憲法25条にもとづいて、国保料の引き下げを~田中まさや区議会議員が、区政リポート10月11日号を発行しました

国保活動報告渋谷区

区議会第3回定例会での代表質問から④
憲法25条にもとづいて、国保料の引き下げを

「くらし・区政のアンケート」が連日、日本共産党区議団に届けられています。生活の苦しさを訴えるものが多く寄せられていますが、国民健康保険料の負担に苦しむ声が目立ちます。
区議会第3回定例会の代表質問では、区民の生存権がかかった問題として区長に、国保料の引き下げを求めました。
以下、質問の要旨をご紹介します。

●国民健康保険料の引き下げについて
①当区の今年度の保険料は、15年連続で引き上げられ、保険料通知書が届いた6月14日から28日の間に保険料に関する抗議や苦情、問い合わせは昨年を上回る891件もありました。
年収400万円の40代夫婦と子ども二人の世帯では、49万4,902円と給料の1.5カ月分もの高い保険料となりました。同じ世帯でも協会けんぽ加入者の保険料は23万7,252円です。国保加入者はその2倍以上の保険料です。低所得者にあまりにも高すぎると思いませんか、区長の認識を伺います。

②国民健康保険の加入者は74歳までの高齢者や失業者、非正規労働者など所得の低い人が多くを占めているうえ、被用者保険のような事業主負担がありません。そのため、国も公費による相当の負担が必要と認めてきました。ところが1984年度以降、国保への国の負担を次々と引き下げてきた結果、国保会計に占める国の負担は、約5割から2割にまで減ってしまいました。だからこそ、全国知事会は国に1兆円の負担を求めているのです。1兆円を投入すれば、協会けんぽ並みの保険料に引き下げることができます。区長は国に対し、国保に対する負担を増やすよう求めるべきです。見解を伺います。

③昨年度から、国保財政の都道府県化が実施されました。国はこれに合わせて、区市町村が行っている一般会計からの法定外繰り入れを解消することを求め、都の国保運営方針では6年間で解消することが示されています。
渋谷区はこの方針に従って、一般会計からの繰り入れについて、2017年度予算では11億7千万円だったのを今年度は3億5600万円に減らしてしまいました。さらに区長はこの繰り入れをなくそうとしています。そうなれば、4人家族で7万2千円もの引上げとなり、過酷すぎて払えなくなります。区長は、一般会計からの繰入れについて「国保加入者以外の納税者の理解を得られない」と言っていますが、低所得者や生活困難になった区民のために税金を使うことこそ、社会保障であり、自治体の役割ではありませんか。区長の見解を伺います。そして、区長は、国保制度が社会保障の制度だと認めるのなら、一般財源を活用して、国保料を引き下げるべきです。区長の見解を伺います。

④千代田区では、一般会計からの繰り入れをほぼ維持することによって、昨年度から2年連続で保険料を引きさげています。また、23区の保険料は子どもが一人増えるごとに5万2200円も高くなります。この均等割を軽減する自治体も全国で25に広がっています。当区でも、こうした区の努力でできる保険料軽減策を実施すべきです。区長の見解を伺います。

「一般会計からの繰入れは国保加入者以外の区民にも負担をかける・・・」(区長答弁)と社会保障の原理を否定
区長答弁
持続可能な制度運営のためには、歳入と歳出の適正にバランスを確保していくことが重要と考えています。その上で、国・都では公費を投入して保険料の上昇を抑えるとともに、特別区独自でも激変緩和措置を講じています。保険料率の設定については、引き続き特別区長会で議論してまいります。
次に、国庫負担の拡大については、区長会でも毎年要請を行っています。
次に、一般財源を活用して保険料を引き下げるべきとのご意見ですが、一般会計からの繰り入れは国民健康保険の被保険者以外の区民にも負担をかけることとなるため、保険料の水準を勘案しながら段階的に縮小していくべきと考えます。
次に、保険料軽減策を実施すべきとのご意見ですが、既に所得に応じた均等割りの軽減制度があることに加え、総合的な子育て支援に取り組んでいるため、区独自で軽減を行う考えはありません。

再質問
区長は、国民健康保険料が高すぎるということでその指摘もし、総額で49万4902円のこんな高い保険料をどう思うのかということを聞いたわけですから、その認識についてはきちんとお答えください。やはり区民が26%も滞納世帯がいるんですよ。高過ぎて払えない、そういう実態があるからこうこういう結果になっているわけですよ。だからそのことについて明確に応えていただきたいと思います。


「ツケを次の世代にまわす」と言って世代間を対立させ、削減を正当化、責任放棄
再質問に対する区長答弁

保険料についてです。これも再三お答えしていますが、全体の考え方として、次の世代のことを僕はまず考えています。今、
これから人口が減っていきます。今のままではこのツケを次の世代に回していくだけです。我々の、今、僕たちは第二次ベビーブームの世帯です。この世代がしっかりいるうちに、またベビーブームの人たちがまだしっかりと働けているうちに、次の世代へ向けてやるべきことをやっていく。嫌だけれども、しようがないという思いもあります。ですが、これはしっかりと我々が理解していかなければ、今まで同様に次にツケを回していくだけです。それについて、むしろどう考えているのかということは伺いたいぐらいです。

区政リポート2019.10.11