9月15日の文教委員会、スピーキングテストの請願が継続審査 内容②

活動報告

9月15日の文教委員会で中学校英語スピーキングテストの高校入試活用の中止を求める請願がs審議され、「継続審査」という、議会が賛成でも、反対でもないという意思表示をしました。画期的なことです。議会中で、なかなかアップできませんでしたが、その時の私の質疑をアップします。↓ ↓ ↓

これは、抜粋です。「繰り返しになりますが」というような答弁は割愛しております。私のコメントは青字になっています。都側の答弁はです。

 

アオヤギ: 日本共産党のアオヤギ有希子です。請願四第九号、中学校英語スピーキングテスト結果の都立高校入試への活用の延期・見 直しに関する請願について伺います。

ー中略ー
七月から実際に申込みが始まりました。 しかし、問題が続出しています。 締切りの延長 や不受験者の対象変更など、 申込み開始後に新しく学校に通知されることも多く、当事者も 保護者も、 学校現場も混乱しています。
ー中略ー
来年の高校入試を控えた中学三年生にとって合否を左右する問題だけに、多くの保護者 や教員、 専門家らの反対の声が上がり、その世論はますます強くなっているのです。 東京 都教育委員会に、こんな状況で突き進んでよいのか、 鋭く問われています。
多くの問題を抱える英語スピーキングテストですが、 私どもはこの間、 予算特別委員会をはじめ、 文教委員会、 代表質問と、 問題点を指摘し、見直しを求めてきましたが、今日 は改めて、 様々な重大な点がありますので、順次伺います。
まず、不受験者についてです。
五月に、不受験者はどんな生徒を指すのかが発表され、とや議員が、不登校や場面敏黙 の子はどうするのかと聞いたら、 個別に判断という曖昧な答弁で、 当事者を不安にさせて いましたが、そのまま七月に申込みが始まっています。
あるご家庭は、不受験申請をしようとしたら、学校が区市町村教育委員会に問い合わせ、 ESAT-Jの登録が必要だといわれて諦めた生徒もいます。
そこでお聞きしますが、不受験申請に当たり、 ESAT-Jの申込みは必要ですか。
○指導推進担当部長: やむを得ない理由によりESAT-J を受験できない生徒に対する特別措置申請の対象となる場合には、 ESAT-J の申込みは不要でございます。
○アオヤギ:必要ないということですけれども、学校では判断できず、教育委員会に 問い合わせて、 ESAT-J の申込みをするよういわれたそうです。 実際、七月二十一日 には、突然新聞に、吃音の生徒は不受験でもよいと方針が報道されました。
八月三日には、区市町村に吃音や場面緘黙、 不登校などは不受験申請できると通知され ています。 九月三日になっても不受験申請ができることを知らない不登校の母親もいまし た。 学校に問い合わせたが、よく分からなかったという声もあります。
そこでお伺いしますけれども、区市町村や学校に対応が徹底されていません。 間違った 情報が伝わっているのはおかしいではありませんか。いかがですか。

○指導推進担当部長: 今、委員ご指摘の不受験者の取扱い、あるいは特別の措置の申頭につきましての情報につきましては、各教育委員会、それから学校に正式な通知として 情報提供しておりますので、それに基づき対応がなされているというふうに理解をしてお ります。

○アオヤギ :対応しているといわれても、実際に現場は混乱して、正確な情報が締切り間際になっても伝わっていないのです。 これで高校入試としてこのまま実施できるとは とても思えません。 そもそも障害のある生徒など、特別申請の期間延長も、テストの申込み期間も延長され るなど、そういったことが次々発表されました。 そして、変更の通知が学校にたくさん送られ、先生も対応に追われています。 こういった状況は都教委としてどのような認識ですか。
指導推進担当部長: 正確な情報が学校あるいは生徒 保護者に伝わるよう、正式な文書等々で周知をしてきているところでございます。学校あるいは教員等の意見を丁寧に聞き取る中で、追加の対応ということで行ってきて いる点はございますが、それは変更というよりも、学校の要望に応えるということで対応 してきているもので、それにより混乱が生じているというふうに私たちは認識をしており ません。
○アオヤギ: 混乱が生じているとおっしゃいましたけれども、(←私の聞き間違い、「混乱生じていない」という答弁は現状を把握していないのではないでしょうか。 さらに、不受験者になったからといって安心できるものではないということであります。 不受験者の生徒の点数を推計することにより逆転現象が起こり得ると多くの方は指摘しておりますけれども、このことをどう認識していますか。
○都立学校教育部長 :そもそも逆転現象というのがどういう現象を指すかというのは 定かではございませんが、一般的には、 学力検査の得点の高い方のスピーキングテストの 結果と、 低い方のスピーキングテストの結果が、不受験者の場合、たまたまそれが入れ違ったというのをいうとすればそれは不利にならないように取り扱った一定のルールの下に算出した結果でございますので、これを逆転現象というかどうかというのは、我々はそ うではないというふうに考えております。いずれにしても、やむを得ない理由によりスピーキングテストを受験することができな かった生徒らに対して点数を付与するに当たりまして、 都立高校入試において最も参考になり得る数値である英語学力検査の得点が同じ者等のスピーキングテストの結果を、平均値を用いて、 スピーキングテストに相当する点数を算出することが、起こり得る様々なケ ースを想定しても、合理的な最善の方策であると判断しております
コメント:不受験者について、「たまたま入違った」場合は、ルールの下にやっているので逆転現象とは言わない、は受験生にとって許されない、言葉ではないでしょうか。テストを入試に入れるから起きる不利益の責任転嫁は許されません。また、不受験の算出方法を「合理的で最善の方策」というのも言語道断だと思います。
〇アオヤギ :今の答弁は答えておりません。 これは逆転現象は起こり得ます。 このテストを二十点加えることで、 そして不受験者の類推で出している点数ですので、 これは受 けなかった場合と受けた場合で逆転現象が起きるのは当然のことだと思います。
そして、部長は前回のとや都議の質問に対して、 不受験者の点数の算出の仕方は相関性がないとおっしゃっておりますけれども、学力テストの点数の近い、ほかの生徒のスピー キングテストの点数から不受験者の生徒の点数を推定するということに、皆さんから驚き の声が上がっています。また、入試なのに、自分の点数が他人の点数によって決まるということが、あり得るのかと批判の声が高まっています。 本人の実力でない推計によりスピーキングテストの点数が決まり、 逆転現象が起こり、 合否が入れ替わる可能性もあります。 本人の実力でない部分でこうしたことが起こるとしたら、とても公平な入試とはいえな いと生徒や保護者から声が上がっていますけれども、どう考えますか。

都立学校教育部長:都立高校の入試は四万人の方が受検します。 不受験者の対応というのは、コロナにかかった、または場面緘黙の 方、吃音の方、そういった本人の責によらない、やむを得ない事情によりスピーキングテ ストを受験することができなかった、またはできない生徒に対しての措置ということでございます。 そういった生徒たちは点数がないわけですから、 では、そこを全くないという ことは全く合理性がないというふうに思います。そこで、都立高校入試において、 入試材料の中で最も参考になり得る数値である英語学力検査の得点が同じ水準の結果の方の平均値を用いて点数を算出することとしました。 こ ういったことで、起こり得る様々なケースを想定しても、合理的で最も最善な方策な代替手段であると判断しております。

アオヤギ:合理的だとおっしゃいますけれども、もうこのテストを導入することが、 不受験者という方たちをつくって、 そして、何としてもスピーキングテストをやろうとい うために、点数を類推、 推計値によって付与するということが、いろんな入れ替わりが、本人の実力ではない、そういった点数で入れ替わるというのは事実であります。

スピーキングテストをやめることが一番ですけれども、問題はそれだけではありません。 国私立中学生は受験できないとされていましたが、 突然、九月九日に希望者は受験できる と発表されました。 国私立中学生は、受ける、 受けない、選べますけれども、公立中学生は条件に当てはまらない限り選べません。 これで公正、 公平といえますか。

○都立学校教育部長: 都内公立中学校の方は全員をスピーキングテストの対象として おります。 国立、私立の中学生の方は、基本的には原則対象外といたしますけれども、希望すれば、積極的に活用したいということであれば、受験する機会をきちんと保障しております。 そういった意味で、 全く問題はないというふうに考えております。
○アオヤギ:とんでもないと思いますよ。 そんな全く問題ないなんて。 任意性がないんですよ。こっちの公立中学生には、 拒否することできないんですよ。 公立中学生は受 するかしないかの選択の自由はありません。 穴だらけの英語スピーキングテストを高校受検に無理に活用しようとして批判を受け、そのたびに方針をころころ変える。その結果、 入試に不可欠な公平性、公正性も後退していくのです。
また、都立高校によっては二割が国私立中出身です。 その生徒が不受験者として登録さ れていれば、公立中学校の生徒も影響を受けることになるのではないでしょうか。いかが ですか。
○都立学校教育部長 先ほど、今二割という数字がありましたが、基本的にはそんな に高くないと思います。 実質上、 今手元に数字はありませんけれども、そんな高くござい ません。
もう一度整理しますけれども、 私立中学の方、 国立中学の方、やむを得ない事情の方に はスピーキングテストの点数がないわけですから、何らかの措置を講ずることがむしろ公 平性、また合理的な選択になるということを我々は考えております。 そこで、こういった 不受験者の換算措置という形で我々は決めているということでございます。
アオヤギ: 今、高校によってほと申し上げましたけれども、二割が国私立中学出身の学校があるのは) は事実です。 公立中学校の生徒も影響を受けることになるのではないかというふうに聞い ていますけれども、お答えはありませんでした。
公立中学生にとってもこれは人ごとではありません。 自分の努力が結果として得られる かどうかも分からない、公平さを欠く入試はやめるべき。 入試はやるべきではありません。厳しく指摘をしておきます。
また、さらに問題はあります。不受験者の得点開示について、先ほど時期までおっし ゃいましたけれども、 合格発表後、不受験者へ知らせていくというふうにいっておりまし た。開示請求が可能といいますが、それは合格発表の後です。 多くの受験生は模擬テストを受け、その結果と直近の調査書点も入力して志望校を決めています。ところが、 ESAT-J の点数がないため、不受験の生徒は判断材料が欠けた状態で志 望校を決定しなければなりません。 最高二十点という大きな点数が欠けた状態で志望校を 選べば、自分の行きたい学校、実力に見合った学校など、判断することはできません。 極 めて重大な欠陥だといわざるを得ません。

生徒の個人情報についても伺います。
個人情報をベネッセのサイトに登録したくないという生徒がいます。 過去に情報漏えい を起こしたことがあれば当然です。 この問題は住民監査請求まで起こっています。 個人情 報漏えいを起こしたベネッセに個人情報を登録したくない、名前や生年月日、顔写真、 連 絡先を登録したくないという人もいます。個人情報を渡したくない人はやむを得ない事情に該当しますか。 不受験者の対象ではないでしょうか。
指導推進担当部長:個人情報は、 受験票の発行ですとかテスト会場における本人確認、あるいは結果の帳票などの作成に用いるもので、必要不可欠のものでございます。 そ の旨を周知した上でご理解をいただき、 情報を登録するということを求めております。 ご理解をいただいた上で申し込みいただいており、それを不受験の理由というふうにすることについては考えておりません。
○アオヤギ:こういった事情を考慮しなければ、 当然、 これを諦めざるを得ないという方はいらっしゃると思います。 また、自らの障害など、 デリケートな情報を民間の事業者に渡すのに抵抗がある親もいます。 また、 しかし、登録はなければ受験できない。 0点になってしまいます。
このテストは、個人情報の提供や個人情報の取扱いに同意せずに登録する方法がありま せん。冒頭で紹介した住民監査請求では、 任意性のない同意は無効としています。 都教委 はこうした指摘を重く受け止めるべきです。
そして、さらに問題はあります。 生徒の個人情報の取扱いについて伺っていきます。
先ほどの委員の答えで、個人情報をいつ削除するのかということは、四年間保存し、削 除とおっしゃいましたけれども、 入試の採点ミスがあったときに、少なくとも在学中は確認できるようにという判断だと思いますけれども、採点ミスの可能性を考えれば、 四年間 の保存は当然ですが、では、誰が保存、 管理するのか。 都教委が直接保存、管理するんで しょうか。
○指導推進担当部長: 音声データは都教育委員会が所有し、事業者が管理をいたします
○アオヤギ:都教委が管理し事業者、ベネッセが管理する、保存するということです。 結局ベネッセであります。
もう一つ伺います。 誰がこのテストの音声を管理するのか。 音声は、開示は先ほどやる といいましたけれども、もう一度、お答えいただいているかもしれませんが、設問別の点 数は開示するのかお伺いします。
指導推進担当部長 :データにつきましては都教育委員会が所有し、事業者が管理を いたします。
それから、音声につきましては、現在、音声あるいは付随する情報についても含めて、なるべく生徒に還元できるようにということで準 備しているということは、先ほど答弁を申し上げたとおりでございます。
◯アオヤギ: 準備しているということでありますけれども、こういったことも今まで本当に知らされていないわけですね。そんな中での申込みが続いております。 当初、音声データも開示できないとしてきたのが、今、開示できるということがとても 不思議であります。 しかし、 都教委が所有するといっても、実際はベネッセが持っているということです。 もう一つ伺います。 設問別データについてはどうでしょうか。 開示するんでしょうか。(設問別データは、100点満点中何点か、ということです。)
指導推進担当部長:先ほどの答弁の繰り返しになりますが、音声データあるいはそ の他につきましては、現在、何をどのような形で、いつするかについて、 最終の調整を行っているということでございます。この間も、音声データを開示しないというふうに答弁したことはございません。 なるべ く生徒の指導の学習の改善に生かせるようにということで、日々、取組の改善を続けてい るということですので、その点につきましてご理解いただければというふうに思います。
コメント:「改善を続けている」ということは、まだ準備不足ではないでしょうか。入試に活用できる状況ではありません。
○アオヤギ: 音声データを開示しないといったことはないとおっしゃいますけれども、 ずっと答えていないじゃないですか。どうするかというのは。 そして、調整中ということ で、 いまだにそれは分からないということです。自分がどう話したのかの音声データと、 それが何点だったのかというのがセットで分からなければ意味がないではありませんか。 何より、デリケートな生徒の情報が民間事業者にいとも簡単に手に入る仕組みがESAT-Jであることが分かります。 教育産業は、 子どもたちの個人情報を喉から手が出るほど欲しがっています。 それを都教委自ら差し出しているようなものです。
これまでの質疑で、生徒や保護者が求める情報開示は一歩進みそうでありますけれども、 一方で、一番慎重に取り扱うべき生徒の個人情報は、 民間企業の手のひらにあるということが分かりました。 これでは生徒や保護者の不安がいまだ払拭されているとはとてもいえ ません。 こんな状況で試験が行われ、 入試に活用されれば、事故が起きてもおかしくあり ません。 住民監査請求で指摘されている違法性、 保護者の声に真摯に向き合うことを求めておきます。
コメント:音声データの開示、設問データの開示の可能性など、申し込み期間中には知らされなかった生徒も多いと思います。ベネッセに4年間保管の保護者の同意も得ていません。
都教委は重大な事態を取り繕って強行しようとしていますが、もう破綻しています。直ちに中止すべきです。