大企業奉仕、トップダウンによる区政の私物化は許されない ~区議会第1回定例会・長谷部区長の予算に反対討論② 田中まさや議員が、区政リポート4月7日号を発行しました

人権子ども・子育て・保育学校教育安全・安心活動報告渋谷区

区議会第1回定例会・長谷部区長の予算に反対討論②

大企業奉仕、トップダウンによる区政の私物化は許されない

区議会第1回定例会で、日本共産党区議団は、物価高騰からくらしや営業を守る自治体の役割を投げ捨て、区政の私物化やムダ遣いを拡大する区長の予算に反対するとともに、議員提案権を行使して、予算修正案・条例提案をおこなうなど、くらし、福祉、教育と営業最優先の区政への転換と、区民の願い実現に全力をあげました。

今号では、前回に続き最終本会議での、区長提案の予算に対する反対討論の後半をご紹介します。

2023年度渋谷区一般会計予算に対する日本共産党区議団の反対理由

第1 物価高騰から区民のくらし・中小業者の営業を守る対策が不十分

第2 地方自治体の本来の役割である福祉の増進に背を向け、負担増を押し付け

第3 学校給食の無償化、認可保育園の増設、地球温暖化対策などの区民の願いに背を向けている

※区政リボート3月31日号参照

 

反対理由第4 財界戦略に従い大企業の儲け最優先で税金の無駄遣いを拡大

渋谷駅周辺整備に対し、区は166億円の税金投入を決め、今年度末までに114億6360万円がつぎ込まれる見込みです。この間の再開発で住民や小規模店舗の多くは追い出され、東急など大企業中心の再開発事業となっています。

 新年度は、東急中心の桜丘口地区市街地開発事業・補助18号線の拡幅整備、東急、JRなどが進めている渋谷駅中心五街区整備事業・駅街区北側自由通路・南口北側自由通路の5事業の総額は、50億4140万円で大企業のための税金投入にほかなりません。

 さらに、旧美竹第二分庁舎と区立美竹公園は旧東京都児童会館跡地と一体の敷地として、ヒューリックと清水建設の再開発用地として提供し、この事業を推進するため、公園を利用していた路上生活者の人権を踏みにじる行為を行ったことは断じて許されません。渋谷駅周辺の再開発事業は事業者の負担で進めるべきであり、多額の税金投入や公有地の提供は認められません。

 シブヤ・アロープロジェクトの予算を倍増していますが、区民からは、「帰宅困難者が一目見て、避難場所を示している標識とはわからない」との声が寄せられています。帰宅困難者対策といえるか疑問のある事業は、税金のムダ遣いであり、やめるべきです。

 河津さくらの里の運営費等に1億3111万円が計上されています。22年度の稼働率は66.6%で、この中には、校外学習の場として小学校2校が利用していますが、宿泊定員は64人のため、3クラス以上の学校は利用できません。このような施設にさらなる税金投入をすることはやめるべきです。

 年間数千人にすぎない保養施設の運営維持に毎年1億数千万円を費やすことは税金の無駄遣いであり、この施設は廃止すべきです。

 

第5の理由 区民の声を聴かずトップダウンと区政の私物化は認められない

●ケアコミニュティ・原宿の丘跡地複合施設の「建て替え基本計画」に対するパブリックコメントでは、「原宿の丘建て替え後も、特養ホームや地域包括支援センターの設置を希望する」「建て替え中のデイサービスなども利用できるようにしてほしい」などの意見が出されていたにもかかわらず、現在の施設がどうなるのか、高齢者福祉の充実を明確に示さないで計画を強行しようとしていることは、高齢者福祉を軽視するもので認められません。

●トイレプロジェクトは、日本財団が費用を負担し、トイレを整備しました。有名建築家などのデザイン優先のトイレは、故障が発生したり、女性専用トイレをなくしたため、女性から安心して使えない、入口がわからないなど、批判が相次いでいます。

 公共トイレは、誰でも安全で清潔に利用しやすいものにするため、区が責任をもって改善、更新すべきです。

ふれあい植物センターは、これまで支えてきた住民やボランティアの意見も聞かず、リニューアルを進め、一方的に農と食の地域拠点として野菜の栽培、収穫、販売という機能が持ち込まれました。しかも、新たに指定管理者にしようとしている、NPO法人アーバンファーマーズクラブは、常勤の従事者が1人しかおらず、事業実績も少ない団体です。区民から好評だったカブトムシやホタルの夕べなども実施しません。区民のための植物センターの性格が変更されかねず、指定管理はやめるべきです。

区長は、年間5万3700人の利用者がいた渋谷図書館を、昨年3月末に一方的に廃止したうえ、所管を教育委員会から生涯活躍推進部に変更し、区民の教育・文化の向上を図る役割を大きく後退させるもので許されません。

 渋谷区で100年以上前に初めて設置された渋谷図書館は、区民に親しまれ廃止後も、直ちにリニューアルして、早く利用できるようにしてほしいと、2743人もの署名が区長に寄せられています。こうした区民の声に応えるべきです。

区長が昨年一方的に発表した未来の学校プロジェクトの新年度予算は、松濤、広尾中学校のプレハブ仮設校舎の建設工事費と設計費、代々木中学校の基本計画設計費です。

区内の小中学校を今後20年間で22校を建て替える重大な計画にもかかわらず、少人数学級には背を向け、進め方も、学校をはじめ、児童・生徒や保護者、地域住民の意見をくまなく聞くことなく推進していく手法は、認められません。

また、施設一体型小中一貫校についても本町学園の検証も真剣に実施せず、学校統廃合先にありきで、子どもの教育最優先を踏みにじるやり方は認められません。学校関係者と保護者、子どもたちの声は、少人数学級と小規模校の良さを大切にすることです。トップダウンによる学校統廃合と施設一体型小中一貫校計画は撤回すべきです。

また、学校と公共施設の複合化や民間資金の活用は、教育環境の充実が後回しになることから中止すべきです。

以上一般会計予算の反対討論とします。

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