専門職による高齢者訪問、特養増設などを求める~田中まさや区議会議員が、区政リポート7月26日号を発行しました
専門職による高齢者訪問、特養増設などを求める
第2回区議会定例会・田中まさや議員の一般質問より
地域では高齢者だけの世帯が増えるなかで、孤立した高齢者や必要な公的支援が受けられていない方をどう支援に結びつけるかが大きな課題になっています。
私は、第2回区議会定例会の本会議での一般質問で、こうした課題を解決するために区に求められる施策について区長に提案し、その姿勢を質しました。
以下、質問の抜粋をご紹介します。
高齢者福祉・介護保険の充実について
⑴だれもが安心できる地域包括ケアの構築について
①地域包括支援センターの体制強化について
地域包括支援センターの体制強化は、焦眉の課題です。すべての高齢者の尊厳を大切にし、その人らしく生きるための支援をすることは福祉の増進に責任を負う区の責務です。その中心的役割を果たすのが地域包括支援センターです。
ある地域包括の職員は、「一人で30~40件の要支援者を担当するが、相談者に相応しいケアプランを作り、介護給付に結びつけるまでには相当の労力が必要。総合事業も書類作成に時間がかかり、その他にも相談業務や様々な会議もあり大変」と職員の増員を訴えています。
わが党区議団が毎回求める中で、今年度から4か所の地域包括支援センターの職員を増員したことは評価しますが、まだまだ不十分です。地域包括支援センターの職員をさらに増員すべきです。区長の所見を伺います。
区長答弁 本区の地域包括支援センターの職員数につきましては、介護保険法施行規則により定められている配置基準を上回る人員を配置し、運営を行っています。高齢者が今後増加することを見据え、今年度、センター職員の増員を図っています。
さらには、各日常生活圏域に設けた機能強化型地域包括支援センター4か所に、認知症高齢者の支援のため看護師資格を有する認知症地域支援推進員1名を配置し、圏域内の地域包括支援センターを支援する体制を構築するなど、高齢者の地域拠点としての体制強化に努めております。したがって、現時点においては、職員の更なる増員は考えておりません。
②介護・福祉サービスを利用していないすべての高齢者の訪問・支援について
高齢者だけの世帯が増え、困難を抱えたまま孤立するケースが増えています。本町の70代のご夫婦から、「隣に住む一人暮らしの姉が認知症で、くらしが崩壊している」との相談を受け、直ちに介護サービスにつなげました。このご夫婦も病弱のため、自分たちのことがやっとで、姉の支援はできなかったと話されていました。私は、高齢者の孤立化を防ぎ、早期に介護・福祉サービスにつなげる区の責任の重さを痛感しました。
わが党区議団は、介護・福祉サービス等の利用の無い、高齢者全員を、社会福祉士等の専門職が直接訪問して、生活実態に即した支援につなげている港区の「ふれあい相談員」制度を紹介し、その実現を求めてきました。文京区、豊島区、練馬区なども、地域福祉コーディネーターが同様の支援をしています。当区の、民生委員や見守りサポートによる訪問活動は重要ですが、高齢者の複雑な困難を見極め支援につなげるには、福祉の専門職の知識と経験が不可欠です。
介護・福祉サービスを利用していないすべての高齢者を直接訪問、支援する専門職を地域包括支援センターごとに配置すべきです。区長の所見を伺います。
区長答弁 本区では、高齢者世帯の状況把握のため、民生委員による75歳以上高齢者世帯への全戸訪問をはじめ、熱中症予防のため、見守りサポート協力員や地域包括支援センター職員がひとり暮らし高齢者世帯を訪問するなど、他自治体にないきめ細やかな対応を行っています。
これらの調査で得られた個別対応が必要な事例については、区が取りまとめた上で、速やかに地域包括支援センターと情報共有を図り、センターの専門職が対応に当たっています。また、同意をいただいた方の情報については、民生委員や見守りサポート協力員に提供し、地域での見守り活動につないでいます。
このように、制度構築ができていることから、新たな専門職を配置する考えはありません。
⑵高齢者の尊厳を守る介護・高齢者福祉の充実について…略
⑶特別養護老人ホームの増設について
10月現在、待機者は442人と依然として深刻です。しかし増設計画は84床の高齢者ケアセンター跡地複合施設だけで、そこもけやきの苑・西原の大規模改修の際の代替施設とする計画でその間は待機者を受け入れられません。区長は、民間で特養の整備を進めると言っていますが、神宮前に整備予定の地域密着型特養29床以外には計画はありません。そもそも地価が高い渋谷区でしかも介護職員不足の中で、民間任せでは待機者解消は進みません。
区の責任で直ちに特別養護老人ホームの増設計画をたて、ケアコミニュティ原宿の丘の再整備の際にも特養を整備すべきです。代々木2・3丁目の国有地、幡ヶ谷2丁目の都営住宅跡地、本町1丁目の警察寮跡地などを早期に取得し、特養など福祉の複合施設として整備すべきです。区長の所見を伺います。
区長答弁 本区は、特別養護老人ホームの整備率が23区のトップレベルにある中、高齢者ケアセンターを建替え、特別養護老人ホーム84床を中心とした新たな高齢者施設として整備を進めています。また、民間事業者が神宮前3丁目の国有地を借用して、地域密着型特別養護老人ホームを開設することが決定し、準備を進めていると聞いています。
今後も、申し込み状況等を踏まえながら、国や都有地など公有地など公有地の活用や、第七期高齢者保健福祉計画及び介護保険事業計画に掲げている民間事業者の招致をすすめるとともに、区施設の再整備などについても検討してまいります。
以上