子どもに寄り添える教育と保護者負担の軽減を ~区議会第2回定例会・日本共産党の代表質問⑤ 田中まさや議員が、区政リポート7月25日号を発行しました
区議会第2回定例会・日本共産党の代表質問⑤
子どもに寄り添える教育と保護者負担の軽減を
少子化が問題になっています。子どもを産めば給付金を出すという党もありますが、日本共産党は、子どもを産むか生まないか、何人産むかは、女性の生き方・人権にかかわる問題であり政治が介入すべきではないと考えます。重要なのは、出産や子育て、教育の経済的負担をなくすことや、親が安心して子育てできる働き方にするなど政治が責任を果たすことではないでしょうか。
区議会第2回定例会の代表質問で日本共産党区議団は、一人ひとりを大切にする教育、教育の負担軽減を求めました。今号では、質問の当該部分をご紹介します。(質問・答弁とも要旨)
教育は、子どもの人格の完成をめざし、その尊厳を尊重しながら成長を支える営みです。教育は子どもの権利であり、教育の機会は平等に保障されなければなりません。
- 一人ひとりの子どもたちに行き届いた教育を
ところが、日本では、公教育に対する予算が不十分なために、世界に例のない高額費や多人数の学級など教育条件の整備が遅れています。また、第二次安倍政権が、学校での競争と管理をエスカレートさせたために、不登校はこの10年間で3倍に急増し35万人近くになっています。渋谷区立小中学校でも、コロナ以降不登校が急増し、昨年度も高止まりの状態が続いていると聞きました。
区は、これまで各学校にスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを派遣し、子どもや保護者の相談支援体制を強化してきました。しかし、これらの専門職員はいずれも会計年度任用職員のため、不安定な雇用のなかで、区内の複数校や、他区の非常勤職員として掛け持ちで各校を回る人もいます。それぞれの学校も都と区のスクールカウンセラーが曜日を決めて週2日来るだけです。
子どもたちに寄り添い、継続的に支援できるよう、スクールカウンセラーは各校に専任配置し、常勤化すべきです。また、スクールソーシャルワーカーも常勤職員とし、相談・支援体制を強化すべきです。教育長に伺います。
教員の多忙化を解消し、一人ひとりの子どもに寄り添った教育を実施するためには、教育研究者も、学校現場からも、教員の増員と少人数学級が不可欠と指摘されていますが、いかがですか。
国は今年度から小学校の全学年を35人学級とし、来年度から中学校でも順次35人学級を実施するとしていますが、教育委員会として、国と都に少人数学級を加速させるよう求め、区として中学校の35人学級化を直ちに実施し、小学校では30人学級に進むべきです。見解を伺います。
伊藤林太郎教育長答弁
スクールカウンセラーの体制は充足しており、継続的な支援が可能であるため常勤化は考えない。
教員の多忙は少人数学級のみが解決策ではない。講師時数の追加や目的別加配教員の弾力的な活用などで多忙化の解消を図っている。
学級編成については、全国都市教育長協議会や特別区長会を通じて国や都に要望している。区独自で実施する考えはない。
教育費の負担軽減
教育費の負担を軽減することは、すべての子どもの学ぶ権利を保障するうえで欠かせません。区立小中学校のおおよその保護者負担額は、小学校の移動教室が2万3千円、学用品が1万8千円、中学校の副教材が3万5千円、修学旅行が7万2千円、標準服が6万円となっています。教育費の負担増を放置すれば、家庭の経済力による格差が拡大してしまいます。
義務教育無償化を進めるために、葛飾や品川、足立、墨田、荒川区などで実施した修学旅行・移動教室、副教材費、中学校標準服などの無償化に踏み出すべきです。また、給食費無償化については、すべての学齢期の児童生徒に拡大すべきです。交通費については、国に対して子ども運賃の対象を18歳まで広げ、都には高校生や私立中学生の通学定期券代の助成を求めるとともに、区としても実施すべきです。
長谷部区長答弁
修学旅行の無償化や学校給食費補助事業の対象拡大は、現時点で実施する考えはない。交通費は家庭の選択によるもので、区が実施する考えはない。
③大学生等の給付制奨学金の実施
今年は約4割の大学で学費の値上げが強行され、初年度納付金は国立で80万円、私立は文系で110万円、理系で150万円を超え、高等教育を受ける権利が脅かされています。
国は、国立大学の運営費や私立大学助成の予算を大幅に削減してきました。このため、学生の8割がアルバイトをしながら学び3人に1人が貸与制奨学金に頼らざるをえないのが現状です。国に対し教育予算を抜本的に増やし、学費を半額にするよう求めるべきと考えます。
給付制奨学金について区長は、区が担うべき役割かどうかを慎重に見極めていくと前定例会で答弁しました。軍事費の半分以下という教育予算の抜本的拡充は急務ですが、経済的理由で大学に行かれない子どもを放置することは許されません。
足立区に続いて今年度からは千代田区、品川区が給付制奨学金制度を開始しました。当区でも、給付制奨学金の実施に踏み出すべきです。
長谷部区長答弁
都や国の支援制度が拡充されており、全国一律の施策として国が実施することが適切であることから、実施する考えはない。