福祉の責任を放棄し、区民の願いに背を向ける予算に反対~区議会第1回定例会閉会・田中まさや議員が、区長予算に反対討論② 田中まさや区議会議員が、区政リポート4月9日号を発行しました

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区議会第1回定例会閉会・田中まさや議員が、区長予算に反対討論②

福祉の責任を放棄し、区民の願いに背を向ける予算に反対

区議会第1回定例会が3月25日の最終本会議で、私が日本共産党渋谷区議団を代表して行った一般会計予算等への反対討論(要旨)の第2回目をご紹介します。

2021年度予算に対する反対討論の柱

1.新型コロナ対策が極めて不十分

2.コロナ禍で苦しむ区民に対して、負担増と福祉の切り捨てを押し付け、福祉の増進義務を負う区の責任を放棄

3.子育て支援や福祉の充実を求める声に背

4.コロナで苦しむ区民に背を向ける一方で、財界戦略に従い、国際競争力を高め、大企業の儲けを最優先

5.不要不急のムダ遣い予算

 

<以下、反対討論>

2.コロナ禍で苦しむ区民に、負担増と福祉の切り捨てを押し付け、福祉の増進義務を負う区の責任を放棄

コロナ禍は、高齢者、障がい者、女性など社会的に弱い立場に置かれている区民のくらしを圧迫しているだけに、区民の福祉・くらしを守る区政の役割はとりわけ重要です。こうした中で、新年度の介護保険料を据え置き、低所得者を引き下げたことは評価します。

しかし来年度予算全体では、区民のくらしや福祉を後退させるとともに、感染リスクの中でもくらしや社会経済を支えている保育士や介護職などエッセンシャルワーカーの処遇改善に背を向けるなど、コロナ禍の区政に求められる役割を投げ捨てていることは許されません。

認可保育園の今年4月の入園申し込みでは、0歳児82人、1歳児89人が募集を上回っており待機児が出ることは明らかなのに、来年度の認可保育園の整備予算も今後の増設計画も示さないことは、区としての保育実施義務の放棄です。特別養護老人ホームの待機者は、昨年10月時点で、386人で最長3年9ヵ月も待つ事態にもかかわらず、23区トップクラスと言って新たな特養の増設計画を示していません。代々木23丁目の国有地の活用の可能性を追求するとともに、幡ヶ谷2丁目の都営住宅跡地、本町1丁目の警察寮跡地の早期取得、民有地の借り上げなどをすすめるべきです。また、ケアコミニュティ原宿の丘の再整備の際にも特養を整備すべきです。

また訪問や通所介護の事業を区が独自に行う区型介護サービスは、新年度予算は761万円減額の8517万円ですが、区長が就任した2015年以降、利用料を値上げ、生活援助と高齢者世帯サービスは区分限度額以内に利用を制限するなど、毎年予算を削減し半分以下に減らしています。さらに家庭内での入浴が困難で、介護保険では不十分な高齢者に訪問入浴介護を実施する高齢者入浴介助事業は、新年度から事業者の値上げを本人負担に転嫁して100円引上げ1000円にします。高齢者の尊厳ある生活を守る区の責任を果たすために、区が年間わずか3万円程度負担すれば値上げせずに済むのです。値上げは中止すべきです。

敬老館は昨年に続き、千駄ヶ谷敬老館を民間委託するために1568万円を計上しています。敬老館をはじめ区の施設は、区民福祉の重要な拠点であるだけでなく、災害時は救援活動の拠点の役割を果たします。また、新年度一般職員数は、前年度との比較で、合計で51人削減し、予算額は4億9400万円減額しています。区民の財産である公共施設を民間委託する一方で、全体の奉仕者としての公務員を削減することは、区民福祉の後退に直結するもので認められません。

3.子育て支援や福祉の充実を求める声に背

一人ひとりの子どもに寄りそえる少人数学級の良さが痛感され、保護者や教職員、教育関係者の運動が広がる中で、40年ぶりに文科省が義務教育標準法を改正し、小学校の35人学級を5年間で段階的に実施する方針を示しました。しかし、東京都も渋谷区も新年度は小学校の2年生までと中学1年生の現状維持で、保護者や教育関係者の願いに背を向けていることは許せません。本区で新年度、35人学級を実施するために必要な教室と教員は小学校の9クラスのみです。直ちに小中学校全学年で35人学級を実施し、さらに30人学級をめざすべきです。

また学校施設長寿命化計画で、学校統廃合や区民施設との共用化、民間資金の活用による管理運営を進めようとしていますが、今求められているのは直ちに少人数学級を進めるための環境整備であり、学校統廃合や共用化などを進めるべきではありません。教育委員会を中心に、教育の有識者、学校関係者、区民で再検討すべきです。

学校給食は教育の一環であり、義務教育は無償です。小中学校の給食無料化は、現在76自治体まで広がっています。渋谷区の給食費は中学生で月額5千円以上で、年間6万4500円の負担です。コロナ禍で子育て世帯の貧困が社会的問題になり、学校給食費の負担が重くのしかかっている今こそ、4億1100万円でできる学校給食の無償化を実施すべきです。また1億2607万円で実現できる高校生までの医療費無料化を実施すべきです。

国は75歳以上の高齢者に対して、単身者で年収200万円以上、夫婦で年収320万円以上の方の医療費窓口負担を原則2割に倍増することを狙っています。高齢になれば、収入は減る一方、医療に受診する機会が増えることは当然です。年金は減らしながら、窓口負担を2倍にするなど絶対に許されません。区として、7億6000万円で実現できる75歳以上の医療費無料化に踏み切るべきです。

福祉タクシー券は、障がい者の社会参加をはじめ、病院への通院など生活に欠かせない事業ですが、区は2016年度に支給額を月額4600円から1100円引き下げました。新年度も377万円減額し、15年度予算比3382万円・27%も削減して障がい者からの元に戻してほしいとの要望に背を向けています。障がい者のくらしを守る大切な制度として、月額支給額を4600円に戻すべきです。

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