廃止条例に道理なし、区民の声を尊重して存続を ~渋谷図書館廃止条例に対するトマ孝二議員の反対討論 田中まさや議員が、区政リポート4月1日号を発行しました⑵
廃止条例に道理なし、区民の声を尊重して存続を
渋谷図書館廃止条例に対するトマ孝二議員の反対討論
反対理由の第1 地域の宝もので、文化・教養・教育の拠点である渋谷図書館を廃止することは許されない
渋谷図書館は、大正4年(1915年)に渋谷区で最初につくられた図書館で、昭和52年(1977年)に現在の東1丁目に移転改築され、昨年度は1日200人、年間53700人が利用する図書館です。
利用者や住民にとって渋谷図書館は、静かな環境で本や資料を閲覧し、学ぶことができる。子どもたちは、児童室で好きな本を読むことができるかけがえのない施設となっています。
区立図書館について、条例の第1条で「区民の教養・調査研究、レクリェーション等に資する」と定められています。その大切な施設である渋谷図書館を一方的に廃止することは、条例に反し、区の責任を放棄するもので、断じて認められません。
反対理由の第2 区が渋谷図書館の廃止理由に挙げた老朽化の責任は区にあり、廃止の根拠として成り立たない
渋谷図書館の廃止理由について、長谷部区長は突然、エアコンが故障し修理不能、建物が老朽化し、雨漏りしているなどとしています。
しかし、渋谷図書館がこうした状況になっていることについて、長谷部区長は、区議会はもとより、利用者や住民に一切しらせず、突然廃止を打ち出してきたのです。このやり方は、あまりにも乱暴で道理がなく、区議会は全会派一致で継続審議としました。また、地元住民は渋谷図書館を存続してほしい、という声をあげたのです。
今回の渋谷図書館を廃止するという事態が起こったのは、屋上防水工事を30年もせず、雨漏りを発生させてしまった区の施設管理に責任があります。この責任にほうかむりし、利用者・住民に負担や不便をかけ、挙句の果てに廃止を強行することは行政として許されないことです。
どんな公共施設でも、老朽化すれば、休館して、改修や建て替えるのが当たり前です。老朽化は条例上の廃止の根拠として成り立ちません。この条例こそ廃案にすべきです。
改めて、長谷部区長の区民の大切な文化施設である図書館を廃止するという姿勢が厳しく問われています。
第3の理由 区長のトップダウンで、住民の声を無視して廃止を強行することは認められない
区民の共有財産である渋谷図書館について、現状を利用者や地域住民に知らせ、どのように改善していけばよいか、話し合いを進めていくべきですが、そうしたことも行わず廃止することは、利用者、住民無視の暴挙と言わなければなりません。
今議会で長谷部区長は、渋谷図書館について、突如、広尾中学校を建て替えて、そこに図書館を設置すると発言しました。委員会の質疑では、広尾中学校の図書館の設置自体今年1月に決められたことが明らかになりました。当然、広尾中学校に今年入学する新1年生は、まったく知らされないまま学校を選択し、区長の提案した計画通り進めば、中学3年生の受験期は、仮設校舎での不自由な生活が余儀なくされることになります。子どもや学校関係者、住民にとってこれほど理不尽な話はありません。
しかも広尾中学校の建て替え自体が、関係者の合意形成が得られるかもわからず、図書館存続のロードマップと言えないもので、区民を欺くものです。
廃止条例が提案されて以来、日本共産党区議団には、存続を求める多数の声が寄せられています。「渋谷図書館は立地が良く、行くことが楽しみでした。コロナ禍で収入が減ったり、失業を余儀なくされ本を買う余裕のない人が多いと思います。そんなとき本に出合うことができるヒントや元気をもらえると思う場所です」「渋谷図書館は、30数年前から子どもたちが利用し、また孫たちも利用していた図書館です。親として子どもの成長を喜び安心して通わせられる場所でした。ぜひ、地域住民から文化的施設を奪わないでください」などの声が多く寄せられています。
また、今議会に5764人という大勢の方から「渋谷区立図書館の廃止条例見直しを求める請願」が提出されており、100年の歴史があり、利用者が多く、地域の宝ものである渋谷図書館を存続してほしいという願いが込められたものです。
今回の条例は、利用者、住民の願いに反し、区民の大事な文化・教養・社会教育の施設を区長の独断で廃止するもので、まったく道理のない条例であり、どう考えても認めることはできません。否決すべきです。
以上、反対討論とします。