新型コロナ対策―PCR検査抜本拡大、くらし、営業守れ~区議会第4回定例会ー田中まさや議員が代表質問② 田中まさや区議会議員が、区政リポート12月11日号を発行しました

中小企業人権子ども・子育て・保育学校教育安全・安心平和活動報告渋谷区

区議会第4回定例会ー田中まさや議員が代表質問②

新型コロナ対策―PCR検査抜本拡大、くらし、営業守れ

田中まさや議員の代表質問の柱

1.区民の人権、平和、くらしにかかわる国政問題について

2.新型コロナウイルス感染症対策について

3.区政のあり方について

4.国民健康保険について

5.保育について

6.教育について

 

区議会第4回定例会2日目、私は日本共産党渋谷区議団を代表して、区長・教育長に質問しました。

今回は、感染急拡大の最中、区として果たすべきいのち・くらし・営業を守る緊急の新型コロナ対策について区長に行なった質問と答弁をご紹介します。(質問と区長答弁は要旨。傍線が質問部分)

 

2.新型コロナウイルス感染症対策について

⑴区民のいのち・くらしを守り抜くための緊急の予算確保について

 新型コロナウイルス陽性者は、全国で1日2000人を超え、東京でも500人以上に急増、感染爆発による医療崩壊やコロナ恐慌が強く懸念されます。区民も中小業者も必死で感染拡大防止や自粛などの自助努力を続けていますが、「このままでは年を越せない」などの悲鳴が上がっています。国と自治体の、感染拡大防止といのちとくらし、営業を守るための支援は待ったなしです。

 100年に一度といわれる災害から区民のいのちとくらし、営業を守るために区民の財産である1079億円を、躊躇なく活用すべきです。                              

区長答弁 (今後何年にもわたって、重要な財源になる。慎重に活用)という考えに変わりはない。今後も必要な支援をしていく。

⑵PCR検査の拡大について

 WHOコーディネーターの渋谷健司東大大学院教授は、感染爆発を防ぐために「検査・追跡・保護で無症状者を含めて対策をしっかりやる。感染の集積地への徹底した検査や、医療機関、介護施設などには積極的に定期検査を行う必要がある」と指摘しています。都は、検査能力を6万5千件に増やし、自治体の実施する高齢者・障がい者施設、接客を伴う飲食店での検査費用も負担する予算を計上しました。世田谷区では、高齢者・障がい者施設、学校、保育園などの職員、利用者に検査を実施していますが、特別養護老人ホーム職員・利用者222人の内15人の無症状の陽性者が確認されています。無症状者を積極的に見つけ出し、感染拡大を防ぐ社会的検査の重要性は明らかです。

 区内でもクラスターが発生し死亡者も出た障がい者施設の「検査報告書」で「感染の恐れがある場合は、すみやかにPCR検査を行う必要がある」と指摘していますが、その後、保育園、学校、障がい者施設などで陽性者が確認されても、職員、利用者全体の検査は行われていません。感染者が出た保育園の職員、学校の保護者からは、「万一感染していたらどうしよう」との不安から検査を求める声が寄せられています。

 区長は、感染爆発を防ぐためのPCR検査の重要性について、どう認識されているのですか。また、全額国庫負担で検査が受けられるよう国に求めるべきです。区として、都の助成対象外の医療機関、保育園、幼稚園、小中学校の職員・利用者に、無料でPCR検査を定期的に実施すべきです。

 また、政府の新型コロナウイルス対策本部は、新宿区歌舞伎町の重点検査数や陽性者数の推移から「大規模・地域集中的なPCR検査によって、陽性者数が減少した」と報告しており、広島県は、広島市内にある繁華街に検査スポットを設置、名古屋市でも、中区栄地区で飲食店従業員らを対象に無料の検査を実施しました。

 渋谷の繁華街が感染集積地になれば、区民だけでなく全国的な感染拡大につながります。繁華街に検査スポットを設置して、そこで働く人や利用者、在住者に対して無料でPCR検査を実施すべきです。

区長答弁 PCR検査の重要性について十分に認識しており、適切に実施する。国庫負担の増額を求める考えはない。検査対象については、国や都の動向を見る。繁華街に検査スポットを設置する考えはない。

⑶保健所の体制強化について

 保健所は、憲法25条の「健康権」に基づき、社会保障、公衆衛生の向上及び増進の役割を果たす機関であり、子育て支援や精神保健など、住民にとって欠かせない役割を担っています。コロナ対策では、相談窓口や濃厚接触者の追跡調査をする保健所の体制強化が強く求められます。第1波の時には、感染症対策係など12人では対応できず、精神保健やネウボラに携わる職員も総動員となりました。現在は、都からの派遣4人や会計年度任用職員7人と他部署からの応援などで対応していますが、感染爆発や長期化、新たな感染症パンデミックに備えるためには抜本的な体制強化が必要です。都は、追跡調査の強化のため100人のトレーサー班を派遣しますが常駐でないと聞きました。世田谷区では、保健所の負担を増やさないために、保健所とは別に常勤3人非常勤5人の専門職によるトレーサー班を設置しています。

 コロナ感染急拡大に対応できるよう、追跡調査のための専門チームを設置すべきです。また感染症対策係の常勤の保健師を大幅に増やすなど保健所の常勤職員を増やすべきです。区長の所見を伺います。

 また、墨田区や練馬区のように、自宅療養の陽性者に対して、食品等の自宅療養セットや血中酸素飽和度測定器を配布するとともに、濃厚接触者も対象にすべきです。

区長答弁 クラスターや院内感染が発生した場合に備え、感染症対策係の保健師が専門チームとして対応できる。今後も感染状況の変化に柔軟に対応し、費用な人員を確保する予定。自宅療養者支援は、都が1週間分の食料品等の配布を開始。特別区でも受付が始まっている。(渋谷区は申請済)濃厚接触者や血中酸素飽和度測定器について行なう考えはない。

⑷医療機関への支援について

 新型コロナの影響は、コロナ受入れ病院だけでなくすべての医療機関に及んでいます。日本病院会など病院3団体の調査では、全国1460病院の内7月から9月は50%前後が赤字で、「地域医療を支える病院が経営破綻し、新型コロナウイルス対応が不可能になるのみならず、地域医療が崩壊する危険すらある」と指摘しています。区内の中堅病院では、発熱外来を設けコロナとたたかってきたにもかかわらず、夏も冬の一時金も4割以上減額を職員に提示せざるを得ないと聞きました。最前線でコロナとたたかっている医療従事者のボーナスが引き下げられるような理不尽を許してはなりません。渋谷区議会も、「医療機関・介護事業所等に対する緊急財政支援を求める要望書」を全会一致で議決し、国に提出しました。墨田区では、コロナの影響で減収した医療機関に500万円まで支給しています。

国に対して医療機関に対する減収補てんを求めるとともに、区としても、医療機関への財政支援を行うべきです。

区長答弁 国で議論すべき。(区の支援は)考えない。      

⑸中小業者と区民への支援について

 東京商工リサーチの調査では、9月も6ヵ月連続で8割の中小企業が前年同月比で売り上げが落ちており、年内に31万件もの廃業や倒産が出る可能性があると指摘しました。なんとしても大量廃業、大量失業でコロナ恐慌という事態は避けなければなりません。区内の商店街でも閉店・休業が相次いでおり、「コロナの終息が見えないなかで、資金繰りは限界。いつまで金と気力が持つか」と訴えています。いま中小業者と雇用を守る区の支援が強く求められています。  

 品川区などでは独自の家賃支援給付金を実施し、八王子市では、テナント家賃緊急支援金の要件を緩和し、支給期間も延長しています。

 区長は、持続化給付金はコロナの影響がおさまる迄延長し、何度でも支給するよう国に求めるべきです。区議会では、中小業者への固定費支援を国に求める意見書を全会一致で採択しています。区としても独自に家賃などの支援を実施すべきです。

区長答弁 次年度以降の財政運営など総合的に考えると困難。今後、国や都の動向を注視しながら、様々な支援を検討する。                   

 今年7月から9月までのGDP速報値の個人消費は、前年度比22兆円も減少しています。いま消費税を減税することが、消費を拡大し、地域経済を循環させるうえで最も効果的であり、低所得者ほど効果が大きく、消費税を価格に転嫁できない中小業者支援にもなります。すでにイギリス、ドイツなど22カ国で付加価値税を減税しており、区政アンケートでは、消費税の減税を求める声が約6割に達します。

 国に対して、消費税の5%減税と納税猶予の延長を求めるべきです。                   

区長答弁 その考えはない。納税猶予は、国の動向を注視。

③最高20万円を貸し付ける緊急小口資金や総合支援資金は、コロナ禍で苦しむ区民にとって命綱の役割を果たしています。10月末現在で相談件数は延べ8,887件、貸付件数は合計5,646件に達しています。ところが12月末迄で終了する見込みで、国は再延長の方針を示していません。いまこの制度を打ち切れば、多くの区民が路頭に迷うことになります。

 国に対して、緊急小口資金特例貸付と総合支援金貸付の継続を求めるべきです。区として、コロナで困窮している区民が活用しやすくするために応急小口資金貸付の要件を緩和し、区ニュースなどで周知すべきです。また、住民税非課税世帯に対して定額給付金を支給すべきです。区長の所見を伺います。                      

区長答弁 国に求める考えはなく、貸付要件緩和の考えもない。区独自の定額給付金支給の考えはない。

⑹エッセンシャルワーカーへの支援について

 コロナ禍で、医療、介護、障がい福祉、保育など、命を守るケア労働の重要性が明らかになっており、全産業平均より月7万から10万円安い介護・障がい者福祉・保育等で働く労働者の賃上げ・処遇改善は喫緊の課題です。実際、介護職に昨年実施された処遇改善加算は、社会福祉事業団の介護施設でも、職員の83%は月1万2千円以下の賃上げに過ぎず、職員は、「介護士不足と3連続夜勤などの過重労働の悪循環は変わらない」と話しています。感染リスクに晒されながら区民のいのちを支える労働者への支援が必要です。

 八王子市は、保育園、幼稚園などの職員4500人に5万円の慰労金、品川区では、介護職員に最低2万5千円、民間の保育園などの職員に応援金2万5千円を支給しています。

 国や都に対して、公費による賃金への直接補助と介護報酬、障がい福祉の報酬、保育単価などを抜本的に引き上げ、それらを利用者の負担増に跳ね返らせないための財政措置を講じるよう求めるべきです。区としても、エッセンシャルワーカーへの独自支援金を給付すべきです。  

区長答弁 区独自の支援の考えはない。

⑺ひとり親家庭と学生の支援について

 総務省の7月の労働力調査では、非正規の従業員数は前年同月比131万人減で、その内女性が62%を占めています。とりわけひとり親家庭への影響は深刻です。支援団体の調査では、国の1回の給付金では生活は改善していないと指摘しています。幡ケ谷に住む高校生の子どもがいるシングルマザーは、「今まで2か所掛け持ちで働いて21万円で何とか生活できたが、1か所がコロナで雇止めになり、仕事を探しても見つからず途方に暮れている」と窮状を訴えています。

 国に対して、ひとり親家庭への臨時特別給付金の継続的な支給を求めるとともに、区として、ひとり親家庭への現金給付を継続して行うべきです。

区長答弁 国や都の支援策に重ねた新たな支援を要望したり(区として)実施する考えはない。

 休業要請や外出自粛などの影響でアルバイト収入や親の収入が減り、学業の継続困難に直面する学生が急増するなか、山梨県笛吹市では、市内在住の学生に、一人10万円、高校生にも一人1万円、厚木市は、市内の一人暮らしの大学生などに一人5万円を支給しています。八王子市は、市独自の学生支援特別給付金の要件を緩和して再募集を始めています。

 国に対して、学費を半額にするよう求めるとともに、区として、収入や仕送りが減っている区内在住の一人暮らしの学生に支援金を給付すべきです。

区長答弁 学費の半減は国政の場で議論すべき。学業継続の支援は広域的な視点による検討が必要なため、区としては考えない。

区政リポート2020.12.11docx