戦争する国を、家庭からつくっていく《家庭教育支援法案》

活動報告
 安倍政権が戦争する国づくりを着実にすすめています。
 自衛隊を海外で武力行使をできるように、集団的自衛権を閣議決定し、秘密保護法をつくりました。そして戦争法により実質的に自衛隊を海外へ派遣することができるようになり、今度は憲法9条そのものに手を加えようとしています。
 国民が政府の行うことについて「反対だ」と声を上げることを萎縮させ、問題だと警察が判断すれば、いくらでも捜査することが許される共謀罪が強行採決されました。
 そして「戦争する国」づくりを、今度は子育て・家庭のなかにまで進めようというのが、この「家庭教育支援法案」です。「家庭教育」を「支援」する法律と聞くと、真っ当な法律なのでは?と思っちゃいますが、この中身がとんでもないものです。
 国が「理想とする家族の姿」「望ましい子どもの育成」について「家庭教育」を「基本方針」に定め、「家庭教育学級」等を通して、家庭に押し付ける構造になりかねません。法案では、基本理念として…
 「保護者の第一義的責任において、保護者が子に生活のために必要な習慣を見つけさせるとともに、自立心を育成し、心身の調和のとれた発達を図るよう努める」
 とか、
 「保護者において、子育ての意義についての理解が深められ、かつ、子育てに伴う喜びが実感されるように配慮して実施」
 するなどとあり、これに基づいて国は基本計画を策定します。
 そもそも、国が子育てや親のあり方や、子どもの心身の発達までも「こうあるべき」と口を出すこと自体がおかしいです。「生活習慣」といっても、思想信条や信仰などだけみても家庭によって全く違います。
 この法律が成立するとどうなるか。
 国が求める「人材」を育てるために「支援」の名のもとに家庭に介入する仕組みができることになります。このことについて、今日の「赤旗」文化面に、大阪大学教授の木村涼子教授がまとめていました。

「この法案は、子育て世代を本当に支える支援よりも、まるでノスタルジーの中にしか存在しない『妄想的願望』のような家庭像・母親像を作りだすことに腐心するものだ。子どもを産んでちゃんと育てろと、『親教育』すれば、少子化問題も種々の青少年問題も全て片付くかのような精神主義がバックボーンとなっている。」
「法案の大きな問題は、私的空間への公権力の介入という点だ。第2条「基本理念」では、生活習慣や自立心、心身の調和のとれた発達、社会との関わりの自覚を培うことなどが、「父母その他の保護者」の役割として規定されている。
これらは一見常識的な内容に見えるが、国家によって法制度化された場合、時の権力が求める《望ましい子どもの育成》が強制される状況となり得る。
 当初案にあった「家庭教育の自主性を尊重」の削除が検討されていると聞くが、そうなれば国家による家庭への強制的介入は歯止めがなくなる」
 安倍政権、とんでもないことを考えています。
これは「支援」の名を借りた「支配」です。
そもそも、家庭教育支援といいますが、子どもには、思想良心の自由(憲法19条、子どもの権利条約)が保障されています。
 子どもは一人の人格をもった個人として尊重されます。
そして子どもの教育は、子ども自ら成長発達のために学習する権利があります。
 子どもの権利条約では、子どもの最善の利益に基づいて指導する責任はまず第一に子どもの両親にあることが確認されています。保護者には、子どもの最善の利益に基づいた教育を行うことについて、国家的介入を排除するという意味での「親の教育の自由」が存在します。
つまり、家庭教育の「支援」というならば、様々なニーズをもつ子どもを中心において、子どもを固有の人間として尊重し、尊厳を守ることを前提に、学費の無償化や子どもの貧困対策、医療や福祉の充実など、子どもの成長発達に応える必要があります。
しかし、「家庭教育支援法案」では、国がこれが《望ましい子どもの育成》と設定することで子どもや家庭に価値観を押し付ける、介入することになります。それは、子どもの思想・良心の自由、学習権を侵害するものです。
 「支援」の名を借りて「生活に必要な習慣」など、国が生活規範や意識を、「公共心」や「愛国心」といった一定の価値観を設定し、家庭教育を利用して子どもに押し付け、「支配」することを可能にするものです。
 「家族」といっても、それぞれ事情があり、個人個人のライフスタイルはまるで違います。家庭の事情を尊重し守る立場にまるで立っていないのがこの法案の問題点です。
 木村教授は最後にこうまとめています。
「共謀罪成立に突っ走った政府が握りつぶそうとしている不正が、教育勅語の暗唱や『安倍総理万歳』を幼児に叫ばせる森友学園などであることが、実に戯画的な状況を呈している。強調しておきたい。この政治状況の下でもし家庭教育支援法案が提案されるとすれば、それは真に人々を支援するものには決してならない。」
いま、日本は本当に歴史の岐路に立たされています。
 今回の憲法破壊、国政を私物化する安倍政権を一刻も早く退陣させなければ、私たちの日常、「家庭」や子どもたちの日常さえも破壊されかねません。
 都議選で審判を下しましょう!

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