くらしと経済を支える中小業者支援の抜本的強化を ~第4回区議会定例会・・・田中まさや幹事長の一般質問① 田中まさや議員が、区政リポート12月19日号を発行しました
第4回区議会定例会・・・田中まさや幹事長の一般質問①
くらしと経済を支える中小業者支援の抜本的強化を
中小企業切り捨ての自民党政治のもとで、区内の中小業者は疲弊してきました。特に、くらしや雇用とともに地域コミュニティを支えてきた零細業者の減少は深刻です。
私は、区議会第4回定例会本会議の一般質問で、コロナ禍に続く、物価高騰に苦しむ中小零細業者政策を区政の重要課題として位置づけ、支援を強化するよう区長に質しました。
以下、私の質問と区長の答弁(要旨)をご紹介します。
一、中小業者支援と雇用について
⑴中小企業振興条例の制定
中小業者は、雇用や文化、地域の経済を支え、大規模災害の復旧・復興に欠かせない役割を担っており、持続可能な地域社会を形成するうえで、極めて重要です。
しかし、渋谷区の10人未満の事業者はこの30年間で、卸・小売業が4400者・47%、建設業は282者・35%も減少しており、私の住む地域でも廃業や商店会の休廃止で、地域経済やくらし、文化・コミュニティ活動に大きな影響が出ています。そこに物価高騰が襲い掛かり、困難が広がっています。
区長は、こうした区内中小業者の窮状を、どう認識しているか、伺います。
国と財界は、国内外から多数の起業家や投資を呼び込み、ユニコーン企業を作り出すスタートアップ戦略を成長の原動力にするとして、スタートアップ企業に支援を集中しています。渋谷区も、スタートアップ企業の拠点の賃貸借料や実証・実装、広報など至れり尽くせりの支援をしていますが、区民のくらしや雇用、地域の持続可能性とは無縁です。その一方、区内の中小業者支援は、融資や創業支援だけです。
23区では17区が中小企業振興条例を制定しており、墨田区は、全区横断的な支援体制を構築し、大田区でも、新規創業支援の他、仕事の受発注、経営改善・販路拡大など細かな相談支援を実施しています。
本区でも区民とともに全庁的な支援体制を構築するために中小企業振興条例を制定し、実態調査を行うべきです。また中小業者・金融機関と区の3者で、中小業者の経営と地域の持続可能性の確保を目的とした中小企業振興会議を設置すべきです。
商店街にとって、街路灯の維持管理が重い負担になっています。区として電気代を全額補助するとともに、維持管理が困難な商店街に対して支援をすべきです。
区長答弁
4半期ごとの景況調査を実施している。中小企業に対する融資あっせん等を行っている。区の経営相談で、中小企業診断士が丁寧に面談し、融資が受けられるようサポートしているので、中小企業振興条例や中小企業振興会議は考えない。
商店街の街路灯は、電気代が値上げされれば補助上限を引き上げている。
⑵雇用環境の改善について
多くの労働者は、賃上げが物価高騰に追い付かず生活はますます悪化しています。中小業者の場合、2023年度の東京都の調査では、従業員10人~299人の賃金は、平均40万7千円で、都内全産業平均より2万5千円低く、5人以下の零細業者はさらに劣悪です。
わが党は、大企業がアベノミクスで増やした内部留保100兆円に課税して得た10兆円を財源に、中小企業に直接支援して最低賃金1500円以上にする提案をしています。
直ちに中小企業支援と一体に最低賃金を1500円以上に引き上げるよう国に求めるべきです。
岩手県や徳島県は、独自で賃上げのための助成制度を実施しています。本区も、政府の賃上げ助成を受けられない零細企業が賃上げできるように、零細企業賃上げ助成制度を実施すべきです。渋谷区の委託契約と指定管理のうち2023年度の公契約条例の対象は、委託37件、指定管理3件で全体の3.3%に過ぎません。公契約条例の対象を、委託契約は500万円以上に、指定管理者はすべての業種に拡大し、②労働報酬下限額を現在の時給1240円から1500円以上に引き上げるべきです。
区長答弁
最低賃金の引き上げを国に求める考えはない。零細事業者への助成は、国や都の賃金引上げ支援策を案内するが、区独自で実
施する考えはない。
公契約条例の対象については、他自治体の動向を見て、引き続き検討する。労働報酬下限額については、労働報酬審議会の議論を踏まえて判断。
⑶建設業の支援・育成について
能登半島地震や豪雨被害では、復旧・復興を進めるうえで、地域に根差した建設産業の大切さを痛感しました。ところが、区内の建設業は、特に町場の工務店や職人が減少しています。都の300人未満の賃金調査で建設業は、全産業平均より月2万円も低く、後継者育成のための講習も自己負担で、そのための休暇も無給だと訴えられています。
国は、地域の守り手である建設産業の育成強化のために「担い手3法」を制定、世田谷区では、建設業を主要産業として位置づけ、人材育成支援事業を行っています。本区も、建設業を主要産業と位置付けて、資格取得や講習会に対して助成を実施すべきです。
また、①公契約条例の対象工事を5000万円まで引き下げ、②下請事業者まで材料費と労務費を別にした見積書の作成を義務付けること、③支払い賃金や施工体制を把握するために2次下請け以降の実態調査をすべきです。
区長答弁
人材確保と後継者育成についてはあらゆる業種の重要な課題であり、特定の業種へ助成する考えはない。建設業については、国による助成があるので案内する。
公契約条例の対象予定価格を引き下げる考えはない。下請事業者まで見積もりの作成や実態調査の実施については、中小企業の事務負担等を考慮して、現在、行う考えはない。