富山臨海学園跡の民間活用が破綻 ~富山臨海学園跡施設は、区として青少年施設の復活を 田中まさや議員が、区政リポート9月12日号を発行しました
富山臨海学園跡の民間活用が破綻
富山臨海学園跡施設は、区として青少年施設の復活を
9月8日の総務委員会に、「財産の取り扱いについて」と題して、富山臨海学園跡施設の民間企業との土地建物賃貸借契約を解除するとの報告がありました。
富山臨海学園後施設は、渋谷区所有で千葉県南房総市の岩井海岸にあります。
この施設は、区立小学校の臨海学校として活用されていましたが、渋谷区は2018年度で、山中高原学園とともにこの施設を閉鎖し、民間への譲渡や貸付を模索してきました。
その後、公募型プロポーザルを実施し、株式会社DEとの間で、2023年5月に富山臨海学園後施設の土地建物賃貸契約を締結していました。契約は、富山臨海学園後施設の土地約7871㎡に建物3棟で約2850㎡を月額15万円で15年間賃貸借する契約でした。(報告資料参照)
民間利活用が破綻
株式会社DEは、富山臨海学園をリノベーションするプロジェクト「千葉内房・渋谷『富山臨海学園』を再生、都市と地域の循環を生む新たな『臨海公園』へ」にとりくむために、3億円の資金計画を立て、クラウドファンディングなどにも取り組みましたが、調達できた資金は5000万円だけとの報告でした。2024年からプレオープンしていましたが、利用者はカフェなど1日10人程度で、結局事業継続の見込みが立たず、契約を解除することになりました。
この契約の報告を受けた2022年12月の総務委員会でも、私は「そもそも民間に利活用するということではなくて、・・・区が直接責任を持って管理運営すべき」であり「もともと子どもたちの貴重な施設だったわけですから、そういうことがきちんと保障されるよう」求めていました。結局、この間、子どもの自然体験の場は奪われ、民間の儲けのために区民の財産を活用させるやり方が破綻する結果となりました。
事業者の選定や管理責任とともに、教育の大切な施設を廃止し、民間に活用させた区の責任は重大です。
子どもたちの自然体験の場として復活を
渋谷区は、この間、檜原自然の家、山中高原学園と富山臨海学園、新島青少年センターと、次々青少年のかけがえのない自然体験の場を廃止してきました。その結果、区が直接運営する青少年の自然体験の施設は無くなってしまいました。
私は、総務委員会での今回の報告を受けて、改めて区が直接運営する青少年施設として復活するよう強く求めました。
他の会派からも今回の事態を受けて、青少年の施設として復活する声が上がりました。
財産の取扱いについて 総務委員会報告資料より
富山臨海学園跡施設の土地建物賃貸借契約を解約する。
1 契約経緯
令和5年1月 公募型プロポーザル実施
令和5年3月 事業者選定
令和5年5月 土地建物賃貸借契約締結
2 現事業者
株式会社DE
東京都渋谷区桜丘町30番15号
3 貸付期間
令和5年6月1日から令和15年5月31日
4 解約予定日
令和7年9月11日
5 解約理由
・資金調達(融資・出資)の難航
・資材、人件費の高騰
以上
富山臨海学園後施設

山中高原学園とともに富山臨海学園を廃止する計画に対して、厳しく批判し撤回求める
2018年第3回定例会での、日本共産党区議団・田中まさやの代表質問より
山中高原学園と富山臨海学園の廃止が文教委員会に報告された後の2018年9月の第3回定例会代表質問で、私は、子どもの自然体験の機会を奪うことは許されないと厳しく批判し、撤回を求めました。以下、代表質問の引用です。
区は、自然に親しみ集団生活や宿泊を通じて学習活動を充実・発展させ、教師と児童・生徒相互間の触れ合いの場を提供する施設であり、貴重な社会教育の場である山中高原学園と富山臨海学園を廃止し、校外学習は民間等の施設で実施しようとしています。
区は施設の老朽化も理由にしていますが、建替えの費用や維持費の削減のために区の直営施設を廃止することは、区が本来責任を負うべき子どもたちの豊かな人格の完成という公教育の役割を投げ出し、社会教育の場を奪うものであり、到底認められません。また、区独自の施設でないため、安定的に校外学習の場が確保される保証もありません。
不登校だった青年から「日ごろ学校には行けなくても、富山臨海学園や山中高原学園は楽しみで参加できた。仲間とのかけがえのない思い出になっている。廃止しないで」と話しています。
財政削減のために子どもの教育を犠牲にすることは許せません。山中高原学園と富山臨海学園は存続し、直営で運営すべきです。教育長に所見を伺います。