こんな時こそ、くらし・福祉最優先の予算に転換を~区議会第1回定例会―最終本会議での田中まさや議員の討論② 田中まさや区議会議員が、区政リポート4月3日号を発行しました
区議会第1回定例会―最終本会議での田中まさや議員の討論②
こんな時こそ、くらし・福祉最優先の予算に転換を
3月23日閉会した区議会第1回定例会で2020年度渋谷区予算が成立しました。田中まさや議員は、新型コロナや消費税など、くらしや営業が大変な今こそ、くらし、福祉最優先の予算に転換をと、区長提案の予算に対する反対討論を行いました。前回に引き続き、反対討論(要旨)をご紹介します。
予算に反対する第1の理由は、区民のくらしが大変な時に、負担増と福祉・教育の切り捨てを押し付け、福祉の増進義務を負う区の責任を放棄しているから
区民のくらしはかつてなく深刻です。昨年秋の日本共産党区議団の「くらしと区政アンケート」でも65%が、生活が苦しいと訴えていました。その後、消費税が10%に増税され、今は新型コロナウイルスの影響が追い打ちをかけています。フリーランスの方は、「3月の舞台はすべて中止、収入はゼロ」、クリーニング店の店主は、「3月の売り上げは、例年より2割減。運転資金を借りても返せる見込みもない」など、悲痛な声が寄せられています。こんな時こそ、くらし、福祉、子育て・教育への手厚い支援で、区民一人ひとりのくらしに希望を示すことが必要です。ところが、渋谷区の2020年度予算は、過去最高の1052億4900万円と前年度比128億円も増やし、基金などのため込みも1079億円とこの5年間で394億円58%も増やしているのに、区民には負担増と福祉切り捨ての連続です。
国民健康保険料は16年連続の値上げで、フリーランスや非正規労働者、高齢者に払いきれない高額な保険料を押し付けています。また、後期高齢者医療保険料も値上げし、低年金の高齢者に過酷な負担を強いようとしています。わが党区議団のアンケートでは、生活苦の原因として、物価の値上がりとともに社会保険料・税の負担だと答えています。区民のくらしを破壊する負担増を押し付けることは認められません。
今年4月から学校図書館専門員を突然解雇し、民間委託に切り替え、しかも学校から切り離して中央図書館の所属にしようとしています。
学校図書館専門員から、「継続し、安定した子どもとのかかわり、学校との連携があってはじめて、ひとり一人の子どもが読書の楽しさや学び探求する喜びを感じてもらえる。委託では、子どもへの支援や学校との連携は安定しないのでは」と不安の声が寄せられています。子どもの学びと成長に寄りそってきた学校図書館専門員を解雇することは、公教育に対する責任放棄であり言語道断です。雇用を継続し、学校図書館法でも位置付けているように、学校ごとに常勤の学校司書を配置すべきです。
福祉の切り捨てが、区民を苦しめています。長谷部区長の下でこの間、高齢者寝具乾燥サービスは有料化、高齢者マッサージの利用料は1.5倍化、上乗せ訪問入浴は要支援者を対象から外し、障がい者の福祉タクシー券は月1100円削減、児童発達支援も有料化、生活保護世帯の夏冬の見舞金を廃止するなど、次々と区独自の福祉制度を切り捨ててきました。高齢者が尊厳を保ち自立した生活をおくるために、介護保険の対象外となる上乗せ訪問介護などを実施してきた区型介護サービスの2020年度予算は19年度比888万円8.7%削減、この5年間で8067万円削減し、予算を半減させています。毎年行ってきた民生委員の一泊研修を3年に1回にしてしまうことに、民生委員からも批判の声が上がっています。
高齢者や生活保護世帯、障がい者の尊厳と自立した生活を支える渋谷区独自の福祉を切り捨て続けていることは、福祉の増進に責任を負う自治体としての責任放棄であり許されません。切り捨てた施策を復活し、さらに充実すべきです。
第2の理由は、子育て支援や高齢者福祉の充実を求める声に背を向けている。
希望するすべての子どもを認可保育園に入れてほしいとの保護者の願いは切実です。ところが、今年4月の入園申し込み者は、0歳から2歳までで、受け入れ可能数を393人上回っており、待機児が出る深刻な事態です。2020年度予算で5園を新設する計画ですが、どれも2021年4月以降の開設です。また、来年度も同規模の申し込みがあれば、この5園だけでは低年齢児を中心に待機児をゼロにできません。認可保育園の増設のための予算を増やすとともに、早急に保育士を確保し、質を保ちながら安定した保育ができる区立認可保育園の増設を中心にすべきです。
保育士の処遇改善も待ったなしです。世田谷区のように、区独自に賃金引き上げを行うとともに、保育職員宿舎借上げ助成制度をすべての保育職員に拡大すべきです。
放課後クラブに、新たに有料プログラムを導入しようとしていることも問題です。格差と貧困が深刻な中で、学童保育を必要とするすべての子どもが、経済的差別なく安心して過ごせる生活の場に、お金のあるなしで差別を持ち込むことは許されません。無料にすべきです。
学校給食無償化をする自治体が広がっている中で、無償化に背を向けることは許されません。学校給食は、子どもの豊かな食育や栄養のバランスの良い食材を提供することで、心身ともに健やかな成長を保障しています。学校給食費費は、学生で6万1476円と義務教育にかかる保護者負担としては最も重いものです。小中学校で無償化に必要な予算は年間3億8千万円です。直ちに実施すべきです。
高校生まで医療費窓口負担を無料化している自治体は、全国で541に広がっています。子どもがお金のことを心配して、医者にかかるのを遠慮することがあってはなりません。
9900万円で実現できる高校生の医療費の無料化は、直ちに実施すべきです。
難聴高齢者が補聴器を使用することは、認知症を予防し、生活の質の向上を保障する上で重要です。補聴器購入助成には東京都も補助しており、今年10区に広がります。高齢者の切実な願いであり、直ちに実施すべきです。
特別養護老人ホームの待機者は338人と依然として深刻です。「一人暮らしの姉が認知症を発症して自立した生活ができないのに、区内の特養はいつ入れるかわからない」など、在宅介護は限界との声が多数寄せられています。現在の計画は、高齢者ケアセンター跡地複合施設の84床だけです。住み慣れた地域に、特養をとの願いにこたえて直ちに特別養護老人ホームの増設計画をたてるべきです。ケアコミニュティ原宿の丘の再整備の際も特養を整備し、幡ヶ谷2丁目の都営住宅跡地、本町1丁目の警察寮跡地の早期取得、民有地の借り上げなどで用地を確保するとともに引き続き代々木23丁目の国有地の活用の可能性を追求すべきです。また、低所得者でも入居できる従来型や多床室を増床すべきです。
介護職員の処遇改善も喫緊の課題です。新年度から、介護職員宿舎借り上げ助成制度を創設し、区独自に処遇改善に乗り出した点は評価します。しかし、1事業者に1戸、月5万円で40人分、2400万円の予算では不十分です。制度を改善し規模も拡大すべきです。
また、最も深刻な訪問介護士は、60歳以上が全体の6割以上を占め、専門職にふさわしい賃金が保障されていません。若い介護士が希望を持って働けるよう、国に対して大幅な賃上げを求めるとともに、区としても賃上げすべきです。
日本共産党区議団が、渋谷区予算に反対する理由
●第1の理由は、区民のくらしが大変な時に、負担増と福祉・教育の切り捨てを押し付け、福祉の増進義務を負う区の責任を放棄している。
●第2の理由は、子育て支援や高齢者福祉の充実を求める声に背を向けている。
●第3の理由は、区民無視、くらし、福祉を後退させる一方で、財界戦略として、国際競争力を高めるために、大企業の儲けを最優先にしている。
●第4の理由は、不要不急の無駄遣いをしている。
※次号は第3、第4の理由をご紹介する予定です。
(次号に続く)
新型コロナ対策で、区長に2度目の緊急要請
日本共産党区議団は、3月27日区長に対して、新型コロナの影響から、区民と中小業者を守るための緊急要請を行いました。(下記参照)
新型コロナウイルス感染拡大の影響から、区民と中小業者を守る緊急要望書
新型コロナウイルスの感染拡大によって、区民のくらしと福祉、中小業者に重大な影響が及んでおり、都内でも、小池都知事が週末外出自粛要請を行う事態となっています。
日本共産党渋谷区議団にも、「昨日から、予約が次々とキャンセルになっている。今月の店賃も払えない」(飲食店)、「地元の小規模旅行代理店が今月廃業した」(本町)、「感染を恐れて利用者がこなくなっている。長期化すれば廃業せざるを得ない」(デイサービス事業者)、「基礎疾患のある利用者は通所を控えてもらうしかない。職員の給料が払えるか心配」(障がい者通所施設)などの切実な声が寄せられています。
新型コロナウイルスの感染が深刻化・重大化するもとで、自粛要請を実効あるものとし、感染拡大を防止するうえで、国や自治体の支援が緊急に求められています。
感染拡大の防止と区民のくらし、福祉、中小業者の営業を守るために、区として早急に実施するよう下記の事項について要望いたします。
記
○ 新型コロナウイルスから区民のいのちとくらし、中小業者の営業を守るため、以下の様な支援を行うための補正予算を組むこと。
○ 民間の高齢者・介護施設、障がい者施設の実態を調査して、家賃・地代や水光熱費、リース代をはじめ、事業を存続するために必要な固定費を直接助成すること。障がい者施設については助成額を増額し前倒し支給すること。
○ 国民健康保険料については、新型コロナウイルスの影響で、収入が減っている被保険者に対して減額免除を行うこと。
○ 新型コロナウイルス感染症拡大に伴う特別融資については、今申し込んでも5月以降の受付になる事態となっている。窓口、体制の拡充など、速やかに融資が受けられるよう改善すること。
○ 小中学校の給食食材等の納入業者に対して、損失を補填する措置をとること。
○ マスクや消毒液については、医師会未加入も含めてすべての医療機関の実態を把握して給付すること。医療機関や民間介護施設などすでに「貸与」したマスクについては、「給付」すること。
○ 社会福祉協議会が実施している休業者、失業者への生活福祉資金の特例貸付については、区のホームページや区ニュースなどで広く周知すること。
○ 政府や都の自粛要請によって厳しい苦境に立たされている事業者、個人に対して、1)雇用調整助成金の対象には補助率を10分の10に引き上げ、フリーランスや雇用保険未加入の非正規労働者にも一般労働者と同程度の水準の所得補償を実施すること、2)家賃・地代や水光熱費、リース代をはじめ、事業を存続するために必要な固定費を直接助成することを、国や都に求めること。
以上
新型コロナウイルス感染症の影響による離職等による
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新型コロナウイルス感染症の影響による離職等による
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●据置期間 1年以内
●返済期間 2年以内(24回以内)
●連帯保証人 不要
●利子 無利子
※どちらの制度も、対象は、新型コロナ感性症の影響で、失業や収入の減少で生活が困窮している方。
詳細は、社会福祉協議会(渋谷区役所2階 03-5457-2200)