安倍政権追随、区民に悪政押し付けは許さない 田中まさや区議会議員が、区政リポート4月5日号を発行しました
区議会第1回定例会閉会 田中まさや議員の討論②
安倍政権追随、区民に悪政押し付けは許さない
3月26日約1カ月にわたる区議会第1回定例会が閉会しました。この定例会は、長谷部区政の4年間と今後の区政の方向が問われた議会でした。私は党区議団を代表して、最終本会議で区長提案2019年度予算に対する反対討論で、悪政を告発し党区議団の区政改革の提案を行いました。前回に引き続いて、私の討論をご紹介します。
反対の第1の理由は、憲法と基本的人権を踏みにじって、若者の名簿を自衛隊に提供しているからです。
安倍政権は、安保法制によって海外での武力行使や集団的自衛権の行使が認められた自衛隊を憲法9条2項に明記して、海外で戦争できる憲法に変えようとしています。さらに、首相は国会で、「6割以上の自治体が自衛隊員募集に協力していない」、「このような状況に終止符を打つためにも自衛隊を憲法上明確に位置づける」と答弁しており、改憲の狙いが、自衛隊を海外の戦争に参加させるとともに自衛隊員の募集に自治体を協力させ若者の名簿を強制的に差し出させるためであることが明らかになりました。
そもそも、自衛隊員の募集のために自治体が、無断で住民の個人情報を提供すること自体が重大な人権侵害です。岩屋毅防衛相も、「強制はできない」と国会で答弁しており、渋谷区個人情報保護条例第15条でも、「個人情報を、区の機関以外の者に提供するときは、本人の同意を得なければならない」と定めているのです。
区が、本人の同意も得ずに18歳から27歳までの区民の名簿を自衛隊に提供していることは、国や自治体に基本的人権の尊重を求める憲法に反しており、直ちに中止すべきです。そして戦前のように自治体を政府の出先機関のように扱い、若者を再び戦場に送ることにつながる安倍9条改憲にきっぱり反対すべきです。
第2の反対理由は、政府の社会保障大改悪を丸ごと区民に押し付け、区民のくらし、福祉を後退させていることです。
⑴1点目は、くらしの悪化に苦しむ区民にさらに負担増を押しつけていることです。
国民健康保険料は、15年連続の値上げで、来年度は一人あたり、平均5,865円の引き上げで、13万9,067円、35歳夫婦と子どもの4人世帯の国保料は、42万9,917円となります。党区議団のアンケートでは、国保加入者の89%が保険料の負担が重いと答えており(下表)、滞納者も3割近くに達します。既に負担の限界を超えている国保料を値上げすることなど到底認められません。
政府は、自治体が行ってきた保険料負担軽減のための国保に対する公費繰入れをなくそうとしています。長谷部区長は、政府の言いなりに公費繰入れを、「段階的に解消していく」として、18、19年度で8億1400万円も削減してきました。渋谷区の場合、法定外繰り入れをなくせば、先ほどの例では、国保料は48万980円となり5万4千円以上の値上げとなります。
全国知事会も求めているように、1兆円規模で公費負担を増やせば、保険料を協会けんぽ並みに引き下げることができます。国に求めるべきです。区としても、一般会計からの繰入を1億9千万円増やして、子どもの均等割りを半額にするとともに、低所得者の保険料を減額すべきです。
また、区が、4月から小中学校の給食費を値上げしようとしていることは、子育て支援の強化と義務教育の無償の原則に逆行するもので絶対に認められません。
この値上げによって保護者の年間負担額は、小学校低学年で4万6740円、中学年で4万9470円、小学校高学年は、5万2200円、中学生で6万1476円と重い負担となります。
いま学校給食の無償化を求める世論と運動は全国に広がり、一部も含め無償化に踏み出している自治体は202におよびます。給食費の値上げを中止するとともに、3億5000万円で実施できる学校給食費の無償化を直ちに実施すべきです。
⑵2点目は、区民の声と運動で実現した全国に誇る渋谷区独自の高齢者、障がい者、生活保護世帯の福祉を次々と切り捨てていることです。
高齢者の尊厳を守るために、区が独自に介護サービスを上乗せする区型介護サービスの区独自のヘルパー派遣事業は、全国にも誇るべき高齢者福祉施策です。しかし、区は、高齢者の自立のために上乗せしてきたサービス利用を介護認定限度額の範囲内に制限するとともに、単価の低い緩和サービスAに置き換えたために、予算が大幅に削減され、新年度も401万円、4.7%も削減しています。国が要支援に続いて要介護Ⅰ、Ⅱの生活援助を介護給付から外そうとしているもとで、高齢者の自立した生活を維持するために必要なサービスが受けられるようにすることは区の責務です。区型介護サービスの利用制限はやめるべきです。
区は、障がい者の社会参加や病院への通院などに活用されてきた福祉タクシー券を、2015年度から月額4,600円から3,500円に減額し、さらに2019年度は、42人分882万円の予算を削減しています。障がい者からは、「通院の負担が増えた分、生活を削らなければならなくなった」との声が上がっており、障がい者のいのちとくらしを守るために支給額を月4,600円に戻すべきです。
生活保護制度は、憲法25条の生存権をすべての国民に直接保障する最後のセーフティネットです。ところが国は、貧困が広がり国民生活が悪化しているのに合わせて、生活扶助費を2018年度から3年間で最大5%も削減しています。渋谷区の場合、高齢単身世帯で1カ月4000円・約5%、40代夫婦と小・中学生の子ども2人の世帯では、1カ月9,260円・4.5%もの減額です。猛暑の夏も冷房代を節約し、冬の寒さでも暖房もつけずにガマンしているのが生活保護世帯の実態です。区民のくらしを守る立場に立ち、国の扶助費削減に反対するとともに、区として総額2300万円あれば復活できる夏冬の見舞金を元に戻すべきです。
また、生活福祉の窓口を本庁舎から切り離し美竹第二庁舎に移転したことに、区民から「生活保護利用者を排除するものだ」との怒りの声が広がっています。区の責務は、生活保護が権利であることをすべての区民に周知して、誰もがくらしに困ったときに気軽に利用できるようにすることであり、窓口を別の棟に追いやることではありません。直ちに本庁舎に戻すべきです。
子どもたちの校外学習の施設であった山中高原学園、富山臨海学園を廃止したため、区の教育環境が後退しました。小学生がこれまで富山臨海学園で行っていた海水浴について、新年度に区が指定した国立施設で海水浴を計画している学校はありません。財政削減のために、子どもたちが楽しみにしていたかけがえのない自然体験の機会を、子どもや保護者の意見も十分に聞かず廃止したことは許されないことです。富山臨海学園は復活させるべきです。
⑶子育て支援や高齢者福祉などの充実を求める区民の声に応えていないことです。
「安心して働き続けられるよう認可保育園を増やして」との保護者の願いは切実です。ところが今年4月の入園申請は1810人に対して、内定者は2月15日現在で1159人と651人が入所できない事態であり、待機児解消は喫緊の課題です。
この間、区は本町第二保育園など区立保育園を次々と廃園し、さらに「多様な保育」を待機児対策の受け皿にしようとしています。しかし、「東京都保育ニーズ実態調査」では、公立認可保育所への入所希望が5割、私立認可が4割に上っており、保護者の願いは質の確保された認可保育所です。一方、政府の進める多様な保育の一つである企業主導型保育は、保育士の一斉退職や突然の休園が相次ぐなどで定員の6割しか埋まっていません。
保育士の確保など質の確保された保育園を早急に整備して待機児を解消するために、区立を中心に認可保育園を増設すべきです。
全産業平均より7万円から10万円も賃金月額が低い保育士の処遇を改善することは、すべての子どもに質の良い保育を保障するためにも、認可保育園を急速に整備するうえでも早急に取り組まなければなりません。国、東京都に対し抜本的な補助額の増額を要請するとともに、区独自施策として、世田谷区が実施しているように、保育士に月額1万円の補助制度を実施すべきです。
子どもの医療費の中学生までの無料化は、保護者や小児科医などの粘り強い運動で実現しました。保護者からは、「子どもが高校生になって、お金のことを心配して、軽いケガや風邪などでは医者に行くのを我慢するようになった」など、高校生までの無料化の拡大を求める声が上がっています。保護者の経済的負担軽減のため、9800万円でできる高校生までの子どもの医療費無料化を実施すべきです。
特別養護老人ホームの待機者は10月現在442人と依然として深刻です。しかし増設計画は84床の高齢者ケアセンター跡地複合施設だけであり、そこもけやきの苑・西原の大規模改修の際の代替施設として想定されています。これでは待機者解消は進みません。直ちに特別養護老人ホームの増設計画をたて、代々木2・3丁目の国有地、幡ヶ谷2丁目の都営住宅跡地を早期に取得するとともに、ケアコミニュティ原宿の丘の再整備の際にも特養整備を進めるべきです。
また、高齢者が所得に関係なく、安心して医療に係れるよう、4億7千万円余で実現できる住民税非課税世帯の医療費窓口負担の無料化を実現すべきです。
区内の精神障がい者支援事業所では、2018年度からの自立支援法の報酬改定によって運営費が100万円から300万円も減少しています。区は新年度予算で、4つの施設で総額140万円の新たな助成を始めましたが全く不十分です。報酬改定に対応するために定数を減らした障がい者施設も出ています。このまま放置すれば施設の運営と障がい者の生活の場が奪われることになります。必要な運営費については全額助成すべきです。
子育て・教育環境への要望 「区議団アンケート2019より」
区政リポート2019.4.5区政リポート2019.4.5裏面