広尾病院を都立のままで存続充実させる会」が第15回総会を開催

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9月3日、地域交流センター新橋で、広尾病院を都立のままで存続・充実させる会(略称:広尾病院を守る会)の第15回総会が開かれ、渋谷、港、目黒区の住民と病院関係者40人以上が参加しました。

東京都は今年7月から、都民の強い反対の声を押し切って、都立8病院を公社6病院とともに、独立行政法人都立病院機構に運営を移行しました。今年の総会は、会の今後の取り組みが注目される総会となりました。

 

広尾病院の医療の充実を求め今後も活動

総会では、会が独立行政法人化の中止と医療の充実を求めて、14年間にわたって活動し、この1年間でも、都議会包囲行動や病院前、広尾・田町駅での定例宣伝、都営住宅や町会長訪問、病院への要請と懇談、渋谷・港・目黒区議会への請願提出などに精力的に取り組んできたことが報告されました。今後の活動については、独立行政法人化されたもとで、患者負担増や人件費削減など、経営最優先の運営とならないよう監視していくこと、患者要望を聞き取り病院に要請する活動などに取り組むとともに、病院の建替えについては、東京都の責任で完結するよう働きかけていくことなどが提案されました。

また、会の目的についても、「地域医療を守るために、広尾病院が2022年7月地方独立行政法人化されたもとでも、都立病院に戻すことも展望しながら、広尾病院の医療の充実を求めていきます」と補強し、方針とともに確認されました。

 

公立病院の役割と設立から再編の歴史

総会議事ののち、自治体民営化中止の運動に携わってきた尾林芳匡弁護士が、「都立病院を考える PFI・地方独立行政法人化と広尾病院」と題する記念講演を行いました。

尾林氏は、公立病院について、安心して医療を受けられる体制を整備して健康を保持することは、国と地方自治体の大切な責務であるとして、収益や採算性の点から取り組むことが難しい山間へき地・離島や、救急・小児・周産期・災害・精神・感染症などの不採算医療、研修の実施など医師派遣の拠点などを担うことに公立病院の存在意義があると強調しました。

しかし、公立病院の歴史は、経営効率の向上や採算性が過度に強調され、病院の統廃合や民営化が進められてきた歴史であるとして、総務省の二次にわたる公立病院改革ガイドラインの結果、病院数も病床数も約1割減少し、自治体からの運営繰入金の減少で経常収支比率が大きく低下したことが調査研究会の報告書で公表され、地方公共団体の適切な繰出が確保されるよう留意すべきと述べていることが紹介されました。

しかし、その後、日経新聞が立病院の赤字や病床削減の遅れ、過剰な重傷病床などの攻撃により、厚労省主導の削減が進められていると指摘。424病院を名指しした削減計画に至ったとし、都立病院が減らされてきた歴史にも言及しました。

 

病院独法化、PFIと今後の運動

都立病院の運営主体となる独立行政法人と、PFIによる建替えの説明がなされました。いずれもが経費の削減の一方で民間事業者の利益を保証するものであることが解明され、各地で進められている事業の問題事例が指摘されました。病院の独法化でも、国立病院機構や東京都の健康長寿医療センターで、病床削減や利用者負担増、人件費の削減で欠員状態が続いていること、大阪府立病院では東京都の10分の1しかコロナ病床を確保できなかったことなどが紹介されました。

そして、全国で民営化が強行されるなかで、今日まで都立病院を守ってきたのは運動の成果だとして、広尾病院を守る会の活動に確信を持つとともに、今後も医療の後退を許さない運動を続けていくことの重要性が強調されました。

参加者からは、独法化が強行されて残念だが、尾林講演を聞いてこれまでの運動に確信が持てた。今後も医療を守るために頑張るなどの決意が相次ぐとともに、コロナ禍での広尾病院の医療現場の実態が報告されました。

日本共産党区議団も、行政的、地域医療を守るために全力をあげます。