引きこもり支援―一人ひとりの人権が大事にされる社会に
引きこもりの問題は切実です。100万人、200万人とも言われていますが、支援に結び付いていない人が多くいるのが現状です。だけど決してそれは悪いことではなくて、やはり自分の身を守る、生きていくために社会との接点一回断ち切って、ご自宅で自分を守っているということも言えると思います。
それが悪いことじゃないんだよ、ということをやっぱりメッセージとして伝えたい。
本人が一番なんとかしたいと思ってるし、ご家族の方も何とかしたいと思っていると思うんです。けど、やっぱり人間エネルギーが底ついちゃったら立ち上がれないので、安心して引きこもっていられる社会っていうのも私はすごく大事だと思います。
コロナで社会全体が貧困と格差も広がって、生きづらさを抱える人が本当に増えていく社会だと思います。
社会全体が誰一人取り残さない、一人ひとりの人権が大事にされる社会にすることで、引きこもってる皆さんも、本当にその人らしく人生を選んでいけるような社会にしていきたいなと思っています。
インタビュー(6/27)
里吉:なかなか街頭で訴えられない話を、皆さんにお伝えしたいと思います
よろしくお願いします。
Q:今日のテーマは?
里吉:今日のテーマは『引きこもり』です
Q:里吉さんがこのテーマを都議会でも取り上げてきました。どうしてこの問題を取り上げようと思ったんですか?
里吉:私がちょうど都議会議員選挙に出た頃、お知り合いのお子さんが引きこもりということで「親の会」をやってる知り合いの人がいたんです。都議会でもぜひこの問題を取り上げて欲しいということで、色々話を聞いて都議会でずっとこの問題こだわって取り上げてきました
Q:“ひきこもり問題”どういうことが問題なんでしょうか?
里吉:一番の問題は8050問題と言われてるように、引きこもっている子どもが50代、親が80代。本当に煮詰まってしまっているというか、生活が大変っていうことが今大きく社会問題になっていますけども、私が都議会議員になった8年前もそういうことも言われていたんです。
同時に大学を卒業して社会に1回出たんだけれどもそこでうまくいかなかったり、それから就職活動が上手くいかなくて引きこもりになってしまった人たちがたくさんいたんですね。
ところが相談窓口がなくて、社会に戻るきっかけを作る。そういう仕組みがすごい不十分でした。
この問題はやっぱり一つは就労支援。それから家にずっとこもってる方が、一回外に出るための居場所。社会との接点をつなぎ直す場所。そういうものを作るということがすごく求められています。そのことについて議会での質問してきました。
Q:この問題は東京都や行政にどういうことができるんですか?
里吉:実は、東京都は引きこもりがどれくらいいるかということを、だいぶ調査してたんです。
ところが調査をしていくつかNPO法人を育てるという事やったんですが、お金をそれ以上出さなくなっちゃったんですね。
そうすると、例えば引きこもってる方が居場所に行くとか、就労支援受けるのにお金がかかる。それも結構なお金がかかるということがあったり。それから居場所支援している団体がまだまだ少なくて、家から1時間も遠くに行かないと引きこもり支援の場所に行けない。
引きこもっている人が、1時間も離れたところに行くっていうのはすごくハードルが高いので、東京都に対しては、居場所を増やすための支援をする事。それからNPO法人任せにしないで、行政にちゃんとひきこもりの支援の窓口を作るようにということを求めてきました。
それで東京都の大きな問題があって、実は、引きこもりの対策が若者の引きこもりを解決して、就労支援する、職場に復帰させることが大きな目標の一つになっていました。それは決して間違いではないんですけれども
東京都の窓口が“青少年児青少年治安対策本部”というところが引きこもりの相談窓口でした。
Q:治安対策?
里吉:治安対策なんですよ。
この言葉を聞いただけで、引きこもりのご本人も家族もなんか犯罪者予備軍みたいに見られてるんじゃないかっていうことで。それだけで本当に引きこもりの支援を、東京都真面目にやってくれてるのか!?という風な目で見られてたなというのがあります。
もう一つは、青少年治安対策本部で扱っている青少年の枠が34歳までなんです。国が引きこもりの方々の
就労支援として作ってる枠組みがみんな39歳まで。39歳までは就労支援のいろんなメニューを国が用意していて、東京都もそれをやっていたんですけれども、青少年治安対策本部の枠は34歳までなので、どのホームページを見ても、東京都の案内見ると原則34歳までと書いてある。
神奈川や埼玉だったら何も考えないで、39歳までの方は相談に行けるのに。東京の人は35歳から上の人は
やっぱ諦めちゃう。だからそういう意味でも東京都の対策は本当におかしいなっていうことで、その改善を求めました。
やっぱり“青少年治安対策本部”という名称そのものも大問題だし、やっぱりそこに引きこもりの支援がある
というのもおかしい。これを変えさせる努力もしてきました。そして変えることができたんです。
Q:どういうふうに変わったんですか
里吉:保健福祉局に担当が変わりました。
そうすると、対象が34歳までが39歳までに広がっただけではなくて、その後の、今問題になっている
40代50代の引きこもりの方も含めて、幅広い年代の引きこもり対策が東京都としてできるということで、これは大きな一歩だったなという風に思っています。
Q:大事な取り組みですね。実際今、引きこもりの人はどれぐらいいらっしゃいますか?
里吉:100万人とも200万人とも言われています。実は、隠れてるって言ったらおかしいんですが
お父さんお母さんの介護が必要になった時に、介護の相談員が、世田谷でいうとあんしんすこやかセンターの職員の方がご自宅に行った時に、実は、お家に引きこもっているお子さんを発見するとか、そうやってわかることもあったりしています。
まだまだその相談窓口に相談に行ったことのない方が、たくさんいらっしゃるんす。だから実際、本当にどれぐらいいらっしゃるのかわからないですよ。
それで、今こういう本当にこう弱肉強食の社会だから、本当に生きづらさを抱えてご自宅に引きこもっていらっしゃる方、これからも増えていくと思うんです。コロナの影響もありますしね。
だけど決してそれは悪いことではなくて、やはり自分の身を守る、生きていくために社会との接点一回断ち切って、ご自宅で自分を守っているということも言えると思います。
それが悪いことじゃないんだよ、ということをやっぱりメッセージとして伝えたい。
本人が一番なんとかしたいと思ってるし、ご家族の方も何とかしたいと思っていると思うんです。けど、やっぱり人間エネルギーが底ついちゃったら立ち上がれないので、安心して引きこもっていられる社会っていうのも私はすごく大事だと思います。
その時に家族の方がね、みんなで引きこもっている方を温かく見守ってあげるために、家族の方の“親の会”っていうのがあるんですけど、これがすごく大事だと思っています。この親の会の活動をちゃんと応援する体制が東京都担当が保健福祉局に移ってから親の会とも連携してきこもり対策を取り組むという風に変わってきたので、これはそういう意味でもよかったなと思っています。
お父さんお母さん達が子どもが引きこもってることで負い目を感じたり、自分のことを責めている風になってしまうと、やっぱり解決しないし、引きこもっていることそのものが、やっぱり自分のことをいじめてしまう。そういう風になってしまうので、ご本人にとってもご家族にとっても家族会みたいな場所があったり、そういうことがすごく大事だなと思っています。
Q:ありがとうございます。最後にメッセージをお願いします。
里吉:今「オリンピックより命を守れ暮らしを守れ」と言ってますけど、本当にコロナで社会全体が貧困と格差も広がって生きづらさを抱える人が本当に増えていく社会だと思います。
社会全体が誰一人取り残さない、一人ひとりの人権が大事にされる社会にすることで、引きこもってる皆さんも、本当にその人らしく人生を選んでいけるような社会にしていきたいなと思っています。頑張ります!ありがとうございました。
インタビュー動画はこちらから
https://www.youtube.com/watch?v=FyNWPI9Z0nY