子どもに寄り添える教育、学校統廃合撤回など求める ~区議会第1回定例会・田中まさや幹事長が、代表質問④ 田中まさや議員が、区政リポート3月21日号を発行しました
区議会第1回定例会・田中まさや幹事長が、代表質問④
子どもに寄り添える教育、学校統廃合撤回など求める
教員の長時間労働の解消と一人ひとりの子どもに寄り添える充実した教育環境の整備は喫緊の課題です。区議会第1回定例会の日本共産党区議団の代表質問で私は、保護者の教育費の負担軽減と合わせて教育の充実について質問しました。今回は、一人一人に寄り添える教育の実現と学校統廃合の撤回を求めた部分をご紹介します。 質問と答弁要旨を※傍線は質問。
一人ひとりに寄り添える教育に
国の調査によれば、公立の小中学校の教員は、持ち帰りも含めて平日に平均約11時間半働き、休憩はわずか数分で、土日の出勤もあります。これでは、授業準備も子どもに向き合う時間も減るなど教育の質が低下し、教員不足の原因にもなっています。
⑴持ち帰り残業も含めた区立公立小中学校の実態を、教育委員会はどう把握しているのか、精神疾患によって休職している教員は何人か、また、定数に対する不足人員は何人ですか。
⑵長時間労働の原因は、公立教員給与特別措置法(給特法)によって残業代を支給しないため、何時間働いているかも不明、残業代を考慮せず、〝定額働かせ放題〟の状態です。政府は、4%の「教職調整額」を10%に、6年かけて引き上げる法案を今国会に提出しようとしていますが、これでは長時間労働は解消しません。政府に対して、「教員残業代ゼロ制度」を廃止するために給特法の改正を求めるべきです。
⑶長時間労働を解消するためには、①緊急に、教員基礎定数を1.2倍化する。②教員の授業負担を「1日4コマ」以下に抑える。③中学校の35人学級、小学校では30人学級をすすめる。④スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーの常勤化、学校用務員、学校図書館司書の定数化などが必要です。政府に実施を求めるべきです。また区として、中学校35人、小学校30人の少人数学級にすべきです。
来年度、世田谷区では、都の教科担任制に加えて、区独自の専任講師を小学校に加配します。本区も、独自に専任の教科担任講師を加配し、スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカー、学校図書館司書を常勤化し全校に配置して、教員の負担を軽減すべきです。
伊藤教育長答弁
⑴持ち帰り残業も含めた残業時間は把握していない。精神疾患による休職教員は2月時点で4人、定数不足は3人。
⑵政府の給特報の改正にもとづいて環境整備を進める。教員の処遇改善は、全国都道府県教育長協議会が抜本的改善の緊急要望を提出しており、区としては求めない。
⑶中学校の少人数学級や小学校の教科担任制、サポートスタッフ配置などは全国都道府県教育長協議会などから要望しており、区としは求めない。区独自の専任の教科担任講師の配置等の考えはない。
新しい学校づくり」整備方針について
来年度予算では、「新しい学校づくり」整備方針にもとづいて、猿楽小学校と鉢山中学校、千駄ヶ谷小学校と原宿外苑中学校をそれぞれ統廃合し一貫校にするための基本設計に4億4500万円を計上しています。
学校は50年100年の地域の核であり、教育、文化、コミュニティ、防災の拠点です。教職員や子ども、住民の声を聞くべきで、トップダウンで進めるべきでありません。ところが、当該校の教員全体で議論はされず、多くの住民には、これらの学校を統廃合して小中一貫校にする計画は知らされていません。玉川上水旧水路緑道再整備では、何度も当該地域に全戸配布しているのとは大きな違いです。
学校は地域のかけがえのない財産であり、教職員や住民全体に知らせ、十分意見を聞き、広く議論する場が必要ではないですか。
猿楽小・鉢山中の準備委員は、「小中一貫校の効果に疑問がある。計画は変えられないのか」と問合せたところ、教育委員会は、計画通り進めたいと、見直しを拒否したと聞きました。文部科学省「公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引」では、児童生徒の保護者や将来の受益者である就学前の子どもの保護者の声を重視し、地域住民に十分な理解や協力をえることが大切としています。今の進め方は、この方針に反していませんか。
いまでも、特別教室の削減、専用グラウンドのない仮設校舎、プールを整備しない学校、代替避難所の場所も確定しないなど、地域住民から懸念や反対の声が上がっているのに、これを無視して進めることは誤っています。「新しい学校づくり」整備方針を、トップダウンで押し付けるのは止め、計画は白紙に戻して、各学校の整備については、文科省の方針通りに検討すべきです。なお、建築費が高騰しているなかで、建替えありきでなく、建築費は3~4割安く、産業廃棄物の発生は57%、CO2も84%削減可能なリファイニング建築も、住民に案として示し、選択肢とすべきです。
区長答弁 小中一貫校の整備は、町会、PTAと建替え準備委員会で議論している。検討過程は、広く情報発信し、説明する。引き続き関係者の理解が得られるよう丁寧に説明するので「新しい学校づくり」整備方針は白紙に戻す考えはない。新しい時代の学びを実現する教育環境のために、柔軟で創造的な学習空間が必要であり、安全・安心な教育環境、脱炭素社会への貢献など、既存校舎の建替えを中心に進める。