医療・介護を崩壊から守る、政治の責任果たせ ~区議会第2回定例会・日本共産党の代表質問④ 田中まさや議員が、区政リポート7月11日号を発行しました

人権国保安全・安心活動報告渋谷区

区議会第2回定例会・日本共産党の代表質問④

医療・介護を崩壊から守る、政治の責任果たせ

医療や介護が崩壊の危機に瀕しています。長年、自公政権が、次々と医療や介護を切り捨ててきた結果です。ところが、「現役世代の所得を増やす」と言って、医療費を4兆円削減し、高齢者の窓口負担や介護利用料の負担増を主張する政党があります。この主張は病気の人や高齢者を分断して、国民全体の命や尊厳を踏みにじり、自民党政治を延命させる結果になります。日本共産党はすべての国民の命を守るために、国費5千億円緊急投入し、診療報酬引き上げ、介護報酬を元にもどし、公的助成による賃上げを提案しています。

本号では、区議会第2回定例会での牛尾団長の代表質問のうち、当該部分の質問の一部と区長答弁(どちらも要旨)をご紹介します。

  • 医療機関への支援を

 日本病院会など6団体は、赤字病院が6割に増加したという調査結果を発表し、「地域医療は崩壊寸前」「このままではある日突然病院がなくなります」として、物価や賃金の上昇に適切に対応した診療報酬を要望しました。

 区内でも日赤医療センターが、42病床を縮小し、4月から差額室料、セカンドオピニオンなどの料金を値上げし、さらに6月末で訪問看護ステーションを閉所すると発表しました。また、独法化された広尾病院も、新型コロナ後の患者数が回復せず、連続して赤字となっています。患者さんも、昨年1月から紹介受診重点医療機関になったため、紹介状を持たずに受診すると初診で7千円を払わなければならなくなりました。

 区長は、区内でも深刻化する病院経営を改善するため、国に対し、診療報酬の引き上げを求めるべきです。また、東京都に対し、広尾病院は都立直営にもどし、東京都の責任で区民が安心してかかれる病院にするよう求めるとともに、民間医療機関への支援の増額を求め、区としてもできる支援を行うべきです。

長谷部区長答弁

 診療報酬の引き上げについては、国政において議論すべき課題であり、引き上げを求める考えはない。

 広尾病院の経営主体と責任主体は東京都です。このため広尾病院を都が運営する体制に戻すよう求める考えはない。

 都が物価高騰に直面する医療機関等の負担軽減に向けた緊急対策として、東京都医療機関等物価高騰緊急対策支援金を実施している。区独自の経営支援については考えていない。

 

  • 国保保険証残せ

 国民健康保険証の期限切れが迫る中、当区が世田谷区とともに、すべての国保加入者への資格確認書を発行することを発表しました。区議会は2024年第1回定例会で住民からの陳情の趣旨を取り上げ、現行の健康保険証とマイナ保険証の両立を求める意見書を国に提出しています。日本共産党は、区民の声と議会要望に応え、区内にマイナ保険証では受診できない医療機関が少なくない中で、保険者として加入者全員に医療を受ける権利を保障するための判断として歓迎します。

 厚生労働大臣は記者会見で、国の方針とは異なるとして、必要な対応策を検討すると述べましたが、資格確認書は発表したとおり、すべての加入者に発行すべきです。また、国に保険証の廃止撤回を求めるべきと考えます。

長谷部区長答弁

 来月(7月)国保加入者全ての方へ原則、資格確認証をお送りします。今後、マイナ保険証の利用実態などから医療が円滑に受けられると判断できるようになったら、マイナ保険証へ移行していく予定です。

 国に保険証の廃止撤回を求める考えはありません。

 

  • 安心して受けられる介護

 介護事業所は、慢性的な人材不足に加え、昨年度の介護報酬改定でいっそう経営が困難になっています。特に基本報酬が減額となった訪問介護では、この1年間で倒産や廃業が急増し、訪問介護事業所のない自治体が107に増えるなど、深刻な基盤崩壊が進んでいます。昨年党区議団が行った区内の訪問介護事業所の調査でも、経営がいっそう苦しくなった、人材不足で新たなサービス提供が困難になっているなどの声が共通して寄せられました。このまま事態を放置すれば、訪問介護を受けられない高齢者が生まれてしまいます。

 新潟県村上市では、基本報酬の引き下げによる減収分を支援する事業と、ガソリン代高騰への対応を実施し、事業者から歓迎されています。世田谷区は区独自の訪問介護事業所支援を行っています。東京都は、介護事業者に対し、介護職員就業支援事業として、職員を採用した場合の人件費の一部や募集の経費、電動アシスト自転車やEV車の購入費、職員の熱中症対策や研修費などの支援策を実施しています。当区でも、介護事業所の実態調査を行うとともに、職員の賃上げをはじめ、東京都の支援への上乗せや、支援を受けられない事業者に独自支援を行うべきです。

長谷部区長答弁

 介護事業所の実態調査については、これまでもお答えしているとおり、国で実施している介護従事者処遇状況等調査の結果を注視します。賃上げ支援については、都が居住支援特別手当事業を実施しており、区独自の支援は考えない。また都の支援として、例えば介護職員宿舎借上げ支援事業では、地域密着型サービス事業所や指定管理者が管理する事業所を対象外にしていますが、区事業では対象とするなど、すでに独自の支援を行っています。

区政リポート2025.7.11