6月8日に開催された、「ヘイトをさせない!許さない!練馬のつどい」に参加し、これまでヘイトスピーチの現場を取材してきたジャーナリストの安田浩一氏の講演をお聞きしました。
ヘイトスピーチは各地で問題になっていますが、練馬区でも3月に各地でヘイトスピーチを行ってきた人物の講演会が企画され、区はその会場として会議室を貸し出し、中止を求める市民が駆けつける事態が発生するなど練馬区でもヘイトスピーチが発生する中で企画された講演会でした。
講演でヘイトデモの写真や映像を見ましたが、旭日旗やハーケンクロイツを掲げてのデモや殺せ、ゴキブリなど人間性も疑う常軌を逸した言動が白昼堂々行われていて、本当にひどいとしか表現できない気持ちになりました。しかも、著書を読むと、そうしたヘイトデモの動画をみて新たに参加する人がいるとのことですが、何故そんな気持ちになるのか理解できません。安田氏はヘイトスピーカーを取材する中で、彼らはネット上のデマを源泉に、娯楽として楽しんでヘイトをしているといいます。そんな気持ちで人格を傷つけられ、身の危険も感じる言動にさらされる当事者はたまったものではありませんし、決して容認されるべきではありません。
日本は、人種差別撤廃条約を批准しながら、差別を禁止し処罰することとした第4条だけは留保の姿勢をとり続けています。国連人種差別撤廃委員会が法整備を求めても、日本は①日本には表現の自由がある。②現在の日本に深刻な差別はない。との見解を示しました。しかし、尊厳を傷つけ恐怖を与える醜悪な行いを「表現の自由」を盾に放置すべきではありませんし、差別は関東大震災の時代からあり、2014年にもサッカーの試合で「JAPANESE ONLY(日本人以外お断り用)」と書かれた横断幕が掲げられるなど現在も差別は存在しています。今こそ、断固ヘイトスピーチは許さないという立場に政府が立って手立てをとるべきだと考えます。
安田氏は、街頭でのヘイトスピーチからふとした時に差別的な話が出るなど潜在化していると、ヘイト団体と同様のことを政治家や識者、芸能人が話すなど差別的な世の中になってきていると言います。今年は、「ヘイトスピーチ解消法」ができて3年目となりますが、理念法で当事者からは「何もかわらない。」との声もあります。一方で、川崎市では、公共施設でヘイトスピーチが行われる可能性が高いと判断した場合、貸し出さない方針をとり、そのためにヘイトスピーチ防止のガイドラインを策定するなど自治体が差別は許さないと条例制定をする動きも出てきています。
当事者が声も挙げられない中で、人や地域、社会を壊すヘイトスピーチや差別をなくすことは当事者ではない私たち、社会の多数派だと安田氏は言います。この重い問題に私自身、何ができるのか。今後も向き合っていきます。また、坂尻区議が共産党区議団を代表しての一般質問でヘイトスピーチへの区の姿勢について質問します。