介護保険料の据置き、介護職員の処遇改善など求める ~区議会第4回定例会本会議~田中まさや幹事長が一般質問① 田中まさや議員が、区政理リポート12月7日号を発行しました
区議会第4回定例会本会議~田中まさや幹事長が一般質問①
介護保険料の据置き、介護職員の処遇改善など求める
第4回区議会定例会の本会議3日目の11月29日、田中まさや幹事長が、日本共産党区議団として長谷部区長に質問しました。
高齢者のくらしに重大な影響を与える次期高齢者保健福祉計画等の住民説明会が12月4日からはじまりました。私も参加しましたが、参加者から「介護保険料を値上げしないで」「敬老祝金は削減でなく充実を」などの切実な声が上がっています。今号では、私の質問の「高齢者福祉と介護保険について」の⑴~⑶をご紹介します。(質問、区長答弁とも要旨です)
⑴第9期渋谷区高齢者保健福祉計画と介護保険事業計画について
2024年度から3年間の第9期渋谷区高齢者保健福祉計画と同介護保険事業計画は、10月に「素案」が公表され、12月から4カ所での住民説明会とパブリックコメントが実施されます。
地域包括支援センターは、「下駄ばきで相談できるところに」との住民の声で、11カ所に増設されました。住民や高齢者の声を計画に生かすために、地域包括支援センターごとに説明会を開催すべきです。また「素案」には介護保険料の案は示されていません。介護保険料の案を示した後に、改めて住民説明会とパブリックコメントを行うべきです。
区長答弁
地域包括支援センターごとの説明会や保険料案が示された後の説明会を開催する考えはない。
⑵介護保険改悪の撤回と介護保険料の据置きを
厚生労働省は、第9期の介護保険サービス利用料を、単身で収入220万円~260万円の場合、2割に引上げようとしています。220万円になれば、渋谷区では4300人以上の窓口負担が2倍に引き上げられることになります。さらに65歳以上の保険料引き上げ、介護老人保健施設などの多床室室料の全額自己負担化まで検討しています。
年金給付はこの10年間で実質7.3%も減額され、そのうえ物価高騰が直撃して、高齢者のくらしは悪化する一方です。住民からは「いまでも生活費を削っているのに、介護サービスを受けたくても利用できない」との声が寄せられています。介護保険料や利用料を値上げすれば、滞納による給付制限や深刻なサービス利用控えが増加し、「保険あって介護なし」の介護崩壊になりかねません。
政府に対して、国の負担を拡大し、サービス利用料や介護保険料などの負担増の撤回を求めるべきです。区の介護保険料の減額のために活用できる介護保険支払準備基金は23億円あり、保険料を据え置いた第8期の同時期の14億円を大きく上回っています。第9期の介護保険料基準額を据え置くとともに、区独自の減額制度については、収入基準額を引き上げ預貯金制限は撤廃すべきです。また介護サービス等利用者負担額助成は、住民税非課税者にまで拡大し、預貯金制限を撤廃すべきです。
区長答弁
第9期の介護保険料は、計画期間中の被保険者数、給付費等の推計を進めており、今後制度の持続可能性も視野に入れ、介護保険支払準備基金も活用した上で、被保険者の負担能力に応じた適切な保険料を設定する。
⑶介護職員の処遇改善を
介護職員の賃金は、全産業平均と比べて依然として月7万円も低いのが実態です。政府が、補正予算で示した6000円の引き上げ案に対して、関係者から「一桁違う」と厳しい批判が寄せられています。
渋谷区の介護事業所調査では、67.2%が「介護職員が不足している」と回答しており、その原因は低賃金と劣悪な労働条件にあることは明らかです。
区内のある特養老人ホームでは、各フロアに必要な介護職員は昼間1人不足し、夜勤もワンオペ状態です。9月から11月で4人が退職するのに新規採用は2人しか決まっていません。この特養の職員は、「子どもがいるのに、土日の出勤や連続夜勤、早出残業も常態化しており、これでは、働き続けることも難しい」と訴えています。
訪問ヘルパーの処遇はさらに深刻です。ヘルパーさんは、「利用時間が45分に減らされ、介護報酬の対象外の移動時間や事務処理時間が増えて、結果的に最低賃金以下で働かざるを得ない」と訴えています。
区長は、こうした実態について、どう考えているのか伺います。国に対して、国庫負担割合を増やし、保険料を上げずに介護職員の賃金を専門職にふさわしく引き上げ、訪問ヘルパーの移動時間や事務処理時間も報酬に含めるよう求めるべきです。また、区として、介護従事者の賃上げのための助成を実施すべきです。
区長答弁
介護報酬体系が介護職員の人材不足の一因であること、介護職員の現状も常々認識しており、9期計画でも介護人材対策を重点施策に位置付ける。令和4年度介護報酬改定で一定の改善が図られているため、国に対し、介護従事者の処遇改善等を求める考えはない。区独自の賃上げ助成を行う考えはない。