住民無視、巨額税金投入の幡ヶ谷緑道契約に本会議で反対討論 ~区議会第1回定例会・・・玉川上水旧水路緑道再整備工事(その3)契約 田中まさや議員が、区政リポート4月25日号を発行ました

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区議会第1回定例会・・・玉川上水旧水路緑道再整備工事(その3)契約

住民無視、巨額税金投入の幡ヶ谷緑道契約に本会議で反対討論

住民から多数の反対の声が上がっている玉川上水旧水路緑道再整備計画について、第1回定例会では、笹塚緑道、大山緑道に続いて、幡ヶ谷緑道の工事契約案件が提案されました。この議案は、自民、シブヤ笑顔、公明の賛成17、日本共産党区議団、立憲・国民、日本維新の会

(当時)、無所属など反対15の僅差で可決されました。

今号では、党区議団を代表して、私が本会議で行った反対討論をご紹介します。

本契約は、玉川上水旧水路緑道再整備工事(その3)について、東光園緑化株式会社と4億7300万円で工事請負契約を締結しようとするもので、常盤橋から相生橋に至る幡ヶ谷緑道3300㎡を対象にしています。玉川上水旧水路緑道再整備計画全体は、工事総額113億円に設計委託などを含めると総額123億円もの税金を投入し、農園などを整備、指定管理者による管理まで検討しています。

反対の理由の第1は、住民の声を無視して、次々と工事を進めることは、民主主義と住民自治の否定だから。

 笹塚・大山緑道整備工事が強行されて以降も、住民から緑道整備全体に対して、舗装材のテラゾやベンチが高額すぎる、巨額の税金投入は許されない、今のままの緑道で樹木の適切な管理を求める、農園は造らないでほしい、区が直接管理運営してほしいなど、多数の要望や反対の声が上がっています。

 昨年は、第3回定例会に提出された「玉川上水旧水路幡ヶ谷緑道の農園に関し意見交換の場を求める請願」は本会議で16人の議員が賛成し、「玉川上水旧水路緑道再整備の園路舗装材について再考を求める請願」は第4回定例会の区民環境委員会で採択されています。第4回定例会で、玉川上水旧水路緑道再整備工事(その2)の契約が強行されましたが、その後も今年2月には、計画の見直しを求める3027人の署名が区長に提出され、その9割以上が区民だと聞いています。

 農園整備についても、沿道住民から「獣害」や「管理責任」など多数の不安や反対の声が出されているのに、今回の契約では、区が管理する森林公園300㎡には、ヤマモモ、レモン、キンカン、ビルベリーを植え、そのほかに利用者が管理し、何を植えるかを利用者が決める農園が300㎡と合計600㎡の農園を整備しようとしています。区長は「賛成する人もいる」などと言いますが、住民同士の話し合いで、農園をやりたいという人も緑道内でなくてもよいとの方向で一致しました。こうした経過も無視し、農園に反対する近隣住民の声を切り捨てて、農園を整備することは許されません。

 沿道住民をはじめ多くの区民が計画に反対し、今年2月の2回の説明会でも住民は納得していませんでした。それなのに、この契約で幡ヶ谷緑道の工事を強行し、来年度予算には、大山の一部から初台緑道に至る緑道整備費33億円余を計上しています。区長は、「丁寧に説明する」と言いますが、説明だけして声を聞こうとしないのでは、説明はアリバイづくりで行政への信頼性を損ないます。住民が反対しても無視して計画を進めることは、民主主義・住民自治の否定であり断じて認められません。まずは住民の声を真摯に聞くために、この契約議案は撤回すべきです。

 

第2は、物価高騰によって区民のくらしが大変な時に、区民への支援はそっちのけ、区民負担は増やす一方で、総額123億円もの税金を投入し、高額な補装材やベンチを使うことは許されない。

 物価高騰のなかで区民の苦しみは増す一方です。お米の値段は昨年の2倍で、食料品を中心とした物価高騰は広く区民の生活を圧迫し、賃金や年金給付の引き上げは物価高騰に及ばず、生活保護費は引き上げられていません。区は、こうした区民に行き届く独自の物価高騰対策を実施しないばかりか、公共施設の使用料まで大幅に値上げしようとしています。

 その一方で、今回の契約だけで4億7300万円、総額123億円もの税金を投入することは許されません。区長は50年後、100年後を見据えて整備するといいますが、今困っている区民を見捨てて1世紀も先のことを優先することは、住民福祉の機関である自治体の役割の否定です。

 本契約のテラゾ舗装は765㎡で工事面積の23%を占め、舗装材の費用は1億786万円です。㎡単価は14万1千円、木や土を使った環境負荷の少ない舗装材に比べても14倍です。さらに施工費用は、インターロッキングが1㎡4000円に対してテラゾ材1万2000円と3倍で、918万円で612万円も高くなります。テラゾ材の導入について、区民環境委員会で選定過程について答弁不能になったと聞いていますが、価格だけでなく、選定過程についても不透明であることが明らかになっています。

 ベンチは1基291万2580円を2基、244万円を2基設置しようとしていますが、市販の高額なベンチより15~18倍も高額です。本契約の舗装材とベンチの合計額は1億2000万円です。物価高騰で苦しむ区民のくらしの実態とかけ離れた価格です。

 これだけお金があるのなら、区独自の物価高騰対策を実施し、敬老祝い金を復活し、施設使用料の値上げを撤回できます。物価高騰に苦しむ区民のくらしの願いに背を向けて巨額な税金を投入する契約は認められません。

以上、反対討論とします。

契約の対象となっている幡ヶ谷緑道

区政リポート2025.4.25