スピーキングテストの文書質問をしました。

活動報告

3月の議会の終わりに提出した、東京都中学校英語スピーキングテスト、ESAT-Jの文書質問の答弁が公表されました。

昨年の11月に実施されたスピーキングテストは、様々な問題、疑問を解決しないまま、その結果を東京都教育委員会は、都立高校入試に活用してしまいました。

民間試験事業者のベネッセコーポレーションの商品と酷似するESATJを入試に活用することで起きる不公平や、瑕疵が残されています。今年度も活用中止を求めていきます。

3月の議会で明らかにならなかったことを中心に、質問しました。ご参考にしてください。

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ESAT-Jは、設問別の点数を公開しない(できない)テスト、検証を十分にされないテスト。

都教委の音声開示の申請者、個人情報の請求者の人数がわかりました。

Q1、中学校英語スピーキングテスト (ESAT-J) の試験結果の公開については、 9月15日の文教委員会の質疑において、音声データと設問別の点数は公開するのか、という問いに、「音声あるいは付随する情報についても、なるべく生徒に還元できるように準備をしている」という答弁でした。 しかし、2月の文書質問の答弁では、「音声データは公開する」と、設問別の点数については公開しないことが明らかになりました。 設問別の点数を公開しないと決めたのはいつですか。

 都教委A1:スピーキングテストでは、外国語運用能力等の国際的な基準を踏まえ、その到達度を総括的に6段階で評価しており、設問ごとの採点結果の公表はしないこととしています。
 令和5年1月に、スピーキングテストを受験した中学3年生に対して、今後の学習に役立つよう、必要なアドバイスが記載されたスコアレポートを返却するとともに、 付随する情報として、 設問ごとに多数の解答例を示し、コミュニケーションの達成度などの観点別の評価結果を記載した資料を提供しました。

コメントー「いつですか?」の問いに、この答えです。皆さんはどう思われますでしょうか。
昨年9月15日の議事録を見てもわかる通り、設問別の点数の公開について「最終調整中」と答ええているにもかかわらず、「付随するデータ」を「解答例」とすり替えている答弁です。
ちなみに「外国語運用能力等の国際的な基準を踏まえ、その到達度を総括的に6段階で評価しており、」→これはCEFRーJのことだということです。そう答えた方がわかりやすいと思いますが、、、。

Q2 、設問別の点数がわからなければ、 自分がどのパートでどういう点数だったかわからず、都立高校入試で行ってきた点数を公開し、 得点疑義を照会するシステムがなくなってしまいます。また、アチーブメントテス トとしても各パートがどのような結果だったのかわからないと成り立たないと思います。 ESAT-Jは、なぜ設問別の点数が公開できないの でしょうか。 それとも、元々、公開するシステムがなかったのですか。

A2:スピーキングテストでは、外国語運用能力等の国際的な基準を踏まえ、その到達度を総括的に6段階で評価しており、 設問ごとの採点結果の公表はしないこととしています。

コメントー設問別の公表しないこととしているなら、9月や11月にも質問しているのですから、最初からそう答えるべきです。試験前に設問別の点数が公表できないことがわかれば、批判が集中するため、それを避けるために「調整中」という答弁を続けたのでしょうか。

Q3、 8人の採点ミスにおいては、都は、「一定の機械音のみが録音されいると、 解答音声が部分的に確認できない箇所があるというもので、受験者が無解答なのか、あるいは機器の不具合なのか判別が難しいという事象であったということが原因」 と答弁しています。 この採点のし直しでは、音声が欠落した部分は一部で、各パートで採点しなおしがあったと見受けられますが、各パート、 設問ごとで採点結果が出せるのではないでしょうか。

A3:
スピーキングテストでは、外国語運用能力等の国際的な基準を踏まえ、 その到達度を総括的に6段階で評価しており、設問ごとの採点結果の公表はしないこととしております。

コメントー各パートで採点しなおしが、できるのか?できないのか?と聞いているのに、3問とも回答が一緒です。入試に活用するテストなのに、都民の疑問に対してきわめて不誠実だと考えます。

Q4,入試に活用するつもりであるならば、なぜ募集時の募集要項で、音声データ、設問別データの公表を義務付けなかったのですか。

A4:
音声データは、生徒の学習改善により一層資するよう提供することとし スピーキングテストでは、外国語運用能力等の国際的な基準を踏まえたものです。
その到達度を総括的に6段階で評価しており、設問ごとの採点結果の公表 はしないこととしております。

コメントーまたしても同じ回答。5年前の事業者募集時は、都教委は全く、入試において解答の疑義の照会が必要だということを、想定していなかったのではないかと思います。

Q5、音声の開示ができることを学校から知らされないまま卒業したという  声があります。生徒にはどのような案内をしたのですか。

A5:都教育委員会は、音声データの提供に関する通知及び生徒・保護者向け の案内を区市町村教育委員会を通じて、 中学校に周知しています。 あわせて、都教育委員会のホームページに音声データの提供に関する案内を掲載しています。

コメント―周知の方法は区市町村教育委員会に、メールを送付したということだそうです。これでは、全員にわたってはいないと考えます。

【音声提供について】
Q6、 都教委の音声提供の申請者数と、音声データの提供者数、 個人情報保護条例に基づく保有個人情報の開示請求者数と開示された人数を、現在のところをそれぞれお示しください。

A6:音声データの提供について、 令和5年4月末現在の申請者数は88人、提供者数は38人です。
保有個人情報の開示請求について、同年4月末現在の請求者数は3人、 開示非開示等の決定をした人数は0人です。

解説ー都教委の音声データの開示数が、申請者よりも50人少ないのは、都立高校入試の合格者の申請者だったそうです。合格者はもう一度5月1日から申請し直しが必要だということです。
合格者の開示を遅らせる理由が、当初は、都立高校入試と同じく、入試の疑義の照会を不合格者から行うはずでしたが、都教委が加工した音声では、そもそも、合格者と不合格者を分ける理由がありません。
また、都教委が加工した音声データでさえ、3月中の公表にならなかった、という声もあります。採点の疑義の照会ができない、と言うことです。

Q7、募集要項には、「スピーキングテスト実施後の検証」とかかれ 「ア問 7 題の内容に関すること。 イ実施方法に関すること。 ウ運営に関すること。エ 経費に関すること」 を事業者が毎年報告することになっていますが、これを公表し、また都教委自身も事業者に対して独自に調査をするのが 事業主として責務であり、 実施をして公表すべきではない ですか。

A7:都教育委員会は、事業者から報告書の提出を受けて実施状況を確認し、 令和5年4月13日に開催された第6回教育委員会定例会で報告しました。 なお、経費については、 今後決算の中で確定します。

解説ーhttps://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/administration/general/regular_meeting/2023/files/announcement20230411/03.pdf  ←この報告の2枚目「(2)令和5年度の実施の方向性」の4行が検証内容である、という説明を受けました。あまりに、不十分な「検証」だと言わざるをえません。

Q8、前回の文書質問において、 ESAT-Jの試験監督業務を行うべネッセが、 高校入試のノウハウがあるのか聞くと、 「大学入試等に広く活用されている実績がある」と答弁しました。 改めて伺いますが、 8万人規 模の生徒が一斉に各会場で、アルバイトで雇われた人が試験監督をし、 実施をした実績があるのですか。 また、解答に影響の与えないトラブル はあったのでしょうか。今回の試験監督の履行状況については、 検証は行われるのですか。

A8:都教育委員会は、令和3年度にプレテストを実施しましたが、 公立中学3年生全員に対して、同一日に試験を実施したのは、令和4年度が初めてです。欠席等の連絡を受ける電話回線が混雑し、一時つながりにくくなるなどの事象はありましたが、テストは、事業者及び配置した都職員からの報告、 区市町村教育委員会への聞き取りなどにより、適切に実施されていること を確認しています。

コメントー8万人を一斉に実施するのは初めてだったと認めました(当たり前ですが)。個別の大学入試の実績があっても、ESAT-Jは全くスキームが違い、ノウハウがあった、とは言い難いです。初めてやったことなので、様々なことが起きた、と子どもたちが報告しています。この声を聴いて、入試活用は立ち止まるべきでした。謙虚に、本気で検証していこうという姿勢が、全くありません。

Q9、 都教委は試験実施後のトラブル報告については、試験直後の電話での聞き取り、 実施事業者からの報告、都職員の報告で問題はないとしてい ますが、私ども英スピ議連と団体の皆さんと共同で行ったアンケート結 では、「後半組だったのですが、隣のクラスの声がちょこちょこ聞こえてきました。イヤホンの上から変なヘッドホン(?)をしたのですが、 設定の時に片耳のイヤホン、ヘッドホンをつけた際に少し外れてしまっていて音を大きくしていました。 設定が終わり試験開始までヘッドホンを外せと言われ外し、その際にイヤホンをしっかりとつけ直しました。 試験が開始されヘッドホンをつけた時に設定の時の音のままで、大音量でうるさかったので音を下げようとしたのですが、 ボタンを押しても全く下がらず頭に大きな音が響き渡り途中で頭が痛くなって泣いてしまい ました。 機材についてもイヤホンの先端のカバーを自分達で付けろと言われつけたのですが、なかなか付けられずに説明だけが先に進んでしま い追いつけませんでした。 試験監督も自習中に爆睡していて気分が悪かったです。」という中学3年生の声がありました。
 これは、 本人しかわからないトラブルであり、子どもたちから直接聞かなければわからないトラブルもあるのではないですか。 子どもたちからの声を遮断する理由をお答えください。

A9:都教育委員会は、個別の施策内容や子供が置かれた環境などを勘案し、それにふさわしい方法で子供の意見を聞いています。
スピーキングテストの実施状況等については、区市町村教育委員会を通 じて、日頃から生徒指導を行っている中学校からの報告を聞き取り、テス トが適切に実施されたことを、 都教育委員会として確認しました。

コメントー都教委は、子どもから直接声を聞く気がない、ということです。重大なことだと思います。
試験中のトラブルを聴取する「ふさわしい方法」は、子どもから直接聞くことです。子どもから聞かないことが「ふさわしい方法」という主張は、誰からも理解されないと思います。

Q10 、会場のベネッセが集めたアルバイトに対し、 試験会場に配置された東京都の職員は、 偽装請負になるため、 直接指示を出すことはできません。 都教委は「会場内を巡回した」 と答弁されましたが、都の職員は試験中、教室内に入ったのですか。また、トラブルがあった時、直接、対応 をしたのですか。

A10:テスト当日、都職員は、受験状況の確認や生徒の携帯電話等通信機器に関する業務のほか、教室の中や廊下の巡回を行いました。また、テストの実施は、協定に基づき事業者が行いました。

解説ー私が「試験中」と聞いているのに、「テスト当日」を答える都教委。皆さん、どう思いますか。試験中は、当然、都教委の職員は入室していないのです。試験中のトラブルを知るはずがありません。
都教委の職員からの報告だけでは、実際なにが起きたのかわからない、ということです。

Q11、 試験会場での音漏れ、問題の漏えい、採点ミスが報告されていますが、 都教委はESAT-Jについて、どのような場合に、 是正措置をするのですか。

A11:スピーキングテストは、事業者及び配置した都職員からの報告、区市町村教育委員会への聞き取りなどにより、 適切に実施されていることを確認しており、 テストの結果を都立高校入試で活用したところです。評価の誤りについては、適切に対応しました。

コメントー「どのような場合に」是正措置をするのかと聞いているのに、「どうやったのか」を答える都教委。都立高校入試のリスニングテストでは問題を配り遅れた学校では、是正措置が行われました。民間試験会社が制作したESAT-Jにはその水準の、是正措置のルールがないのでしょうか。ルールを示さないと、どんな場合でも、是正措置をしない、ということになります。とんでもない試験ですよね。

以上が文書質問の前半です。後半も順次公開します。後半はIRTのことや次期契約のことです。