また、さらに問題はあります。不受験者の得点開示について、先ほど時期までおっし ゃいましたけれども、 合格発表後、不受験者へ知らせていくというふうにいっておりまし た。開示請求が可能といいますが、
それは合格発表の後です。 多くの受験生は模擬テストを受け、その結果と直近の調査書点も入力して志望校を決めています。ところが、 ESAT-J の点数がないため、不受験の生徒は判断材料が欠けた状態で志 望校を決定しなければなりません。 最高二十点という大きな点数が欠けた状態で志望校を 選べば、自分の行きたい学校、実力に見合った学校など、判断することはできません。 極 めて重大な欠陥だといわざるを得ません。
生徒の個人情報についても伺います。
個人情報をベネッセのサイトに登録したくないという生徒がいます。 過去に情報漏えい を起こしたことがあれば当然です。 この問題は住民監査請求まで起こっています。 個人情 報漏えいを起こしたベネッセに個人情報を登録したくない、名前や生年月日、顔写真、 連 絡先を登録したくないという人もいます。個人情報を渡したくない人はやむを得ない事情に該当しますか。 不受験者の対象ではないでしょうか。
○指導推進担当部長:個人情報は、 受験票の発行ですとかテスト会場における本人確認、あるいは結果の帳票などの作成に用いるもので、必要不可欠のものでございます。 そ の旨を周知した上でご理解をいただき、 情報を登録するということを求めております。 ご理解をいただいた上で申し込みいただいており、それを不受験の理由というふうにすることについては考えておりません。
○アオヤギ:こういった事情を考慮しなければ、 当然、 これを諦めざるを得ないという方はいらっしゃると思います。 また、自らの障害など、 デリケートな情報を民間の事業者に渡すのに抵抗がある親もいます。 また、 しかし、登録はなければ受験できない。 0点になってしまいます。
このテストは、個人情報の提供や個人情報の取扱いに同意せずに登録する方法がありま せん。冒頭で紹介した住民監査請求では、 任意性のない同意は無効としています。 都教委 はこうした指摘を重く受け止めるべきです。
そして、さらに問題はあります。 生徒の個人情報の取扱いについて伺っていきます。
先ほどの委員の答えで、個人情報をいつ削除するのかということは、四年間保存し、削 除とおっしゃいましたけれども、 入試の採点ミスがあったときに、少なくとも在学中は確認できるようにという判断だと思いますけれども、採点ミスの可能性を考えれば、 四年間 の保存は当然ですが、では、誰が保存、 管理するのか。 都教委が直接保存、管理するんで しょうか。
○指導推進担当部長: 音声データは都教育委員会が所有し、事業者が管理をいたします。
○アオヤギ:都教委が管理し事業者、ベネッセが管理する、保存するということです。 結局ベネッセであります。
もう一つ伺います。 誰がこのテストの音声を管理するのか。 音声は、開示は先ほどやる といいましたけれども、もう一度、お答えいただいているかもしれませんが、設問別の点 数は開示するのかお伺いします。
○指導推進担当部長 :データにつきましては都教育委員会が所有し、事業者が管理を いたします。
それから、音声につきましては、現在、音声あるいは付随する情報についても含めて、なるべく生徒に還元できるようにということで準 備しているということは、先ほど答弁を申し上げたとおりでございます。
◯アオヤギ: 準備しているということでありますけれども、こういったことも今まで本当に知らされていないわけですね。そんな中での申込みが続いております。 当初、音声データも開示できないとしてきたのが、今、開示できるということがとても 不思議であります。 しかし、 都教委が所有するといっても、実際はベネッセが持っているということです。 もう一つ伺います。 設問別データについてはどうでしょうか。 開示するんでしょうか。(設問別データは、100点満点中何点か、ということです。)
○指導推進担当部長:先ほどの答弁の繰り返しになりますが、音声データあるいはそ の他につきましては、現在、何をどのような形で、いつするかについて、 最終の調整を行っているということでございます。この間も、音声データを開示しないというふうに答弁したことはございません。 なるべ く生徒の指導の学習の改善に生かせるようにということで、日々、取組の改善を続けてい るということですので、その点につきましてご理解いただければというふうに思います。
コメント:「改善を続けている」ということは、まだ準備不足ではないでしょうか。入試に活用できる状況ではありません。
○アオヤギ: 音声データを開示しないといったことはないとおっしゃいますけれども、 ずっと答えていないじゃないですか。どうするかというのは。 そして、調整中ということ で、 いまだにそれは分からないということです。自分がどう話したのかの音声データと、 それが何点だったのかというのがセットで分からなければ意味がないではありませんか。 何より、デリケートな生徒の情報が民間事業者にいとも簡単に手に入る仕組みがESAT-Jであることが分かります。 教育産業は、 子どもたちの個人情報を喉から手が出るほど欲しがっています。 それを都教委自ら差し出しているようなものです。
これまでの質疑で、生徒や保護者が求める情報開示は一歩進みそうでありますけれども、 一方で、一番慎重に取り扱うべき生徒の個人情報は、 民間企業の手のひらにあるということが分かりました。 これでは生徒や保護者の不安がいまだ払拭されているとはとてもいえ ません。 こんな状況で試験が行われ、 入試に活用されれば、事故が起きてもおかしくあり ません。 住民監査請求で指摘されている違法性、 保護者の声に真摯に向き合うことを求めておきます。
コメント:音声データの開示、設問データの開示の可能性など、申し込み期間中には知らされなかった生徒も多いと思います。ベネッセに4年間保管の保護者の同意も得ていません。
都教委は重大な事態を取り繕って強行しようとしていますが、もう破綻しています。直ちに中止すべきです。