
次は、教員採用で、期限つき任用教員について伺いたいと思います。
東京都の教員採用は、採用選考結果により、名簿登載者と期限つき任用名簿登載者に分けられ、名簿登載者は4月1日の正規採用となります。期限つき任用教員は、東京都公立学校教員採用候補者選考実施要綱によれば、年度途中の教員の病気休職及び退職、学級増等、教員の欠員が生じた場合に、学校に勤務しますとあります。つまり、年度途中のやむを得ない事情により教員の欠員が生じた場合に採用されるという位置づけです。
仕事の内容は正規職員と全く同じであり、授業を行うだけでなく、学級担任も担当します。任期は最長で1年です。この任期つき教員制度は2007年度から導入されましたが、導入当初から、4月からの、当然正規採用で配置されるべき先生が期限つきになっている、学級数の見込みの誤差により名簿登載者が不足したというレベルではない、余りにも期限つきの先生が多過ぎる、採用計画はどうなっているのかとの声が聞こえてきています。
そこで伺いますが、2014年度の採用選考を受けて期限つき任用教員名簿に登載され、2014年度内に採用された教員は何人でしょうか。そのうち4月1日に採用された方、4月1日も含め4月中に採用されたのは何人か、それぞれお答えください。
○江藤人事部長 期限つき任用教員採用候補者名簿に登載された1547名のうち、採用された者は767人でございます。採用された者のうち、4月1日に採用されたのが457人で、それを含め4月中に採用されたのは744人となっております。
○里吉委員 期限つき任用教員名簿に登載され採用された767名のうち、744人、実に97%が4月中に採用されているわけです。引き算すれば、5月以降の採用はたった23人です。中でも4月1日の採用が457人と6割にも上っています。これらは、本来であれば当然正規採用すべき教員なのではないでしょうか。年度途中の欠員補充ではなく、4月採用に期限つき任用というのはふさわしくないと思いますが、見解を伺います。
○江藤人事部長 学校の規模は、4月1日に在籍する児童生徒数により編制される学級数をもって決定いたしますが、採用者の合否判定は前年の10月ごろに確定する必要がございます。このため、退職者数に加え、児童生徒数の変動に伴う学級増減や長期病欠の発生などをこの時点で見込む必要があり、正確に算出することが非常に困難でございます。
さらに、平成26年度は、年金支給開始年齢の引き上げに伴う再任用制度の見直しの初年度に当たり、再任用職員数の見込みが困難であったことに加え、学級増や辞退者の増加などの要因も加わり、結果として、年度当初の欠員数が大きくなったものでございます。
○里吉委員 たまたまいろいろな事情が重なって欠員がたくさん出てしまったかのようなお答えでしたけれども、これは何も2014年度だけのことではありません。毎年、4月採用者だけで600人、700人、800人と期限つき任用を充てているのが実態です。きちんと計画を立てて、少なくとも4月採用の教員は正規採用するのが当然だと考えます。
さらに、先ほどお答えいただきました期限つき任用名簿に登載され採用された人数、4月中の採用でいえば744人ですが、この数字と、きょういただいた資料の2014年度、平成26年度4月採用者数971人には、227人のずれがあります。この資料は、期限つき教員数には、教員採用試験で期限つき名簿に登載され採用された教員以外の教員も含まれているためだと思いますが、それはどのような教員なのか伺います。
○江藤人事部長 年度途中で欠員が発生した場合には、期限つき任用教員採用候補者名簿に登載されている者から任用することになっておりますが、必要な校種、教科に対応する登載者が不足する場合がございます。このような特別の場合に、都教育委員会が認める者を新たに名簿に追加し任用できる特別認定制度があり、それにより任用する教員も含まれております。
○里吉委員 教員免許は当然持っているけれども採用試験は受けていない、いわば現場の校長先生や副校長先生などがさまざまなつてを頼って探してお願いした先生ということだと思います。
もちろん担任もしますし、仕事内容は正規の先生と同じです。こうした重い責任を担ってくれる先生を探すのはとても大変で、4月だというのに担任不在の状態で、見つかるまで副校長先生などが支援に入って何とかしのぐ場合もあると伺っております。
期限つき任用名簿からの採用だけでは足りず、さらに4月中に特任教員を200人以上もお願いしなければならないというのは、やはり余りにも採用計画がずさんではないかと考えますが、都の見解を伺います。
○江藤人事部長 繰り返しになりますが、採用者の合否判定は前年の10月ごろに確定する必要があるため、正確に算出することは非常に困難でございます。
平成26年度は、年金支給開始年齢の引き上げに伴う再任用制度の見直しの初年度に当たり、再任用職員数の見込みが困難であったことに加え、学級増や辞退者の増加などの要因も加わり、結果として、年度当初の欠員数が大きくなったものでございます。
○里吉委員 同じ答弁を繰り返されましたけれども、きょういただいた資料の18ページのところを見ていただくとわかるんですが、採用者数2355人に対して、4月に採用された期限つき教員は971人ですから、計算しますと4月末までの採用で29・2%、3人に1人が名簿からの任用と特任を合わせた期限つき教員という状況です。これはやはり多過ぎると思います。
4月から特任教員を採用しなければならないのも、また2014年だけではありません。毎年のことだと伺っています。こんな不安定な状態が常態化していては、子供たちに十分な教育を保障できないと考えます。4月にはきちんと正規採用の先生がそろっていて、新しい年度をスタートできるようにするのが、学校に対する都教育委員会の当然の責任ではないでしょうか。きちんと正規採用の教員を配置するよう強く求めておきます。
それでは、期限つき教員が学校に勤務してからのことについて伺いたいと思いますが、特任教員の方はともかく、期限つき名簿から採用された期限つき任用教員は、先生になりたくて採用試験を受けた志ある若者です。こうした方々が正規採用と全く同じ仕事をし、同じ責任を負いながら、期限つきで雇用される今の制度は、大変つらく理不尽なものだと私は思います。
例えば、期限つき任用の先生が受けることのできる支援、サポートはどうなっているのかお答えください。
○江藤人事部長 期限つき任用教員は、年間10回の教職員研修センター等が実施する研修と、校内における年間120時間以上の授業に関する研修を受講します。また、校長は、期限つき任用教員の指導助言に当たる指導教員を1名、命じることとなっております。
なお、正規採用された初任者は、このほかに、2泊3日程度の宿泊研修、年間6回の課題別研修、校内における年間60時間以上の授業以外の研修を受講しております。
○里吉委員 年10回の研修などは一緒ですけれども、正規採用の初任者が受ける宿泊研修は受けられない。ほかにも、授業に関すること以外の研修は受けられない。また、再任用のベテラン教員が社会人経験がない新採教員をサポートする学級経営研修制度も、期限つき教員は対象外ということなんですね。子供たちには同じ教育者として向き合い、責任を持たなければならないけれども、受けられる支援が違うということです。
また、都教育委員会は、期限つき任用教員になれば、次の年の面接だけで正規採用になれるアドバンテージがあると伺っていますが、その仕組みとタイムスケジュールについて伺います。
○江藤人事部長 昨年度の教員採用選考が不合格となりましたが、期限つき任用教員採用候補者名簿に登載され、ことしの5月1日時点で期限つき任用教員として任用されていた者は、今年度の教員採用選考において、8月に実施した個人面接のみで受験しております。その面接結果と任用されている学校での勤務実績に基づき合否を判定し、10月16日に合格発表を行いました。 合格した場合は、翌年度の4月1日から正規教員として任用されることになり、その配属先は、原則として期限つき任用教員として働いていた学校と同一となります。
なお、不合格となった場合には、原則として翌年度は一般選考で受験することとなります。
○里吉委員 4月に採用されて、8月に面接、10月に合格、不合格の発表ということです。勤務校での勤務実績というのは校長先生の判断だと聞いていますが、これは8月が面接ですから、その前の勤務、つまり着任して2、3カ月の、本来ならこれから教師集団の中で若い先生を育てようというときに既に評価され、ふるい落とされる。しかも、合否がわかるのは10月で、もし不合格でも、次の年の3月までは学級担任を続けなければなりません。つまり、あなたは東京都の教員には適当ではありませんと宣言しておきながら、仕事だけは担任としてちゃんと3月までやってねというわけです。随分虫のいい話ではないでしょうか。本人にしてみれば、モチベーションを保つのが大変です。
そこで伺いますが、期限つき任用名簿登載者のうち、次の年に正規教員に合格したのは何人ですか、過去3年の実績を伺います。
○江藤人事部長 期限つき任用教員採用候補者名簿登載者のうち、任用された者の選考合格実績といたしましては、平成25年度選考は、受験者918名のうち693名が合格し、合格率は75・5%、平成26年度選考は、受験者980名のうち725名が合格し、合格率は74・0%、平成27年度選考は、受験者1001名のうち735名が合格し、合格率は73・4%となっております。
○里吉委員 75%程度とのことでした。25%の方が不合格です。25%、4人に1人の方が不合格になっているということについて、保護者や同僚の先生たちは大変深刻に受けとめています。保護者や同僚の先生から見て、とても熱心に頑張っている先生なのに、なぜ不合格なのかわからないと感じる場合が大半だと聞いています。
そもそも若い先生に、すぐにだめというレッテルを張るのではなくて育てるべきだ、こういう声が幾人もの方から寄せられておりますが、このご意見は私も本当にそのとおりだと思います。
今、学校は、一校に3人、4人と新規採用の先生がいることも珍しくありませんし、若い先生が産休、育休に入り、代替の先生が来ることも大変多くなっています。私がお話を伺った、あるお子さんの学年では、4クラス中、3クラスが新採と年度途中からの産休育休代替の先生だったそうです。 そういう中で、期限つきの先生が1年でいなくなって、また新しい先生が来て1年からやり直しというのは、学校運営も周りの先生方も、また一から教えて関係もつくらなければならない、そういうことで大変ですし、子供たちも落ちつかないというお話も聞きました。1年任期で不安定なことが、当事者の期限つき教員だけでなく、学校の組織全体や子供たちにもよくない影響をもたらしていると思います。
そもそも、現在の採用選考で期限つき任用名簿登載者に当たる人たちは、2006年度までは補欠者として位置づけられ、採用された時点で正規採用されておりました。しかし、なぜ1年の期限つき任用制度に変更したのか、その理由について伺います。
○江藤人事部長 期限つき任用教員制度と補欠制度は、年度途中の欠員の補充や病気休職教員の補充等に充てる目的において同様でございますが、期限つき任用教員は、任用された年度の3月31日までの期限を定めた任用であり、任用された場合に正規教員となる補欠制度とは異なります。
補欠制度は、正規雇用への期待が高い反面、1年待っても採用に至らない場合があることから、補欠者から不安の声が寄せられていました。さらに、大量退職による大量採用を行うことに伴い、教員の質の確保という点においても課題があったことから、都教育委員会は、平成19年度から期限つき任用制度を導入しております。 ○里吉委員 補欠制度でも期限つき任用制度でも、名簿登載者は原則4月1日採用、補欠者や期限つき名簿登載者は採用に至らない場合もある、このことは同じです。変更の合理的理由にはならないと思います。
さらに、今、質の担保ということをおっしゃいましたが、期限つき任用教員制度によりなぜ質の担保が図れるのか伺います。
○江藤人事部長 補欠制度は、年度途中に発生する欠員数や発生するタイミングの把握が困難であり、任用時期が未確定なことに加え、結果として採用に至らない補欠者が出るため、この制度を敬遠し、他の道府県や民間企業へ優秀な人材が流出する要因の一つとなっておりました。
また、団塊の世代の大量退職に伴う欠員を全て新規採用で補っていく結果となるため、年齢構成の不均衡が一層加速されることになりました。年齢構成の平準化を図る意味からも、4月1日に採用する正規名簿登載者を確実かつ的確に設定した上で補欠制度を廃止して、採用選考において一定の能力水準を持っていることを実証している者については期限つき任用教員として確保し、校長の指導を受けながら、実際に学校現場を経験できる制度といたしました。
期限つき任用教員が、翌年度教員採用を目指す場合は面接のみで受験できるようにするとともに、面接結果に加え、期限つき任用期間中における学校での実績を合否判定に適切に反映させることで、教員としての適性を見きわめることができ、質の確保が可能となります。
○里吉委員 補欠制度は未採用となる者が出るため、民間企業等へ優秀な人材が流出というご答弁がありましたが、それは期限つき任用制度でも同じです。数字を調べましたが、4月1日に必ず採用される名簿登載者から1割程度流出しているのも補欠制度時代と同じですし、期限つき名簿登載者も2014年度は1547人ですが、東京都の教員になったのは、先ほどのご答弁でもあったように767人と約半数にすぎません。さらに、若干、産休、育休の代替に回っている方もいると思いますが、あとは流出して、結局足りなくなって特任教員を採用しているのがずっと続いているではありませんか。
より適正な採用者数とおっしゃいましたが、実際には必要数の3分の2強という、適正どころか大幅に少ない人数しか正規採用していないんです。適正どころではないと思いますよ。結局、大量採用しなければならないときに、必要数を全て新規採用で賄うと年齢構成が不均衡になると。だから、1年でやめさせる教員をできるだけつくりたいということではないかと。それを質の確保などと、まるで採用されない本人が悪いようないい方で、志のある若者の神経をすり減らせ、使い捨てるようなやり方は適切ではないと考えます。
結局、期限つき任用制度、この教員の皆さんは調整弁のように扱われているのではありませんか。かつての補欠者と同じように、一度教壇に立ったら正規採用としてきちんと先生として働いてもらう、こうすべきだと思いますが、いかがでしょうか。見解を伺います。
○江藤人事部長 期限つき任用教員制度は、1年間の期限つき任用の経験の中、学校現場で校長の指導を受けながら教職への理解と自信を深め、翌年度に再度チャレンジできる制度であり、教員の質の確保の観点からも大いに有効であると考えております。
一方、補欠制度は、正規雇用への期待が高い反面、1年待っても採用に至らない場合があることから、補欠者から不満の声が寄せられるなど、さまざまな課題を抱えておりました。
こうしたことから、都教育委員会は、年度途中の学校現場の欠員等に的確に対応していくため、期限つき任用教員制度が望ましいと考え、導入したものでございます。今後とも教員の任用を適切に行ってまいります。
○里吉委員 そもそも現在の教員の採用制度は、正規採用されても初年度は条件つき採用で、1年後に正式採用になる、教員に向いていないと判断されれば正規採用されない制度になっています。この制度の問題点もいろいろ指摘されていますが、少なくとも現在はそういう制度になっているので、その点からも、期限つき任用で2重に条件を課し、若い先生を苦しめることは適当でないと考えます。
期限つき教員の先生としての仕事は、正規採用の先生と全く同じなんです。子供たちの前に学級担任として立ち、校務も、仕事をして、子供たちの教育に正規の先生と同じ責任を持って仕事しているわけです。クラスの担任を受け持って、子供たちと学校運営に責任を持って、先の見通しを持って伸び伸びと充実した教育活動を行うためには、やはりきちんと正規で身分が保障された先生が配置されることが重要です。期限つき任用はやめ、教員採用は正規採用で行うことを強く求めて、次の質問に移ります。
◆久留米特別支援学校と光明特別支援学校の併置について
次に、光明特別支援学校の肢体不自由部門と、久留米特別支援学校の病弱部門の併置の問題について伺っていきたいと思います。
まず、2017年度開校予定の光明学園特別支援学校(仮称)、この校舎等の整備スケジュール、そして整備が完成するのはいつの予定か伺います。
○松川特別支援教育推進担当部長 平成29年度の仮称光明学園特別支援学校の開設に向けて、今年度から来年度にかけて、現在の光明特別支援学校の校舎の一部及び寄宿舎を改修してまいります。
平成29年度からは、第1期工事として旧梅ケ丘病院跡地に新校舎を建築し、その後、第2期、第3期工事として、平成31年度から現在の光明特別支援学校の校舎を改築し、平成35年度に整備が完成する予定でございます。
○里吉委員 29年度から工事ということで、開校してから、どんなに早くとも6年間はずっと学校のどこかが工事を行っている中で障害のある子供たちが学校生活を行うということなんですね。しかも、最近の開校例を見ておりますと、計画どおり工事が進んでいないケースも多々ありますので、さらに延びる可能性もあるわけです。これは、子供の学習環境として問題だと思います。
しかも、障害のあるお子さんが通う特別支援学校ですから、どうしてこのように無理やり開校させるのか私には理解できません。保護者の方などからも不満の声が出されていますが、当然です。
久留米特別支援学校の移転統合は、新しい校舎を整備してから行うのが自然だと思いますし、児童生徒への負担も少ないと思いますが、なぜ移転してからの校舎の改修、改築となっているのか伺います。
○松川特別支援教育推進担当部長 久留米特別支援学校の在籍者数は、本年5月1日現在、13名と非常に少なくなっており、学力向上や社会性の育成等のための適正な学習集団の確保が難しい状況にございます。一方、肢体不自由特別支援学校である光明特別支援学校におきましても、進学などを目指す児童生徒に対して適正な学習集団による教科指導の充実が求められております。
こうした状況は、東京都特別支援教育推進計画第3次実施計画策定当時と変わっていないことから、同計画に基づき、平成29年度に光明学園特別支援学校を開設することといたしました。光明学園特別支援学校の開設に当たりましては、既存校舎の改修等により、病弱教育部門の受け入れのための環境を整えてまいります。
○里吉委員 校舎が完成していなくても病弱教育部門が移転してくる理由として挙げられた、病弱教育部門の児童生徒が少なくなって学力向上や社会性の育成などのための適正な学習集団の確保が難しいですとか、肢体不自由の部門で進学を目指す児童生徒の適正な学習集団の確保が必要だ、だから、引っ越してくるんだという説明をされましたけれども、これはどこの判断なのでしょうか。少なくとも学校現場や保護者からはそのような要望は出ていないと思いますが、伺います。
○松川特別支援教育推進担当部長 肢体不自由教育部門と病弱教育部門を併置する光明学園特別支援学校の開設は、平成22年11月に策定した東京都特別支援教育推進計画第3次実施計画に基づくものであり、本計画は東京都教育委員会において決定したものでございます。
本計画は、学校長からの意見も聞きながら、現場の実情を踏まえて検討を進めるとともに、計画の骨子案について説明会やパブリックコメントを実施し、保護者も含め、広く都民の意見を伺って策定したものでございます。
○里吉委員 第3次計画で決めたというお答えでした。この東京都特別支援教育推進計画第3次計画に対しては、パブリックコメントとアンケートで、この年、376人の方から611件の意見が出されております。抜本的見直しを求めるものも多かったではないですか。
9月半ばにパブリックコメントが行われ、11月には決定しているわけで、その間、1カ月ちょっとしかありません。寄せられた意見を取り入れたかどうかも、計画の公表のときまで都民は知ることができませんでした。実際にできた計画は、寄せられた意見を踏まえたものといえるのか大変疑問です。結局、都教育委員会が決めたわけです。
障害種別の違う学校を併置することについても、PTAからは、当時から、併置になってメリットは感じないばかりか不安と不満でいっぱいだという声が寄せられていました。学校現場からも、保護者からも、併置を求める声が出ていたわけではありません。都教育委員会が第3次計画に盛り込んだことに見直しを求める声もたくさんあったのに、その意見は聞きおくだけで決定したということではないでしょうか。
病弱教育部門でも肢体不自由教育部門でも、児童生徒が少ないための解決が必要な課題があるという説明をさっきされましたけれども、具体的にはどのような問題なのか改めて伺います。
○松川特別支援教育推進担当部長 病弱教育部門である久留米特別支援学校では、小学校、中学校、高等学校に準ずる教育課程に基づく指導が行われておりますが、その在籍者は、本年5月1日現在で小学部から高等部までを合わせても13名で、在籍者が皆無の学年もあるなど、極めて少なくなっております。
また、肢体不自由教育部門におきましても、準ずる教育課程の対象となる児童生徒の人数が同様に少ない状況にございます。このため、児童生徒が集団の中で切磋琢磨しながら学力の向上や社会性を育むことが難しいといった課題がございます。
○里吉委員 現在の人数では、集団の中で切磋琢磨しながら学力の向上や社会性を育むことが難しいというお答えでした。久留米に通っている病弱教育部門の子供たちにとって、自然豊かな現在の久留米特別支援学校の場所で学ぶことをやめて、もっと大きい集団で学ぶことがそれほど重要なこと、解決しなければならない課題でしょうか。島しょや地方に行けば、少人数でもすばらしい教育をしている学校はたくさんあります。全く理由になっていません。
しかも、保護者の方に伺いますと、我が子が病弱であっても、久留米特別支援学校の存在は知らなかったし、なかなか教えてもらえなかった。手続など転校のハードルも高かった。でも、地域の小中学校に在籍していたときにはペースについていけず休みがちだったのが、久留米に転校して見違えるように楽しい学校生活を送れるようになった。久留米の存在を知らせれば、そういう生徒児童、たくさんニーズはある。こういう声が寄せられているんです。13名が少ないというのであれば、こういうニーズに応える努力こそするべきではないでしょうか。
もう一度いいますが、これから最低でも6年間ずっと、新校舎の建設、現在の校舎を2期に分けて、計3期にわたって3分の1ずつ改築する。子供たちが学ぶ環境としてこれは本当に良好とはいえない。3分の1の学校を改築している間、残りの3分の2に現在の子たちがぎゅっと詰まって、それをずっと繰り返しながら6年間以上学ぶわけですよね。そんなことをしなくても、病弱教育部門の子供たちには現在通っている久留米の校舎があるわけですから、本当にそんなに急いで来る必要があるのか、ここが本当に疑問なんですね。
改めて伺いますけれども、2017年度の開校には、まだ新しい校舎は一つもできていませんから、現在の光明特別支援学校内で病弱教育部門の児童生徒も学ぶことになると思いますが、それでよろしいでしょうか。確認します。
○松川特別支援教育推進担当部長 今年度から病弱教育部門の児童生徒を受け入れるための教室等の改修工事を行っており、平成29年度の開校時には、現在の光明特別支援学校内で病弱教育部門の児童生徒も学ぶこととしております。
○里吉委員 開校前に改修工事を行うというお答えですから、現在の肢体不自由教育部門の子供たちが学んでいる、今ある光明特別支援学校の、学校の中を改修して、病弱教育部門の子供たちも一緒に学ぶと。単純に考えれば、その分、詰め込まれるといえるのではないかと思います。
旧梅ケ丘病院跡地の一部に新規建設するわけですから、新規校舎が完成したら、まず肢体不自由の子供たちを半分移して、現在の光明特別支援学校の校舎の1期目の工事を行う。1期目が完成したら、そこにもう半分の子供たちを移して、2期目の工事を行う。全体が完成した後に、初めて病弱教育部門の子供が移転してくるというやり方もあるのではないでしょうか。
肢体不自由の子供たちにとっては、学校で授業を受けている横で工事を行うことになりますが、スペースの余裕もできますし、現在の計画よりは子供たちへの影響は格段少なくなると思います。今、久留米の学校は、本当に病弱の子供たちが楽しく学んでいる環境ですから、ここで工事が完成するまで学ばせてあげるべきだと思います。
ここで、病弱で久留米に通っている高校生が、ある集会で行ったスピーチの一部を紹介します。
皆さんは病気になって今の学校へ入学されたと思います。病気になってつらいことしかなかったという方も少なくありません。私もその一人で、何で自分は病気になったんだろう、いっそ、自分なんかいなくなってしまえばいい、そんなふうに思うときもありました。
ですが、たどり着いた答えが、今の自分の居場所です。病気にならなければ、もっと普通の人生を歩めたかもしれない。だけど、今の自分にとって病気はありがたく思います。
なぜなら、病気じゃなかったら久留米にはいなかったからです。病気でよかったなんていったら、何いってんだって思われるかもしれません。でも、自分の病気のおかげで久留米で楽しく過ごしているし、今の私がいる。病気じゃなかったら、こういった体験はありません。
病気になったそのこと自体は幸せでないのかもしれない。だけど、そこからどうはい上がるかで、自分の生き方を変えることができる。かかわり方が変わる。人とのかかわり方が変わる。普通の人生じゃ味わえない経験が、病気には含まれているのだと私は思います。
こういって、今、久留米で本当に元気に、病弱の子ですけれども、毎日学習をしているわけです。こういう子供たちから学校を奪わないでほしいと思いますし、こういう環境があるわけですから、改築が全部終わるまで、ぜひ、今、久留米で学んでいる病弱の子供たちは、その場所で学ばせてあげていただきたいということを強く要望しておきます。
この問題の最後に、寄宿舎の問題について伺っていきたいと思います。
この改築工事にあわせて、併置にあわせて、来年4月から光明特別支援学校の寄宿舎が工事に入るため、その間、寄宿生は久我山青光学園の寄宿舎で生活することになると伺っています。対象となるのは何人の見込みか伺います。 ○松川特別支援教育推進担当部長 現在、光明特別支援学校の寄宿舎生は7名であり、うち5名は高等部3年生で、今年度末に卒業する見込みでございます。先日、光明特別支援学校において平成28年度寄宿舎入舎募集を行いましたところ、現在入舎している2名から申し込みがあったと聞いております。このため、来年度、久我山青光学園の寄宿舎を利用する可能性のある児童生徒は2名程度になると見込んでおります。
○里吉委員 卒業生以外の現在の舎生2名が申し込んでいるということで、久我山青光学園の寄宿舎利用は2名程度との答弁でした。
寄宿舎の入舎基準が厳しくなって、申し込みもだんだん減っているのではないかと大変気になっていますが、城北特別支援学校の寄宿舎が廃止され、肢体不自由児の寄宿舎は、今、光明特別支援学校だけとなりました。そのときに、通学困難者については、転校または学区外の入学を認め、必要な場合は必ず寄宿舎で受け入れるよう、我が党の畔上委員が質疑を行いました。そのとき都は、同一の障害部門の寄宿舎を設置する他の特別支援学校への転学についても一つの選択肢として検討すると答弁し、実際に転校して光明の寄宿舎に入ったお子さんもいらっしゃったと伺っています。久我山青光学園の寄宿舎に1年通うことにはなりますが、必要な児童生徒が寄宿舎へきちんと入舎できるように情報発信を行い、本人や家族の希望に沿った対応を行うよう求めます。
次に、光明の寄宿生が学校と寄宿舎の移動--ちょっと離れているわけですね、登下校するとき、これはどのように行うのか。また、久我山青光学園の寄宿舎では形態食の食事がないと聞いておりますけれども、対象の児童生徒がいた場合はどう対応するのか、あわせて伺います。
○松川特別支援教育推進担当部長 寄宿舎からの通学につきましては、スクールバスや福祉タクシーなどの通学手段を確保する予定であり、現在、来年度の通学方法について光明特別支援学校と協議しております。児童生徒の負担に配慮した上で、障害の特性や交通事情なども考慮して、適切な交通手段を確保してまいります。
寄宿舎における食事の提供につきましては、形態食の提供が必要な児童生徒が入舎する場合も想定し、現在、調理業務委託の契約内容の見直しや必要となる物品の手配など、今後の対応策について検討を進めております。
○里吉委員 今まで学校のすぐ近くの寄宿舎だったわけですから、移動するだけでも体の負担が大きいと思います。児童生徒の状況に配慮した対応をしていただきたいと思います。
最後に、私は今でも病弱教育部門は久留米に残すべきだと考えています。知的障害者部門と久留米で併置という選択肢もあると思います。工事が続く中で学校生活6年間も送らせるということは、病弱の子にとっても肢体不自由の子にとっても、学校現場としてこういう環境をわざわざつくる、こういうことは本当に私は許せません。
改めて、久留米特別支援学校の病弱部門の移転は取りやめ、今の久留米の場所で存続させること、少なくとも改築など全ての工事が終わってからの移転とすること、移転や工事に伴い、肢体不自由の子も病弱の子も学校や寄宿舎への受け入れを縮小することのないよう強く要望して、質問を終わります。