ハチ公バスの運賃値上げやめ、運行継続を ~渋谷区が9月から、デマンド交通の実証実験を実施 田中まさや議員が、区政リポート8月8日号を発行しました⑴
渋谷区が9月から、デマンド交通の実証実験を実施
ハチ公バスの運賃値上げやめ、運行継続を
渋谷区は、「デマンド交通」(乗り合いタクシー)の導入のための実証実験を、幡ヶ谷や本町など区の北西部で実施する計画を進めています。同時に、高齢者などの重要な公共交通である「ハチ公バス」の運賃や運行の見直しを検討しています。
今号では、第2回定例会本会議での、いがらし議員の質問をご紹介します。質問、区長答弁とも要旨です。
⑴デマンド交通の利用方法について
昨年12月にハチ公バスの春の小川(初台・本町・笹塚)ルートと、丘を越えて(上原)ルートを運行している京王バスから、運転手不足等でこれまで通りの運行が厳しいと申し出がありました。区は来年度以降の運行縮小をせざるを得なくなった場合を想定し、高齢者の生活をサポートするデマンド交通(相乗りタクシー)の実証実験の予算1億3100万円余を今議会に提案しています。
しかし、デマンド交通では、スマホでしか予約できず、支払いもキャッシュレスのみで現金は使えません。また、料金は通常タクシーの5割から6割程度の固定料金が、一人ひとりに発生するため、3人以上では普通のタクシーに乗ったほうが安くなる仕組みで、これではハチ公バスを縮小する代わりにはなりません。
区は高齢者の内どれくらいの人がスマホとキャッシュレス決済を利用していると想定しているのですか。
長谷部区長答弁
高齢者のうち、どれくらいの人がスマホとキャッシュレス決済を利用しているのかは把握していないが、デマンド交通の実証実験の結果、新たなデジタルデバイド対策が必要な場合には、対応を検討する。
⑵ハチ公バスについて
渋谷区がハチ公バスの運行を実施したのは、高齢社会を迎え、民間バスの路線廃止や、もともと公共交通がない地域の住民からコミュニティバスを走らせてほしいとの長年の要望がシニアクラブや女性団体等から出され、高齢者や障がい者などの足となる福祉バスとしてスタートし、他の自治体の先駆けとなってきたものです。杉並区はこれまで通りの運行を継続するための協議を京王バスと行っていると聞きました。渋谷区も来年度以降の運行縮小や、運賃の値上げをするのではなく、まずはこれまで通りの運行を継続できるよう京王と協議し、必要な助成を増額すべきです。あわせて港区のようにシルバーパスも利用できるよう改善を図るべきです。
区長答弁
ハチ公バスは、高齢者や障がい者など交通弱者のための福祉バスとして、地域公共交通の一端を担っている。一方で、この事業を継続していくためには、バス事業者の安定した収入確保にも配慮しなければならない。
現在、ハチ公バスの経費適正化に向けた検討を進めており、最適な運行体制や福祉的な配慮をふまえた料金区分の設定を検討している。

