物価対策強化、くらし、福祉、営業守る自治体の役割果たせ ~区議会第1回定例会・長谷部区長の予算に反対討論① 田中まさや議員が、区政リポート3月31日号を発行しました

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区議会第1回定例会・長谷部区長の予算に反対討論①

物価対策強化、くらし、福祉、営業守る自治体の役割果たせ

区議会第1回定例会では、物価高騰からくらしや営業を守る自治体の役割が問われるとともに、長谷部区長の2023年度予算に対して、各党がどういう態度をとるかが問われました。

日本共産党区議団は、区長提案の予算に反対するとともに、議員提案権を行使して、予算修正案・条例提案をおこなうなど、くらし、福祉、教育と営業最優先の区政への転換と、区民の願い実現に全力をあげました。

今号では、最終本会議での、区長提案の予算に対する五十嵐議員の反対討論をご紹介します。

 

 40年ぶりといわれる物価高騰に、区民の暮らしと区内の商店・中小業者の営業はかつてない厳しい状況となっています。小中学校に2人の子どもを通わせている保護者からは、食料品の値段がどんどん上がり毎月の食費が約8万円、水光熱費を入れると10万円にもなると怒りの声が寄せられました。また、高齢者からは、年金が減らされているのに、電気もガスも食品も値上げになって何もかも節約の毎日でこの先が心配ですと悲痛な声が寄せられています。

 こうした物価高騰に苦しむ区民の暮らしと区内業者の営業を守り、地方自治体の役割である福祉・教育の増進を優先することが新年度予算に求められています。

 ところが区長提案の新年度予算案は、区民の物価高騰対策やくらし、福祉、教育の切実な願いに応えず、大企業が進める渋谷駅周辺再開発等に多額の税金を投入する予算案で認められません。5点について理由を述べます。

 

反対理由第1 物価高騰から区民のくらし・中小業者の営業を守る対策が不十分

区長が、物価高騰対策として打ち出した、地域通貨ハチペイは、3月6日現在で区民の2割以下にしか使われておらず、利用できる店舗も区商連加盟の半分程度で事業者のごく一部にすぎません。不況下で失業した区民やわずかな年金の高齢者、コロナ前の売り上げに戻っていない零細事業者など本当に困っている区民と事業者に行き届かない制度です。

グローバル拠点都市推進事業は、委託料が約1億6400万円、スタートアップ株式会社への追加出資が1億円、拠点施設使用料が約3500万円などですが、委託料には海外の優れたスタートアップ企業を呼びよせるためのPR費等で、区内の中小企業支援ではありません。

商店街への物価高騰対策としては、街路灯の電気代の値上げ分として591万円の補助金の増額だけです。原材料の高騰やコロナ禍で苦しんでいる区内中小事業者への直接支援とはほど遠い、地域通貨の発行や、スタートアップ企業支援を優先することは認められません。

日本共産党渋谷区議団は、学校給食の無償化や、国の臨時給付金の対象外となった均等割りのみ課税世帯への5万円の給付や国保料・介護利用料の負担軽減、小規模事業者への物価急騰緊急支援、若者への家賃補助制度の復活などを提案しました。

  

第2 地方自治体の本来の役割である福祉の増進に背を向け、負担増の押し付け

区民の給料も高齢者の年金受給額も上がらないのに、新年度には、国民健康保険料が、6.5%も値上げするのに加え、家庭から出される粗大ごみの収集費用の値上げや、放置自転車の引き取り料を2倍に値上げするなど区民負担を増大させることは、断じて認められません。

物価高騰のもとで、生活保護費は上がっていません。国に保護基準を物価高騰に合わせて引き上げるよう求め、住宅扶助は地域実態に合わせて特別基準を申請すべきです。法外援護で実施している入浴券の枚数を増加するとともに、夏、冬の見舞金の復活を直ちに実施することを強く求めます。

保育、介護などエッセンシャルワーカーの賃金格差は月額5万円になっており国に賃金引上げを求めるだけではなく、区独自の処遇改善を早急に実施すべきです。

また、区立保育園の用務を18人から14人に減らし、民間委託にすることはやめるべきです。さらに、保育補助の会計年度任用職員が、最低賃金以下で任用していることは問題であり、引き上げのための対策を取るべきです。

第3 学校給食の無償化、認可保育園の増設、地球温暖化対策などの区民の願いに背を向けていることは認められない

学校給食費無償化について、憲法26条の義務教育無償の原則は、教育の機会均等を社会で実現することを求めており、子育て支援の立場からも全国で260の自治体、23区でも葛飾区や世田谷区など8区が新年度から実施します。当区での実施を求める署名が2522人から提出されました。

 区長は、こうした社会情勢の変化の中で、これまでの考えをかえざるを得なくなっています。しかしいまだに国や東京都がやるべきとして自ら実施の判断をしないことは、許されません。当区でも早急に実施すべきです。

 新年度認可保育園の入園申込者は、1歳児105人、2歳児3人、3歳児24人、4歳児11人、5歳児7人の150人が募集数をオーバーしています。保護者の多くが認可基準を満たし、5歳児まで継続して保育ができる認可保育園を希望しています。認可保育園の増設の予算はなく認可保育園の待機児ゼロに背を向けていることは認められません。

 さらに、多くの区民や保育関係者から、安全で健やかな保育環境に改善するために、保育士の配置基準や面積基準を引き上げることが求められているにもかかわらず、検討さえしないことは許されません。

 特別養護老人ホームの待機者は、344人でそのうち要介護4・5の人が183人、54%と深刻です。住み慣れた地域の特養ホームなどで安心して介護を受けられるよう、代々木の国有地や、幡ヶ谷社会教育館に隣接する都有地などに特養ホームや認知症グループホームなどの増設を実現すべきです。

次号に続く

区政リポート2023.3.31docx